Hitachi

 Hitachi Application Server V10 ユーザーズガイドWindows®用)


2.4 Application Serverの管理要素とプロセス構成について

Application Serverを利用したシステムは、ドメイン、ノード、サーバ、クラスター、構成、およびサーバ間関連という要素で管理します。ドメインの管理には、ドメイン管理サーバを利用します。また、Application Serverが動作するためのプロセスには、Webサーバ、Java EEサーバ、パフォーマンストレーサー、ドメイン管理サーバなどがあります。

Application Serverの管理要素

Application Serverを利用したシステムでは、システム内の構成要素をドメインという単位で管理します。ドメインを管理するためには、ドメイン内に1つあるドメイン管理サーバを利用します。ドメイン管理サーバが管理するドメインは、ノードおよびサーバという管理要素で構成されます。また、クラスター、サーバ間関連、および構成という要素で、サーバを管理します。

ドメイン

業務システムを構成する複数のサーバを管理する要素です。ドメインは、異なるマシン上のサーバ(Java EEサーバ、Webサーバ、パフォーマンストレーサー)も管理できます。ドメインの管理には、ドメイン管理サーバを利用します。

ドメイン管理サーバ

ドメイン管理サーバとは、ドメインを管理するために、特別に用意されたサーバインスタンスです。ドメイン管理サーバは1つのドメインに対して1つ存在し、serverという名称で作成されます。なお、ドメイン管理サーバは、アプリケーション実行環境マシンとは別の運用管理サーバマシン上に構築することを推奨します。

ノード

ドメイン内の接続先のホスト(マシン)を定義する要素です。サーバはノードで定義されたホストに構築されます。ドメイン内に複数のノードを定義できます。複数のドメインから1つのノードを共有することはできません。

サーバ

ドメインが管理する各種サーバのインスタンス要素です。この要素はサーバの実体を表し、サーバの設定情報を包含します。サーバ要素には、Java EEサーバ、Webサーバおよびパフォーマンストレーサーがあります。サーバは必ず1つのドメインに属します。

サーバの種類

概要

Java EEサーバ

Java EEアプリケーションを稼働させるコンテナーサーバです。

Webサーバ

Webコンテンツを提供するサービスプログラムです。Web Serverを使用します。

パフォーマンストレーサー

Java EEサーバ、Webサーバなどのサーバの稼働性能を監視するプログラムです。監視対象となるサーバと同じノードに配置します。

クラスター

同じアプリケーション、リソース、および設定情報を共有する Java EEサーバのグループ要素です。異なるマシン上の Java EEサーバをグループ化して管理できます。クラスターを利用して、複数のJava EEサーバをグループ化したシステムの構成をクラスター構成と呼びます。クラスターは、スケーラビリティー、負荷分散、およびフェイルオーバーの保護を目的に使用します。

サーバ間関連

2つのサーバ間の関連で必要な設定情報をカプセル化したインスタンス要素です。構築したサーバ同士を連携して動作させるために必要な設定として、関連先のサーバの情報を関連元のサーバに自動的に設定します。例えば、関連先サーバの待ち受けポート番号を、接続ポートとして関連元のサーバにパラメーターで自動設定します。サーバ間関連には、リダイレクト関連とパフォーマンストレーサー関連があります。

関連の種類

概要

リダイレクト関連

Webサーバが受信したリクエストのリダイレクト先 Java EE サーバを設定するための関連です。異なるノード間のサーバ同士で関連を設定できます。

関連元:Webサーバ

関連先: Java EEサーバまたはクラスター

パフォーマンストレーサー関連

運用中のサーバの稼働性能を確認するために、パフォーマンストレーサーで性能解析トレースを取得できるように設定する関連です。異なるノード間のサーバ同士で関連を設定できません。

関連元:Webサーバまたは Java EEサーバ

関連先:パフォーマンストレーサー

構成

各種サーバの設定情報をカプセル化したインスタンス要素です。サーバやクラスターは、この要素を参照して設定情報を取得します。ただし、構成と関連づいたサーバに、構成と同じパラメーターで異なる値が設定されていた場合は、サーバに設定されたパラメーターが有効になります。構成には、Java EEサーバ構成、Webサーバ構成、およびパフォーマンストレーサー構成があります。

構成の種類

概要

Java EEサーバ構成

Java EEサーバまたはクラスターと関連づく構成で、設定情報を包含しています。Java EEサーバまたはクラスターを作成すると自動的にそのサーバまたはクラスター用の構成が作成されます。

クラスターにJava EEサーバを登録した場合は、そのJava EEサーバはクラスターに関連付いている構成を引き継ぎます。

Webサーバ構成

Webサーバと関連づく構成で、設定情報を包含しています。Webサーバを作成すると自動的にそのサーバ用の構成が作成されます。

パフォーマンストレーサー構成

パフォーマンストレーサーと関連づく構成で、設定情報を包含しています。パフォーマンストレーサーを作成すると自動的にそのサーバ用の構成が作成されます。

Application Serverのプロセス構成

Application Serverのプロセス構成の例を次の図に示します。

[図データ]

Application Serverのプロセスの一覧を次の表に示します。ドメイン管理サーバは、サービスとしてOS起動時に自動で起動されます。

構成要素

プロセス名

プロセスの権限

役割

アプリケーションクライアント

java

一般ユーザー権限

アプリケーションクライアントを実行します。

Webサーバ制御プロセス

httpsd

システム権限(SYSTEMアカウントの権限 )

リクエストを処理するサーバプロセスの起動やその稼働監視をします。

Webサーバプロセス

---

httpsd

システム権限(SYSTEMアカウントの権限 )

Webブラウザーからの静的コンテンツ要求に対する応答や、アプリケーション要求に対するJava EEサーバへの転送をします。

rotatelogsおよびrotatelogs2は、 設定によってプロセス数が変わります。rotatelogsのデフォルトは2 個です。rotatelogs2のデフォルトは1 個です。

---

rotatelogs

---

rotatelogs2

Java EEサーバ

java

システム権限(SYSTEMアカウントの権限 )

アプリケーションを実行します。

パフォーマンストレーサー

cprfd

システム権限(SYSTEMアカウントの権限 )

WebサーバおよびJava EEサーバの一連の実行履歴を取得します。

ドメイン管理サーバ

サービス名

システム権限(SYSTEMアカウントの権限 )

Webサーバ、Java EEサーバ、およびパフォーマンストレーサーの運用管理をします。

---

cmd

---

---

java

---

---

---

java

注※

Windows ファイアーウォールでは、ファイアーウォール経由の通信を特定のプログラムに許可するには、許可するプログラムのプロセス名を指定して設定します。許可するプログラムにjavaを指定すると、プロセス名がjavaであるすべての構成要素に対して接続が許可されてしまいます。このため、意図しない通信が行われないように、ほかの規則と組み合わせて設定し、信頼できる接続先との通信だけが許可されるようにします。

Java EEサーバのプロセスのカレントディレクトリーを次の表に示します。

Java EEサーバのプロセス

起動時のカレントディレクトリー

サーバインスタンス

Java EEサーバのインストールディレクトリー/glassfish/nodes/ノード名/サーバインスタンス名/config

ドメイン管理サーバ

Java EEサーバのインストールディレクトリー/glassfish/domains/ドメイン名/config

MQ Broker

Java EEサーバのインストールディレクトリー/glassfish/nodes/ノード名/サーバインスタンス名/config

注※

プロセスの起動時、および再起動時には、カレントディレクトリーに出力されているファイルのうち次のログファイルを除いて、すべて削除されます。ただし、次のログファイルのファイル名を変更した場合は、削除の対象となります。また、asadminユーティリティーコマンドのstart-instanceサブコマンドに、--sync=fullオプションを指定して起動すると、カレントディレクトリーのファイルはログファイルも含めて削除されます。

項番

ログ

1

スレッドダンプログ

2

メモリーダンプログ

3

Java VM出力メッセージログ(エラーリポートファイル)

4

コンパイラーリプレイファイル