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Cosminexus V11 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド


7.7.22 gRPC受付実行時の障害対策

この項では,gRPCインバウンドアダプタおよびgRPC受付の運用時に発生する障害に対して取得できる情報の種類について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 障害情報の取得(gRPCインバウンドアダプタ)

gRPCインバウンドアダプタに関する障害情報には次の種類があります。

ここでは,これらの障害情報について説明します。

なお,gRPCインバウンドアダプタでは,このマニュアルで説明する障害情報のほかに,gRPCインバウンドアダプタが動作するJ2EEサーバおよびJavaVMが出力する資料があります。J2EEサーバおよびJavaVMが出力する資料については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「4. トラブルシューティングで必要な資料の出力先と出力方法」を参照してください。

(a) メッセージログ(gRPCインバウンドアダプタ)

メッセージログのJ2EEサーバの稼働ログに,gRPCインバウンドアダプタで発生した各種情報がメッセージとして出力されます。

ここでは,メッセージログの出力形式と,出力される内容について説明します。メッセージログの出力先については,「7.4.1 メッセージログ」を参照してください。

●メッセージログの出力形式

メッセージログの出力形式を次に示します。

<番号> <日付> <時刻> <製品ID> <pid> <tid> <メッセージID> <メッセージテキスト>
●メッセージログの出力内容

メッセージログに出力される内容を次の表に示します。

表7‒242 メッセージログに出力される内容(gRPCインバウンドアダプタ)

項目

内容

番号

メッセージログの出力通番が表示されます。

日付

メッセージログの取得日付がyyyy/mm/ddの形式で出力されます。

  • yyyy:西暦年

  • mm:月

  • dd:日

時刻

メッセージログの取得時刻がhh:mm:ss.SSSの形式で出力されます。

  • hh:時

  • mm:分

  • ss:秒

  • SSS:ミリ秒

製品ID

製品を特定するための識別子が出力されます。

  • CSCGRI:gRPCインバウンドアダプタ

pid

プロセスを識別するためのIDが出力されます。OSが管理するプロセスIDとは異なります。

tid

スレッドを識別するためのIDが出力されます。OSが管理するスレッドIDとは異なります。

メッセージID

メッセージIDが出力されます。

メッセージテキスト

メッセージの内容が出力されます。

●メッセージログの出力レベル

メッセージログの出力レベルは,Connector属性ファイルのmessagelogLevelで変更できます。出力レベルの設定方法については,「3.1.2(12) gRPCインバウンドアダプタのセットアップ」を参照してください。

(b) メソッドトレース(gRPCインバウンドアダプタ)

メソッドトレースは,二次情報としてgRPCインバウンドアダプタが独自に取得します。保守員が障害解析のために使用します。

メソッドトレースの出力に失敗した場合は次のように動作します。

  • トレースの初期化に失敗した場合,メソッドトレースは出力されないで,開始処理に失敗します。

  • 運用中にメソッドトレースの出力に障害が発生した場合,それ以降のメソッドトレースの取得は中止されますが,処理は続行されます。

以降にgRPCインバウンドアダプタのメソッドトレースについて説明します。

●メソッドトレースの出力形式

メソッドトレースの出力形式を次に示します。

[図データ]

●出力される内容

メソッドトレースに出力される内容を次の表に示します。

表7‒243 メソッドトレースに出力される項目(gRPCインバウンドアダプタ)

項目

内容

番号

メソッドトレースの出力通番が表示されます。

日付

メソッドトレースの取得日付がyyyy/mm/ddの形式で出力されます。

  • yyyy:西暦年

  • mm:月

  • dd:日

時刻

メソッドトレースの取得時刻がhh:mm:ss.SSSの形式で出力されます。

  • hh:時

  • mm:分

  • ss:秒

  • SSS:ミリ秒

ローカル時刻でミリ秒単位の時刻を示します。

製品ID

製品を特定するための識別子が出力されます。

  • CSCGRI:gRPCインバウンドアダプタ

pid

プロセスを識別するためのIDが出力されます。

tid

スレッドを識別するためのIDが出力されます。

ID

空白

種別

トレース取得ポイントの種別が出力されます。

  • BGN:メソッドの開始

  • END:メソッドの終了

  • CAL:メソッドの呼び出し

  • RET:メソッドの戻り

  • THR:例外のthrow

  • CTH:例外のcatch

クラス名

トレースを取得するクラス名が出力されます。

30文字未満の場合は左詰めされ,足りない文字はスペースで補われます。

メソッド名

トレースを取得するメソッド名が出力されます。

30文字未満の場合は左詰めされ,足りない文字はスペースで補われます。

入出力情報

トレースを取得するメソッドの入出力情報(引数や戻り値の値など)が出力されます。

CRLF

レコード終端符号が出力されます。

●メソッドトレースの出力先

gRPCインバウンドアダプタのメソッドトレースの出力先を次に示します。

<J2EEサーバのログ出力ディレクトリ>\csc\inbound-adapter\grpc\gRPC_Inbound_Resource_Adapter(リソースアダプタ名)

<J2EEサーバのログ出力ディレクトリ>は,HCSCサーバが動作するJ2EEサーバ用オプション定義ファイル(usrconf.cfg)のejb.server.log.directoryキーで指定します。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.2 usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)」を参照してください。

メソッドトレースのトレースファイル名を次に示します。

表7‒244 メソッドトレースのトレースファイル名(gRPCインバウンドアダプタ)

トレースファイルの出力モード

トレースファイル名

ラップアラウンドモードの場合

methodtrace_<HCSCサーバ名>_<面数>.log

シフトモードの場合

methodtrace_<HCSCサーバ名>_.log

メソッドトレースのローテーションは,次のどちらかの条件に合致した際に実行されます。

  • 指定したローテーション時刻に達したとき

    ローテーション時刻の指定方法は,Application Serverの設定に従います。詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.3 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」を参照してください。

  • 指定したファイルサイズに達したとき

また,メソッドトレースの出力レベル,ファイルサイズ,およびファイル面数は,RARファイルの属性を設定するConnector属性ファイルで変更できます。プロパティを次に示します。

  • メソッドトレースの出力レベル:methodtraceLevel

  • メソッドトレースのファイルサイズ:methodtraceFilesize

  • バックアップファイルの面数:methodtraceFilenum

設定手順については,「3.1.2(12) gRPCインバウンドアダプタのセットアップ」を参照してください。

(c) データトレース(gRPCインバウンドアダプタ)

データトレースは,二次情報としてgRPCインバウンドアダプタが独自に取得します。送受信データ内容を取得することで,データ(内部データ)の正当性を確認できます。デフォルトではデータトレースは出力されません。

データトレースの出力に失敗した場合は次のように動作します。

  • トレースの初期化に失敗した場合,データトレースは出力されないで,開始処理に失敗します。

  • 運用中にデータトレースの出力に障害が発生した場合,それ以降のデータトレースの取得は中止されますが,処理は続行されます。

以降にgRPCインバウンドアダプタのデータトレースについて説明します。

●データトレースの出力形式

データトレースの出力形式を次に示します。

<番号> <日付> <時刻> <製品ID> <pid> <tid> <メッセージID種別> <出力種別> <メッセージ情報> <CRLF>
●出力される内容

データトレースに出力される内容を次の表に示します。

表7‒245 データトレースに出力される項目(gRPCインバウンドアダプタ)

項目

内容

番号

データトレースの出力通番が表示されます。

日付

データトレースの取得日付がyyyy/mm/ddの形式で出力されます。

  • yyyy:西暦年

  • mm:月

  • dd:日

時刻

データトレースの取得時刻がhh:mm:ss.SSSの形式で出力されます。

  • hh:時

  • mm:分

  • ss:秒

  • SSS:ミリ秒

ローカル時刻でミリ秒単位の時刻を示します。

製品ID

製品を特定するための識別子が出力されます。

  • CSCGRI:gRPCインバウンドアダプタ

pid

プロセスを識別するためのIDが出力されます。

tid

スレッドを識別するためのIDが出力されます。

メッセージID種別

空白

出力種別

トレースの取得ポイントの種別が出力されます。

  • REQ:要求電文※1

  • RSP:応答電文※1

  • FLT:応答フォルト電文

メッセージ情報

メッセージ情報※2が出力されます。

CRLF

レコードの終端符号が出力されます。

注※1

取得される内容を次に示します。

  • 要求電文

    gRPCクライアントから受信したデータが取得されます。

  • 応答電文

    gRPCクライアントへ送信するデータが取得されます。

注※2

メッセージ内のフィールド「フィールド名:フィールド値」が「,(コンマ)」で区切って出力されます。バイナリデータの場合は,Base64変換された文字列が出力されます。

メッセージ情報の出力例を次に示します。

field1:1,field2:abc,field3:1.25

フィールド値が配列の場合,各々の配列要素が「,(コンマ)」で区切られ,「[ ](角括弧)」で囲まれて出力されます。

field:[1,2,3,4]

フィールド値がメッセージ型の場合,「{ }(波括弧)」で囲まれて出力されます。

field:{subfield1:1,subfield2:2}

フィールド値内の「,[]{}:(コンマ,角括弧,波括弧,コロン)」は,連続2文字にエスケープされます。

例えば,fieldの値が「Taro, Yamada [Student] {male:}」の場合は,次のように出力されます。

field:Taro,, Yamada [[Student]] {{male::}}
●データトレースの出力先

データトレースの出力先を次に示します。

<J2EEサーバのログ出力ディレクトリ>\csc\inbound-adapter\grpc\gRPC_Inbound_Resource_Adapter

<J2EEサーバのログ出力ディレクトリ>は,usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)のejb.server.log.directoryキーで変更できます。デフォルトは,<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\ejb\<サーバ名称>\logsです。usrconf.cfgの詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.2 usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)」を参照してください。

データトレースのトレースファイル名を次の表に示します。

表7‒246 データトレースのトレースファイル名(gRPCインバウンドアダプタ)

トレースファイルの出力モード

トレースファイル名

ラップアラウンドモードの場合

datatrace_<HCSCサーバ名>_<面数>.log

シフトモードの場合

datatrace_<HCSCサーバ名>_.log

データトレースのローテーションは,次のどちらかの条件に合致した際に実行されます。

  • 指定したローテーション時刻に達したとき

    ローテーション時刻の指定方法は,Application Serverの設定に従います。詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.3 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」を参照してください。

  • 指定したファイルサイズに達したとき

また,データトレースの出力有無,ファイルサイズ,およびファイル面数は,RARファイルの属性を設定するConnector属性ファイルで変更できます。プロパティを次に示します。

  • データトレースの出力有無:datatraceEnable

  • データトレースのファイルサイズ:datatraceFilesize

  • データトレースの面数:datatraceFilenum

設定手順については,「3.1.2(12) gRPCインバウンドアダプタのセットアップ」を参照してください。

(d) 性能解析トレース(gRPCインバウンドアダプタ)

gRPCインバウンドアダプタの性能解析トレースについて説明します。

●性能解析トレースの出力形式

性能解析トレースファイルに出力される形式は,J2EEサーバの性能解析トレースと同様です。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7.3 Management Serverを利用した性能解析トレースファイルの収集」を参照してください。

●出力される内容

性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7‒247 性能解析トレースファイルに出力される内容(gRPCインバウンドアダプタ)

項目

ヘッダ

内容

イベントID

Event

取得ポイントのイベントIDが出力されます。

取得ポイントの詳細は,項目「●性能解析トレースの取得ポイント」を参照してください。

リターンコード

Rc

取得ポイント種別が出力されます。

  • 0:正常終了

  • 1:異常終了

インターフェース名

INT

クラス名が出力されます。

オペレーション名

OPR

メソッド名が出力されます。

オプション情報

OPT

取得ポイントごとに異なる情報を16進表記で出力します。

ASCII

OPTの内容を文字列の形で出力します。

●性能解析トレースの取得ポイント

性能解析トレースの取得ポイントを次の図に示します。

図7‒173 性能解析トレースの取得ポイント(gRPCインバウンドアダプタ)

[図データ]

イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は上の図の番号と対応しています。

表7‒248 性能解析トレースの取得ポイント(gRPCインバウンドアダプタ)

イベントID

図中の番号

トレース取得ポイント

レベル

0x98e0

1

gRPCクライアントからのデータ受信

A

0x98e1

2

gRPCクライアントからのデータ受信後

A

0x98e2

3

MDB呼び出し前

A

0x98e3

4

MDB呼び出し完了後

A

0x98e4

5

gRPCクライアントへのデータ送信前

A

0x98e5

6

gRPCクライアントへのデータ送信

A

(凡例)

A:「標準」であることを示します。

●性能解析トレースの取得方法と出力先

性能解析トレースを取得するには設定が必要です。設定の詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7. 性能解析トレースを使用した性能解析」を参照してください。

(e) 例外ログ(gRPCインバウンドアダプタ)

例外ログは,gRPCインバウンドアダプタ内で障害が発生した場合に出力する,スタックトレースのログファイルです。例外を出力するログのため,出力レベルに依存しません。

例外ログの出力に失敗した場合は次のように動作します。

  • ログの初期化に失敗した場合,例外ログは出力されないで,開始処理に失敗します。

  • 運用中に例外ログの出力に障害が発生した場合,それ以降の例外ログの取得は中止されますが,処理は続行されます。

以降にgRPCインバウンドアダプタの例外ログについて説明します。

●例外ログの出力形式と出力内容

例外ログの出力形式を次の図に示します。

図7‒174 例外ログの出力形式(gRPCインバウンドアダプタ)

[図データ]

図中の項目ごとに,例外ログに出力される内容を次の表に示します。

表7‒249 例外ログに出力される内容(gRPCインバウンドアダプタ)

項目

内容

番号

例外ログの出力通番が表示されます。

日付

例外ログの取得日付がyyyy/mm/ddの形式で出力されます。

  • yyyy:西暦年

  • mm:月

  • dd:日

時刻

例外ログの取得時刻がhh:mm:ss.SSSの形式で出力されます。

  • hh:時

  • mm:分

  • ss:秒

  • SSS:ミリ秒

ローカル時刻でミリ秒単位の時刻を示します。

製品ID

製品を特定するための識別子が出力されます。

  • CSCGRI:gRPCインバウンドアダプタ

pid

プロセスを識別するためのIDが出力されます。

tid

スレッドを識別するためのIDが出力されます。

ID

空白

スタックトレース情報

スタックトレース情報が出力されます。

CRLF

レコードの終端符号が出力されます。

●例外ログの出力先

例外ログの出力先を次に示します。

<J2EEサーバのログ出力ディレクトリ>\csc\inbound-adapter\grpc\gRPC_Inbound_Resource_Adapter(リソースアダプタ名)

<J2EEサーバのログ出力ディレクトリ>は,usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)のejb.server.log.directoryキーで変更できます。usrconf.cfgの詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.2 usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)」を参照してください。

例外ログのログファイル名を次の表に示します。

表7‒250 例外ログのログファイル名(gRPCインバウンドアダプタ)

ログファイルの出力モード

ログファイル名

ラップアラウンドモードの場合

exception_<HCSCサーバ名>_<面数>.log

シフトモードの場合

exception_<HCSCサーバ名>_.log

例外ログのローテーションは,次のどちらかの条件に合致した際に実行されます。

  • 指定したローテーション時刻に達したとき

    ローテーション時刻の指定方法は,Application Serverの設定に従います。詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.2.3 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」を参照してください。

  • 指定したファイルサイズに達したとき

また,例外ログのファイルサイズおよびファイル面数は,RARファイルの属性を設定するConnector属性ファイルで変更できます。プロパティを次に示します。

  • ログファイルのサイズ:exceptionlogFilesize

  • ログファイルの面数:exceptionlogFilenum

gRPCインバウンドアダプタの属性ファイルの指定については,「3.1.2(12) gRPCインバウンドアダプタのセットアップ」を参照してください。

(f) gRPC通信ログ(gRPCアダプタ・gRPCインバウンドアダプタ共通)

gRPC通信ログには,gRPC(OSS)ライブラリが出力するログメッセージを出力します。

gRPC通信ログはgRPCアダプタと共通で使用します。gRPC通信ログについては「7.7.23(6) gRPC通信ログ(gRPCアダプタ・gRPCインバウンドアダプタ共通)」を参照してください。

(g) gRPCインバウンドアダプタの障害情報(gRPCインバウンドアダプタ)

gRPCインバウンドアダプタで発生する障害の種類と,障害発生時の動作を説明します。

  • OSSサーバ実装の起動失敗

    指定したポートの使用中に,サーバ動作環境のリソースが不足したなどの要因が考えられます。

    この場合,検出した例外を例外ログに出力すると共に,メッセージログにメッセージKDEC07801-Eを出力して,gRPCサーバ開始処理を中断します。

    結果的に運用機能の開始処理は失敗し,例外(ResourceAdapterInternalException)をスローします。

  • OSSサーバ実装のシャットダウン遅延

    gRPC受付処理が実行中などによって,指定された時間内にシャットダウン処理が完了しなかったと考えられます。

    gRPCインバウンドアダプタの属性ファイルのserverShutdownTimeoutで設定された待機時間を過ぎた場合,メッセージログにメッセージKDEC07811-Wを出力して,OSSサーバ実装のシャットダウンを無期限に待機します。

  • 通信障害

    gRPCクライアントが応答電文の送信前に終了したなどの要因が考えられます。

    この場合,検出した例外を例外ログに出力すると共に,メッセージログにメッセージKDEC07841-Eを出力して,gRPCリクエストの処理を中断します。

    通信障害の発生後も,それ以降の処理は正常に実行されます。

  • gRPC受付連携情報不正

    次に示す要因によって,誤った情報が運用機能のエンドポイントアクティベーション時に渡されたと考えられます。

    • ディスクリプタセットファイル不正

    • ディスクリプタセットファイル内に指定メソッドが存在しない など

    この場合,検出した例外を例外ログに出力すると共に,メッセージログにメッセージKDEC07821-Eを出力して,NotSupportedExceptionをスローします。

    なお,該当するエンドポイントアクティベーションは失敗します。

(2) 障害情報の取得(gRPC受付)

gRPC受付では,障害情報として性能解析トレースを出力します。

ここでは,gRPC受付の実行時に発生したエラーの伝わり方と,性能解析トレースについて説明します。

(a) gRPC受付実行時に発生したエラーの伝わり方

gRPCクライアントからgRPC受付を使用してビジネスプロセスを呼び出す場合のエラーの伝わり方を説明します。エラーの伝わり方は,エラーの種類によって異なります。

gRPC受付がエラーを検知した場合

gRPC受付がエラーを検知した場合のエラーの伝わり方を次の図に示します。

図7‒175 gRPC受付がエラーを検知した場合のエラーの伝わり方

[図データ]

エラーの伝わる流れを次に示します。

  1. gRPC受付は検知した障害を基に,障害情報を含むメッセージを生成してgRPCインバウンドアダプタに返却します。gRPCインバウンドアダプタには例外をスローしません。

  2. gRPCインバウンドアダプタは,クライアントにエラー応答(応答データに設定されているステータスコード,エラー情報など)を返却します。

カスタム受付フレームワークがエラーをリターンした場合

カスタム受付フレームワークがエラーをリターンした場合のエラーの伝わり方を次の図に示します。gRPC受付の受付処理では,キャッチした例外を基にエラーメッセージを生成し,gRPCインバウンドアダプタに返却します。gRPCインバウンドアダプタには例外をスローしません。

図7‒176 カスタム受付フレームワークがエラーをリターンした場合のエラーの伝わり方

[図データ]

図中に示したエラー1〜エラー5の要因を次に示します。

  • エラー1:要求パラメタ不正など

  • エラー2:宛先(ロケーション)が見つからない,サービスアダプタが停止しているなど

  • エラー3:データ変換の失敗など

  • エラー4:宛先不正,サービス部品が停止,通信障害など

  • エラー5:ビジネスプロセス処理上での例外エラーなど

エラー1〜エラー5のどれかが発生した場合,例外をキャッチしたカスタム受付フレームワークはgRPC受付の受付処理に対して,CSCMsgServerExceptionをスローします。

CSCMsgServerExceptionの詳細は,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 受付・アダプタ定義編」の「付録A.3 カスタム受付フレームワークのAPI」を参照してください。

gRPC受付にエラーを示す応答電文が返された場合

gRPC受付にエラーを示す応答電文が返された場合のエラーの伝わり方を次の図に示します。

図7‒177 gRPC受付にエラーを示す応答電文が返された場合のエラーの伝わり方

[図データ]

エラーの伝わる流れを次に示します。

  1. サービスアダプタから返されたフォルト電文が,ビジネスプロセスのフォルト処理に伝わります。

  2. ビジネスプロセスのフォルト処理で,障害情報をフォルト電文にデータ変換し,エラーを示す応答電文を応答します。

    メッセージ配送基盤およびカスタム受付フレームワークを経由して,gRPC受付にエラーを示す応答電文が返ります。

  3. gRPC受付は,応答電文から応答データ(障害情報を含むメッセージ)を作成して,gRPCインバウンドアダプタに返します。

  4. gRPCインバウンドアダプタは,クライアントにエラー応答(応答データに設定されているステータスコード,エラー情報など)を返却します。

(b) メッセージログ(gRPC受付)

メッセージログのJ2EEサーバの稼働ログに,gRPC受付で発生した各種情報がメッセージとして出力されます。

メッセージログの出力内容や出力先については,「7.4.1 メッセージログ」を参照してください。

(c) 性能解析トレース(gRPC受付)

gRPC受付の性能解析トレースについて説明します。

●性能解析トレースの出力形式

性能解析トレースファイルに出力される形式は,J2EEサーバの性能解析トレースと同様です。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7.3 Management Serverを利用した性能解析トレースファイルの収集」を参照してください。

●出力される内容

性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7‒251 性能解析トレースファイルに出力される内容(gRPC受付)

項目

内容

イベントID

取得ポイントのイベントIDが出力されます。

取得ポイントの詳細は,項目「●性能解析トレースの取得ポイント」を参照してください。

リターンコード

取得ポイント種別が出力されます。

  • 0:正常終了

  • 1:異常終了

インターフェース名

クラス名が出力されます。

オペレーション名

メソッド名が出力されます。

オプション情報

メッセージ共通ID

リクエスト識別情報(親ID)が出力されます。未設定の場合,nullが出力されます。

サービスリクエストID

リクエスト識別情報(子ID)が出力されます。未設定の場合,nullが出力されます。

付加情報

次のオプション情報が出力されます。

  • 受付名

  • 受付ID

  • クライアント相関ID

  • サービス名

  • サービスオペレーション名

  • 例外名(障害発生時だけ)

注※

オプション情報は最大256バイトです。「●性能解析トレースの取得ポイント」の図の取得ポイントの1.と2.では出力されません。

●性能解析トレースの取得ポイント

性能解析トレースの取得ポイントを次の図に示します。

図7‒178 性能解析トレースの取得ポイント(gRPC受付)

[図データ]

イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は上の図の番号と対応しています。

表7‒252 性能解析トレースの取得ポイント(gRPC受付)

イベントID

図中の番号

トレース取得ポイント

レベル

0x98D4

1

カスタム受付の入口

A

0x98D5

2

カスタム受付の出口

A

0x98D6

3

カスタム受付フレームワークの呼び出し口

B

0x98D7

4

カスタム受付フレームワークの応答受信口

B

0x9860

5

カスタム受付フレームワークの入口

A

0x9861

6

カスタム受付フレームワークの出口

A

0x9864

7

HCSCメッセージ配送制御の呼び出し口

A

0x9865

8

HCSCメッセージ配送制御の応答受信口

A

(凡例)

A:「標準」であることを示します。

B:「詳細」であることを示します。

●性能解析トレースの取得方法と出力先

性能解析トレースを取得するには設定が必要です。設定の詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7. 性能解析トレースを使用した性能解析」を参照してください。