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Cosminexus V11 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム 開発ガイド 基本開発編


5.6.5 Java呼出アクティビティ

専用インターフェース(jp.co.Hitachi.soft.csc.bp.receiver.ejb.CustomClassInterfaceM,またはjp.co.Hitachi.soft.csc.bp.receiver.ejb.CustomClassInterface)を実装したJavaクラスの呼び出しを定義するアクティビティです。

Java呼出アクティビティは,[Java呼出アクティビティ]ダイアログで詳細を定義します。

〈この項の構成〉

(1) Java呼出アクティビティの定義前の準備

Java呼出アクティビティを定義する前には,次の準備をする必要があります。

HCSCTEプロジェクトの作成

[Java呼出アクティビティ]ダイアログで指定するJavaクラスは,HCSCTEプロジェクトのsrcディレクトリに格納されます。そのため,必ずHCSCTEプロジェクトを作成しておく必要があります。

HCSCTEプロジェクトの作成方法については,「3.1 プロジェクトの管理」を参照してください。

ユーザ定義Javaクラスの作成

Java呼出アクティビティで利用するJavaクラスを作成します。利用するJavaクラスのインターフェースについては「5.6.5(2) 利用するJavaクラスのインターフェース」を参照してください。

注意事項
  • Javaクラスは,リポジトリ内のすべてのHCSCコンポーネントで共有されます。そのため,既存のJavaクラスを変更した場合,変更前の内容のクラスと変更後の内容のクラスのHCSCコンポーネントが混在してしまうおそれがあります。Javaクラスを変更した場合,変更したJavaクラスを呼び出すJava呼出アクティビティが定義されているビジネスプロセスを,再度パッケージングしてください。

    また,Java呼出アクティビティを削除しても,利用しているJavaクラスは削除されません。使用していない不要なJavaクラスは,別途削除してください。

  • Javaクラスの呼び出し時に確保したリソースは,処理が終了しても保持し続けるため,システム全体に高い負荷がかかった場合に,Javaヒープ不足やMetaspace領域不足などが原因でOutOfMemoryErrorが発生することがあります。そのため,OutOfMemoryErrorが発生したときに適切にリソースを解放する処理や,エラー処理(ロールバックなど)を実装しておく必要があります。

  • 専用インターフェース(jp.co.Hitachi.soft.csc.bp.receiver.ejb.CustomClassInterfaceM,またはjp.co.Hitachi.soft.csc.bp.receiver.ejb.CustomClassInterface)を実装したJavaクラスをコンテナ拡張ライブラリに含めないでください。Javaクラスはビジネスプロセスをパッケージングすると,自動的にEARファイルに追加されます。

ライブラリの追加

ビジネスプロセスをパッケージングして作成されるEARファイルにライブラリを追加したい場合,HCSCTEプロジェクトのlibディレクトリにライブラリをコピーしておいてください。

libディレクトリにコピーしたライブラリは,ビジネスプロセスをパッケージングすると,自動的にEARファイルに追加されます。

なお,libディレクトリには,ディレクトリや次の名前のライブラリを登録しないでください。

  • csbdef.jar

  • cscbp_ejb.jar

  • csbjava.jar

注意事項
  • HCSCTEプロジェクト内のsrcディレクトリおよびlibディレクトリへのリンクは削除しないでください。

  • ビジネスプロセスをパッケージングする前に,Eclipse上でJavaクラスをビルドしてください。ビルドされていないJavaクラスは,パッケージング時にビジネスプロセスに取り込まれません。

(2) 利用するJavaクラスのインターフェース

Java呼出アクティビティで呼び出すJavaクラスは,CustomClassInterfaceMインターフェース,またはCustomClassInterfaceインターフェース(CustomClassInterfaceMの互換用インターフェース)を実装している必要があります。

(a) CustomClassInterfaceMインターフェース

package jp.co.Hitachi.soft.csc.bp.receiver.ejb;
 
public interface CustomClassInterfaceM {
    public Object invoke(
        String processName,
        int version,
        String activityName,
        Object... inputData
    ) throws CSBUserException, CSBSystemException;
}

Javaクラスの内容について次に説明します。

引数

仮引数名

説明

processName

ビジネスプロセス名

version

ビジネスプロセスのバージョン

activityName

アクティビティ名

inputData

[Java呼出アクティビティ]ダイアログの[引数用割当変数]で指定した変数

注※

可変長引数のため,複数の値を指定することができます。

戻り値

[Java呼出アクティビティ]ダイアログの[戻り値用割当変数]に指定した変数に代入されます。

例外

throwされる例外がCSBUserExceptionか,CSBSystemExceptionかによって処理が異なります。また,この2つの例外以外の例外が発生した場合,処理が中断されます。この場合,プロセスの実行状態を永続化しているときには,ロールバックが実行されます。

CSBUserExceptionがthrowされた場合

Java呼出アクティビティにフォルト処理が設定されている場合,CSBUserExceptionがthrowされると,フォルトコネクションでフォルト処理として定義されているアクティビティが実行されます。

Java呼出アクティビティにフォルト処理が設定されていない場合,invokeJavaFaultが発生したものとして処理が進められます。

CSBUserExceptionのインターフェースを次に示します。

 package jp.co.Hitachi.soft.csc.bp;
 
 public class CSBUserException extends Exception {
     public CSBUserException() { super(); }
     public CSBUserException(String message) { super(message); }
 }
CSBSystemExceptionがthrowされた場合

CSBSystemExceptionがthrowされると,システム例外が発生したものとして処理が中断されます。このとき,プロセスの実行状態を永続化している場合には,ロールバックが実行されます。

CSBSystemExceptionのインターフェースを次に示します。

package jp.co.Hitachi.soft.csc.bp;
 
 public class CSBSystemException extends Exception {
     public CSBSystemException() { super(); }
     public CSBSystemException(String message) { super(message); }
     public CSBSystemException(String message, Throwable cause) {
         super(message, cause);
     }
     public CSBSystemException(Throwable cause) { super(cause); }
 }

(b) CustomClassInterfaceインターフェース

package jp.co.Hitachi.soft.csc.bp.receiver.ejb;
 
public interface CustomClassInterface {
    public Object invoke(
        String processName,
        int version,
        String activityName,
        Object inputData
    ) throws CSBUserException, CSBSystemException;
}
ポイント

CustomClassInterfaceは,CustomClassInterfaceMの互換用インターフェースです。CustomClassInterfaceMを使用することを推奨します。

Javaクラスの内容について次に説明します。

引数

仮引数名

説明

processName

ビジネスプロセス名

version

ビジネスプロセスのバージョン

activityName

アクティビティ名

inputData

[Java呼出アクティビティ]ダイアログの[引数用割当変数]で指定した変数

注※

変数が複数指定されている場合は,リクエスト処理時にエラーメッセージ(KDEC20093-E)が出力されます。

戻り値

[Java呼出アクティビティ]ダイアログの[戻り値用割当変数]に指定した変数に代入されます。

例外

throwされる例外がCSBUserExceptionか,CSBSystemExceptionかによって処理が異なります。またこの2つの例外以外の例外が発生した場合,処理が中断されます。このとき,プロセスの実行状態を永続化している場合には,ロールバックが実行されます。

CSBUserException,またはCSBSystemExceptionがthrowされた場合の処理については,「(a) CustomClassInterfaceMインターフェース」の戻り値の説明を参照してください。

CSBUserExceptionおよびCSBSystemException以外の例外が発生した場合,処理が中断されます。このとき,プロセスの実行状態を永続化している場合には,ロールバックが実行されます。

注意事項
  • [Java呼出アクティビティ]ダイアログの[引数用割当変数]および[戻り値用割当変数]に指定する変数の型と,このインターフェースの引数および戻り値の型の対応を次に示します。

    [引数用割当変数]および[戻り値用割当変数]の変数型

    引数および戻り値の型

    boolean

    java.lang.Boolean

    numeric

    java.lang.Double

    string

    java.lang.String

    XML

    byte[]

    non-XML

    byte[]

    any

    byte[]

    上記の型以外を指定した場合,エラー(KDEC20030-E)になります。

  • 利用するJavaクラスのインターフェースはcscbp_ejb.jarに含まれます。そのため,コンパイルするときには,cscbp_ejb.jarをクラスパスに追加する必要があります。Eclipseのビルドパスにcscbp_ejb.jarが存在しないときは,<インストールディレクトリ>\CSC\lib\cscbp_ejb.jarをビルドパスに追加してください。

  • Javaプログラムでは,呼び出しごとにデフォルトコンストラクタでインスタンスが生成されます。そのため,インスタンスにデータを保持することはできません。

(3) 定義手順

Java呼出アクティビティの定義の手順を次に示します。

  1. Java呼出アクティビティをキャンバスに配置します。

    アクティビティを配置する方法については,「5.4.1 アクティビティを配置する」を参照してください。

  2. 次のどちらかの方法で[Java呼出アクティビティ]ダイアログを表示させます。

    • キャンバスのJava呼出アクティビティをダブルクリックする([Javaエディタ起動]メニューが非活性状態の場合だけ)

    • キャンバスのJava呼出アクティビティを選択して右クリックし,[設定]を選択する

    [Java呼出アクティビティ]ダイアログが表示されます。

  3. [Java呼出アクティビティ]ダイアログに必要な情報を入力します。

    [Java呼出アクティビティ]ダイアログの表示・入力内容の詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「1.4.10 Java呼出アクティビティダイアログ」を参照してください。

    [引数用割当変数]および[戻り値用割当変数]に設定する変数の内容を編集する場合,[編集]ボタンをクリックします。表示される[変数・相関セット一覧]ダイアログで,変数の内容を編集できます。[変数・相関セット一覧]ダイアログの詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「1.4.1 変数・相関セット一覧ダイアログ」を参照してください。

  4. [Java呼出アクティビティ]ダイアログの[OK]ボタンをクリックします。

    [Java呼出アクティビティ]ダイアログが閉じられます。

  5. キャンバスのJava呼出アクティビティをダブルクリックするか,または右クリックして[Javaエディタ起動]を選択します。

    EclipseのJavaエディタが起動されます。

    Javaエディタには,[Java呼出アクティビティ]ダイアログで指定したクラスのソースコードが表示されます。[Java呼出アクティビティ]ダイアログで指定したクラスが初めて編集するクラスの場合,Javaエディタを起動するとjp.co.Hitachi.soft.csc.bp.receiver.ejb.CustomClassInterfaceMをimplementsしたソースコードのテンプレートが表示されます。

  6. Java呼出アクティビティから呼び出されるJavaクラスのソースコードを,Javaエディタで編集します。

  7. 編集したJavaクラスのソースコードをコンパイルします。

  8. 編集したソースコードおよびコンパイルしたクラスファイルを保存して,Javaエディタを終了します。

(4) 定義時の注意事項

(5) Java呼び出しでエラーが発生した場合の処理

アクティビティでフォルトが発生した場合に何らかの処理を実行するとき,フォルト処理用のアクティビティを配置してフォルト処理を実行します。

フォルト処理は,フォルトが発生するアクティビティと,フォルト処理を実行するアクティビティを連結して定義します。連結にはフォルトコネクションを利用します。

(a) フォルト処理を実行する場合の定義

フォルト処理の定義手順を次に示します。

  1. フォルトが発生するアクティビティとフォルト処理を実行するアクティビティをキャンバスに配置し,詳細を定義します。

    フォルト処理を実行するアクティビティは複数定義できます。

    アクティビティの配置方法については,「5.4.1 アクティビティを配置する」を参照してください。各アクティビティの定義方法の詳細については,「5.6 アクティビティの定義」を参照してください。

  2. フォルトコネクションを利用してフォルトが発生するアクティビティとフォルト処理を実行するアクティビティを連結します。

    アクティビティの連結方法については,「5.4.2(2) 連結の設定方法」を参照してください。また,フォルトコネクションを利用できるアクティビティについては,「5.4.2(5) アクティビティの連結条件」を参照してください。

  3. 連結線をダブルクリックします。

    [フォルト処理の割当]ダイアログが表示されます。

    [フォルト処理の割当]ダイアログの入力・表示内容の詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「1.4.6 フォルト処理の割当ダイアログ」を参照してください。なお,フォルト処理に割り当てられる変数はメッセージ型(XML)だけです。メッセージ型(non-XMLおよびany)は割り当てられません。

  4. フォルト処理の条件を定義します。

    フォルトの対象となる変数と,フォルトが発生した場合に処理する連絡先のアクティビティを,それぞれ[割当変数]および[遷移先]ドロップダウンリストで指定します。

    定義していないフォルトが発生した場合のフォルト処理を設定する場合,[割当変数]ドロップダウンリストで「catch-all」を選択します。

  5. [OK]ボタンをクリックします。

(b) フォルト処理の定義で使用するフォルト電文を定義するスキーマファイル

フォルト電文を定義するスキーマファイルの格納先を次に示します。

<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\schema\fault\cscinvokejavafault.xsd

フォルト電文を定義するスキーマファイルを次に示します。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<xsd:schema elementFormDefault="qualified"
            targetNamespace="http://www.msg.csc.soft.Hitachi.co.jp/cscBpJava"
            xmlns:xsd="http://www.w3.org/2001/XMLSchema">
  <xsd:element name="fault">
    <xsd:complexType>
      <xsd:sequence>
        <xsd:element name="exception-name"       type="xsd:string"/>
        <xsd:element name="exception-message"    type="xsd:string"/>
        <xsd:element name="exception-error-code" type="xsd:string"/>
        <xsd:element name="exception-detail"     type="xsd:string"/>
        <xsd:element name="scope-name"           type="xsd:string"/>
        <xsd:element name="activity-name"        type="xsd:string"/>
        <xsd:element name="activity-type"        type="xsd:string"/>
        <xsd:element name="process-instance-id"  type="xsd:string"/>
        <xsd:element name="root-ap-info"         type="xsd:string"/>
      </xsd:sequence>
    </xsd:complexType>
  </xsd:element>
</xsd:schema>

設定できる要素を次に示します。

exception-name

例外名(完全修飾クラス名)を設定します。

exception-message

例外情報(CSBUserException.getMessage()で取得した情報)を設定します。

exception-error-code

CSBUserExceptionのerrorCodeに設定した情報(ユーザが任意に設定できる情報)を設定します。

exception-detail

CSBUserExceptionのdetailに設定した情報(ユーザが任意に設定できる情報)を設定します。

scope-name

Java呼出アクティビティが所属するスコープ名を設定します。

activity-name

フォルトが発生したアクティビティ名を設定します。

activity-type

フォルトが発生したアクティビティの型名を設定します。

アクティビティの型名には,javaを設定してください。

process-instance-id

プロセスインスタンス識別子を設定します。

root-ap-info

ルートアプリケーション情報を設定します。

注※

CSBUserExceptionに要素と対応する情報が設定されていない場合,空要素(空タグ)が設定されます。

(6) 処理中に例外が発生した場合の処理

例外が発生した場合の処理は,HCSCサーバランタイム定義ファイルのsyserr-to-fault-convert-all-activityプロパティの設定によって次のように異なります。

syserr-to-fault-convert-all-activityプロパティの指定がONのとき

メッセージを出力したあと,フォルト電文に設定する項目を含むメッセージを出力し,フォルトを送出します。

送出するフォルトについては,マニュアル「サービスプラットフォーム 解説」の「4.7.1 システム例外をフォルトに変換する汎用フォルトの概要」を参照してください。

syserr-to-fault-convert-all-activityプロパティの指定がOFFのとき

システム例外をthrowします。

syserr-to-fault-convert-all-activityプロパティの詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.5.6 HCSCサーバランタイム定義ファイル」を参照してください。

(7) Java呼出アクティビティから利用できるAPI

外部プロパティ取込機能では,Javaクラスから利用できるAPIを提供します。外部プロパティ取込機能を使用することで,外部プロパティファイルからAPIまたはカスタムファンクションを利用して,指定する条件に合致するプロパティを取得できます。

(a) getProperties

filePathで指定した,外部プロパティファイルを必要に応じて読み込み,keyで指定する文字列にマッピングされているGroupIDに分類されたすべてのプロパティを保持するMapを返します。

Map型返り値の各エントリのkeyはプロパティパス,valueはプロパティ値を保持しています。

一度読み込んだ外部プロパティファイルは,処理の高速化のため次回以降の再読み込みを抑制するためキャッシングします。

API仕様

APIの仕様を次の表に示します。

表5‒14 getPropertiesのAPI仕様

#

項目

1

パッケージ

jp.co.Hitachi.soft.csc.dt.api.propertiesutil

2

クラス

CSCCustomGroupedProperties

3

メソッド

getProperties

4

引数1

filePath

外部プロパティファイルのパス

5

引数1の型

java.lang.String

6

引数2

keyword

取得対象キーワード

7

引数2の型

java.lang.String

8

戻り値

keywordにマッピングされたグループに属するプロパティのMap

9

戻り値の型

java.util.Map<java.lang.String, java.lang.String>

記述例を次に示します。

public static Map<String,String> getProperties(String filePath, String keyword)
    throws FileNotFoundException,
           IOException,
           SecurityException,
           CSCExtAPIInvalidFileContentsException,
           CSCExtAPIInvalidGroupIDException,
           CSCExtAPIInvalidEscapeSequenceException,
           CSCExtAPIDuplicateMappingStringException,
           CSCExtAPIUnclosedQuotedStringException,
           CSCExtAPIUnknownGroupIDException,
           CSCExtAPIInvalidPropertyPathException,
           CSCExtAPIIllegalArgumentException,
           CSCExtAPIKeyNotFoundException,
           CSCExtAPIOrphanedStringException;
障害対策

getPropertiesメソッドでは,次の表に示すエラーが発生するおそれがあります。エラーを検出した場合は,次の表に示す例外をスローして処理を中断します。

表5‒15 getPropertiesの障害および例外クラス

障害内容

例外クラス

指定された外部プロパティファイルが存在しません。

FileNotFoundException

指定された外部プロパティファイルの読み込み中に入出力エラーが発生しました。

IOException

指定された外部プロパティファイルの読み込み中にセキュリティエラーが発生しました。

SecurityException

指定された外部プロパティファイル内に不正なUnicodeエスケープシーケンスが存在します。

CSCExtAPIInvalidFileContentsException

GroupIDが不正です。

CSCExtAPIInvalidGroupIDException

MappingStringまたはPropertyValueに不正なエスケープシーケンスが存在します。

CSCExtAPIInvalidEscapeSequenceException

グループマッピング部に重複したMappingStringが存在します。

CSCExtAPIDuplicateMappingStringException

MappingStringまたはPropertyValueの引用符が閉じられていません。

CSCExtAPIUnclosedQuotedStringException

MappingStringまたはPropertyValueの引用符が閉じたあとに不適切な文字が存在しています。

CSCExtAPIOrphanedStringException

プロパティ部に未定義のGroupIDが指定されています。

CSCExtAPIUnknownGroupIDException

PropertyPath内のパス要素がXML要素名として不正です。

CSCExtAPIInvalidPropertyPathException

次のどちらかのエラーが発生しています。

  • filePathまたはkeywordがnullの場合

  • filePathが空文字列の場合

CSCExtAPIIllegalArgumentException

keywordに合致するMappingStringが存在しません。

CSCExtAPIKeyNotFoundException

CSCExtAPIで始まる例外クラスはすべてjp.co.Hitachi.soft.csc.dt.api.propertiesutil.exceptionパッケージに属し,jp.co.Hitachi.soft.csc.dt.api.propertiesutil.exception.CSCExtAPIException抽象クラスを継承します。

キャッシュ

getPropertiesメソッド呼び出し時に実行する,外部プロパティファイルの読込処理はキャッシングします。そのため,同じ外部プロパティファイルを使用する2回目以降のgetPropertiesメソッドの処理性能は向上します。

キャッシュはJ2EEサーバの起動中,保持されます。そのため,J2EEサーバ起動中にすでに読み込まれた外部プロパティファイルに変更を加えても,内容は反映されません。変更内容を反映するには,J2EEサーバを再起動する必要があります。

キャッシュはAPIおよびカスタムファンクションで共通です。APIを利用して読み込んだ外部プロパティファイルのキャッシュは,カスタムファンクションでも有効です。また,カスタムファンクションで読み込んだ外部プロパティファイルのキャッシュは,APIでも有効です。

配置

Javaクラスから利用できるAPIは,既存のcscdt_api.jarにパッケージングして提供します。

(b) 外部プロパティファイルの設定

APIおよびカスタムファンクションを利用するには,外部プロパティファイルが必要です。

外部プロパティファイルは,ISO8859-1エンコーディングされたjava.util.Properties形式で作成します。定義ファイルの入力形式の詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.2 定義ファイルの入力形式」を参照してください。

外部プロパティファイルは,次の部から構成されます。

  • グループマッピング部

  • プロパティ部

各部の出現順序,出現回数は問いません。グループマッピング部の規則に従った行はグループマッピング部,プロパティ部の規則に従った行はプロパティ部として,APIおよびカスタムファンクションに正しく認識されます。

グループマッピング部

プロパティを分類するグループの定義と,グループにマッピングする文字列の対応を定義します。

グループマッピング部は,次の形式で定義します。

GroupID = [MappingString[,][,MappingString…]]
GroupID

GroupIDは,英数字およびアンダースコアで構成された任意の文字列です。ただし,先頭文字に数字を指定することはできません。

重複したGroupIDは,java.util.Propertiesの仕様によって除去されるため検出できません。重複したGroupIDを指定した場合の動作はサポートの対象外となります。

MappingString

MappingStringは,コンマ(,)で区切った文字列をGroupIDにマッピングすることを指示します。MappingStringが省略された場合は,空文字列をGroupIDにマッピングすることを指示します。

MappingStringは次に示す規則に従って記述します。

  • MappingStringは,外部プロパティファイル内で一意になるように指定してください。重複したMappingStringを検出すると,APIまたはカスタムファンクションはエラー終了します。

  • MappingStringの次の文字は取り除かれます。

    ・先頭のスペース

    ・末尾のスペース

    ・ダブルクォーテーション(")

    そのため,「abc」,「△abc」,「abc△」,「"abc"」は,すべて「abc」として定義されます。正確に「abc△」を指定したい場合は,「"abc△"」とダブルクォーテーション(")で囲む必要があります。

  • MappingString内にコンマ(,),円マーク(¥),ダブルクォーテーション(")を含める場合は,例外を除き,それぞれ「¥¥,」,「¥¥¥¥」,「¥¥"」とエスケープする必要があります。プロパティファイルのエスケープ仕様によって,「¥」は「¥¥」と記述する必要があるため,すべての1文字の「¥」を「¥¥」と2文字で記述します。

    例えば「"ABC"」を指定する場合は「¥¥"ABC¥¥"」,「Co.,LTD.」を指定する場合は,「Co.¥¥,LTD.」と記述します。

  • MappingString全体を「"」で囲んだ場合はコンマ(,)をエスケープする必要はありません。例えば,「"Co., LTD."」「"Co.¥¥, LTD."」「Co.¥¥, LTD.」はすべて「Co.,LTD.」と解釈されます。

  • MappingString全体を「"」で囲まない場合(先頭文字が「"」でない場合)は,「"」をエスケープする必要はありません。例えば,「A"B」および「A¥¥"B」は「A"B」と解釈されます。また,「AB"」および「AB¥¥"」は「AB"」と解釈されます。

グループマッピング部の記述例を次に示します。

●有効なグループマッピングの記述例

Group1 = 
Group2 = aaa, bbb

Group1には空文字列を,Group2には「aaa」と「bbb」をマッピングをすることを指示します。

Group1 = aaa,
Group2 = bbb, ccc

Group1には「aaa」と空文字列を,Group2には「bbb」と「ccc」をマッピングすることを指示します。

●不正なグループマッピングの記述例

Group1 = aaa,
Group2 = bbb,

Group1には「aaa」と空文字列を,Group2には「bbb」と空文字列をマッピングすることを指示していますが,空文字列が重複しているのでエラーとなります。

プロパティ部

プロパティパスとプロパティ値の対を定義します。

プロパティパスの接頭子(ピリオド(.)で区切られた最初の文字列要素)は,グループの分類に使用します。

プロパティパスの接頭子を除いた部分は,プロパティのキーとして利用します。データ変換アクティビティから利用できるカスタムファンクションでは,ピリオド(.)で区切られた各文字列をXMLノードとした階層構造に展開します。

プロパティ部は,次の形式で定義します。

GroupID.PropertyPath = PropertyValue
GroupID

GroupIDは,グループマッピング部で定義したGroupIDを指定します。

PropertyPath

PropertyPathは,プロパティのパスを定義します。ピリオド(.)は,セパレータとして使用します。各パス要素は,XML要素名の規則に従って指定します。ただし,パス要素にピリオド(.)を含める場合は「¥¥.」とエスケープする必要があります。

また,java.util.Propertiesは,等号(=),コロン(:),および空白文字を,キーと値のセパレータと認識するため,パス要素にコロン(:)を含める場合は,「¥:」とエスケープする必要があります。

PropertyValue

PropertyValueは,GroupID,PropertyPathに対応するプロパティ値を定義します。

PropertyValueは,次の規則に従って記述します。コンマ(,)のエスケープが不要なこと以外はMappingStringの記述規則と同じです。

  • PropertyValueの次の文字は取り除かれます。

    ・先頭のスペース

    ・末尾のスペース

    ・ダブルクォーテーション(")

    そのため,「abc」,「△abc」,「abc△」,「"abc"」は,すべて「abc」として定義されます。正確に「abc△」を指定したい場合は,「"abc△"」とダブルクォーテーション(")で囲む必要があります。

  • PropertyValue内に円マーク(¥),ダブルクォーテーション(")を含める場合は,それぞれ「¥¥¥¥」「¥¥"」とエスケープする必要があります。例えば,「"ABC"」を指定する場合は「¥¥"ABC¥¥"」,「C:¥Program Files」を指定する場合は「C:¥¥¥¥Program Files」と記述する必要があります。

外部プロパティファイルの定義例

外部プロパティファイルの定義例を次に示します。

# GROUP MAPPING PART
production = PROD, Production Environment, 本番環境
development = DEV, Development Environment, 開発環境
# PROPERTY PART
production.static_host = https://tp1server.hoge.com
production.static_port = 10100
development.static_host = https://testserver.fuga.com
development.static_port = 10200
development.elmA.elmB = SomeValue

この定義例では,productionグループのキーとして「PROD」,「Production Environment」または「本番環境」を定義し,developmentグループのキーとして「DEV」,「Development Environment」または「開発環境」を定義しています。

また,プロパティ部のGroupIDとプロパティの関係は次のようになっています。

表5‒16 定義例のグループとプロパティの関係

GroupID

PropertyPath

PropertyValue

production

static_host

https://tp1server.hoge.com

static_port

10100

development

static_host

https://testserver.fuga.com

static_port

10200

elmA.elmB

SomeValue

(c) 外部プロパティファイルの動作

データ変換アクティビティから利用できるカスタムファンクションの利用例を基に,外部プロパティファイルがどのように動作するかを次に示します。

図5‒12 外部プロパティファイルの動作

[図データ]

  1. APIの引数として渡された文字列に合致するMappingStringを検索し,対応するGroupIDを取得します。

  2. 1.で取得したGroupIDで始まるプロパティを取得対象として選択します。

  3. 2.で選択したプロパティのそれぞれについて,PropertyPathをパス要素に分解し,各要素をノードとしたXML階層を作成します。

  4. 3.で作成したノードの値として,PropertyValueを設定します。