10.2.1 新規インストールの場合
ここでは,旧バージョンのアプリケーションサーバを移行する場合に,新しいアプリケーションサーバを,旧バージョンのアプリケーションサーバを構築している環境とは別の環境へ構築(新規インストール)する際の手順について示します。
新規インストールについては,マニュアル「アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」の「2.2.1 Application Serverのインストールについて」を参照してください。
次の手順に従って,旧バージョンからアプリケーションサーバ 11-40へ移行してください。
- 〈この項の構成〉
(1) 移行方針の決定
移行後の環境で使用する機能や,使用するWebサーバの種類などを決めます。
また,旧バージョンのアプリケーションサーバの環境での設定を引き継ぐのか(互換性を重視したシステムへ移行),または移行後のアプリケーションサーバが推奨する機能を使用する設定にするのか(推奨機能を使用したシステムへ移行)についても検討します。互換重視のシステム,および推奨機能を使用したシステムの特徴を次に示します。
移行方針 |
特徴 |
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互換性を重視したシステムへ移行 |
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推奨機能を使用したシステムへ移行 |
最新のバージョンのアプリケーションサーバで使用できる機能でも,推奨される機能がほかにある場合は,推奨機能が選択されます。 |
これらの移行方針を決定する上で,旧バージョンと移行するバージョンとの仕様差を確認する必要があります。機能の変更や追加に伴い,旧バージョンで使用している機能,使用条件,使用方法によっては,次の作業が必要となります。
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操作手順の変更
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運用手順の変更
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アプリケーション,およびDDの変更
詳細は,「10.3 旧バージョンから11-40までの仕様変更の確認」を参照してください。
(2) アプリケーションの退避
旧バージョンのアプリケーションサーバで使用していたアプリケーションを退避します。退避の手順を次に示します。
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J2EEアプリケーション,およびJ2EEアプリケーション内のEJB-JAR,WAR属性ファイルを取得します。
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J2EEリソースアダプタを,実行時情報を含む形式でエクスポートします。
開始状態の場合は停止してからエクスポートしてください。
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Connector属性ファイルを取得します。
Connector属性ファイルは,移行後に属性変更が必要になった場合に使用します。
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データソース属性ファイルを取得します。
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メール属性ファイルを取得します。
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サーバ管理コマンドで追加したユーザおよびロールの情報を記録しておきます。
なお,Reliable Messagingを使用している場合は,上記のJ2EEリソースアダプタと同様に,Reliable MessagingのリソースアダプタおよびConnector属性ファイルを退避してください。
(3) 定義などのバックアップ
旧バージョンのアプリケーションサーバで使用していた定義ファイルを退避します。新規インストールの場合,ここで退避したバックアップ情報を基に,新規インストールする環境で使用する定義ファイルなどを作成します。詳細は,「10.6 定義などのバックアップ」を参照してください。なお,adminagent.xml,snapshotlog.confおよびsnapshotlog.2.confについては,カスタマイズした情報を控えてください。
(4) 全構成ソフトウェアの新規インストール
使用しているアプリケーションサーバの全構成ソフトウェアを新規インストールします。
なお,インストール方法,および注意事項については,マニュアル「アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」の「2.2.1 Application Serverのインストールについて」を参照してください。
(5) システムの構築
新規インストールを実施した環境のシステムを構築します。「(3) 定義などのバックアップ」で退避した,運用管理ポータルの[運用管理ドメインの構成定義]画面の情報,または簡易構築定義ファイルの情報を基に,システムを構築します。システムの構築とは,セットアップウィザードの実行,運用管理ポータルの[運用管理ドメインの構成定義]画面での操作,またはSmart Composer機能のcmx_build_systemコマンド実行を指します。
システムの構築については,マニュアル「アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」を参照してください。
(6) 定義などの配置
adminagent.xml,snapshotlog.confおよびsnapshotlog.2.conf以外の定義ファイルは,旧バージョンのアプリケーションサーバから退避した定義ファイルを,新規インストールする環境に配置します。詳細は,「10.6 定義などのバックアップ」のバックアップを取った情報の設定先に関する説明を参照してください。
これらの定義ファイルの場合は旧バージョンのアプリケーションサーバから退避した定義ファイルに,最新のバージョンの情報を追加します。情報の追加は,「(8) 手動による定義などの修正」で記載している作業になります。
adminagent.xml,snapshotlog.confおよびsnapshotlog.2.confの場合は,「(3) 定義などのバックアップ」で控えた情報を基に新規インストールされた定義ファイルに,旧バージョンのアプリケーションサーバでカスタマイズした情報を追加します。
- 参考
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adminagent.xml,snapshotlog.confおよびsnapshotlog.2.confは,旧バージョンのアプリケーションサーバで使用していた定義ファイルを上書きして使用しないでください。
(7) 手動による定義などの修正
「(3) 定義などのバックアップ」で退避した情報を基に,手動で定義などを修正します。機能の変更,追加に伴い,互換性を保つためのオプションが提供されています。旧バージョンで使用している機能,使用方法,使用条件によっては,次の作業が必要となります。
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ユーザプロパティファイルなどの定義ファイルの変更
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Javaのユーザクラスパスの変更
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環境変数の変更
旧バージョンで使用している機能,使用方法,使用条件については,「10.3 旧バージョンから11-40までの仕様変更の確認」を参照してください。
なお,このマニュアルで説明していない構成ソフトウェアの旧バージョンに関する説明については,次に示すマニュアルを参照してください。
- HTTP Server
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マニュアル「HTTP Server」の旧バージョンからの移行に関する注意事項を参照してください。
- Web Services - Security
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マニュアル「アプリケーションサーバ Webサービスセキュリティ構築ガイド」の下位バージョンからの移行情報に関する説明を参照してください。
- XML Processor
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マニュアル「XML Processor ユーザーズガイド」のバージョン間の差異に関する説明を参照してください。
(8) 論理サーバの設定情報の再読み込みおよび配布
設定した定義情報をシステムへ反映させます。詳細は,「10.10 論理サーバの設定情報の再読み込みおよび配布」を参照してください。
配布したあと,運用管理ポータルから,「(3) 定義などのバックアップ」で控えた論理J2EEサーバの[JP1連携の設定]画面で,JP1連携の再設定をしてください。再設定後は,再度配布してください。
(9) アプリケーションの設定
アプリケーションを設定します。詳細は,「10.11 アプリケーションの設定(新規インストールの場合)」を参照してください。
なお,Reliable Messagingを使用している場合は,J2EEリソースアダプタの手順と同様に,退避していたReliable Messagingのリソースアダプタを更新してください。この際,Reliable Messagingを使用するために必要なシステム構築を実施してください。
Reliable Messagingのシステム構築の詳細については,マニュアル「Reliable Messaging」を参照してください。
(10) 移行後の確認
移行後にアプリケーションサーバの動作確認を実施します。