8.1.2 チューニング手順
パフォーマンスチューニングは,システムのパフォーマンスを生かす最適な設定を見つける作業です。構築した環境で,実際に処理を実行したり,模擬的な負荷を掛けたりしながら,パラメタの調整やボトルネックの調査,解消によってパフォーマンスを向上させていきます。
パフォーマンスチューニングの手順の例として,ここでは,同時実行数のチューニング手順を示します。
チューニング作業では,まず,目標値を決定します。ここでは,CPU利用率などが該当します。
次に,各パラメタに初期値を設定した状態でのスループットを測定し,そのあとで模擬的な負荷を掛けながら各パラメタを調整して,目標値に近い最適な値を見つけていきます。模擬的な負荷は,専用のツールを使用して発生させます。
チューニングの際,CPUの利用率の測定には,OSに付属している監視ツールなどが利用できます。スループットの測定は,負荷発生ツールなどによって測定できます。また,稼働スレッド数など,アプリケーションサーバの稼働情報については,稼働情報収集機能などで確認できます。確認方法については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編」の「3. 稼働情報の監視(稼働情報収集機能)」を参照してください。
スループットが目標値に達したところで,パフォーマンスチューニングは完了です。なお,CPU利用率が100%からかなり低い状態で飽和した場合は,システム上に入出力処理や排他処理などのボトルネックがあるおそれがあります。ボトルネックを調査し,対策してから,再度パフォーマンスチューニングを実行してください。アプリケーションサーバのシステムのボトルネックの調査には,性能解析トレースを利用できます。性能解析トレースの機能詳細,および性能解析トレースを利用して取得したトレースファイルの利用方法については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「7. 性能解析トレースを使用した性能解析」を参照してください。