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Cosminexus V11 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド


7.9.2 クラスタ構成時の回復方法

クラスタ構成時に障害が発生した場合の対処方法について,ロードバランスクラスタ構成の場合とHAクラスタ構成の場合とに分けて説明します。

〈この項の構成〉

(1) ロードバランスクラスタ構成での障害と復旧

ロードバランスクラスタを構成しているHCSCサーバの障害に備え,ロードバランスクラスタに余裕を持ったHCSCサーバの台数を準備することで,障害が発生してもロードバランスクラスタで稼働しているHCSCサーバの負荷を一定に保つことができます。

注意事項

標準の非同期受付(MDB(WS-R)/MDB(DBキュー))の受付キューは,HCSCサーバごとに用意します。したがって,ロードバランスクラスタ構成で障害が発生した場合,標準の非同期受付(MDB(WS-R)/MDB(DBキュー))の受付キューに滞留している電文は送信できません。

(a) 障害が発生したHCSCサーバの切り離し

ロードバランスクラスタを構成しているHCSCサーバで障害が発生した場合,障害が発生したHCSCサーバをロードバランスクラスタから切り離します。切り離したあと,HCSCサーバの障害を取り除いて,サービス部品の実行要求を受け付けられる状態にします。障害を取り除いたHCSCサーバをロードバランスクラスタ内で稼働させることで復旧します。

(b) 障害が発生したHCSCサーバの復旧

障害が発生したHCSCサーバの切り離しと復旧手順について次に示します。

  1. 障害が発生した場合,障害が発生したHCSCサーバにサービス部品の実行要求を送信しないよう,ロードバランサを設定します。

    ロードバランサを設定することで,HCSCサーバへのサービス部品の実行要求を制御します。設定方法は,各ロードバランサの仕様によって異なります。

  2. CTMを使用している場合,キューを閉塞します。

    キューの閉塞方法については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編」の「3.7.4 スケジュールキューの閉塞制御」を参照してください。

  3. 障害が発生したHCSCサーバから障害を取り除き,サービス部品の実行要求を受け付けられる状態にします。

  4. CTMを使用している場合,キューの閉塞を解除します。

    キューの閉塞を解除する方法については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編」の「5.4.2 システムごとに実行できるサービスの閉塞方法およびJ2EEアプリケーションの停止方法」を参照してください。

  5. 障害を取り除いたHCSCサーバにサービス部品の実行要求を送信するよう,ロードバランサを設定します。

    設定方法は,各ロードバランサの仕様によって異なります。

(2) HAクラスタ構成での障害と復旧

実行系に障害が発生した場合,クラスタソフトウェアによって,処理は待機系に切り替えられます。待機系への切り替え後,実行系の障害を取り除いて,実行系での運用を再開させます。

注意事項

実行系に障害が発生し,待機系に運用が切り替わった場合,実行系の障害を取り除いて,実行系での運用に戻す必要があります。待機系をそのまま実行系として利用し,障害が発生した系の障害を取り除いて待機系として利用することはできません。

(a) 系の切り替え

実行系に障害が発生し,クラスタソフトで待機系に処理が切り替わるときの動作を次の図に示します。

図7‒171 障害発生時の待機系への切り替え(HAクラスタ)

[図データ]

(b) 実行系の復旧

実行系に障害が発生し,待機系に運用が切り替わった場合,実行系の障害を取り除いて,実行系での運用に戻す必要があります。

実行系の障害を取り除いて,運用を実行系に戻す手順について次に示します。

  1. 実行系および待機系をサービスリクエスタ用のネットワークから切断するなどして,サービスリクエスタからの実行要求を受け付けない状態にします。

  2. 待機系の受付(標準受付およびユーザ定義受付)を停止します。

    標準受付の停止方法については,「5.3.35 標準受付を停止する」を参照してください。

    ユーザ定義受付の停止方法については,「5.3.36 ユーザ定義受付を停止する」を参照してください。

  3. 待機系のHCSCサーバを停止します。

    HCSCサーバの停止方法については,「5.3.41 HCSCサーバを停止する」を参照してください。

  4. 実行系のHCSCサーバの障害を回復します。

    障害情報の採取方法および障害の回復方法については,「7. 障害対策」を参照してください。

  5. 実行系のHCSCサーバを起動します。

    HCSCサーバの起動方法については,「5.3.4 HCSCサーバを起動する」を参照してください。

  6. 実行系の受付(標準受付およびユーザ定義受付)を開始します。

    標準受付の開始方法については,「5.3.10 標準受付を開始する」を参照してください。

    ユーザ定義受付の開始方法については,「5.3.9 ユーザ定義受付を開始する」を参照してください。

  7. 実行系および待機系をサービスリクエスタ用のネットワークに接続するなどして,実行系でサービスリクエスタからの実行要求を受け付けられる状態にして運用を再開します。