Hitachi

Cosminexus V11 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム 開発ガイド 基本開発編


5.9.4 ビジネスプロセスのバージョンアップ

ここでは,ビジネスプロセスのバージョンアップ後に実施できる操作,実施できない操作,およびバージョンアップ時の注意事項について説明します。

〈この項の構成〉

(1) バージョンアップ後に実施できる操作

ビジネスプロセスのバージョンアップ後に実施できる操作を表に示します。

表5‒17 バージョンアップ後に実施できる操作

#

対象のアクティビティ

操作

備考

1

受付アクティビティ※1

アクティビティ名の変更

2

オペレーション名の変更

バージョンアップ後の変更内容によって,オペレーション名の変更が必要になる場合があります。

オペレーション名の変更が必要になる操作は,#4,#7,#15,#18を参照してください。

3

ユーザ定義受付を使用している場合,ユーザ定義受付を新規追加する必要があります。※3※6

4

ボディ割当変数の変更

相関セットの参照先に指定しているボディ割当変数を変更した場合,オペレーション名の変更が必要になります。

5

ユーザ定義受付を使用している場合,ユーザ定義受付を新規追加する必要があります。※6

6

ヘッダ割当変数の追加,変更,削除

SOAP受付を使用している場合,ユーザ定義受付を新規追加する必要があります。※4※6

7

割当相関セット群の追加,変更,削除

割当相関セット群を追加,変更,削除した場合,オペレーション名の変更が必要になります。これに伴い,ユーザ定義受付を使用している場合,ユーザ定義受付を新規追加する必要があります。※6

8

相関セット(名前と値のペア)は,すべてのバージョン間で一意である必要があります。

9

通信モデルの変更

ユーザ定義受付を使用している場合,ユーザ定義受付を新規追加する必要があります。※6

10

インスタンス生成の変更

11

アクティビティの追加,削除

12

応答アクティビティ※1

アクティビティ名の変更

13

オペレーション名の変更

バージョンアップ後の変更内容によって,オペレーション名の変更が必要になる場合があります。

オペレーション名の変更が必要になる操作は,#4,#7,#15,#18を参照してください。

14

ユーザ定義受付を使用している場合,ユーザ定義受付を新規追加する必要があります。※3※6

15

ボディ割当変数の変更

相関セット参照先に指定しているボディ割当変数を変更した場合,オペレーション名の変更が必要になります。

16

ユーザ定義受付を使用している場合,ユーザ定義受付を新規追加する必要があります。※6

17

ヘッダ割当変数の追加,変更,削除

SOAP受付を使用している場合,ユーザ定義受付を新規追加する必要があります。※4※6

18

割当相関セット群の追加,変更,削除

割当相関セット群を追加,変更,削除した場合,オペレーション名の変更が必要になります。これに伴い,ユーザ定義受付を使用している場合,ユーザ定義受付を新規追加する必要があります。※6

19

相関セット(名前と値のペア)は,すべてのバージョン間で一意である必要があります。

20

フォルト名の変更,削除

SOAP受付を使用している場合,ユーザ定義受付を新規追加する必要があります。※5※6

21

アクティビティの追加,削除

22

その他のアクティビティ

アクティビティの追加,変更,削除

サービス呼出アクティビティで割当相関セット群を追加,変更,削除した場合,相関セット(名前と値のペア)は,すべてのバージョン間で一意である必要があります。

23

ユーザ定義受付※2

ユーザ定義受付の追加※7

最新バージョンで使用するユーザ定義受付を追加できます。

また,最新および最新以外のバージョンで共用するユーザ定義受付も追加できます。

24

ユーザ定義受付の変更※7

バージョンに関係なくユーザ定義受付を変更できます。

25

ユーザ定義受付の削除

最新バージョンだけで使用しているユーザ定義受付は削除できます。

(凡例)

−:該当する説明はありません。

注※1

操作は最新のバージョンが対象です。最新以外のバージョンでは参照および変更できません。

注※2

ユーザ定義受付は,バージョンに関係なく参照できます。

注※3

ユーザ定義受付で定義されているほかのオペレーション名に変更する場合,またはユーザ定義受付を使用していて,ユーザ定義受付にオペレーション名を追加する場合は不要です。

注※4

データ検証機能が無効(HCSCサーバランタイム定義ファイルのtelegram-notfound-soapheaderプロパティに「IGNORE」を指定した場合)で,変更による動作上の問題がない場合は不要です。

注※5

ユーザ定義受付で定義されているほかのフォルト名に変更する場合は不要です。

注※6

ユーザ定義受付を新規追加する場合は「(3)(b) ユーザ定義受付を使用しているときの注意」を参照してください。

注※7

対応するビジネスプロセスの定義内容を考慮してユーザ定義受付を定義する必要があります。なお,最新以外のバージョンとの整合性はユーザ定義受付の検証でチェックされます。ユーザ定義受付の検証については,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 受付・アダプタ定義編」の「2.12 ユーザ定義受付の検証」を参照してください。

(2) バージョンアップ後に実施できない操作

ビジネスプロセスのバージョンアップ後に実施できない操作を表に示します。

表5‒18 バージョンアップ後に実施できない操作

#

対象のアクティビティ

操作

備考

1

ビジネスプロセス※1

サービスIDの変更

2

ステータスの永続化の変更

3

ビジネスプロセス名の変更

4

ユーザ定義受付※2

ユーザ定義受付の追加

最新以外のバージョンで使用するユーザ定義受付は追加できません。

5

ユーザ定義受付の削除

バージョンアップを実行したときに定義されていたユーザ定義受付は削除できません。

(凡例)

−:該当する説明はありません。

注※1

操作は最新のバージョンが対象です。最新以外のバージョンでは参照および変更できません。

注※2

ユーザ定義受付は,バージョンに関係なく参照できます。

なお,ビジネスプロセスをバージョンアップした場合,最新以外のバージョンのビジネスプロセスでは次の機能を使用できません。

(3) ビジネスプロセスのバージョンアップ時の注意事項

ビジネスプロセスをバージョンアップする場合,バージョンアップ後の変更内容によっては最新以外のバージョンのビジネスプロセスを実行できなくなる可能性があります。

次の内容を確認して,変更後の影響を検討してから定義情報を変更してください。また,バージョンアップ前に定義情報のバックアップを取得することを推奨します。

(a) 最新のバージョンでビジネスプロセス定義を変更するときの注意

最新以外のバージョンのビジネスプロセスは次の流れで実行されます。

  1. 呼び出し時に指定されたオペレーション名を基に,最新バージョンから最新以外のバージョンのビジネスプロセス定義を参照して,該当するオペレーション名が定義されている受付アクティビティを取得します。

  2. 受付アクティビティの相関セット取得位置を基に,電文から相関セットの値を取得します。

  3. 相関セットの値を基に,実行中のプロセスを取得します。

  4. 取得したプロセスのバージョンを最新バージョンから順に比較して,一致した場合そのバージョンのビジネスプロセス定義で処理を続行します。

最新以外のバージョンの完了していないプロセスインスタンスが存在する環境でビジネスプロセスをバージョンアップしたあと,最新のバージョンのビジネスプロセス定義を変更する場合,上記の処理および変更の影響を考慮してビジネスプロセス定義を変更してください。

バージョンアップ後に最新以外のバージョンのビジネスプロセスを実行するときの処理の流れを次の図に示します。

図5‒25 バージョンアップ後に最新以外のバージョンのビジネスプロセスを実行するときの処理の流れ

[図データ]

(b) ユーザ定義受付を使用しているときの注意

ユーザ定義受付を使用しているビジネスプロセスのバージョンアップ後に次の操作を実施した場合,最新以外のバージョンで使用しているユーザ定義受付を残したまま,最新バージョンで使用するユーザ定義受付を新規追加する必要があります。

  • オペレーション名の変更

  • ボディ割当変数の変更

  • ヘッダ割当変数の追加,変更,削除

  • 割当相関セット群の追加,変更,削除

  • フォルト名の変更,削除

ただし,上記の場合でもユーザ定義受付を新規追加しなくてもよい場合があります。詳細は「表5-17 バージョンアップ後に実施できる操作」の備考および注釈を参照してください。

バージョンアップ後にユーザ定義受付を新規追加する必要がある場合の,ビジネスプロセスの変更例を次の図に示します。

図5‒26 ユーザ定義受付を新規追加する必要がある場合の変更例

[図データ]

(c) 相関セットの一意性に関する注意

バージョンアップ後に相関セット(名前と値のペア)の一意性が保たれなかった場合,最新バージョンと最新以外のバージョンで予期しないプロセスの呼び出しが発生する可能性があります。

バージョンアップ後にバージョンアップ前と同じ値の相関セットを指定した場合の動作を次の図に示します。

図5‒27 相関セットの一意性が保たれなかった場合(受付で相関セットを設定)

[図データ]

(d) 相関セットに関わる変更を行うときの注意

バージョンアップ後に次の操作を実施した場合,相関セットの値が最新バージョンと最新以外のバージョンで一致しなくなる可能性があります。

  • 相関セット参照先に指定しているボディ割当変数(部分指定)の変更

  • 割当相関セット群の追加,変更,削除

この場合,最新以外のバージョンのプロセスを実行できなくなることがあります。そのため,相関セットに関する変更を行った場合は,オペレーション名の変更が必要になります。

バージョンアップ後に相関セット名を変更した場合の動作を次の図に示します。

図5‒28 相関セットに関わる変更を行う場合(相関セット名を変更)

[図データ]

バージョンアップ後に相関セット参照先を変更した場合の動作を次の図に示します。

図5‒29 相関セットに関わる変更を行う場合(相関セット参照先を変更)

[図データ]

(e) ボディ割当変数に関わる変更を行うときの注意

バージョンアップ後に,相関セット参照先に指定しているボディ割当変数(部分指定)の変更を行った場合,相関セットの値が最新バージョンと最新以外のバージョンで一致しなくなる可能性があります。この場合,最新以外のバージョンのプロセスを実行できなくなることがあります。

そのため,相関セット参照先に指定しているボディ割当変数(部分指定)を変更した場合は,オペレーション名の変更が必要になります。

バージョンアップ後にボディ割当変数(部分指定)を変更した場合の動作を次の図に示します。

図5‒30 ボディ割当変数に関わる変更を行う場合(部分指定を変更)

[図データ]

次の図に示すように,バージョンアップ後にボディ割当変数のXMLスキーマを変更した場合,相関セットの値が取得できて,最新バージョンと最新以外のバージョンで同一の値が取得できれば最新以外のビジネスプロセスを実行できます。

図5‒31 ボディ割当変数に関わる変更を行う場合(変数のXMLスキーマを変更)

[図データ]

(f) ユーザ定義受付のオペレーションを削除するときの注意事項

ユーザ定義受付を使用するビジネスプロセスで,バージョンアップ後に最新以外のバージョンのオペレーションを削除する場合,最新以外のバージョンのプロセスを実行できなくなる可能性があるため注意が必要です。

バージョンアップ後にユーザ定義受付のオペレーションを削除した場合の動作を次の図に示します。

図5‒32 ユーザ定義受付のオペレーションを削除した場合

[図データ]