8.7.3 ファイル変換オペレーション
ここでは,ファイル変換オペレーションでサポートする機能やファイル形式について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) ファイル変換オペレーションの機能概要
ファイル変換オペレーションは,作業フォルダまたは共通フォルダから変換元の入力ファイルを読み込み,変換後の出力ファイルを作業フォルダまたは共通フォルダに書き込みます。
ファイル変換オペレーションの処理の概要について,次の図に示します。
(2) サポートする入出力ファイルの形式
ファイル変換オペレーションでサポートする入力ファイル,および出力ファイルのファイル形式について次の表に示します。
項番 |
処理方式 |
入力ファイルの形式 |
出力ファイルの形式 |
サポート可否 |
|
---|---|---|---|---|---|
1 |
一括処理方式 |
バイナリ形式 |
バイナリ形式 |
○ |
|
2 |
XML形式 |
○ |
|||
3 |
XML形式 |
バイナリ形式 |
○ |
||
4 |
XML形式 |
○ |
|||
5 |
分割処理方式 |
バイナリ形式 |
固定長形式 |
バイナリ形式 |
○ |
6 |
XML形式 |
○ |
|||
7 |
レングスタグ形式 |
バイナリ形式 |
× |
||
8 |
XML形式 |
× |
|||
9 |
改行セパレータ形式 |
バイナリ形式 |
○ |
||
10 |
XML形式 |
○ |
|||
11 |
EORセパレータ形式 |
バイナリ形式 |
○ |
||
12 |
XML形式 |
○ |
|||
13 |
上記以外 |
バイナリ形式 |
× |
||
14 |
XML形式 |
× |
|||
15 |
XML形式 |
バイナリ形式 |
○ |
||
16 |
XML形式 |
○ |
固定長形式,レングスタグ形式,改行セパレータ形式,およびEORセパレータ形式の違いを次に示します。
-
固定長形式
レコードのバイト長をあらかじめ決めておく形式です。
-
レングスタグ形式
データ要素に対して,その長さまたは個数を表す数値情報を付けた形式です。
-
改行セパレータ形式
改行コード(LF(0x0a)またはCR+LF(0x0d 0x0a))の出現をレコードの区切りとする形式です。改行セパレータ形式の詳細については,「(4)(a) レコード単位の判定形式の種類」を参照してください。
-
EORセパレータ形式
ファイル操作アダプタ定義ファイルで設定したEORコード(レコードの終端を示すコード)の出現をレコードの区切りとする形式です。EORセパレータ形式を使用すると,レコードの区切りが改行コード以外のファイルも処理できます。
ファイル変換時にレイアウト変換ができます。また,入出力形式がバイナリ形式の場合は,改行コードの付与・削除,文字コード変換もできます。
- 参考
-
入力ファイルに1バイトでもデータが含まれている場合は,ファイル変換を実行します(データが空文字,改行文字,EOF文字だけの場合であっても,ファイル変換を実行します)。入力ファイルが0バイトの場合は,0バイトのファイルを出力します。エラーにはなりません。
(3) 一括処理方式
一括処理方式では,入力ファイルを一括して読み込み,一括して変換します。変換後,一括して出力ファイルへ書き込みます。
一括処理方式で対象となるデータフォーマット,および対象とする変換内容を次に示します。
-
対象とするデータフォーマット
1つのバイナリフォーマット定義またはXMLスキーマで定義できる範囲です。
-
対象とする変換内容
1つのデータ変換定義ファイル(拡張子:xsl)で定義できる範囲です。
- 注意事項
-
入力ファイルおよび出力ファイルのサイズが500MB以上のファイルは変換できません。500MB以上のファイルを変換した場合,動作を保証しません。
(4) 分割処理方式
入力ファイルの読み込み,変換,出力ファイルへの書き込みを,入力ファイルのレコード単位で処理します。入力ファイルの終端まで繰り返し処理を実行します。
分割処理方式でバイナリ形式からXML形式のファイルに変換する場合,およびXML形式からバイナリ形式のファイルに変換する場合の定義例については,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 受付・アダプタ定義編」の「付録E ファイル操作アダプタの定義例」を参照してください。
(a) レコード単位の判定形式の種類
入力ファイルの形式によってレコード単位の判定形式が異なります。
- バイナリ形式の場合
-
レコード単位の判定には,次の形式があります。
-
固定長形式
レコードのバイト長をあらかじめ指定する形式です。入力ファイルが固定長形式の場合に使用します。
-
改行セパレータ形式
改行コード(LF(0x0a)またはCR+LF(0x0d 0x0a))の出現をレコードの区切りとして判定する形式です。入力ファイルが改行セパレータ形式の場合に使用します。改行セパレータ形式については,「(d) レコードの分割(入力ファイルがバイナリ形式の場合)」の説明を参照してください。
分割処理方式で,改行セパレータ形式を選択した場合,バイナリフォーマット定義に関係なく,改行コード(LF(0x0a)またはCR+LF(0x0d 0x0a))の出現でレコードの区切りを判断しているため,変換元ファイルにある文字コードの改行のバイトパターンが,改行コード以外のとき(文字コード例:UTF-16_BIG,UTF-16_LITTLE,KEIS+EBCDIC,KEIS+EBCDIK,KEIS),改行セパレータ形式の分割処理方式では正常に処理できません。なお,CUSTOMを選択した場合,処理対象のデータに従います。
-
EORセパレータ形式
ファイル操作アダプタ定義ファイルで設定したEORコード(レコードの終端を示すコード)の出現をレコードの区切りとする形式です。EORセパレータ形式を使用すると,レコードの区切りが改行コード以外のファイルも処理できます。
-
- XML形式の場合
-
ファイル操作アダプタ定義ファイルでレコードとして扱う要素を指定します。
- 注意事項
-
入力ファイルおよび出力ファイルのサイズに制限はありません。ただし,入力ファイルおよび出力ファイルの1レコードのサイズが500MB以上のファイルは入力ファイルの形式に関係なく変換できません。1レコードのサイズが500MB以上のファイルを変換した場合,動作を保証しません。また,レコードを構成する1要素のサイズについても,入力ファイルの形式に関係なく,500MB以上を超える場合は動作を保証しません。
(b) 対象とするデータフォーマット
分割処理方式で対象とする入力ファイルのデータフォーマットは,バイナリフォーマット定義およびXMLスキーマです。また,対象とするデータ構造は,ヘッダレコード部,データレコード部,トレーラレコード部がこの順番で出現する構造である必要があります。
データレコード部は,決められた要素の並びが連続して繰り返されている構造を持ったデータです。データベースのテーブル構造と同じで,決められた要素の並び(バイナリ形式の場合は行,XML形式の場合は特定の要素以下のデータ)をレコードと呼び,これがn回繰り返されているイメージです。レコード内の要素数およびレコード数に制限はありません。
ヘッダレコード部およびトレーラレコード部は,任意の要素が並ぶ複合内容要素で,レコードが繰り返されることはありません。また,これらの部分は省略できます。
データファイル構造とデータレコード部のイメージを次に示します。
データフォーマットはバイナリ形式(固定長形式,改行セパレータ形式,およびEORセパレータ形式),およびXML形式に対応します。また,入力および出力フォーマットとも上記の形式の構造であることが必要です。
バイナリ形式のデータの例を次に示します。
(c) 分割処理方式で必要なファイル
分割処理方式で定義が必要なバイナリフォーマット定義,XMLスキーマ,およびデータ変換定義を次に示します。
- バイナリフォーマット定義およびXMLスキーマ
-
入力ファイルおよび出力ファイルの形式によって必要な定義が異なります。
- 入力ファイルまたは出力ファイルがバイナリ形式の場合
-
入力側と出力側のファイルフォーマットを定義する必要があるため,バイナリフォーマット定義エディタを使用して次のうち必要なフォーマットを作成します。
-
入力側のヘッダレコード部のフォーマット
-
入力側のデータレコード部のフォーマット
-
入力側のトレーラレコード部のフォーマット
-
出力側のヘッダレコード部のフォーマット
-
出力側のデータレコード部のフォーマット
-
出力側のトレーラレコード部のフォーマット
-
- 入力ファイルまたは出力ファイルがXML形式の場合
-
入力側と出力側のXMLスキーマを作成します。バイナリ形式と異なり,1つのXMLスキーマで,ヘッダレコード,データレコード,およびトレーラレコードを定義することができます。XMLスキーマはデータ変換定義を作成するために必要となりますが,変換オペレーションの実行時には使用しません。
- データ変換定義
-
入力側と出力側のフォーマット間のデータ変換を定義する必要があるため,マッピング定義エディタを使用して次のデータ変換定義を作成してください。
-
ヘッダレコード部のデータ変換定義
-
データレコード部のデータ変換定義
-
トレーラレコード部のデータ変換定義
なお,出力側がXML形式の場合,マッピング対象を指定した複合内容要素の配下に制限をしてマッピングできます。1つのXMLスキーマにヘッダレコード,データレコード,およびトレーラレコードを定義した場合,各レコードのルート要素となる複合内容要素の配下に制限してマッピングすることで,各レコード部のデータ変換定義を生成できます。詳細はマニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 基本開発編」の「7.4.8 マッピング対象の範囲を限定する」を参照してください。
-
(d) レコードの分割(入力ファイルがバイナリ形式の場合)
- レコード単位の判定方法
-
レコードの区切りの判定は,固定長形式,改行セパレータ形式,またはEORセパレータ形式から選択して指定できます。
固定長形式,改行セパレータ形式,またはEORセパレータ形式の種類は,ファイル操作アダプタ定義ファイルの次のパラメタで指定してください。
-
csc.adapter.fileOperation.transform.format
内容については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「3.5.2 ファイル操作アダプタ定義ファイル」を参照してください。
-
固定長形式の場合
レコードの区切りは,ファイル操作アダプタ定義ファイルの次のパラメタに指定した個所です。
・csc.adapter.fileOperation.transform.header.fixedSize
・csc.adapter.fileOperation.transform.data.fixedSize
・csc.adapter.fileOperation.transform.trailer.fixedSize
-
改行セパレータ形式の場合
レコードの区切りは,入力ファイルに改行コード(LF(0x0a)またはCR+LF(0x0d 0x0a))が出現する個所です。ファイル終端もレコードの区切りとして扱われます。なお,改行直後にファイルの終端が出現する場合は,直前の改行と合わせて1つのレコードセパレータとして扱われます。
-
EORセパレータ形式の場合
レコードの区切りは,ファイル操作アダプタ定義ファイルに設定したEORコードが出現する個所です。EORコードはcsc.adapter.fileOperation.transform.EORプロパティに16進数で設定します。16進数の先頭には「0x」を付与しません。
EORコードが「/(0x2F)」の場合の設定例を次に示します。
・csc.adapter.fileOperation.transform.EOR=2F
EORコードが出現した個所までのデータが1レコードとして扱われます。また,ファイルの終端もレコードの区切りとして扱われます。なお,EORコードが出現した直後にファイルの終端があった場合,EORコードが出現した個所までのデータが最終レコードとして扱われます。
-
- レコード部の位置と長さ
-
分割処理方式の場合,現在読み込まれているレコードが,ヘッダレコード部,データレコード部,トレーラレコード部のうちどれなのかを判定する必要があります。固定長形式,改行セパレータ形式,またはEORセパレータ形式ごとに,レコード部の位置と長さを判定する方法を次に示します。
-
固定長形式の場合
レコード部の位置と長さの判定について,次の表に示します。
表8‒14 レコード有無指定によるレコード種別(固定長形式) レコード
有無指定
ヘッダレコード部
指定有無
有
有
無
無
トレーラレコード部
指定有無
有
無
有
無
レコード部の位置と長さ
ヘッダレコード部
ファイル先頭
〜
ヘッダレコード長
ファイル先頭
〜
ヘッダレコード長
−
−
データレコード部
ヘッダレコード部
終了位置
〜
データレコード長
*データレコード数
ヘッダレコード部
終了位置
〜
データレコード長
*データレコード数
ファイル先頭
〜
データレコード長
*データレコード数
ファイル先頭
〜
データレコード長
*データレコード数
トレーラレコード部
データレコード部
終了位置
〜
トレーラレコード長
−
データレコード部
終了位置
〜
トレーラレコード長
−
データレコード数は,次の計算式に従って算出します。
データレコード部サイズ=データファイルサイズ −(ヘッダレコード長+トレーラレコード長) レコード数 = データレコード部サイズ/データレコード長(小数点以下切り捨て)
レコード数の計算結果にあまりがある場合,メッセージ(KDEC80045-W)が出力されたあと,処理が継続されます。この場合,次に示すような可能性があるため,確認して原因を取り除いてください。
・入力ファイルの末尾にEODがある。
・入力ファイルに誤りがある。
・ファイル操作アダプタ定義ファイルの次の項目の設定に誤りがある。
csc.adapter.fileOperation.transform.headerRecord
csc.adapter.fileOperation.transform.trailerRecord
csc.adapter.fileOperation.transform.header.fixedSize
csc.adapter.fileOperation.transform.data.fixedSize
csc.adapter.fileOperation.transform.trailer.fixedSize
-
改行セパレータ形式およびEORセパレータ形式の場合
レコード部の位置と長さの判定について,次の表に示します。
表8‒15 レコード有無指定によるレコード種別(改行セパレータ形式) レコード
有無指定
ヘッダレコード部
指定有無
有
有
無
無
トレーラレコード部
指定有無
有
無
有
無
レコード部の位置と長さ
ヘッダレコード部
先頭行
先頭行
−
−
データレコード部
先頭行以降
〜
最終行直前
先頭行以降
〜
最終行
先頭行
〜
最終行直前
先頭行
〜
最終行
トレーラレコード部
最終行
−
最終行
−
メッセージ(KDEC80047-E)が出力されて処理が終了された場合,次に示すような可能性があるため,確認して原因を取り除いてください。
・入力ファイルのレコード数が不足している。
・ファイル操作アダプタ定義ファイルの次の項目の設定に誤りがある。
csc.adapter.fileOperation.transform.headerRecord
csc.adapter.fileOperation.transform.trailerRecord
表8‒16 エラー判定パターン ヘッダレコード部
トレーラレコード部
変換するファイルの行数
有
有
1行以下
有
無
0行以下
無
有
0行以下
-
(e) レコードの分割(入力ファイルがXML形式の場合)
入力XMLファイルのヘッダレコード,データレコード,およびトレーラレコードのレコード区切りを指定するには,ファイル操作アダプタ定義ファイルに読み込む要素のパスを設定します。
ファイル操作アダプタ定義ファイルの設定項目と設定内容を次の表に示します。
設定項目 |
設定内容 |
---|---|
csc.adapter.fileOperation.transform.header.inElement |
入力XMLファイルのヘッダレコードに対応する要素のパスを指定します。 ヘッダレコードを使用しない場合,指定は不要です(指定しても無視されます)。 |
csc.adapter.fileOperation.transform.data.inElement |
入力XMLファイルのデータレコードに対応する要素のパスを指定します。 |
csc.adapter.fileOperation.transform.trailer.inElement |
入力XMLファイルのトレーラレコードに対応する要素のパスを指定します。 トレーラレコードを使用しない場合,指定は必要ありません(指定しても無視されます)。 |
入力XMLファイルとファイル操作アダプタ定義ファイルの設定例を示します。
(f) レコードのマージ(出力ファイルがXML形式の場合)
入力ファイルが分割処理方式の場合,各レコードの変換結果を1つのXMLファイルにマージするための出力用テンプレートXMLファイルを使用します。
出力用テンプレートXMLファイルの内容は,「(b) 対象とするデータフォーマット」で作成した出力XMLスキーマに沿った形式である必要があります。整形式のXML文書でない場合,変換時にエラーとなります。
出力用テンプレートXMLファイルの仕様を次の表に示します。
項目 |
仕様 |
---|---|
ファイル名 |
ファイル操作アダプタ定義ファイルのcsc.adapter.fileOperation.transform.outputTemplateXmlFileプロパティで指定したファイル名 |
文字エンコーディング |
UTF-8 |
出力用テンプレートXMLファイル中の特定の要素をレコード(出力データ)に置き換えて,出力XMLファイルが作成されます。
レコードに置き換える要素は,ファイル操作アダプタ定義ファイルで指定します。ファイル操作アダプタ定義ファイルの設定項目と設定内容を次の表に示します。
設定項目 |
設定内容 |
---|---|
csc.adapter.fileOperation.transform.header.outElement |
出力XMLファイルのヘッダレコードに対応する要素のパスを指定します。 ヘッダレコードを使用しない場合,指定は不要です(指定しても無視されます)。 |
csc.adapter.fileOperation.transform.data.outElement |
出力XMLファイルのデータレコードに対応する要素のパスを指定します。 |
csc.adapter.fileOperation.transform.trailer.outElement |
出力XMLファイルのトレーラレコードに対応する要素のパスを指定します。 トレーラレコードを使用しない場合,指定は必要ありません(指定しても無視されます)。 |
出力用テンプレートXMLファイル,およびファイル操作アダプタ定義ファイルの設定例を次の図に示します。
出力用テンプレートXMLファイルを出力XMLファイルに変換した例を次の図に示します。なお,この例では出力XMLファイルの改行や空白を表示していますが,実際の出力XMLファイルでは,要素の間の改行や空白は削除されます。
出力用テンプレートXMLファイルを使用した出力XMLファイルは,次の表に示す形式で出力されます。
項目 |
仕様 |
---|---|
文字エンコーディング |
UTF-8 |
要素の間のスペース |
削除されます。 |
要素の間の改行 |
削除されます。 |
名前空間宣言 |
|
ファイルの内容 |
出力XMLスキーマに沿ったXMLが出力されます。出力XMLスキーマとの整合性は検証されません。 |
- 注意事項
-
-
XML Processorがサポートしていない文字エンコーディングが指定されている場合,解析処理でエラーとなります。XML Processorがサポートしている文字エンコーディングについては,マニュアル「XML Processor ユーザーズガイド」の「1.3.2 処理できる文字コード」を参照してください。
-
出力用テンプレートXMLファイルに,ヘッダ,データ,トレーラのどのレコードにも該当しない要素が定義されている場合,値も含めてそのまま出力されます。値の前後に空白がある場合も空白は取り除かれません。
-
データレコードは,最初に出現した要素,および連続して出現する兄弟要素が1つのデータレコード群として扱われます。データレコード群が終了したあとに再びデータレコードが出現した場合,エラーとなります。
-
出力用テンプレートXMLファイルの内容が「(b) 対象とするデータフォーマット」で作成した出力XMLスキーマに沿った形式でない場合,レコードに置き換える要素に出力用テンプレートXMLファイルに存在する正しい値を指定しても,レコードの変換結果は置き換えられないで処理が終了します。この場合,実行時エラーとなりません。このため,入力データがデータ変換定義で出力されるように設定していても,レコードの変換結果が出力ファイルに出力されない場合は,出力XMLスキーマと出力用テンプレートXMLファイルの内容を見直してください。
-
(g) 複数のデータレコードの同時変換
ファイル変換オペレーションでは,分割処理方式を選択した場合に,複数のデータレコードをまとめて1要素として変換することができます。入力ファイルがバイナリ形式またはXML形式のどちらの場合でも変換できます。
入力ファイルがバイナリ形式,かつデータレコードの総数が6で,2つのデータレコードを1要素として変換する場合の例を次に示します。
- 参考
-
改行セパレータ形式の場合,データレコードの改行を含めて変換されます。
- 参考
-
EORセパレータ形式の場合,データレコードのEORコードを含めて変換されます。そのため,入力ファイルのバイナリフォーマット定義では,EORコードを含めたデータ構造を定義する必要があります。なお,1レコードずつ変換する場合は,変換対象のデータにEORコードは含まれません。
1要素(同時に変換するレコード数)の設定は,ファイル操作アダプタ定義ファイルの次のパラメタで指定します。
-
csc.adapter.fileOperation.transform.data.batchSize
パラメタの内容については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「3.5.2 ファイル操作アダプタ定義ファイル」を参照してください。
- 注意事項
-
複数のデータレコードを同時変換すると変換効率の向上が図れますが,1要素を大きくしてしまうと処理性能が劣化することがあります。1要素当たりのデータサイズの上限は500MBを目安にして,同時に変換するレコード数を適切に設定してください。
データレコードの総数が,パラメタに設定した値で割り切れなかった場合は,余ったレコードを一度に変換します。
変換例として,データレコードの総数が6で,4つのデータレコードを1要素として変換する場合の例を次に示します。
(h) 複数のヘッダレコードの同時変換
次の条件をすべて満たす場合,複数のヘッダレコードをまとめて1要素として変換することができます。
-
入力ファイルのデータ種別がバイナリ形式である
-
分割処理方式を指定している
-
レコードの判定方式に改行セパレータ形式,またはEORセパレータ形式を指定している
-
ヘッダレコードが存在する
変換するヘッダレコード数は,ファイル操作アダプタ定義ファイルのcsc.adapter.fileOperation.transform.header.batchSizeプロパティで指定できます。
次の条件では変換時にエラーになる場合があります。
-
データ中のヘッダレコードが多い
ファイル操作アダプタ定義ファイルのcsc.adapter.fileOperation.transform.header.batchSizeプロパティの指定より入力データのヘッダレコードの数が多い場合,ヘッダレコードの一部がデータレコードと見なされ,変換エラーになることがあります。
-
データ中のヘッダレコードが少ない
ファイル操作アダプタ定義ファイルのcsc.adapter.fileOperation.transform.header.batchSizeプロパティの指定より入力データのヘッダレコードの数が少ない場合,データレコードの一部がヘッダレコードと見なされ,変換エラーになることがあります。
-
入力データの全レコード数が指定したレコードに満たない
入力データ中の全レコード数が,ファイル操作アダプタ定義ファイルのcsc.adapter.fileOperation.transform.header.batchSizeプロパティの指定に満たない場合は,エラー(KDEC80047-E)が発生します。
(5) 変換するファイル形式の指定方法
ファイル変換オペレーションで読み込むファイルや書き込むファイルの形式は,あらかじめバイナリフォーマット定義画面でバイナリフォーマット定義ファイルを作成したあと,ファイル操作アダプタの独自定義ファイルとして指定してください。
バイナリフォーマット定義画面の詳細は,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「1.2.1 バイナリフォーマット定義画面」を参照してください。
バイナリフォーマット定義ファイルの作成については,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 基本開発編」の「4.4 電文フォーマット(バイナリフォーマット定義ファイル)の作成方法」を参照してください。
ファイル操作アダプタの独自定義ファイルの指定については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「3.5.2 ファイル操作アダプタ定義ファイル」を参照してください。
(6) データ変換定義の指定方法
あらかじめ作成した入力ファイルから出力ファイルへ変換するデータ変換定義ファイル(xslファイル)を,ファイル操作アダプタの独自定義ファイルとして指定します。
開発環境のマッピング定義エディタでマッピング定義ファイルを作成するときに,データ変換定義を利用してxslファイルを作成してください。ファイル操作アダプタの独自定義ファイルの指定については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「3.5.2 ファイル操作アダプタ定義ファイル」を参照してください。
(7) 文字コード変換UOCを使用したファイルの変換
ファイル変換オペレーションでは,ファイルの変換に文字コード変換UOCを使用できます。
文字コード変換UOCを使用する場合は,サービスアダプタ定義画面(詳細)の独自定義ファイルに,次のファイルを設定する必要があります。
-
入力ファイルと出力ファイルの変換で同じ独自定義ファイルを使用する場合
-
csc_owncodeconvert.properties
-
-
入力ファイルと出力ファイルの変換で別々の独自定義ファイルを使用する場合
-
csc_owncodeconvert_in.properties
-
csc_owncodeconvert_out.properties
-
1.で示したファイルと2.で示したファイルとを同時に指定した場合,1.で示したファイルが優先され,2.で示したファイルは無視されます。
サービスアダプタ定義画面(詳細)の設定方法については,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 受付・アダプタ定義編」の「3.3.11 ファイル操作アダプタを定義する」のファイル変換オペレーションについて説明している個所を参照してください。
文字コード変換UOCの概要および実装方法については,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 基本開発編」の「付録H 文字コード変換UOCを利用した文字コード変換」を参照してください。
(8) 分割処理方式での独自定義ファイルの指定
ファイル変換オペレーションで分割処理方式の変換をする場合に必要な独自定義ファイル,および指定が必要なファイル操作アダプタ定義ファイルのプロパティの一覧を次の表に示します。ファイル操作アダプタ定義ファイルの詳細は,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「3.5.2 ファイル操作アダプタ定義ファイル」を参照してください。
独自定義ファイルとして指定するファイル |
入力ファイル |
出力ファイル |
|||
---|---|---|---|---|---|
バイナリ |
XML |
バイナリ |
XML |
||
ヘッダ用レイアウト変換用XSLTファイル |
○※1 |
○※1 |
○※1 |
○※1 |
|
データ用レイアウト変換用XSLTファイル |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
トレーラ用レイアウト変換用XSLTファイル |
○※2 |
○※2 |
○※2 |
○※2 |
|
入力ヘッダ用FDXファイル |
○※1 |
− |
− |
− |
|
入力データ用FDXファイル |
○ |
− |
− |
− |
|
入力トレーラ用FDXファイル |
○※2 |
− |
− |
− |
|
入力ヘッダ用XMLスキーマファイル |
− |
− |
− |
− |
|
入力データ用XMLスキーマファイル |
− |
− |
− |
− |
|
入力トレーラ用XMLスキーマファイル |
− |
− |
− |
− |
|
ファイル操作アダプタ定義ファイルに指定するプロパティ |
csc.adapter.fileOperation.transform.input (入力ファイル種別) |
○ |
○ |
− |
− |
csc.adapter.fileOperation.transform.output (出力ファイル種別) |
− |
− |
○ |
○ |
|
csc.adapter.fileOperation.transform.headerRecord (ヘッダレコード使用有無) |
○※1 |
○※1 |
○※1 |
○※1 |
|
csc.adapter.fileOperation.transform.trailerRecord (トレーラレコード使用有無) |
○※2 |
○※2 |
○※2 |
○※2 |
|
csc.adapter.fileOperation.transform.header.inElement (入力ヘッダ要素名) |
− |
○※1 |
− |
− |
|
csc.adapter.fileOperation.transform.data.inElement (入力データ要素名) |
− |
○ |
− |
− |
|
csc.adapter.fileOperation.transform.trailer.inElement (入力トレーラ要素名) |
− |
○※2 |
− |
− |
|
csc.adapter.fileOperation.transform.header.outElement (出力ヘッダ要素名) |
− |
− |
− |
○※1 |
|
csc.adapter.fileOperation.transform.data.outElement (出力データ要素名) |
− |
− |
− |
○ |
|
csc.adapter.fileOperation.transform.trailer.outElement (出力トレーラ要素名) |
− |
− |
− |
○※2 |
|
csc.adapter.fileOperation.transform.outputTemplateXmlFile (出力用テンプレートXMLファイルのファイル名) |
− |
− |
− |
○ |
|
出力ヘッダ用FDXファイル |
− |
− |
○※1 |
− |
|
出力データ用FDXファイル |
− |
− |
○ |
− |
|
出力トレーラ用FDXファイル |
− |
− |
○※2 |
− |
|
出力ヘッダ用XMLスキーマファイル |
− |
− |
− |
− |
|
出力データ用XMLスキーマファイル |
− |
− |
− |
− |
|
出力トレーラ用XMLスキーマファイル |
− |
− |
− |
− |
|
出力用テンプレートXMLファイル |
− |
− |
− |
○ |
|
文字コード変換UOC用入力プロパティ(入力・出力ファイル共通) csc_owncodeconvert.properties |
○※3 |
− |
○※3 |
− |
|
文字コード変換UOC用入力プロパティ(入力ファイル変換用) csc_owncodeconvert_in.properties |
○※3 |
− |
− |
− |
|
文字コード変換UOC用入力プロパティ(出力ファイル変換用) csc_owncodeconvert_out.properties |
− |
− |
○※3 |
− |