Hitachi

Cosminexus V11 アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編


19.4.1 N:1リカバリシステムの設定手順

ここでは,Windows Server Failover Clusterと連携する場合の,システムの構成例とシステムの設定手順について説明します。

〈この項の構成〉

(1) システムの構成例

N:1リカバリシステムの構成例を次の図に示します。なお,以降の項では,このシステムの構成例を使用したシステムの構築例を示します。

図19‒3 システムの構成例(N:1リカバリシステムの場合)

[図データ]

この例では,4台の実行系サーバと1台のリカバリ専用サーバを配置しています。4台の実行系のうち,3台の実行系では,同じJ2EEサーバ名で同じJ2EEアプリケーションとリソースアダプタがデプロイされている「MyServer」というJ2EEサーバを配置しています。残りの1台の実行系では,J2EEサーバ名や,デプロイされているJ2EEアプリケーションとリソースアダプタが異なる「MyServer2」というJ2EEサーバを配置しています。

N:1リカバリ構成の場合,一つのクラスタ内に複数の仮想ホストを構築します。仮想ホストは実行系ノードとリカバリ専用ノードの組で構成し,J2EEサーバをクラスタ構成で配置します。N:1リカバリ構成の場合,J2EEサーバはクラスタ内ではなく,仮想ホスト内で動作します。このため,仮想ホストのIPアドレスおよびホスト名を設定してください。

仮想ホストは一つのリソースグループとして定義され,「物理ディスクリソース」,「IPアドレスリソース」,「ネットワークリソース名」,「汎用スクリプトリソース」が仮想ホストに含まれます。ここでのリソースグループの例を次の図に示します。

図19‒4 リソースグループの例

[図データ]

アプリケーションサーバをクラスタ構成に配置するためには,エイリアスIPアドレスを設けて,稼働中のノードがエイリアスIPアドレスを引き継ぐことで,クライアントがクラスタ内のノードを意識しないようにします。N:1リカバリ構成の場合,エイリアスIPアドレスは,仮想ホストのIPアドレスとなります。

待機系のJ2EEサーバには,実行系のJ2EEサーバで使用しているすべてのリソースアダプタと同じ設定のリソースアダプタをインポート,およびデプロイしてください。

(2) システムの設定手順

Windows Server Failover Clusterと連携する場合には,運用管理ポータルやクラスタアドミニストレータの設定などが必要になります。N:1リカバリシステムの設定手順を次の図に示します。

図19‒5 N:1リカバリシステムの設定手順(Windowsの場合)

[図データ]

図中の1.〜6.について説明します。

  1. 共有ディスクにN台分のパーティションを作成して,ファイルシステムを構築します。

    Windows Server Failover Clusterのクラスタ管理用ファイルの格納場所を作成します。また,N:1リカバリシステムではグローバルトランザクションを使用するため,トランザクション情報の格納場所を作成します。なお,クラスタ管理用ファイルの格納場所とトランザクション情報の格納場所は,同じパーティションでもかまいません。

  2. システムに共有ディスクを割り当てます。

    システムに共有ディスクを割り当てる際は,実行系と待機系で,同じドライブ文字を割り当ててください。

  3. 運用管理ポータルでクラスタサーバの環境を設定します。

    運用管理ポータルの「運用管理ドメインの構成定義」,および「論理サーバの環境設定」で,Windows Server Failover Clusterを使用する場合の設定をします。詳細は,「19.4.2 クラスタサーバの環境設定」を参照してください。

  4. 設定ファイルを編集します。

    運用管理エージェントやManagement Server,HTTP Serverなどの各種定義ファイルを設定します。詳細は,「19.4.3 設定ファイルの編集」を参照してください。

  5. クラスタを設定します。

    クラスタソフトウェアの環境を設定します。詳細については,「19.4.4 クラスタの設定」を参照してください。

  6. 運用管理ポータル,クラスタアドミニストレータなどで,アプリケーションサーバの設定をします。

    運用管理ポータル,クラスタアドミニストレータなどを使用して,アプリケーションサーバをクラスタ構成に配置し,J2EEアプリケーションやリソースアダプタを設定します。詳細は,「19.4.5 アプリケーションサーバの設定」を参照してください。