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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編


13.3.4 障害の監視の仕組み

JP1/IMの統合コンソールと統合スコープを使用して,アプリケーションサーバシステムで発生した障害を監視します。

〈この項の構成〉

(1) 障害の監視の仕組み

統合コンソールおよび統合スコープを使用することで,アプリケーションサーバシステム以外の要因で発生した障害も同じ画面で確認できるようになり,障害の影響範囲も特定しやすくなります。さらに,Windowsの場合は,アプリケーションサーバシステムで発生した障害の,調査および対処をするとき,障害の内容に応じたアプリケーションサーバの運用管理ポータル画面を,統合コンソールまたは統合スコープから直接表示できます。

JP1/IMと連携して障害を監視する場合は,次の準備が必要です。

JP1/IMと連携して障害監視をするために必要な準備
  • アプリケーションサーバシステムで発生する,どのようなエラーやインフォメーション情報をJP1/IMで監視したいのかを決めて,アプリケーションサーバの運用管理ポータル(「JP1連携の設定」画面)から定義しておきます(JP1イベントのフィルタリング設定)。

  • アプリケーションサーバシステムが出力するどのメッセージをJP1イベント発行対象にするかを運用方法に合わせて決定して,メッセージマッピング定義ファイルで設定,編集します。メッセージマッピング定義ファイルでの設定については,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「8.3 JP1/IM連携用システムログメッセージマッピングファイル」を参照してください。

  • アプリケーションサーバシステムが出力するメッセージごとの重要度を運用方法に合わせて決定して,運用管理ポータル(論理サーバの環境設定)で設定,編集します。設定,編集は任意です。運用管理ポータル(論理サーバの環境設定)での設定については,マニュアル「アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」の「8.2.7 JP1連携の設定(Management Serverの設定)」,および「10.8.25 JP1連携の設定(J2EEサーバ)」を参照してください。

  • JP1イベント発行対象のメッセージ,およびメッセージごとの重要度の両方を設定したい場合,メッセージマッピング定義ファイルと運用管理ポータルの両方で設定が必要です。

  • 統合スコープを使用した障害監視をする場合は,監視ツリーを生成しておきます。JP1/IMの統合スコープに表示する監視ツリーは,各ホストのJP1/Baseによって収集されてJP1統合運用管理サーバに集められた情報を基に自動生成されます。

    なお,統合コンソールだけを使用する場合は,監視ツリーの生成は不要です。

JP1/IMと連携した障害監視処理の流れを次の図に示します。

図13‒5 JP1/IMと連携した障害監視処理の流れ

[図データ]

  1. アプリケーションサーバシステムで発生したトラブルに関する障害情報は,JP1/Baseを経由して,JP1イベントとしてJP1統合運用管理サーバのJP1/IMに通知されます。

    • J2EEサーバで発生したトラブルに関する障害情報は,J2EEサーバホスト内のJP1/Baseを経由してJP1統合運用管理サーバに発行されます。

    • J2EEサーバ以外の論理サーバ(Webサーバやネーミングサービスなど)で発生したトラブルに関する障害情報は,運用管理エージェントによってアプリケーションサーバの運用管理サーバに収集されます。その後,運用管理サーバのJP1/Baseを経由して,JP1統合運用管理サーバに発行されます。

    なお,障害情報には,通知メッセージやJ2EEアプリケーションで出力されたユーザログのメッセージなども含まれます。

  2. J2EEサーバ,バッチサーバ,またはアプリケーションサーバの運用管理サーバからJP1イベントを受け取ったJP1統合運用管理サーバのJP1/IMによって,次のような処理が実行されます。

    • JP1/IMの自動アクション機能を使って運用管理者への通知を設定している場合は,トラブルが発生したことが運用管理者に通知されます。

    • 統合スコープの監視ツリーの状態が変化します。例えば,WebサーバやJ2EEサーバなど,業務に依存しない論理サーバレベルの障害の場合はすべての業務を対象にする該当論理サーバオブジェクトの状態が変化します。また,業務レベルの障害の場合は,該当するJ2EEアプリケーションの監視オブジェクトの状態が変化します。

  3. 通知を受け取った運用管理者は,統合コンソールや統合スコープから障害に対処します。

    障害の影響範囲を特定したい場合は,統合スコープを確認します。統合スコープには,障害の影響範囲が明示された監視ツリーが表示されます。また,詳細な障害の内容を知りたい場合は,統合コンソールを確認します。統合コンソールには,エラーメッセージなどが表示されます。さらに,Windowsの場合,アプリケーションサーバシステムで障害の原因究明や対策が必要なときは,Management Serverの運用管理ポータルの該当画面を表示して,調査や対策を実施します。

JP1イベントとして発行されるアプリケーションサーバシステムの障害情報を次に示します。

表13‒4 JP1イベントとして発行されるアプリケーションサーバシステムの障害情報

イベントの種類

説明

運用管理システム JP1イベント

Management Serverが出力した通知・障害メッセージをJP1イベントに変換したものです。変換は,メッセージマッピングファイルで指定したルールに従って実行されます。

主な内容は,J2EEサーバ,バッチサーバ,Webサーバ,ネーミングサービス,CTMなどの論理サーバでプロセス停止レベルの障害が発生した時や,各サーバが起動または停止した時の通知メッセージです。

発行されるJP1イベントのIDは,00012000〜0001207F(未割当てのIDあり)です。詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「8.3.4 JP1イベントへの変換」を参照してください。

なお,Management Serverの起動中に出力されるメッセージについては,JP1イベントが発行されない場合があります。

J2EEサーバシステム JP1イベント

J2EEサーバまたはバッチサーバが出力した通知・障害メッセージをJP1イベントに変換したものです。変換は,メッセージマッピングファイルで指定したルールに従って実行されます。

発行されるJP1イベントのIDは,00012080〜000120CF(未割当てのIDあり)です。詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「8.3.4 JP1イベントへの変換」を参照してください。

なお,Management Serverの起動中に出力されるメッセージについては,JP1イベントが発行されない場合があります。

J2EEサーバユーザ JP1イベント

J2EEアプリケーションが,ユーザログ出力機能によって出力した通知・障害メッセージをJP1イベントに変換したものです。

注 JP1/Baseのログファイルトラップを使用すると,アプリケーションサーバのログファイルに出力される情報をJP1イベントに変換できます。この場合,JP1/Baseのログファイルトラップで監視するログファイルの設定が必要になります。詳細は,「13.4.3 監視するログファイルの設定」を参照してください。

注※ ユーザログ出力機能については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編」の「8. アプリケーションのユーザログ出力」を参照してください。

(2) 運用管理ポータルの表示のされ方(Windowsの場合)

統合コンソールまたは統合スコープからは,次のようにして運用管理ポータルの画面が表示されます。なお,統合コンソールまたは統合スコープからの,運用管理ポータル画面の表示はWindowsの場合だけできます。