4.3.2 ORB機能使用時の設定(Microsoft Cluster Service)
ORB機能を使用するときに必要なIPアドレスとポート番号を設定します。
- 〈この項の構成〉
(1) osagentの設定(Microsoft Cluster Service)
osagentへのIPアドレスの設定について説明します。
(a) IPアドレスの設定(Microsoft Cluster Service)
Microsoft Cluster Service上でosagentを起動する場合,すべてのノードに次の定義ファイルを設定します。
-
localaddr
-
htc.clienthandleraddr
各定義ファイルの設定値は,シングルホームホスト環境か,またはマルチホームホスト環境かどうかによって異なります。以降,それぞれの環境での設定値について説明します。
- シングルホームホスト環境
-
シングルホームホスト環境で,Microsoft Cluster Serviceを使用したクラスタ環境を構築する場合に設定する値を次の表に示します。
表4‒1 シングルホームホスト環境の設定値(Microsoft Cluster Service) 項番
条件
localaddrファイル
htc.clienthandleraddrファイル
1
osagentをフェールオーバーの対象にする
-
実IPアドレス(プライマリIPアドレス)
-
サービスIPアドレス
-
サービスIPアドレス
2
osagentをフェールオーバーの対象にしない
-
実IPアドレス(プライマリIPアドレス)
-
実IPアドレス(プライマリIPアドレス)
それぞれの条件について説明します。
- osagentをフェールオーバーの対象にする場合
-
localaddrファイルには,実IPアドレス(プライマリIPアドレス)およびosagentが使用するサービスIPアドレスを必ず設定します。
また,osagentに接続するプロセスに対して,サービスIPアドレスを返却するようにhtc.clienthandleraddrファイルを定義します。
- osagentをフェールオーバーの対象にしない場合
-
localaddrファイルには,実IPアドレス(プライマリIPアドレス)を必ず設定します。サービスIPアドレスは設定しないでください。
また,osagentに接続するプロセスに対して,実IPアドレス(プライマリIPアドレス)を返却するようにhtc.clienthandleraddrファイルを定義します。
-
- マルチホームホスト環境
-
マルチホームホスト環境で,Microsoft Cluster Serviceを使用したクラスタ環境を構築する場合に設定する値を次の表に示します。
表4‒2 マルチホームホスト環境の設定値(Microsoft Cluster Service) 項番
条件
localaddrファイル
htc.clienthandleraddrファイル
1
osagentをフェールオーバーの対象にする
-
実IPアドレス(プライマリIPアドレス)
-
osagentに明示的に指定したいIPアドレス
-
サービスIPアドレス
-
サービスIPアドレス
2
osagentをフェールオーバーの対象にしない
-
実IPアドレス(プライマリIPアドレス)
-
osagentに明示的に指定したいIPアドレス
-
実IPアドレス(プライマリIPアドレス)
それぞれの条件について説明します。
- osagentをフェールオーバーの対象にする場合
-
localaddrファイルには,実IPアドレス(プライマリIPアドレス),osagentに明示的に指定したいIPアドレス,およびosagentが使用するサービスIPアドレスを設定します。
また,osagentに接続するプロセスに対して,サービスIPアドレスを返却するようにhtc.clienthandleraddrファイルを定義します。
- osagentをフェールオーバーの対象にしない場合
-
localaddrファイルには,実IPアドレス(プライマリIPアドレス)およびosagentに明示的に指定したいIPアドレスを必ず設定します。サービスIPアドレスは設定しないでください。
また,osagentに接続するプロセスに対して,実IPアドレス(プライマリIPアドレス)を返却するようにhtc.clienthandleraddrファイルを定義します。
- 注意
-
osagentは,localaddrファイルに設定されたIPアドレスだけを認識します。localaddrファイルを設定しない場合,osagentはデフォルトでgethostbyname()から得られるIPアドレスを認識します。
-
(2) osagentの接続に関する設定(Microsoft Cluster Service)
Microsoft Cluster Serviceを使用したクラスタ環境でosagentを起動する場合,次に示す環境変数およびオプションの設定がosagentに必要です。
-
環境変数名:OSAGENT_CLIENT_HANDLER_PORT
環境変数の設定方法については,マニュアル「Borland Enterprise Server VisiBroker デベロッパーズガイド」を参照してください。
-
オプション:-m
osagentの起動時に,コマンドの引数としてこのオプションを設定します。
このオプションは,Microsoft Cluster Serviceを使用したクラスタ環境で,osagentをフェールオーバーの対象とする場合だけ必須です。
(3) サーバの設定(Cosminexus TPBroker)(Microsoft Cluster Service)
Cosminexus TPBrokerで,ネーミングサービスをフェールオーバーの対象とする場合,次の設定をしてください。
-
プロパティvbroker.se.iiop_tp.host
エイリアスIPアドレスまたはエイリアスホスト名を設定します。
-
プロパティvbroker.se.iiop_tp.scm.iiop_tp.listener.port
任意のポート番号を設定します。
使用するポート番号は,すべてのノードで同じポート番号が使用できるように管理する必要があります。
(4) サーバの設定(TPBroker Developer,またはTPBroker)(Microsoft Cluster Service)
TPBroker Developer,またはTPBrokerでは,次の設定をしてください。
-
プロパティvbroker.se.<xxx>.host
エイリアスIPアドレス,またはエイリアスホスト名を設定します。
-
プロパティvbroker.se.<xxx>.scm.<yyy>.listener.port
任意のポート番号を設定します。
使用するポート番号は,すべてのノードで同じポート番号が使用できるように管理する必要があります。
プロパティ名で,xxxはサーバエンジン,yyyはサーバコネクションマネージャを示します。
(5) ORB機能使用時の設定例(Microsoft Cluster Service)
ここで示す設定例は,シングルホームホスト環境です。
(a) osagentをフェールオーバーの対象にする場合(Microsoft Cluster Service)
osagentをフェールオーバーの対象にする場合の,ORB機能の使用時の設定例について説明します。
- システム構成の例
-
ORB機能使用時のシステム構成の例を次の図に示します。
図4‒1 osagentをフェールオーバーの対象にする場合のシステム構成例(Microsoft Cluster Service) - IPアドレスの設定例
-
上記の図で示すシステム構成例でのIPアドレスの設定例を示します。
-
ホストA(現用系)のIPアドレスの設定
・localaddrファイル
"A.A.A.A subnet broadcast"(ホストAの実IPアドレスを設定)
"C.C.C.C subnet broadcast"(サービスIPアドレスを設定)
・htc.clienthandleraddrファイル
"F.F.F.F subnet C.C.C.C"(クライアントの実IPアドレスにサービスIPアドレスを設定)
-
ホストB(待機系)のIPアドレスの設定
・localaddrファイル
"B.B.B.B subnet broadcast"(ホストBの実IPアドレスを設定)
"C.C.C.C subnet broadcast"(サービスIPアドレスを設定)
・htc.clienthandleraddrファイル
"F.F.F.F subnet C.C.C.C"(クライアントの実IPアドレスにサービスIPアドレスを設定)
-
ホストCのIPアドレスの設定
・agentaddrファイル
"C.C.C.C"(サービスIPアドレスを設定)
-
ホストAおよびホストBで起動するosagent
・環境変数OSAGENT_CLIENT_HANDLER_PORT
・-mオプション(osagentの起動時にコマンドの引数として設定)
-
(b) osagentをフェールオーバーの対象にしない場合(Microsoft Cluster Service)
osagentをフェールオーバーの対象にしない場合の,ORB機能の使用時の設定例について説明します。
- システム構成の例
-
ORB機能使用時のシステム構成の例を次の図に示します。
図4‒2 osagentをフェールオーバーの対象にしない場合のシステム構成例(Microsoft Cluster Service) - IPアドレスの設定例
-
上記の図で示すシステム構成例でのIPアドレスの設定例を示します。
-
ホストA(現用系)のIPアドレスの設定
・localaddrファイル
"A.A.A.A subnet broadcast"(ホストAの実IPアドレスを設定)
・htc.clienthandleraddrファイル
"F.F.F.F subnet A.A.A.A"(クライアントの実IPアドレスにホストAの実IPアドレスを設定)
-
ホストB(待機系)のIPアドレスの設定
・localaddrファイル
"B.B.B.B subnet broadcast"(ホストBの実IPアドレスを設定)
・htc.clienthandleraddrファイル
"F.F.F.F subnet B.B.B.B"(クライアントの実IPアドレスにホストBの実IPアドレスを設定)
-
ホストCのIPアドレスの設定
・agentaddrファイル
"A.A.A.A"(ホストAの実IPアドレスを設定)
"B.B.B.B"(ホストBの実IPアドレスを設定)
-
ホストAおよびホストBで起動するosagent
・環境変数OSAGENT_CLIENT_HANDLER_PORT
-