Cosminexus V9 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム システム構築・運用ガイド

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付録H.4 ローリングアップデートで運用環境のリポジトリを移行する手順

ローリングアップデートとは,システムを全面停止しないで,更新インストールで移行する方法です。

ローリングアップデートで移行する場合,2台以上のHCSCサーバでロードバランスクラスタを構成している必要があります。

次の図に示す「(1) リポジトリのエクスポート(運用環境)」〜「(13) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)」の手順に従って,サービスプラットフォームを旧バージョンから09-87へ移行してください。

図H-3 ローリングアップデートの場合の移行手順(運用環境だけを移行する場合)

[図データ]

図H-3の「(1) リポジトリのエクスポート(運用環境)」〜「(13) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)」の手順の詳細と,2台目以降のHCSCサーバ(実行環境)に対して実施する作業を次に示します。

なお,手順内で使用するコマンドの詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「5. コマンド(運用環境・実行環境)」を参照してください。

注意
ローリングアップデートでの移行が完了するまで,旧バージョンのシステムに対して,次の操作はできません。
  • cscsvsetupコマンドで,新規にHCSCサーバをセットアップする
  • csccompodeployコマンドで,新規にHCSCコンポーネントを配備する
<この項の構成>
(1) リポジトリのエクスポート(運用環境)
(2) 運用環境のインストール
(3) 製品のアンインストール(運用環境)
(4) リクエストの送信制御(ロードバランサ)
(5) 実行環境のインストール(実行環境)
(6) J2EEサーバのクラスパスの変更(実行環境)
(7) 旧オプションアダプタの定義ファイルの移行(実行環境)
(8) 製品のアンインストール(実行環境)
(9) サービスプラットフォームおよびReliable Messagingの移行(実行環境)
(10) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)
(11) HCSCサーバの起動(運用環境)
(12) HCSCコンポーネントの開始(運用環境)
(13) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)
(14) 2台目以降のHCSCサーバ(実行環境)に対しての作業
(15) ローリングアップデートで移行する場合の注意事項

(1) リポジトリのエクスポート(運用環境)

バージョンアップ前の運用環境のリポジトリをエクスポートして,いったん退避します。複数のリポジトリを使用している場合は,すべてのリポジトリをエクスポートして退避します。

cscrepctlコマンド(-exportオプション)を運用環境で実行して,バージョンアップ前のリポジトリをエクスポートしてください。

リポジトリのエクスポート方法の詳細については,「4.2 リポジトリのエクスポート」を参照してください。

(2) 運用環境のインストール

運用環境で09-87のサービスプラットフォームをインストールしてバージョンアップします。運用環境は,新規インストールまたは更新インストールでインストールします。

新規にインストールする場合
付録H.2 新規にインストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の「(2) HCSCコンポーネントの削除(運用環境)」〜「(5) 各環境のインストール」の作業を実施します。

更新インストールする場合
付録H.3 更新インストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の「(1) 各環境の更新インストール」の作業を実施します。

注意
更新インストールする場合,インストールする環境で,J2EEサーバ,Management Server,PRFなどのサービスプラットフォーム実行環境が稼働中の場合は,すべていったん停止してから更新インストールしてください。

インストールするときの前提条件を次に示します。

前提条件
  • HCSCサーバがセットアップ済みであること
  • サービスプラットフォームおよびReliable Messagingが停止していること
  • 組み込みデータベースを使用している場合,組み込みデータベースを停止していること
  • HCSCサーバ,J2EEサーバ,およびHCSCコンポーネントが停止していること

(3) 製品のアンインストール(運用環境)

09-00より前のバージョンから移行する場合,次の製品をアンインストールします。これらは09-00以降でサービスプラットフォームに同梱されるため,アンインストールすることをお勧めします。

(4) リクエストの送信制御(ロードバランサ)

バージョンアップするHCSCサーバに対してリクエストを送信しないように,ロードバランサを設定します。その際,仕掛かり中のリクエストがないことを確認してください。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。

(5) 実行環境のインストール(実行環境)

実行環境で,09-87のサービスプラットフォームをインストールしてバージョンアップします。

実行環境は,新規インストールまたは更新インストールのどちらかの方法でインストールします。

新規にインストールする場合
付録H.2 新規にインストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の「(2) HCSCコンポーネントの削除(運用環境)」〜「(6) HCSCサーバの構築(運用環境)」の作業を実施します。

更新インストールする場合
付録H.3 更新インストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の「(1) 各環境の更新インストール」の作業を実施します。

(6) J2EEサーバのクラスパスの変更(実行環境)

09-00より前のバージョンから移行する場合,J2EEサーバ用オプション定義ファイル(usrconf.cfg)に次に示す定義があれば削除してください。定義の変更はSmart Composer機能または運用管理ポータルの使用をお勧めします。

(7) 旧オプションアダプタの定義ファイルの移行(実行環境)

09-00より前で使用していたオプションアダプタを移行する場合,次の作業を実施してください。

(a) TP1アダプタの定義ファイルの移行

TP1アダプタ実行環境プロパティファイルをコピーします。コピー対象のファイルと,コピー先のディレクトリを次に示します。

コピー対象:<TP1アダプタのインストールディレクトリ>\config\*.properties

コピー先:<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\custom-adapter\TP1\config\

(b) ファイルアダプタの定義ファイルの移行

ファイルアダプタ実行環境プロパティファイルをコピーします。コピー対象のファイルと,コピー先のディレクトリを次に示します。

コピー対象:<ファイルアダプタのインストールディレクトリ>\config\*.properties

コピー先:<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\custom-adapter\File\config\

(c) Object Accessアダプタの定義ファイルの移行

Object Accessアダプタ実行環境プロパティファイルをコピーします。コピー対象のファイルと,コピー先のディレクトリを次に示します。

コピー対象:<Object Accessアダプタのインストールディレクトリ>\config\*.properties

コピー先:<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\custom-adapter\OA\config\

(d) Message Queueアダプタの定義ファイルの移行

Message Queueアダプタ実行環境プロパティファイルをコピーします。コピー対象のファイルと,コピー先のディレクトリを次に示します。

コピー対象:<Message Queueアダプタのインストールディレクトリ>\config\*.properties

コピー先:<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\custom-adapter\MQ\config\

(e) FTPアダプタの定義ファイルの移行

FTPアダプタコマンド定義ファイルとFTPアダプタ実行環境プロパティファイルをコピーします。コピー対象のファイルと,コピー先のディレクトリを次に示します。

コピー対象:<FTPアダプタのインストールディレクトリ>\config\*.properties

コピー先:<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\custom-adapter\FTP\config\

(8) 製品のアンインストール(実行環境)

09-00より前のバージョンから移行する場合,次の製品をアンインストールします。これらは09-00以降でサービスプラットフォームに同梱されるため,アンインストールすることをお勧めします。

(9) サービスプラットフォームおよびReliable Messagingの移行(実行環境)

次の手順でサービスプラットフォームおよびReliable Messagingを移行してください。09-00より前のバージョンから移行する場合は,次の作業も必要です。

サービスプラットフォームの移行方法の詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「10. 旧バージョンのアプリケーションサーバからの移行(J2EEサーバモードの場合)」を参照してください。

(10) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)

運用環境から実行環境のバージョンアップを実施します。

(a) 前提条件

実行環境をバージョンアップするには,次の条件を満たしている必要があります。

前提条件を満たしていない場合,上記の順番で起動,停止,およびバージョンアップを実施してください。

(b) バージョンアップ方法

cscenvupdateコマンドを実行して,リポジトリとHCSCサーバをバージョンアップします。

 
cscenvupdate -csc <バージョンアップするHCSCサーバ名>
 

(11) HCSCサーバの起動(運用環境)

バージョンアップしたHCSCサーバを起動します。

(12) HCSCコンポーネントの開始(運用環境)

(10) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)」で起動したHCSCサーバに配備されているHCSCコンポーネントを開始します。

(13) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)

バージョンアップしたHCSCサーバに対してリクエストを送信するように,ロードバランサを設定します。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。

(14) 2台目以降のHCSCサーバ(実行環境)に対しての作業

ロードバランスクラスタを構成しているすべてのHCSCサーバに対して,「(4) リクエストの送信制御(ロードバランサ)」〜「(13) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)」の作業を実施します。

 

なお,旧バージョンで使用していたリポジトリ情報を開発環境でバージョンアップ前後に変更し,そのリポジトリ情報を使用して運用する場合のバージョンアップ方法については,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 基本開発編」の「付録A 旧バージョンからの移行」を参照してください。

(15) ローリングアップデートで移行する場合の注意事項

ローリングアップデートで移行する場合の注意事項は,開発環境,運用環境および実行環境のバージョンアップ時と同じです。ローリングアップデートで移行する場合の注意事項については,「付録G.4(15) ローリングアップデートで移行する場合の注意事項」を参照してください。