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 ボリュームミラーリング クイックリファレンス 


1.3.5 優先パス/非優先パスの設定

GAD構成でサーバとストレージシステムを接続する交替パスで、短距離のストレートパスと長距離のクロスパスがある場合、パスによってI/Oの性能に差が発生します。短距離のストレートパスを優先してI/Oを発行するように設定することで、効率の悪い長距離のクロスパスへのI/Oを抑止でき、システム全体としてI/Oの性能を向上できます。

[図データ]
〈この項の構成〉

(1) ALUAを使用した優先パス/非優先パスの設定

クロスパス構成の場合に、ALUA(Asymmetric Logical Unit Access)を使用すると、どのパスを優先的に使用してサーバからストレージシステムへI/Oを発行するかを指定できます。どのパスを優先的に使用してサーバからストレージシステムへI/Oを発行するかを指定するためには、ストレージシステムでALUAモードを有効にして、どのパスを優先して使用するかを設定する必要があります。この設定を、非対称アクセス状態と呼びます。

ストレージシステムでALUAモードおよび非対称アクセス状態を設定したあとは、サーバを再起動します。サーバを再起動すると、サーバがALUAモードおよび非対称アクセス状態を認識し、どのパスにI/Oを発行するかをコントロールできるようになります。なお、非対称アクセス状態の変更やパス障害が発生した場合にI/Oを発行するパスの切り替えは、サーバがコントロールします。

(2) HDLMを使用した優先パス/非優先パスの設定

Hitachi Dynamic Link ManagerHitachi Dynamic Link Manager(HDLM)の場合、ホストモードオプションを指定することで、ALUAを使用しなくても、通常時に使用する交替パスを指定できます。障害発生時に使用するパス(非優先パス非優先パス)を指定するためには、ホストモードオプション78ホストモードオプション78(The non-preferred path option)の設定が必要です。

例えば、クロスパス構成でサーバとストレージシステムを接続しているときは、正サイトのサーバと副サイトのストレージシステム、および副サイトのサーバと正サイトのストレージシステムの距離が離れているため、I/Oの応答時間が長く掛かります。この場合、通常は正サイトのサーバと正サイトのストレージシステム、および副サイトのサーバと副サイトのストレージシステム間のパスを使用するように設定します。通常時に使用するように設定したパスに障害が発生した場合だけ、正サイトのサーバと副サイトのストレージシステム、および副サイトのサーバと正サイトのストレージシステム間のパスを使用するようにします。

ストレージシステムの設定をHDLMに反映すると、ホストモードオプション78を設定しているパスは、HDLMのパスの属性がノンオーナパスに変わります。ホストモードオプション78を設定していないパスは、HDLMのパスの属性がオーナパスに変わります。詳細は、バージョン8.0.1以降のHDLMのマニュアルを参照してください。