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 ボリュームミラーリング クイックリファレンス 


1.1.23 Quorumディスクが閉塞またはQuorumディスクにボリュームを設定しない構成時のサーバI/Oとのデータ二重化の動作

Quorumディスクに障害が発生した場合またはQuorumディスクにボリュームを設定しない場合の、サーバからのI/OとGADペアのデータ二重化の動作について説明します。

Quorumディスクの作成時に、LDEVを設定しないオプションを有効にし、作成したQuorum IDでGADペアを作成した場合

プライマリボリュームを閉塞してもセカンダリボリュームで業務を継続できます。

〈この項の構成〉

(1) ファームウェアバージョン83-04-0X-XX/XX以降で作成、再同期、またはスワップリシンクしたGADペアの場合

正サイトと副サイトの両方のストレージシステムのファームウェアバージョンが83-04-0X-XX/XX以降で、作成、再同期、またはスワップリシンクしたGADペアに対するサーバからのI/OとGADペアのデータの二重化の動作について説明します。

ペア状態がPAIRのときにQuorumディスクの閉塞を検知した場合またはペア状態がPAIRでQuorumディスクにボリュームを設定しない構成の場合

正サイトと副サイトのストレージシステム間のリモートパスで通信します。プライマリボリュームおよびセカンダリボリュームのペア状態とI/Oモードは、PAIR(Mirror(RL))を維持するため、プライマリボリュームおよびセカンダリボリュームでサーバからのI/Oを継続します。また、正サイトと副サイトのストレージシステムの間のリモートパスを使用してデータ二重化を維持します。

ペア状態がINIT/COPYのときにQuorumディスクの閉塞を検知した場合

プライマリボリュームでサーバからのI/Oを継続します。ただし、ペア状態がCOPYになった直後に、Quorumディスクの閉塞を検知した場合は、ペアが中断することがあります。

ペア状態がINIT/COPYのときにQuorumディスクにボリュームを設定しない構成の場合、プライマリボリュームでサーバからのI/Oを継続します。

ペアが中断しているとき(ペア状態がPSUS、PSUE、SSWSまたはSSUS)にQuorumディスクの閉塞を検知した場合またはペア状態が中断しているときにQuorumディスクにボリュームを設定しない構成の場合

I/OモードがLocalのボリュームでサーバからのI/Oを継続します。I/OモードがBlockのボリュームへのI/Oは停止したままです。また、データ二重化は中断したままです。

Quorumディスクが閉塞したあとにリモートパスの切断を検知した場合またはQuorumディスクにボリュームを設定しない構成でリモートパスの切断を検知した場合

Quorumディスクが閉塞したあとのリモートパスの切断、またはQuorumディスクでボリュームを設定しない構成でリモートパスの切断のタイミングでペアが中断し、プライマリボリュームのペア状態とI/OモードがPSUE(Local)、セカンダリボリュームのペア状態とI/OモードがPAIR(Block)に変わります。プライマリボリュームでサーバからのI/Oを継続します。ただし、Quorumディスクが閉塞したあとまたはQuorumディスクにボリュームを設定しない構成時に、リモートパスが切断されるタイミングによっては、GADペアが中断して、プライマリボリュームおよびセカンダリボリュームのペア状態とI/OモードがPSUE(Block)に変わることがあります。

セカンダリボリュームのペア状態とI/OモードがPAIR(Block)に変わるまでの間、データの読み取りで遅延が発生することがあります。遅延の影響を減らしたい場合は、Quorum監視停止時Read応答保証時間を短く設定すると、データの読み取りの遅延を最小限に抑えることができます。ただし、リモートパスが切断されてペアが中断されるまでの時間も短くなります。

早期にリモートパスの回復を図るため、リモートパスが切断されたあとにすぐペアを中断させたくない場合は、Quorum監視停止時Read応答保証時間を長く設定してください。ただし、サーバのタイムアウト時間よりも長く設定した場合、サーバでタイムアウトが発生するおそれがあります。

Quorum監視停止時Read応答保証時間の推奨値を次に示します。パス閉塞監視、Quorum監視停止時Read応答保証時間、およびRIO MIH時間の設定値を変更する手順については、関連項目を参照してください。

パス閉塞監視の設定値(秒)

Quorum監視停止時Read応答保証時間の推奨設定値(秒)

40(デフォルト)

40(デフォルト)

2~5

5

6~25

6~25

26~44

26~44

45

45

注※

MP障害やパスの障害によって、リモートパスによる一時的な通信ができない場合、GADペアが中断するおそれがあります。これを回避する場合、Quorum監視停止時Read応答保証時間を、RIO MIH時間よりも十分に大きい値にするか、25秒以上に設定してください。ただし、データの読み取りが、Quorum監視停止時Read応答保証時間の設定値の時間まで遅延するおそれがあります。

Quorum監視停止時Read応答保証時間は、パス閉塞監視と同じ時間を設定することを推奨します。セカンダリボリュームのペア状態とI/OモードがPSUE(Block)に変わるまでの間、データの読み取りの遅延を、Quorum監視停止時Read応答保証時間の設定値以内に抑えます。ただし、パス閉塞監視の設定値が5秒以下の場合、Quorum監視停止時Read応答保証時間を5秒に設定してください。

Quorum監視停止時Read応答保証時間を46秒以上に設定すると、リモートパスの障害によるGADペアの中断を回避しやすくなります。Quorum監視停止時Read応答保証時間を46秒以上に設定する場合、ホストI/Oのアプリケーションのタイムアウト時間が、設定値よりも大きいことを確認してください。また、リモートパスが複数あることを確認してください。リモートパスは4本以上あることを推奨します。ただし、データの読み取りが、Quorum監視停止時Read応答保証時間の設定値の時間まで遅延するおそれがあります。

メモ

ファームウェアバージョン83-03-3X-XX/XX以前に作成したGADペアの場合でも、正サイトと副サイトの両方のストレージシステムのファームウェアバージョンが83-04-0X-XX/XX以降でGADペアを再同期、またはスワップリシンクを実施すると、ファームウェアバージョン83-04-0X-XX/XX以降で作成したGADペアと同様の動作になります。