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 パフォーマンス最適化 クイックリファレンス 


1.13.4 QoSによる下限値制御

QoSの下限値制御は、I/O要求をしたサービスに対して、下限値以上のパフォーマンスが提供できるようにする機能です。下限値はすべてのボリュームに設定します。設定する値は、それぞれのボリュームのI/Oの量に基づいて決めてください。

各ボリューム(ボリューム #0~3)に対するホストからのI/O 要求が少ない場合は、下限値制御の必要がなく、機能が動作しません。

[図データ]

上記の状態で、特定のボリューム(ボリューム #0)に対するホストからのI/O 要求が、ボリューム #0の下限値以上のスループットが必要になるまで増えると、ボリューム #0のスループットは、下限値を満たしていない状態(ボリューム #0のA)になります。このため、ボリューム #0にI/Oの起動順序を優先的に割り当てて、下限値を満たすように制御します(ボリューム #0のB)。さらに、他のボリューム(ボリューム #1~3)に対するホストからのI/O 要求が少なく 、ボリューム #1~3のスループットが下限値を満たす必要がないなど(ボリューム #1~3のC)、全体のI/O処理に余裕がある場合、ボリューム #0に設定されている下限値を超えて、ボリューム #0のI/Oを処理します(ボリューム #0のD)。

[図データ]

上記の状態で、ボリューム #1~3に対するホストからのI/O 要求も増えると、ボリューム #1~3にI/Oの起動順序を優先的に割り当てて、下限値を満たすように制御します(ボリューム の#1~3 のE)。ボリューム #0は、すでにスループットが下限値を超えているため、I/Oの起動順序が下げられます。これにより、スループットを下限値付近まで下げます(ボリューム #0のF)。

[図データ]

これにより、各ボリュームのスループットを下限値に近づけます。

下限値制御には、I/O レートによる制御、転送レートによる制御、I/O レートと転送レートの両方による制御があります。I/O レートと転送レートの両方による下限値制御の場合、各ボリュームのI/Oレートと転送レートの両方を監視して、I/O要求があったときに、どちらかが下限値に満たない状態のボリュームを優先してI/O処理を実行します。

QoS下限値制御の設定範囲を次に示します。

項目

I/Oレート(IOPS)

転送レート(MB/s)

下限値設定範囲

10~2,147,483,647

1~2,097,151

注意
  • 下限値は、LUNパスを設定したすべてのボリュームに設定してください。下限値が設定されていないボリュームがあると、そのボリュームに対するI/O処理が優先されてしまうため、期待する効果が得られません。

  • ストレージシステムの能力以上の下限値を設定すると、期待する効果を得られません。

    1.14.1 QoSの操作」を参照して、ストレージシステムの能力を考慮した値を設定してください。

メモ

QoSによって下限値制御されるのは、ホストとストレージシステム間のI/Oです。対象ボリュームをリモートコピーのペアボリュームとして使用する場合に、ストレージシステム間のI/Oの下限値制御は行われません。