1.6.5 コマンドファイルの用意
エクスポートツールを実行するには、モニタリングデータを保存するための一連の処理をスクリプトで記述する必要があります。スクリプトを記述するときには、エクスポートツール専用のサブコマンドをファイルに書き込みます。サブコマンドが書き込まれるファイルをコマンドファイルといいます。エクスポートツールを実行すると、コマンドファイルに記述されているサブコマンドが1つずつ順番に実行されます。その結果、モニタリングデータがファイルに保存されます。
コマンドファイルの例を次に示します。
1 ip 158.214.135.57:1099 ; SVPのIPアドレスおよび接続ポート番号を指定します。
2 dkcsn 123456 ; 取得対象DKCの装置製番を指定します。
3 login expusr passwd ; ストレージシステムにログインします。
4 show ; ストレージシステムに蓄積されているモニタリングデータ
; の期間を標準出力に表示します。
5 group PhyPG ; エクスポートしたいデータの種類と保存する期間を指定
; します。
6 group RemoteCopy ; エクスポートしたいデータの種類を指定します。
7 range 200610010850:200610010910
8 outpath out ; ファイルの保存先ディレクトリを指定します。
9 option compress ; ファイルを圧縮して保存するかどうかを指定します。
10 apply ; モニタリングデータのファイル保存を実行します。
上記のスクリプトで、セミコロン(;)はコメントの始まりを示しています。セミコロンから行末までの文字はコメントと見なされます。
上記のコマンドファイルに記述されたスクリプトの意味を、次に説明します。
1:ip 158.214.135.57:1099
エクスポートツールを実行するには、SVPに接続してストレージシステムにログインする必要があります。このスクリプトでは、 158.214.135.57 というIP アドレスを持っているSVPに対し、ポート番号を1099番(RMIIFRegistのデフォルトポート)で接続するように指定しています。
ipサブコマンドは、どのSVPに接続するかを指定します。コマンドファイルには必ずipサブコマンドを記述してください。ipサブコマンドの構文については、ipサブコマンドを説明している項を参照してください。
エクスポートツールでは、次に示すディレクトリの下に、 ipサブコマンドで指定されている値の名称でディレクトリが作成されます。
-
Windowsコンピュータの場合:export\lib
-
UNIXコンピュータの場合:export/lib
ipサブコマンドで指定されている値がIPアドレスの場合、16進数の値がディレクトリ名として指定されます。このとき、ピリオド(.)およびコロン(:)は含まれません。ホスト名の場合は、指定されているサーバのIPアドレスが、ディレクトリ名として指定されます。
作成されるディレクトリの名称について、例を次に示します。
ipサブコマンドで指定されている値 |
作成されるディレクトリ名 |
---|---|
ipサブコマンドの値が「ip 158.214.135.57」(IPv4環境の場合) |
9ED68739 |
ipサブコマンドの値が「ip 0000:0000:0020:00B4:0000:0000:9ED6:874」(IPv6環境の場合) |
00000000002000B4000000009ED68740 |
ipサブコマンドの値が「ip host01」(host01のIPアドレスが「158.214.135.57」の場合) |
9ED68739 |
2:dkcsn 123456
このスクリプトでは、モニタリングデータを取得する装置の装置製番を指定しています。dkcsnサブコマンドはどの装置からモニタリングデータを取得するべきかを指定します。コマンドファイルには必ずdkcsnサブコマンドを記述してください。
3:login expusr passwd
このスクリプトでは、ユーザIDとパスワードを指定してストレージシステムにログインしています。ユーザIDはexpusr、パスワードはpasswdです。
loginサブコマンドは、ストレージシステムにログインするためのサブコマンドです。コマンドファイルには必ずloginサブコマンドを記述してください。
- 注意
-
loginサブコマンドを記述するときには、必ずエクスポートツール専用のユーザIDを指定してください。
4:show
showサブコマンドは、SVPに蓄積されているモニタリングデータの期間とモニタ間隔を調べて、標準出力(コマンドプロンプトなど)とログファイルに出力します。
showサブコマンドはモニタリングデータの蓄積期間を表示します。showサブコマンドの出力例を下記に示します。
Range From : 2006/10/01 01:00 - To: 2006/10/01 15:00 Interval : 1min.
上記の例の場合では2006年10月1日の1時から15時までの間、1分おきのデータを蓄積しています。この蓄積範囲内のモニタリングデータは、ユーザがファイルに保存できます。
showサブコマンドの記述は必須ではありませんが、特に理由がなければコマンドファイルにはshowサブコマンドを記述するようお勧めします。showコマンドを記述しておくと、エクスポートツールでエラーが発生したときに、ログファイルからエラーの原因を特定できることがあります。
5および 6:group PhyPGおよび group RemoteCopy
groupサブコマンドは、ファイルに保存したいデータを指定するサブコマンドです。groupのあとに、保存するデータの種類をオペランドで指定します。
この節の最初に提示したコマンドスクリプトでは、group RemoteCopyは、TrueCopyおよびglobal-active deviceによるリモートコピー関連のモニタリングデータをファイルに保存するよう指定しています。このように、groupサブコマンドを複数行指定することで、複数の項目のファイル保存を同時に実行できます。
7:range 200610010850:200610010910
rangeサブコマンドは、いつからいつまでのデータをファイルに保存したいかを指定します。実際に蓄積されたモニタリングデータのうち、ファイルに保存したい期間を絞り込みたいときに使用します。
range サブコマンド
rangeサブコマンドは、groupサブコマンドで指定できる、すべての項目に対して利用できます。showサブコマンドで出力される「Range From XXX To XXX」の範囲内の期間を指定してください。
コマンドスクリプトの例の場合、「range 200610010850:200610010910」というスクリプトは、2006年10月1日の8時50分から9時10分までの期間を指定しています。この指定は、この例ではgroup RemoteCopyサブコマンドに対して適用されます。エクスポートツールの実行時は、この期間内のTrueCopyおよびglobal-active deviceによるリモートコピー関連のモニタリングデータがファイルに保存されます。
rangeサブコマンドを指定しない場合は、蓄積されたすべてのデータ(showサブコマンドで表示された期間のデータ)がファイルに保存されます。
8:outpath out
このスクリプトでは、カレントディレクトリ内のoutディレクトリへファイルを保存するよう指定しています。
outpathサブコマンドは、モニタリングデータのファイル保存先となるディレクトリを指定します。
9:option compress
このスクリプトでは、モニタリングデータをZIP形式に圧縮してからファイルに保存するよう指定しています。
optionサブコマンドは、モニタリングデータをZIP形式に圧縮してからファイルに保存するのか、それとも圧縮せずにCSV形式で保存するのかを指定するサブコマンドです。
10:apply
applyサブコマンドは、モニタリングデータをファイルに保存します。
エクスポートツールをインストールすると、command.txtというファイルが格納されます。command.txtファイルには、コマンドファイルのサンプルスクリプトが記述されています。コマンドファイルを作成するときは、サブコマンドの構文を調べながら、自分のニーズに合わせてcommand.txtのスクリプトを書き換えるとよいでしょう。