2.8.3 パスの状態遷移
「2.8 パス切り替えによるフェールオーバーとフェールバック」で説明した稼働状態と閉塞状態は,さらにそれぞれ2つの状態に分けられます。4つの状態を,稼働状態に含まれるものと閉塞状態に含まれるものとに分けて説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 稼働状態
稼働状態に含まれるものを次に示します。
Online状態
正常にI/Oを発行できます。
Online(E)状態
パスに障害が発生しています。また,同じLUにアクセスするほかのパスのうちに,Online状態のパスがありません。
1つのLUにアクセスするパスのうちにOnline状態のパスがなくなった場合,パスの1つはOnline(E)状態になります。1つのLUにアクセスするパスがすべて閉塞状態になることはありません。これは,LUにアクセスできなくなることを防ぐためです。Online(E)の「E」は,エラー属性を示します。エラー属性とは,パスに障害が発生していることを示すものです。
(2) 閉塞状態
閉塞状態に含まれるものを次に示します。
Offline(C)状態
offlineオペレーションの実行によって,パスが閉塞状態になっています。offlineオペレーションについては,「6.4 offline パスを閉塞状態にする」を参照してください。
Offline(C)の「C」は,コマンド属性を示します。コマンド属性とは,コマンドの操作によって,パスが閉塞状態になっていることを示すものです。
Offline(E)状態
障害が発生したため,パスが閉塞状態になっています。
Offline(E)の「E」は,エラー属性を示します。エラー属性とは,パスに障害が発生していることを示すものです。
(3) パスの状態遷移
パスの状態遷移を次の図に示します。
- (凡例)
オンライン操作:HDLMコマンドのonlineオペレーションの実行
オフライン操作:HDLMコマンドのofflineオペレーションの実行
- 注※1
次の場合も,LUにI/Oが連続して発行され,I/Oが成功すると,Online(E)からOnlineに遷移します。
自動フェールバック機能が無効の場合。
自動フェールバック機能が有効で,間欠障害と見なされたパスの場合。
- 注※2
同じLUにアクセスするほかのパスの中に,OnlineまたはOffline(E)のパスがある場合です。
- 注※3
パスの状態が遷移する契機は,障害が発生しているパスにI/Oが発行された時です。
- 注※4
パスの状態が遷移する契機は,障害が発生しているパスにI/Oが発行された時,またはパスヘルスチェックによってHDLMがパス障害を検知した時です。パスヘルスチェックについては,「2.10 パスヘルスチェックによる障害検出」を参照してください。
各LUに対する最後の稼働状態のパスは,offlineオペレーションでは閉塞状態にできません。これは,LUにアクセスできなくなることを防ぐためです。offlineオペレーションについては,「6.4 offline パスを閉塞状態にする」を参照してください。
1つのLUにアクセスするパスの中に,Onlineのパスがなくなった場合,パスの1つがOnline(E)になります。自動フェールバック機能を使用している場合,パスが障害から回復すると,Online(E)のパスは自動的にOnlineになります。ただし,間欠障害を監視している場合,間欠障害と見なされたパスは,自動フェールバック機能ではOnlineになりません。この場合,パスを手動でOnlineにしてください。
- 注意事項
HDLMコマンドを使用してパスのオフライン操作を行った直後にパスに障害が発生すると,一度Offline(C)となった状態がOffline(E)に遷移する場合があります。オフライン操作を実行した場合は,一定時間(1分程度)待ってから再度HDLMコマンドを使用してパスの状態を確認し,Offline(C)になっていることを確認してください。Offline(E)になっている場合は,再度オフライン操作を実行してください。