2.8.1 自動パス切り替え
自動的にパスを切り替える機能である,自動フェールオーバーと自動フェールバックについて説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 自動フェールオーバー
使用中のパスで障害を検知した場合,そのパスを閉塞状態にして,ほかの稼働状態のパスを使用してシステムの運用を続けることができます。これを,自動フェールオーバーと呼びます。自動フェールオーバーの対象となる障害は,パスに発生した次のレベルの障害です。
- Critical
致命的で,システム停止の危険がある障害
- Error
危険度は高いが,フェールオーバーなどで回避できる障害
障害レベルについては,「2.11.2 障害情報のフィルターリング」を参照してください。
切り替え先のパスは,同じLUにアクセスするオーナーパス,ノンオーナーパスの順で選択されます。
HDLMがサポートするストレージシステムは,通常すべてのパスがオーナーパスになるため,同じLUにアクセスするすべてのパスが同時に切り替え先の候補になります。例えば,「図2‒10 パスの切り替え」で(A)のパスだけでLUにアクセスしている場合,使用中のパスが閉塞状態になったあとは,(B),(C),(D)のパスのどれかが切り替え先になります。
ノンオーナーパスがある場合,切り替え先のパスは同じLUにアクセスするオーナーパス,ノンオーナーパスの順で選択されます。例えば,「図2‒10 パスの切り替え」でCHA0側がオーナーパス,CHA1側がノンオーナーパスであるとします。(A)のパスだけでLUにアクセスしている場合,使用中のパスが閉塞状態になったあとは,(B)のパスが第1候補,(C)または(D)のパスが第2候補の切り替え先になります。
- 注
ノンオーナーパスがあるのは,次の場合です。
global-active deviceを使用している場合で,non-preferred path optionを設定しているとき
(2) 自動フェールバック
使用中のパスが障害で閉塞状態になった場合,障害回復後に自動的に稼働状態にできます。これを,自動フェールバックと呼びます。この機能を使用した場合,HDLMは定期的に障害回復を監視します。
ノンオーナーパスがある場合,使用するパスは,稼働状態のオーナーパス,ノンオーナーパスの順で選択されます。すべてのオーナーパスが閉塞状態でノンオーナーパスを使用しているときに,オーナーパスの障害が回復して,自動的に稼働状態になると,使用するパスがオーナーパスに切り替わります。
なお,パスに間欠障害※が発生している場合,自動フェールバックの設定をしていると,閉塞状態と稼働状態を繰り返すため,I/Oの性能が低下することがあります。その場合は,間欠障害監視を設定して,間欠障害と見なされたパスを自動フェールバックの対象外にすることをお勧めします。
自動フェールバック機能,および間欠障害監視は,HDLMコマンドのsetオペレーションで指定します。setオペレーションについては,「6.6 set 動作環境を設定する」を参照してください。
- 注
ノンオーナーパスがあるのは,次の場合です。
global-active deviceを使用している場合で,non-preferred path optionを設定しているとき
- 注※
間欠障害とは,ケーブルの接触不良などが原因で,断続的に発生する障害です。