2.7.1 ロードバランスが適用されるパス
ロードバランス機能を使用したときに適用されるパスについて,説明します。
(1) すべてのパスがオーナーパスの場合
HDLMがサポートするストレージシステムは,通常すべてのパスがオーナーパスになります。この場合,同じLUにアクセスするすべてのパスの間でロードバランスが行われます。障害などで,一部のパスが使用できなくなった場合,残りの使用できるパスの間でロードバランスが行われます。
「図2‒8 ロードバランス機能を使用している場合のI/Oの流れ」の例で,LUにアクセスする場合のロードバランスは,(A),(B),(C),(D)のパスの間で行われます。障害などで,どれかのパスが使用できなくなった場合,残りのパスの間でロードバランスが行われます。
(2) ノンオーナーパスがある場合
オーナーパスとノンオーナーパスがある場合,使用するパスはオーナーパス,ノンオーナーパスの順で選択されます。システム全体の性能劣化を避けるために,オーナーパスとノンオーナーパスとの間でのロードバランスは行いません。したがって,障害などで一部のオーナーパスが使用できなくなった場合,残りの使用できるオーナーパスの間でロードバランスが行われます。すべてのオーナーパスが使用できなくなった場合,ノンオーナーパスの間でロードバランスが行われます。
「図2‒9 オーナーパスとノンオーナーパスがある場合のロードバランス」の例で,(A)と(B)のパスがオーナーパス,(C)と(D)のパスがノンオーナーパスとします。このとき,LUにアクセスする場合のロードバランスは,(A)と(B)のパスの間(オーナーパス同士)で行われます。障害などで,(A)のパスが使用できなくなった場合,(B)のパスだけでLUにアクセスします。(A)と(B)のパスが使用できなくなった場合,(C)と(D)のパスの間(ノンオーナーパス同士)で行われます。
ノンオーナーパスがある場合について説明します。
global-active deviceを使用している場合で,non-preferred path optionを設定しているとき
global-active deviceを使用している場合,ストレージシステムのデフォルトの設定では,すべてのパスがオーナーパスになり,global-active deviceペアを構成する正副ボリュームにアクセスするすべてのパスの間でロードバランスが行われます。
しかし,正サイトと副サイトの距離が長距離の場合,ホストと異なるサイトにI/Oを発行したときにI/O性能が低下することがあります。その場合は,ホストと異なるサイトのストレージシステムでnon-preferred path optionを設定してください。non-preferred path optionを設定したパスはノンオーナーパスとなり,すべてのオーナーパスが使用できなくなるまで使用されません。
HDLMデバイス構成済み状態でストレージシステムでnon-preferred path optionを設定した場合は,HDLMコマンドのrefreshオペレーションを実行するか,またはホストを再起動してください。