2.2.2 IP-SANを使用するシステム構成
IP-SANでは,ホストとストレージシステムは,LANケーブルで接続します。ホスト側のケーブルの接続口はネットワークインターフェイスカード(NIC)です。NICを使用する場合は,ホストにiSCSIソフトウェアがインストールされている必要があります。ストレージシステム側のケーブルの接続口は,iSCSI接続に使用するチャネルアダプター(CHA)のポート(P)です。
ストレージシステムには,ホストからの入出力対象になる論理ユニット(LU)があります。LUは複数に分割して使用できます。分割してできるそれぞれの領域をDevと呼びます。Devは,パーティションに相当します。ホストとLUを結ぶ経路を物理パスと呼び,ホストとDevを結ぶ経路をパスと呼びます。LUを複数のDevに分割している場合,1つのLUに設定されるパスの本数は,物理パスの本数にLU内のDevの数を掛けた数になります。
HDLMは,物理パスにIDを割り当てて,物理パス単位でパスを管理します。HDLMを操作する場合に,物理パスとパスの違いを意識する必要はないため,以降,物理パスとパスを区別しないでパスと呼ぶこともあります。HDLMが物理パスごとに割り当てるIDをパス管理PATH_IDと呼びます。また,パスを管理対象物と呼ぶこともあります。
IP-SANを使用するHDLMのシステム構成を次の図に示します。
IP-SANを使用するHDLMのシステム構成要素を次の表に示します。
構成要素 |
説明 |
---|---|
iSCSIソフトウェア |
iSCSIのイニシエーター機能を持つドライバーソフトウェアです。 |
NIC |
ネットワークインターフェイスカードです。ホスト側のケーブルの接続口です。HDLMコマンドではHBAと表示します。このマニュアルではHBAと呼ぶことがあります。 |
IP-SAN |
iSCSI規格を用いてホストとストレージシステムを接続する,データ転送用のネットワークです。 |
CHA |
チャネルアダプターです。 |
P |
CHAのポートです。ストレージシステム側のケーブルの接続口です。 |
LU |
論理ユニット(ストレージシステム側で定義した,論理的なボリューム)です。ホストからの入出力対象となります。 |
Dev |
LUを分割した場合にできる領域(パーティション)です。 |
物理パス |
ホストとLUを結ぶ経路です。 |
パス |
ホストとLU内のDevを結ぶ経路です。 |
HDLMがサポートするIP-SAN環境
HDLMは,次に示す環境でIP-SANを使用するシステム構成をサポートします。
適用OS
Red Hat Enterprise Linux 6
Red Hat Enterprise Linux 7
Red Hat Enterprise Linux 8
-
Red Hat Enterprise Linux 9
SUSE LINUX Enterprise Server 12
SUSE LINUX Enterprise Server 15
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 6
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 7
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 8
iSCSIソフトウェア
OSに同梱されている,次のiSCSIイニシエーターをサポートします。
Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,Red Hat Enterprise Linux 9,Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 6,Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 7,またはOracle Unbreakable Enterprise Kernel 8の場合
iscsi-initiator-utils
SUSE LINUX Enterprise Server 12またはSUSE LINUX Enterprise Server 15の場合
open-iscsi
ストレージシステム
IP-SANを適用できるストレージシステムは,VSP One B20,VSP E シリーズ,VSP Gx00 モデル,またはVSP Fx00 モデルです。
IP-SAN環境で使用する場合の制限事項
IP-SAN環境でHDLMを使用する場合,次に示す制限事項があります。
クラスター構成での使用は,Red Hat Enterprise Linux 6にRHCMを組み合わせた環境だけサポートします。
kdump機能は使用できません。