Hitachi

 Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(AIX用)


3.5.5 HDLMのアップグレードまたは再インストール

アップグレードまたは再インストールした場合も,ドライバの構成と,HDLMの機能の設定についての情報は引き継がれます。

04-00以前のバージョンのHDLMをアップグレードインストールした場合,04-00以前のバージョンのHDLMで使用していたHNTRLibは残ります。HNTRLibをほかのプログラムで使用していない場合,「3.13.5 Hitachi Network Objectplazaトレース共通ライブラリ(HNTRLib)のアンインストール」を参照して,HNTRLibをアンインストールしてください。

05-40より前のバージョンのHDLMをアップグレードインストールする場合,またはライセンスの有効期限が切れている状態で05-40以降のバージョンのHDLMをアップグレードまたは再インストールする場合は,ライセンスキーファイルが必要です。

installhdlmティリティまたはinstallux.shティリティによるサイレントインストールの手順は,「3.5.7 HDLMのサイレントインストール」を参照してください。

HDLMをクラスタ構成で使用する場合,クラスタを構成するすべてのホストにHDLMをインストールしてください。

HDLMをアップグレードまたは再インストールした場合に引き継がれるファイルの一覧を次の表に示します。

表3‒9 アップグレードまたは再インストール時に引き継がれるファイル一覧

ファイル

ファイル内容

/usr/DynamicLinkManager/config/dlmmgr.xml※1

HDLMの機能設定ファイル

/usr/DynamicLinkManager/drv/dlmfdrv.conf

HDLMドライバ構成定義ファイル

/usr/DynamicLinkManager/drv/dlmfdrv.unconf

除外ディスク定義ファイル(HDLMの管理対象外の物理ボリュームを定義したファイル)

/usr/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr[1-2].log※2

HDLM構成管理ユティリティdlmcfgmgr)のログファイル

/usr/DynamicLinkManager/log/dlmmgr[1-2].log※2

HDLMマネージャのログファイル

/var/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr[1-2].log※3

HDLM構成管理ユティリティdlmcfgmgr)のログファイル

/var/DynamicLinkManager/log/dlmmgr[1-2].log※4

HDLMマネージャのログファイル

/var/DynamicLinkManager/log/dlminquiry[1-2].log※5

HDLM Inquiry情報のログファイ

/var/DynamicLinkManager/log/dlmwebagent[1-16].log※5

共通エージェントコンポーネントのログファイル

/var/DynamicLinkManager/log/hdlmtr[1-64].log※6

トレースファイル

/var/DynamicLinkManager/log/dlmmgr[1-16].log※6

HDLMマネージャのログファイル

/var/DynamicLinkManager/log/mmap/hdlmtr.mm※6

トレース管理ファイル

/var/DynamicLinkManager/log/dlmutil[1-2].log※7

HDLMユティリティのログファイル

/var/DynamicLinkManager/log/mmap/dlmutil.mm※7

HDLMユティリティのログトレース管理ファイル

/var/DynamicLinkManager/log/installhdlm.log※8

サイレントインストール実行ログ

注※1

04-00より前のバージョンのHDLMからのアップグレードインストール時は,リザーブレベルにon(0)を追加します。

注※2

05-00より前のバージョンのHDLMが出力したログファイルです。不要な場合は削除してください。

注※3

05-00以降のバージョンのHDLMが出力したログファイルです。

注※4

05-00~05-41のバージョンのHDLMが出力したログファイルです。

注※5

05-02以降のバージョンのHDLMが出力したログファイルです。

注※6

05-60以降のバージョンのHDLMが出力したログファイルです。

注※7

05-91以降のバージョンのHDLMが出力したログファイルです。

注※8

05-94以降のバージョンのHDLMが出力したログファイルです。

〈この項の構成〉

(1) ブートディスクにインストールする場

順14で実行するコマンドを次に示すdlmrmdev -Aティリティで実行すると,手順9から手順11を省略できます。

# /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmrmdev -A

HDLMは,バーチャルI/Oサーバにもインストールできます。バーチャルI/Oサーバとは,1つのリソースを複数のクライアント論理区画で共用するためのシステムです。バーチャルI/Oサーバを使用している場合は,バーチャルI/Oサーバのマニュアルを参照してAIXにログインしてください。

注意事項
  • アップグレードまたは再インストール中はHDLMマネージャが停止するため,障害ログは出力されません。また,HDLMの機能の設定もできなくなります。

  • アップグレードまたは再インストールは中断しないでください。

  1. AIXに,root権限を持つユーザでログインします。バーチャルI/Oサーバを使用している場合は,バーチャルI/Oサーバのマニュアルを参照してAIXにログインしてください。

  2. HDLMの設定のバックアップを取ります。

    アップグレードまたは再インストールに失敗すると,AIXが自動的にHDLMをアンインストールするので,HDLMの設定情報が消去されてしまいます。その場合に備えて,この手順で設定情報を保存しておきます。

    アップグレードまたは再インストールに失敗した場合は,新規インストールを行ってください。そのあと,バックアップした設定情報を基に再度設定してください。

    • HDLMの環境設定情報を保存します。

      # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -sys > 任意のファイル名

      ライセンスの期限が切れていないか確認してください。

    • HDLM動作ODMの設定を保存します。

      # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmodmset -o > 任意のファイル名
    • HDLMドライバ構成定義ファイルと除外ディスク定義ファイルを保存します。

      # cp -p /usr/DynamicLinkManager/drv/dlmfdrv.conf 任意のファイル名
      # cp -p /usr/DynamicLinkManager/drv/dlmfdrv.unconf 任意のファイル名

    バーチャルI/OサーバでHDLMデバイスと仮想ターゲットデバイスのマッピングをしている場合は,手順3へ進んでください。 バーチャルI/OサーバでHDLMデバイスを仮想ターゲットデバイスとしてマッピングしていなく,かつ,構成し直すために必要なアンマウント処理や,ボリュームグループの活動状態を変更する処理などを自動で実行したい場合は手順9に進んでください。

  3. クライアント論理区画でHDLMデバイスに接続しているhdiskにアクセスする,すべてのアプリケーションのプロセスを終了します。

  4. クライアント論理区画でHDLMデバイスに接続しているhdiskにファイルシステムをマウントしている場合は,ファイルシステムをアンマウントします。

    # umount ファイルシステムのマウントポイント 
  5. クライアント論理区画で次に示すコマンドを実行して,活動化状態のボリュームグループをすべて表示させます。

    # lsvg -o 
  6. クライアント論理区画で,表示されたボリュームグループから,HDLMデバイスに接続しているhdiskで使用しているボリュームグループを非活動化します。

    # varyoffvg ボリュームグループ名 
  7. クライアント論理区画で,既存のhdiskの構成を引き継がない場合は,hdiskを削除します。

  8. バーチャルI/OサーバでHDLMデバイスと仮想ターゲットデバイスのマッピングを解除します。

    バーチャルI/Oクライアントのhdisk構成を引き継ぐ場合は,仮想ターゲットデバイスとHDLMデバイスのマッピングを引き継いでください。

    • 仮想ターゲットデバイスとHDLMデバイスのマッピングを引き継ぐ場合

      $ rmdev -dev 仮想ターゲットデバイス名 -ucfg
    • 仮想ターゲットデバイスとHDLMデバイスのマッピングを引き継がない場合

      $ rmdev -dev 仮想ターゲットデバイス名
  9. 次に示すコマンドを実行して,HDLMで使用しているファイルシステムをアンマウントします。

    # umount ファイルシステムのマウントポイント 
  10. 次に示すコマンドを実行して,活動化状態のボリュームグループをすべて表示させます。

    # lsvg -o 
  11. 表示されたボリュームグループから,HDLMで使用しているボリュームグループを非活動化します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmvaryoffvg ボリュームグループ名 
  12. HDLMのデバイス名を引き継ぐ場合,または,HDLMのデバイス名とデバイスの属性値を引き継ぐ場合は,HDLMデバイス名移行支援ユティリティdlmmigdrv)を起動してデバイス名定義ファイルを作成します。

    なお,バーチャルI/Oサーバで仮想ターゲットデバイスとHDLMデバイスのマッピングを引き継ぐ場合,HDLMのデバイス名を引き継ぐ必要があるため,必ずデバイス名定義ファイルを作成してください。

    • HDLMのデバイス名を引き継ぐ場合

      DVD-ROMにあるdlmmigdrvファイルを使用するとき

      # DVD-ROMのマウントディレクトリー名/HDLM_AIX2/hdlmtool/dlmmigdrv -b 任意のファイル名 

      dlmmigdrvファイルを別ディレクトリにコピーして使用するとき

      # コピーしたdlmmigdrvファイル名 -b 任意のファイル名 
    • HDLMのデバイス名とデバイスの属性値を引き継ぐ場合

      DVD-ROMにあるdlmmigdrvファイルを使用するとき

      # DVD-ROMのマウントディレクトリー名/HDLM_AIX2/hdlmtool/dlmmigdrv -b 任意のファイル名 -a 

      dlmmigdrvファイルを別ディレクトリにコピーして使用するとき

      # コピーしたdlmmigdrvファイル名 -b 任意のファイル名 -a 
  13. HDLMのデバイス名を引き継ぐ場合,デバイス名定義ファイルが作成されたことを確認します。

    実行例を次に示します。手順12で-bパラメに指定したファイルがデバイス名定義ファイル(次の例では/tmp/hdlm_defdrvfile)です。

    # ls -l /tmp/hdlm_defdrvfile
    -rw-r--r--   1 root     system          978 Sep 01 23:42 hdlm_defdrvfile
  14. 次に示すコマンドを実行して,動作中のカーネルからHDLMデバイス,およびHDLMアラートドライバの論理デバイスファイルを削除し,HDLMマネージャを停止します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmrmdev 

    KAPL09012-Iのメッセージが表示された場合は,問題ありません。

    KAPL09012-Iのメッセージが表示されない場合,HDLMデバイスまたはHDLMアラートドライバの論理デバイスファイルが削除されていないか,HDLMマネージャが停止していません。KAPL09012-Iのメッセージが表示されなかった場合は,HDLMの管理対象パスを使用しているプロセス,サービス,ファイルシステム,およびボリュームグループがないことを確認してから,上記のコマンドを再実行してください。

  15. ライセンスキーファイルの準備をします。

    • ライセンスキーが提供されている場合

      /var/DLMディレクトリを作成し,ライセンスキーファイル(dlm.lic_key)/var/DLMディレクトリに作成します。ライセンスキーが「123456789ABCDEF」の場合の操作例を次に示します。

      # mkdir /var/DLM
      # echo "123456789ABCDEF" > /var/DLM/dlm.lic_key
    • ライセンスキーファイルが提供されている場合

      /var/tmp/ディレクトリ直下に,ライセンスキーファイルを「hdlm_license」という名称で格納します。

      /var/tmp/hdlm_license

    なお,ライセンスキーファイル(dlm.lic_keyまたはhdlm_license)は,インストールが正常終了したあとで削除されます

  16. DVD-ROMをマウントします。

    DVD-ROMをコピーしたディレクトリからインストールする場合は,DVD-ROMのマウントは不要です。

    DVD-ROMをマウントする際にcfgmgrコマンドを実行した場合は,手順14を再実行した後に次の手順へ進んでください。

  17. アップグレードインストールの場合,次に示すインストールコマンドを実行します。

    • DVD-ROMからインストールするとき

      # /DVD-ROM をマウントしたディレクトリー名/installux.sh
      または
      # installp -aXgd DVD-ROMをマウントしたディレクトリー名/HDLM_AIX2 all
    • DVD-ROMをコピーしたディレクトリからインストールするとき

      # /DVD-ROM をコピーしたディレクトリー名/installux.sh
      または
      # installp -aXgd DVD-ROMをコピーしたディレクトリー名/HDLM_AIX2 all

    ンストールコマンド実行後,次に示すコマンドを実行して,パッケージがインストールされていることを確認します。

    # lslpp -la DLManager.rte 

    出力されたリストのファイルセット項目にDLManager.rteがあり,かつ,表示されているすべての状態がCOMMITTEDであることを確認してください。表示された状態に1つでもBROKENがある場合,HDLMをアンインストールしてから新規インストールを再度実行してください。HDLMのアンインストールについては,「3.13.3 HDLMのアンインストー」を参照してください。

  18. 再インストールの場合,次に示すインストールコマンドを実行します。

    • DVD-ROMからインストールするとき

      # /DVD-ROM をマウントしたディレクトリー名/installux.sh
      または
      # installp -aXFd DVD-ROMをマウントしたディレクトリー名/HDLM_AIX2 all
    • DVD-ROMをコピーしたディレクトリからインストールするとき

      # /DVD-ROM をコピーしたディレクトリー名/installux.sh
      または
      # installp -aXFd DVD-ROMをコピーしたディレクトリー名/HDLM_AIX2 all

    ンストールコマンド実行後,次に示すコマンドを実行して,パッケージがインストールされていることを確認します。

    # lslpp -la DLManager.rte 

    出力されたリストのファイルセット項目にDLManager.rteがあり,かつ,表示されているすべての状態がCOMMITTEDであることを確認してください。表示された状態に1つでもBROKENがある場合,HDLMをアンインストールしてから新規インストールを再度実行してください。HDLMのアンインストールについては,「3.13.3 HDLMのアンインストー」を参照してください。

  19. HDLMのデバイス名を引き継ぐ場合,または,HDLMのデバイス名とデバイスの属性値を引き継ぐ場合は,dlmmigdrvティリティを起動して,HDLMデバイスと物理ボリューム名の関係を引き継いでHDLMデバイスを構成します。

    • HDLMのデバイス名を引き継ぐ場合

      DVD-ROMにあるdlmmigdrvファイルを使用するとき

      # DVD-ROMのマウントポイント/HDLM_AIX2/hdlmtool/dlmmigdrv -r デバイス名定義ファイル名 

      dlmmigdrvファイルを別ディレクトリにコピーして使用するとき

      # コピーしたdlmmigdrvファイル名 -r デバイス名定義ファイル名 
    • HDLMのデバイス名とデバイスの属性値を引き継ぐ場合

      DVD-ROMにあるdlmmigdrvファイルを使用するとき

      # DVD-ROMのマウントポイント/HDLM_AIX2/hdlmtool/dlmmigdrv -r デバイス名定義ファイル名 -a 

      dlmmigdrvファイルを別ディレクトリにコピーして使用するとき

      # コピーしたdlmmigdrvファイル名 -r デバイス名定義ファイル名 -a 

    KAPL12716-Iのメッセージで,エラーになったパスがないことを確認してください。エラーになったパスがある場合は,表示されるエラーメッセージの対処を実行してください。

  20. HDLM構成管理ユティリティdlmcfgmgr)を起動して,HDLMデバイスを構成します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmcfgmgr 
  21. 次に示すコマンドを実行して,HDLMドライバ,およびHDLMアラートドライバが動作中のカーネルに組み込まれ,HDLMデバイスが使用できる状態であることを確認します。

    # lsdev -C | grep dlm
    dlmadrv    使用可能            HDLM Alert Driver
    dlmfdrv0   使用可能            HDLM Driver

    表示されるHDLM関連のデバイスがすべて「使用可能」であることを確認します。

    HDLMデバイス(dlmfdrvn)は1つのLUに対して1つ作成されます。

  22. 手順21で表示したHDLMデバイス(dlmfdrvn)が,HDLMで管理する物理ボリュームに対応していることを確認します。

    図3‒4 HDLMデバイス構成後のシステム構成例」に示すシステム構成では,dlmfdrv0hdisk5hdisk7に対応しています。次のコマンドを実行して,対応を確認してください。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -drv | grep -w dlmfdrv0
    000000 dlmfdrv0 hdisk5 VSP_Fx00.410017.001020
    000001 dlmfdrv0 hdisk7 VSP_Fx00.410017.001020
  23. HDLMで使用するボリュームグループを活動化します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmvaryonvg ボリュームグループ名 
  24. HDLMで使用するファイルシステムをマウントします。

    # mount ファイルシステムのマウントポイント 
  25. 次に示すコマンドを実行して,ボリュームグループに正しいHDLMデバイスが含まれていることを確認します。

    # lspv | grep dlmfdrv 
  26. HDLMコマンドのviewオペレーションを実行して,各プログラムの状態を表示します。

    コマンドの実行例を,次に示します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -sys
    HDLM Version                 : x.x.x-xx
    Service Pack Version         : 
    Load Balance                 : on(rr)
    Support Cluster              :
    Elog Level                   : 3
    Elog File Size (KB)          : 9900
    Number Of Elog Files         : 2
    Trace Level                  : 0
    Trace File Size(KB)          : 1000
    Number Of Trace Files        : 4
    Path Health Checking         : on(30)
    Auto Failback                : off
    Reservation Status           : on(2)
    Intermittent Error Monitor   : off
    HDLM Manager Ver         WakeupTime
    Alive        x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss
    HDLM Alert Driver Ver         WakeupTime          ElogMem Size
    Alive             x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss 1000
    HDLM Driver Ver         WakeupTime
    Alive       x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss
    License Type Expiration
    Permanent    -
    KAPL01001-I HDLMコマンドが正常終了しました。オペレーション名 = view, 終了時刻 = yyyy/mm/dd hh:mm:ss

    クラスタソフトウェアを使用していても,「Support Cluster」にはソフトウェア名が表示されません。この状態でもクラスタ対応機能は問題なく動作します。

  27. viewオペレーションの実行結果からインストールされたHDLMのバージョンを確認します。

    「HDLM Version」に「x.x.x-xx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。「x.x.x-xx」はインストールされたHDLMのバージョンです。

  28. viewオペレーションの実行結果からプログラムが正常に動作しているか確認します。

    「HDLM Manager」,「HDLM Alert Driver」,「HDLM Driver」がすべて「Alive」であれば,プログラムが正常に動作しています。

    バーチャルI/Oサーバを使用していない場合は,手順29から手順31を行う必要はありません。

    HDLMをアップグレードまたは再インストールした場合に引き継がれるファイルの一覧については,「表3‒9 アップグレードまたは再インストール時に引き継がれるファイル一覧」を参照してください。

  29. バーチャルI/Oサーバを使用している場合は,HDLMデバイスを仮想ターゲットデバイスとして定義します。

    バーチャルI/Oサーバで,次のコマンドを実行します。

    HDLMデバイスを仮想ターゲットデバイスとして作成する場合
    $ mkvdev -vdev dlmfdrvn -vadapter 仮想SCSIサーバー・アダプター名 
    論理ボリュームを仮想ターゲットデバイスとして作成する場合
    $ mkvdev -vdev 論理ボリューム名 -vadapter 仮想SCSIサーバー・アダプター名 
  30. クライアント論理区画で次のコマンドを実行して,デバイスを再構成します。

    # cfgmgr 
  31. クライアント論理区画で次のコマンドを実行して,物理ボリューム(hdiskn)が認識されていることを確認します。次の実行例で示すように表示されれば,問題ありません。

    # lsdev -Cc disk
    hdisk1 Available  Virtual SCSI Disk Drive
注※

仮想ターゲットデバイス作成時に,対象HDLMデバイスが次のどちらかの条件を満たしていないと,仮想デバイスの作成でエラーとなります。

  • HDLMのunique_idの機能をONにしている。

  • 仮想ターゲットデバイスとして定義するHDLMにPVIDが割り振られている。

(2) 代替ディスクへインストールする場合

HDLMを代替ディスクへインストールする場合,次の手順を実施してください。代替ディスクへのインストールは,アップグレードインストールおよび再インストールだけをサポートしています。

代替ディスクへインストールする場合,代替ディスクとしてHDLMデバイスを指定しないでください。代替ディスクとしてHDLMデバイスを指定した場合,代替ディスクへのインストールがエラー終了します。HDLM管理対象デバイスを代替ディスクにする場合,対象デバイスを管理するHDLMデバイスを削除してから,代替ディスクへインストールしてください。

  1. AIXに,root権限を持つユーザでログインします。

    バーチャルI/Oサーバを使用している場合は,バーチャルI/Oサーバのマニュアルを参照してAIXにログインしてください。

  2. ライセンスの期限が切れている場合は,ライセンスキーまたはライセンスキーファイルの準備をします。

    ライセンスの期限が切れていない場合は,手順3に進んでください。

    • ライセンスキーが提供されている場合

      /var/DLMディレクトリを作成し,ライセンスキーファイル(dlm.lic_key)/var/DLMディレクトリに作成します。ライセンスキーが「123456789ABCDEF」の場合の操作例を次に示します。

      # mkdir /var/DLM
      # echo "123456789ABCDEF" > /var/DLM/dlm.lic_key
    • ライセンスキーファイルが提供されている場合

      /var/tmp/ディレクトリの直下に,ライセンスキーファイルを「hdlm_license」という名称で格納します。

      /var/tmp/hdlm_license

    なお,hdlm_licenseファイルとdlm.lic_keyファイルは,インストールが正常終了したあとで削除されます。

  3. DVD-ROMをセットし,マウントしてください。

    DVD-ROMをコピーしたディレクトリからインストールする場合や,nimコマンドを使用する場合は,この手順を実行する必要はありません。

  4. アップグレードインストールの場合,次に示すコマンドを実行します。

    • DVD-ROMからHDLMを代替ディスクへインストールするとき

      # alt_disk_copy -d hdisk名 hdisk名 ... -w DLManager.rte -l /DVD-ROMをマウントしたディレクトリー名/HDLM_AIX2
    • DVD-ROMをコピーしたディレクトリからHDLMを代替ディスクへインストールするとき

      # alt_disk_copy -d hdisk名 hdisk名 ... -w DLManager.rte -l DVD-ROMをコピーしたディレクトリー名/HDLM_AIX2
    • NIMサーバからnimコマンドを使用してHDLMをNIMクライアントの代替ディスクへインストールするとき

      NIMサーバとは,ネットワーク経由でソフトウェアのインストールやアップグレードインストールなどを管理するマシンです。NIMクライアントとは,NIMサーバによってソフトウェアのインストール状況を管理されているマシンです。

      # nim -o alt_disk_install -a source=rootvg -a disk=hdisk名 hdisk名 ... -a filesets=DLManager.rte -a installp_bundle=HDLMが含まれるNIMリソース NIMクライアント名

    alt_disk_copyコマンドおよびnimコマンドの詳細については,AIXのマニュアルを参照してください。

  5. 再インストールの場合,次に示すコマンドを実行します。

    • DVD-ROMからHDLMを代替ディスクへインストールするとき

      # alt_disk_copy -d hdisk名hdisk名 ... -I aXF -w DLManager.rte -l /DVD-ROMをマウントしたディレクトリー名/HDLM_AIX2
    • DVD-ROMをコピーしたディレクトリからHDLMを代替ディスクへインストールするとき

      # alt_disk_copy -d hdisk名 hdisk名 ... -I aXF -w DLManager.rte -l DVD-ROMをコピーしたディレクトリー名/HDLM_AIX2
    • NIMサーバからnimコマンドを使用してHDLMをNIMクライアントの代替ディスクへインストールするとき

      NIMサーバとは,ネットワーク経由でソフトウェアのインストールやアップグレードインストールなどを管理するマシンです。NIMクライアントとは,NIMサーバによってソフトウェアのインストール状況を管理されているマシンです。

      # nim -o alt_disk_install -a source=rootvg -a disk=hdisk名 hdisk名 ... -a filesets=DLManager.rte -a installp_bundle=HDLMが含まれるNIMリソース -a installp_flags=aXF NIMクライアント名

    alt_disk_copyコマンドおよびnimコマンドの詳細については,AIXのマニュアルを参照してください。

  6. 代替ディスクから再起動したあと,HDLMコマンドのviewオペレーションを実行して,各プログラムの状態を表示します。

    コマンドの実行例を,次に示します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -sys
    HDLM Version                 : x.x.x-xx
    Service Pack Version         : 
    Load Balance                 : on(rr)
    Support Cluster              :
    Elog Level                   : 3
    Elog File Size (KB)          : 9900
    Number Of Elog Files         : 2
    Trace Level                  : 0
    Trace File Size(KB)          : 1000
    Number Of Trace Files        : 4
    Path Health Checking         : on(30)
    Auto Failback                : off
    Reservation Status           : on(2)
    Intermittent Error Monitor   : off
    HDLM Manager Ver         WakeupTime
    Alive        x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss
    HDLM Alert Driver Ver         WakeupTime          ElogMem Size
    Alive             x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss 1000
    HDLM Driver Ver         WakeupTime
    Alive       x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss
    License Type Expiration
    Permanent    -
    KAPL01001-I HDLMコマンドが正常終了しました。オペレーション名 = view, 終了時刻 = yyyy/mm/dd hh:mm:ss

    クラスタソフトウェアを使用していても,「Support Cluster」にはソフトウェア名が表示されません。この状態でもクラスタ対応機能は問題なく動作します。

  7. viewオペレーションの実行結果からインストールされたHDLMのバージョンを確認します。

    HDLM Version」に「x.x.x-xx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。「x.x.x-xx」はインストールされたHDLMのバージョンです。

  8. viewオペレーションの実行結果からプログラムが正常に動作しているか確認します。

    HDLM Manager」,「HDLM Alert Driver」,「HDLM Driver」がすべて「Alive」であれば,プログラムが正常に動作しています。

(3) multibos環境にインストールする場合

AIXのmultibosコマンドを使用して,新規に作成するスタンバイBOS,または作成済みのスタンバイBOSにHDLMをアップグレードインストールできます。multibos環境へのHDLMのインストールは,アップグレードインストールだけをサポートしています。HDLMをアップグレードインストールするにあたっては,あらかじめHDLMのライセンス期限を確認してください。ライセンスの期限が切れている場合は,有効なライセンスキーまたはライセンスキーファイルを準備してください。

  1. AIXに,root権限を持つユーザでログインします。

    バーチャルI/Oサーバを使用している場合は,バーチャルI/Oサーバのマニュアルを参照してAIXにログインしてください。ライセンス期限が有効である場合は手順6に進んでください。ライセンスキーまたはライセンスキーファイルを用意した場合はそれぞれ次の手順に進んでください。

    • ライセンスキーを用意して,HDLMのアップグレードインストール先を新規作成のスタンバイBOSにする場合,手順2に進んでください。

    • ライセンスキーファイルを用意して,HDLMのアップグレードインストール先を新規作成のスタンバイBOSにする場合,手順3に進んでください。

    • ライセンスキーを用意して,HDLMのアップグレードインストール先を作成済みのスタンバイBOSにする場合,手順4に進んでください。

    • ライセンスキーファイルを用意して,HDLMのアップグレードインストール先を作成済みのスタンバイBOSにする場合,手順5に進んでください。

  2. 用意したライセンスキーを規定の場所に格納します。/var/DLMディレクトリを作成し,ライセンスキーファイル(dlm.lic_key)を/var/DLMディレクトリに作成します。

    ライセンスキーが「123456789ABCDEF」の場合のコマンドの実行例を次に示します。

    # mkdir /var/DLM
    # echo "123456789ABCDEF" > /var/DLM/dlm.lic_key

    dlm.lic_keyファイルは,HDLMのアップグレードインストールが正常終了したあとで自動的に削除されます。手順6に進んでください。

  3. 用意したライセンスキーファイルを規定の場所に格納します。/var/tmp/ディレクトリの直下に,ライセンスキーファイルを「hdlm_license」という名称で格納します。

    コマンドの実行例を次に示します。

    /var/tmp/hdlm_license

    hdlm_licenseファイルは,HDLMのアップグレードインストールが正常終了したあとで自動的に削除されます。手順6に進んでください。

  4. 作成済みスタンバイBOSのファイルシステムをマウントして,用意したライセンスキーを規定の場所に格納します。/bos_inst/var/DLMディレクトリを作成し,ライセンスキーファイル(dlm.lic_key)を/bos_inst/var/DLMディレクトリに作成します。その後,スタンバイBOSのファイルシステムをアンマウントします。

    ライセンスキーが「123456789ABCDEF」の場合のコマンドの実行例を次に示します。

    # multibos -Xm
    # mkdir /bos_inst/var/DLM
    # echo "123456789ABCDEF" > /bos_inst/var/DLM/dlm.lic_key
    # multibos -Xu

    dlm.lic_keyファイルは,HDLMのアップグレードインストールが正常終了したあとで自動的に削除されます。手順6に進んでください。

  5. 作成済みスタンバイBOSのファイルシステムをマウントして,用意したライセンスキーファイルを規定の場所に格納します。/bos_inst/var/tmp/ディレクトリの直下に,ライセンスキーファイルを「hdlm_license」という名称で格納します。その後,スタンバイBOSのファイルシステムをアンマウントします。

    コマンドの実行例を次に示します。

    # multibos -Xm
    /bos_inst/var/tmp/hdlm_license
    # multibos -Xu

    hdlm_licenseファイルは,HDLMのアップグレードインストールが正常終了したあとで自動的に削除されます。手順6に進んでください。

  6. インストールバンドルとしてHDLMをインストールする場合,HDLMの構文が記載されたバンドルファイルを作成します。/tmp/hdlm_bandleというバンドルファイルにHDLMの構文を追記する操作例を次に示します。

    # echo "I:DLManager.rte" > /tmp/hdlm_bandle
  7. DVD-ROM をセットし,マウントします。

    DVD-ROM をコピーしたディレクトリからインストールする場合は,この手順を実行する必要はありません。

  8. 次に示すコマンドを実行して,HDLMをアップグレードインストールします。

    スタンバイBOSの作成と同時にHDLMをアップグレードインストールする場合
    • DVD-ROMまたはDVD-ROMをコピーしたディレクトリから,HDLMをインストールするコマンドの実行例

      # multibos -Xs -a -l DVD-ROMをマウントまたはコピーしたディレクトリー名/HDLM_AIX2
    • DVD-ROMまたはDVD-ROMをコピーしたディレクトリから,インストールバンドルとしてHDLMをインストールするコマンドの実行例

      # multibos -Xs -b HDLMの構文が記載されたバンドルファイル名 -l /DVD-ROMをマウントまたはコピーしたディレクトリー名/HDLM_AIX2
    作成済みのスタンバイBOSにHDLMをアップグレードインストールする場合
    • DVD-ROMまたはDVD-ROMをコピーしたディレクトリから,HDLMをインストールするコマンドの実行例

      # multibos -Xc -a -l DVD-ROMをマウントまたはコピーしたディレクトリー名/HDLM_AIX2
    • DVD-ROMまたはDVD-ROMをコピーしたディレクトリから,インストールバンドルとしてHDLMをインストールするコマンドの実行例

      # multibos -Xc -b HDLMの構文が記載されたバンドルファイル名 -l /DVD-ROMをマウントまたはコピーしたディレクトリー名/HDLM_AIX2

    multibosコマンドの詳細については,AIXのマニュアルを参照してください。

  9. スタンバイBOSで再起動したあと,次に示すコマンドを実行して,パッケージがインストールされていることを確認します。

    # lslpp -la DLManager.rte

    出力されたリストのファイルセット項目にDLManager.rteがあり,表示されている状態がCOMMITTEDだけであることを確認してください。

    表示されている状態に1つでもBROKENがあった場合,HDLMをアンインストールしてから新規インストールの手順を実行するか,スタンバイBOSを削除してから,スタンバイBOSを再作成してください。HDLMのアンインストールについては,「3.13.3 HDLMのアンインストー」を参照してください。

  10. HDLM コマンドのviewオペレーションを実行して,各プログラムの状態を表示します。

    コマンドの実行例を,次に示します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -sys
    HDLM Version                 : x.x.x-xx
    Service Pack Version         : 
    Load Balance                 : on(rr)
    Support Cluster              :
    Elog Level                   : 3
    Elog File Size (KB)          : 9900
    Number Of Elog Files         : 2
    Trace Level                  : 0
    Trace File Size(KB)          : 1000
    Number Of Trace Files        : 4
    Path Health Checking         : on(30)
    Auto Failback                : off
    Reservation Status           : on(2)
    Intermittent Error Monitor   : off
    HDLM Manager Ver         WakeupTime
    Alive        x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss
    HDLM Alert Driver Ver         WakeupTime          ElogMem Size
    Alive             x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss 1000
    HDLM Driver Ver         WakeupTime
    Alive       x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss
    License Type Expiration
    Permanent    -
    KAPL01001-I HDLMコマンドが正常終了しました。オペレーション名 = view, 終了時刻 = yyyy/mm/dd hh:mm:ss

    クラスタソフトウェアを使用していても,「Support Cluster」にはソフトウェア名が表示されません。この状態でもクラスタ対応機能は問題なく動作します。

  11. viewオペレーションの実行結果からインストールされたHDLMのバージョンを確認します。

    HDLM Version」に「x.x.x-xx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。「x.x.x-xx」はインストールされたHDLMのバージョンです。

  12. viewオペレーションの実行結果からプログラムが正常に動作しているか確認します。

    HDLM Manager」,「HDLM Alert Driver」,「HDLM Driver」がすべて「Alive」であれば,プログラムが正常に動作しています。