Hitachi

 Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(AIX用)


3.5.3 HDLMの新規インストール

ここでは,installpコマンドおよびinstallux.shコマンドによるインストールの手順を説明します。

HDLMをクラスタ構成で使用する場合,クラスタを構成するすべてのホストにHDLMをインストールしてください

  1. AIXに,root権限を持つユーザでログインします。バーチャルI/Oサーバを使用している場合のログイン方法については,バーチャルI/Oサーバのマニュアルを参照してください。

  2. ライセンスキーファイルの準備をします。

    • ライセンスキーが提供されている場合

      /var/DLMディレクトリを作成し,ライセンスキーファイル(dlm.lic_key)/var/DLMディレクトリに作成します。ライセンスキーが「123456789ABCDEF」の場合の操作例を次に示します。

      # mkdir /var/DLM
      # echo "123456789ABCDEF" > /var/DLM/dlm.lic_key
    • ライセンスキーファイルが提供されている場合

      /var/tmp/ディレクトリ直下に,ライセンスキーファイルを「hdlm_license」という名称で格納します。

      /var/tmp/hdlm_license

    なお,ライセンスキーファイル(dlm.lic_keyまたはhdlm_license)は,インストールが正常終了したあとで削除されます

  3. DVD-ROMをマウントします。

    DVD-ROMをコピーしたディレクトリからインストールする場合は,DVD-ROMのマウントは不要です。

  4. 次に示すインストールコマンドを実行します。

    • DVD-ROMからインストールする場合

      # /DVD-ROMをマウントしたディレクトリー名/installux.sh
      または
      # installp -aXgd DVD-ROMのマウントディレクトリー名/HDLM_AIX2 all
    • DVD-ROMをコピーしたディレクトリからインストールする場合

      # /DVD-ROMをコピーしたディレクトリー名/installux.sh
      または
      # installp -aXgd DVD-ROMをコピーしたディレクトリー名/HDLM_AIX2 all

    ンストールコマンド実行後,次に示すコマンドを実行して,パッケージがインストールされていることを確認します。

    # lslpp -la DLManager.rte

    出力されたリストのファイルセット項目にDLManager.rteがあり,かつ,状態がC(コミット)であることを確認してください。表示された状態に1つでもBROKENがある場合,HDLMをアンインストールしてから新規インストールを再度実行してください。HDLMのアンインストールについては,「3.13.3 HDLMのアンインストー」を参照してください。

  5. 必要に応じて,次に示すコマンドを実行して,PATH環境変数に/usr/DynamicLinkManager/binを追加します。

    • Bourneシェル,またはKornシェルを使用している場合

      # PATH=$PATH:/usr/DynamicLinkManager/bin
      # export PATH
    • Cシェルを使用している場合

      # set path=( $path /usr/DynamicLinkManager/bin )

    コマンドを簡潔に実行するために,一時的にPATH環境変数を追加します。PATH環境変数を設定しないで,HDLMコマンドやHDLMボリュームグループ操作ユティリティを実行する場合は,絶対パスを指定してコマンドを実行してください。

  6. 除外ディスク定義ファイルを設定します。

    HDLMの管理対象から外したい物理ボリュームがない場合,この手順は不要です。手順8に進んでください。

    HDLMの管理対象外にする物理ボリュームを,除外ディスク定義ファイル(/usr/DynamicLinkManager/drv/dlmfdrv.unconf)に定義します。

    図3‒3 システム構成例」の構成でシステムを運用する場合の,dlmfdrv.unconfファイルの作成方法について,次に説明します。

    注意事項

    ストレージシステム側のブートディスク,ダンプデバイスおよびスワップデバイスはHDLMで管理できません。ストレージシステム側にブートディスクまたはダンプデバイスを作成した場合,それらのデバイスをdlmfdrv.unconfファイルに定義してください。

    図3‒3 システム構成例
    [図データ]

    各LUへのパスを,どの物理ボリューム(hdiskn)が使用しているかを確認するために,lsattrコマンドを実行します。実行例を次に示します。

    なお,lsattrコマンドのlun_idは,HLUの番号です。

    [図データ]

    LU0の物理ボリューム(hdisk4,hdisk6)だけをHDLMで使用する場合

    LU0を使用していない(lun_idが0x0000000000000でない),hdisk5hdisk7を,dlmfdrv.unconfファイルに定義します。dlmfdrv.unconfファイルの定義内容を次に示します。

    [図データ]

    LU1の物理ボリューム(hdisk5,hdisk7)だけをHDLMで使用する場合

    LU1を使用していない(lun_idが0x1000000000000でない),hdisk4hdisk6を,dlmfdrv.unconfファイルに定義します。dlmfdrv.unconfファイルの定義内容を次に示します。

    [図データ]

  7. HDLM構成管理ユティリティdlmcfgmgr)を実行して,HDLMデバイスを構成します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmcfgmgr

    dlmfdrv.unconfを作成しなかった場合は,AIXが管理する物理ボリュームの情報に従って,HDLMドライバ,およびHDLMアラートドライバが,動作中のカーネルに組み込まれます。

    HDLMの管理対象外の物理ボリュームをdlmfdrv.unconfファイルに指定している場合は,手順6で定義したdlmfdrv.unconfファイルの内容,およびAIXでの物理ボリュームの情報に従って,HDLMドライバ,およびHDLMアラートドライバが,動作中のカーネルに組み込まれます。

    図3‒3 システム構成例」の構成で,LU1の物理ボリューム(hdisk5,hdisk7)だけをHDLMで使用して,HDLMデバイスを構成した場合のシステム構成例を次の図に示します。

    図3‒4 HDLMデバイス構成後のシステム構成例
    [図データ]
  8. HDLMドライバ,およびHDLMアラートドライバが動作中のカーネルに組み込まれ,HDLMデバイスが使用できる状態であることを確認します。

    次にコマンドの実行例を示します。

    # lsdev -C | grep dlm
    dlmadrv    使用可能               HDLM Alert Driver
    dlmfdrv0   使用可能               HDLM Driver

    表示されるHDLM関連のデバイスがすべて「使用可能」であることを確認します。

    dlmadrvは,HDLMアラートドライバのスペシャルファイル名です。

    dlmfdrv0は,HDLMデバイスの論理デバイスファイル名で,使用する物理ボリュームに対応します(「図3‒4 HDLMデバイス構成後のシステム構成例」に示すシステム構成で,hdisk5hdisk7に対応しています)。HDLMデバイス(dlmfdrvn)は1つのLUに対して1つ作成されます。

  9. 手順8で表示したHDLMデバイス(dlmfdrvn)が,HDLMで管理する物理ボリュームに対応していることを確認します。

    図3‒4 HDLMデバイス構成後のシステム構成例」に示すシステム構成では,dlmfdrv0hdisk5hdisk7に対応しています。次のコマンドを実行して,対応を確認してください。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -drv | grep -w dlmfdrv0
    000000 dlmfdrv0 hdisk5 VSP_Fx00.410017.001020
    000001 dlmfdrv0 hdisk7 VSP_Fx00.410017.001020 
  10. HDLMコマンドのviewオペレーションを実行して,各プログラムの状態を表示します。

    コマンドの実行例を,次に示します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -sys
    HDLM Version                 : x.x.x-xx
    Service Pack Version         : 
    Load Balance                 : on(extended lio)
    Support Cluster              :
    Elog Level                   : 3
    Elog File Size (KB)          : 9900
    Number Of Elog Files         : 2
    Trace Level                  : 0
    Trace File Size(KB)          : 1000
    Number Of Trace Files        : 4
    Path Health Checking         : on(30)
    Auto Failback                : off
    Reservation Status           : on(2)
    Intermittent Error Monitor   : off
    HDLM Manager Ver         WakeupTime
    Alive        x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss
    HDLM Alert Driver Ver         WakeupTime          ElogMem Size
    Alive             x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss 1000
    HDLM Driver Ver         WakeupTime
    Alive       x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss
    License Type Expiration
    Permanent    -
    KAPL01001-I HDLMコマンドが正常終了しました。オペレーション名 = view, 終了時刻 = yyyy/mm/dd hh:mm:ss

    クラスタソフトウェアを使用していても,「Support Cluster」には表示されません。この状態でもクラスタ対応機能は問題なく動作します。

  11. viewオペレーションの実行結果からインストールされたHDLMのバージョンを確認します。

    「HDLM Version」に「x.x.x-xx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。「x.x.x-xx」はインストールされたHDLMのバージョンです。

  12. viewオペレーションの実行結果からプログラムが正常に動作しているか確認します。

    「HDLM Manager」,「HDLM Alert Driver」,「HDLM Driver」がすべて「Alive」であれば,プログラムが正常に動作しています。

    バーチャルI/Oサーバを使用していない場合は,手順13から手順15を行う必要はありません。インストールが終了したら,「3.6 パス構成の確認」に記述されている手順に従ってパス構成を確認してください。

  13. バーチャルI/Oサーバを使用している場合は,HDLMデバイスを仮想ターゲットデバイスとして定義します。

    バーチャルI/Oサーバで,次のコマンドを実行します。

    HDLMデバイスを仮想ターゲットデバイスとして作成する場合
    $ mkvdev -vdev dlmfdrvn -vadapter 仮想SCSIサーバー・アダプター名
    論理ボリュームを仮想ターゲットデバイスとして作成する場合
    $ mkvdev -vdev 論理ボリューム名 -vadapter 仮想SCSIサーバー・アダプター名
  14. クライアント論理区画で次のコマンドを実行して,デバイスを再構成します。

    # cfgmgr
  15. クライアント論理区画で次のコマンドを実行して,物理ボリューム(hdiskn)が認識されていることを確認します。次の実行例で示すように表示されれば,問題ありません。

    # lsdev -Cc disk
    hdisk1 Available Virtual SCSI Disk Drive
注※

仮想ターゲットデバイス作成時に,対象HDLMデバイスが次のどちらかの条件を満たしていないと,仮想デバイスの作成でエラーとなります。

  • HDLMのunique_idの機能をONにしている。

  • 仮想ターゲットデバイスとして定義するHDLMにPVIDが割り振られている。