3.7.2　MediatorのConsensusLogの永続ボリュームおよびストレージクラスのKubernetesマニフェストの作成

「7.5.8　Mediatorの要件」に記載されているMediatorのConsensusLogの永続ボリュームの要件を満たすように、MediatorのConsensusLogの永続ボリュームおよびストレージクラスのKubernetesマニフェストを作成してください。

マネージドファイルサービスを使用する場合、次のマネージドファイルサービスを永続ボリュームとしてマウントするために必要なKubernetesマニフェストについては、それぞれの公式ドキュメントを参照してください。

• Microsoft Azure環境

  • Azure Files

  • Azure Blob Storage

• Google Cloud Platform環境

  • Filestore

永続ボリュームの種類を選択する判断基準の例を示します。

• Blue/Greenデプロイメントのように、MediatorのPodをデプロイするノードを固定したくない場合は、NFSストレージを選択してください。

• NFSサーバを用意しないで、最小限の構成としたい場合は、ローカル永続ボリューム（local）を選択してください。

• ローカル永続ボリューム（local）を選択すると、NFSストレージよりも永続ボリュームへアクセスする性能が高くなります。

• ローカル永続ボリューム（local）を選択すると、ノードが障害になったときの稼働率が安定します。MediatorのPodをデプロイするノードを固定することで、Mediatorをノードに均等に配置するためです。

永続ボリュームの種類がローカル永続ボリューム（local）の場合は、Mediatorで使用する永続ボリュームの種類を「ローカル永続ボリューム（local）」とし、KubernetesのnodeAffinityで永続ボリュームの割り当てノードを固定することで、その永続ボリュームを使用するMediatorのPodはKubernetesスケジューラによって必ず永続ボリュームと同一ノードに割り当てられるようになります。これによって、MediatorのPodが必ずノードにアタッチされたローカルストレージデバイスを使用できるようにします。

また、Mediator専用のストレージクラスを作成することで、MediatorのConsensusLogの永続ボリュームとMediatorのConsensusLogの永続ボリュームクレームのバインドを必ず一対一になるようにします。

永続ボリュームの種類がNFSストレージの場合は、Mediatorで使用する永続ボリュームの種類を「NFSストレージ」とし、KubernetesのnodeAffinityで永続ボリュームの割り当てノードを固定しないことで、MediatorのPodを不特定のノード上に割り当てます。

MediatorのConsensusLogの永続ボリュームおよびストレージクラスのKubernetesマニフェストの作成要領を次に示します。

＜ストレージクラスの作成要領＞

• ストレージクラスの名称（metadata.nameフィールド）に、ユーザ任意の名称を指定してください。ここで指定した名称は、各永続ボリュームのstorageClassNameフィールド、およびMediatorのHelmチャートのconsensusLog.storageClassNameパラメタの値に指定します。

• ストレージクラスのprovisionerフィールドに、「kubernetes.io/no-provisioner」を指定してください。

＜永続ボリュームの作成要領＞

• オートスケールを使用しない場合は、Kubernetesクラスタに起動するMediatorの数と同じ数だけ、永続ボリュームを作成するよう定義したKubernetesマニフェストを作成してください。

  オートスケールを使用する場合は、「4.2.4　HPAのKubernetesマニフェストの作成」で作成したMediator用のHPAのマニフェストファイルに指定した「スケールアウトできる最大のPod数」と同じ数だけ、永続ボリュームを作成するよう定義したKubernetesマニフェストを作成してください。

• 各永続ボリュームの名称（metadata.nameフィールド）に、ユーザ任意の名称を指定してください。

• 永続ボリュームの種類によって、次のどちらかの作業を実施してください。

  • 永続ボリュームの種類がローカル永続ボリューム（local）の場合

    各永続ボリュームの.spec.localフィールドに、「(1)　MediatorのConsensusLogの永続ボリュームマウント用ディレクトリの作成（ローカル永続ボリューム（local）とする場合）」で作成するワーカーノード上のボリュームマウント用ディレクトリパスを指定してください。

  • 永続ボリュームの種類がNFSストレージの場合

    各永続ボリュームの.spec.nfsフィールドに、「3.6.3　MediatorのConsensusLogの永続ボリュームマウント用ディレクトリの作成（NFSストレージとする場合）」で作成するNFSのサーバアドレスとディレクトリパスを指定してください。

• 永続ボリュームの種類がローカル永続ボリューム（local）の場合、各永続ボリュームのnodeAffinityフィールドに、Mediatorを配置する個々のワーカーノードを決めてノード名を指定してください。

  例として、Kubernetesクラスタに起動するMediatorの最大台数が「5」で、ワーカーノードが5台（「ワーカーノード-0」、「ワーカーノード-1」、「ワーカーノード-2」、「ワーカーノード-3」、「ワーカーノード-4」）がある場合、次のように指定します。

  • 「永続ボリューム-0」のnodeAffinityフィールドに、「ワーカーノード-0」を指定する

  • 「永続ボリューム-1」のnodeAffinityフィールドに、「ワーカーノード-1」を指定する

  • 「永続ボリューム-2」のnodeAffinityフィールドに、「ワーカーノード-2」を指定する

  • 「永続ボリューム-3」のnodeAffinityフィールドに、「ワーカーノード-3」を指定する

  • 「永続ボリューム-4」のnodeAffinityフィールドに、「ワーカーノード-4」を指定する

• 永続ボリュームの種類がNFSストレージの場合、各永続ボリュームの.spec.nodeAffinityフィールドで、Mediatorを配置しないノード（コントロールプレーンなど）を決め、それ以外のノードに配置されるように指定してください。例として、.spec.nodeAffinity.required.nodeSelectorTerms.matchExpressionsフィールドに「operator: NotIn」「values:- control-plane-0」のように指定します。

• 各永続ボリュームのcapacity.storageフィールドに、次に示す値以上のサイズを指定してください。

  指定サイズ＝「(a) × (b) ＋ (c)」以上のサイズ
  (a) MediatorのHelmチャートの.consensusLog.sizeパラメタに指定した値
  (b) 1,024(1つのConsensusLogのサイズ)
  (c) 1,048,576(ボリュームの書き込み容量不足にならないための予備サイズ(1MB))

  例として、(a)が「256」の場合、「256×1,024＋1,048,576」＝「1,310,720」以上となるため、capacity.storageフィールドには「2Mi」（2メビバイト）を指定します。

• 各永続ボリュームのaccessModesフィールドに、「ReadWriteOnce」を指定してください。

• 各永続ボリュームのpersistentVolumeReclaimPolicyフィールドに、「Retain」を指定してください。

• 各永続ボリュームのstorageClassNameフィールドに、前述のストレージクラスで指定した名称を指定してください。

＜ストレージクラスおよび永続ボリュームの記述例＞

ローカル永続ボリューム（local）とする場合と、NFSストレージとする場合の、MediatorのConsensusLogの永続ボリュームおよびストレージクラスのKubernetesマニフェストの記述例を次に示します。

＜永続ボリュームをローカル永続ボリューム（local）とする場合＞

apiVersion: storage.k8s.io/v1
kind: StorageClass
metadata:
  name: mediator-consensus-log
provisioner: kubernetes.io/no-provisioner
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: mediator-consensus-log-0
spec:
  capacity:
    storage: 2Mi
  accessModes:
  - ReadWriteOnce
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: mediator-consensus-log
  local:
    path: /mediator-consensus-log-volume
  nodeAffinity:
    required:
      nodeSelectorTerms:
      - matchExpressions:
        - key: kubernetes.io/hostname
          operator: In
          values:
          - worker-0
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: mediator-consensus-log-1
spec:
  capacity:
    storage: 2Mi
  accessModes:
  - ReadWriteOnce
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: mediator-consensus-log
  local:
    path: /mediator-consensus-log-volume
  nodeAffinity:
    required:
      nodeSelectorTerms:
      - matchExpressions:
        - key: kubernetes.io/hostname
          operator: In
          values:
          - worker-1
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: mediator-consensus-log-2
spec:
  capacity:
    storage: 2Mi
  accessModes:
  - ReadWriteOnce
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: mediator-consensus-log
  local:
    path: /mediator-consensus-log-volume
  nodeAffinity:
    required:
      nodeSelectorTerms:
      - matchExpressions:
        - key: kubernetes.io/hostname
          operator: In
          values:
          - worker-2
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: mediator-consensus-log-3
spec:
  capacity:
    storage: 2Mi
  accessModes:
  - ReadWriteOnce
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: mediator-consensus-log
  local:
    path: /mediator-consensus-log-volume
  nodeAffinity:
    required:
      nodeSelectorTerms:
      - matchExpressions:
        - key: kubernetes.io/hostname
          operator: In
          values:
          - worker-3
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: mediator-consensus-log-4
spec:
  capacity:
    storage: 2Mi
  accessModes:
  - ReadWriteOnce
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: mediator-consensus-log
  local:
    path: /mediator-consensus-log-volume
  nodeAffinity:
    required:
      nodeSelectorTerms:
      - matchExpressions:
        - key: kubernetes.io/hostname
          operator: In
          values:
          - worker-4

この例では、Kubernetesクラスタに起動するMediatorの数を「5」、ワーカーノードを5台としています。

＜永続ボリュームをNFSストレージとする場合＞

apiVersion: storage.k8s.io/v1
kind: StorageClass
metadata:
  name: mediator-consensus-log
provisioner: kubernetes.io/no-provisioner
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: mediator-consensus-log-0
spec:
  capacity:
    storage: 2Mi
  accessModes:
  - ReadWriteOnce
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: mediator-consensus-log
  nfs:
    server: nfs-server.example.com
    path: /mediator-consensus-log-volume
  nodeAffinity:
    required:
      nodeSelectorTerms:
      - matchExpressions:
        - key: kubernetes.io/hostname
          operator: NotIn
          values:
          - control-plane-0
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: mediator-consensus-log-1
spec:
  capacity:
    storage: 2Mi
  accessModes:
  - ReadWriteOnce
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: mediator-consensus-log
  nfs:
    server: nfs-server.example.com
    path: /mediator-consensus-log-volume
  nodeAffinity:
    required:
      nodeSelectorTerms:
      - matchExpressions:
        - key: kubernetes.io/hostname
          operator: NotIn
          values:
          - control-plane-0
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: mediator-consensus-log-2
spec:
  capacity:
    storage: 2Mi
  accessModes:
  - ReadWriteOnce
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: mediator-consensus-log
  nfs:
    server: nfs-server.example.com
    path: /mediator-consensus-log-volume
  nodeAffinity:
    required:
      nodeSelectorTerms:
      - matchExpressions:
        - key: kubernetes.io/hostname
          operator: NotIn
          values:
          - control-plane-0
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: mediator-consensus-log-3
spec:
  capacity:
    storage: 2Mi
  accessModes:
  - ReadWriteOnce
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: mediator-consensus-log
  nfs:
    server: nfs-server.example.com
    path: /mediator-consensus-log-volume
  nodeAffinity:
    required:
      nodeSelectorTerms:
      - matchExpressions:
        - key: kubernetes.io/hostname
          operator: NotIn
          values:
          - control-plane-0
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolume
metadata:
  name: mediator-consensus-log-4
spec:
  capacity:
    storage: 2Mi
  accessModes:
  - ReadWriteOnce
  persistentVolumeReclaimPolicy: Retain
  storageClassName: mediator-consensus-log
  nfs:
    server: nfs-server.example.com
    path: /mediator-consensus-log-volume
  nodeAffinity:
    required:
      nodeSelectorTerms:
      - matchExpressions:
        - key: kubernetes.io/hostname
          operator: NotIn
          values:
          - control-plane-0

この例では、Kubernetesクラスタに起動するMediatorの数を「5」、ワーカーノードを5台としています。

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