Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Linux®用)

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7.3.2 パラメタ

各パラメタ名と機能を次の表に示します。

表7-5 dlmcfgmgrユティリティのパラメタの機能

パラメタ 機能
-s 確認メッセージを表示しないでdlmcfgmgrユティリティを実行します
-r ホストの稼働中にHDLMデバイスへのパスの登録を実行します
-o 管理対象のHDLMデバイスを管理対象外にします
-i 管理対象外にしていたHDLMデバイスを管理対象に戻します
-v [-udev] HDLMが認識しているすべてのHDLMデバイスの管理状態と構成情報を表示します
-u -vパラメタを指定して表示されたHDLMデバイスの構成情報で,Device列に「-」(ハイフン)が表示されているパスを削除します
-logfs dlmcfgmgrユティリティのログファイル(dlmcfgmgr[1-2].log)のファイルサイズを変更します

-s
dlmcfgmgrユティリティの実行時に確認メッセージを表示しない場合に,指定します。また,このパラメタを指定してユティリティを実行した場合,HDLMデバイスごとの確認メッセージを表示しません。
このパラメタは,シェルスクリプトやバッチファイルでコマンドを実行する場合など,確認メッセージへの入力を省略したい(人手による介入をしたくない)ときに指定します。
-vパラメタを指定した場合は,この指定を省略しても,実行するかどうかの確認メッセージは表示されません。

-r
HDLMがまだ認識していないパスを認識して,HDLMに登録する場合に指定します。dlmcfgmgrユティリティの実行時,必要なHDLMデバイスの論理デバイスファイルを/devディレクトリ下に作成します。その結果,ストレージシステムのLDEVをHDLMデバイスとして,ユーザが利用できるようになります。
このパラメタは,ストレージシステムの構成変更(LUやパスの追加),またはホスト側のハード構成変更など,新規にHDLMデバイスの定義を作成するときに指定します。
HDLMに一度登録されたパスの定義情報は,ホストの起動時にそのパスが断線状態になっていても引き継がれます。
新規に検出され登録されるパスで,そのパスのSCSIデバイスがすでに登録されていた(ホストとストレージシステムのLUとのパスがすでに存在し,さらにパスを追加した)場合,そのパスには同じHDLMデバイスが割り当てられます。新規に検出され登録されるパスで,そのパスのSCSIデバイスが未登録の(ホストとストレージシステムのLUを結ぶパスを新たに定義した)場合,そのパスにはアルファベットの若い順番に,空いているHDLMデバイスが割り当てられます。HDLMデバイスが新規に割り当てられる場合の簡単な事例を次の表に示します。

表7-6 HDLMデバイスの新規割り当て例

-rパラメタを指定してdlmcfgmgrユティリティを実行する前の状態 -rパラメタを指定してdlmcfgmgrユティリティを実行したあとの状態
なし /dev/sddlmaa
/dev/sddlmaa /dev/sddlmaa
/dev/sddlmab
/dev/sddlmaa
/dev/sddlmab
/dev/sddlmaa
/dev/sddlmab
/dev/sddlmac
/dev/sddlmaa
/dev/sddlmac
/dev/sddlmaa
/dev/sddlmab
/dev/sddlmac
/dev/sddlmab
/dev/sddlmac
/dev/sddlmaa
/dev/sddlmab
/dev/sddlmac
/dev/sddlmaa
    :
/dev/sddlmpp
/dev/sddlmaa
    :
/dev/sddlmpp
/dev/sddlmaaa
/dev/sddlmaa
    :
/dev/sddlmaap
/dev/sddlmaa
    :
/dev/sddlmaap
/dev/sddlmbaa

注※
新規に割り当てられたHDLMデバイスの論理デバイスファイル名です。
ホストの起動時には毎回,このパラメタを指定したdlmcfgmgrユティリティが自動的に実行されます。また,このユティリティは,ホストの起動後に必要に応じて何回でも実行できます。実行時,このユティリティは,現在のHDLMの設定を調べて,新規にパスを検出した場合には動的にHDLMに登録して使用できるようにします。またOffline(C)以外の既存のパスや新規に検出されたパスについては,そのパスの現在の状態に変更します。この場合,パスヘルスチェックや自動フェイルバック機能も同時に実行されます。
KAPL10357-Eのメッセージが表示された場合は,新しいLUを認識してもHDLMデバイスは追加されません。その場合には,-uパラメタを指定してdlmcfgmgrユティリティを実行して使用していないHDLMデバイスを削除し,使用できる名称を解放することによって新規LUのHDLMデバイスの論理デバイスファイルを作成できます。
管理対象外になっているHDLMデバイスにパスを追加して-rパラメタを指定したdlmcfgmgrユティリティを実行しても,追加したパスに対応するHDLMデバイスは管理対象外となります。

-o { HDLMデバイスの論理デバイスファイル名 ...|all}
管理対象のHDLMデバイスを管理対象外にする場合に,指定します。
このパラメタに指定する値には,HDLMデバイスの論理デバイスファイル名(/dev/sddlm[aa-pap])を複数指定できます。HDLMデバイス論理デバイスファイル名については,「2.6 HDLMデバイスの論理デバイスファイル」を参照してください。
すべてのHDLMデバイスを対象とする場合には,allを指定します。allとHDLMデバイスの論理デバイスファイル名を同時に指定した場合には,エラーとなります。
-oパラメタだけを指定してパラメタ値を省略した場合には,エラーとなります。また,存在しないHDLMデバイス,HDLMデバイス以外のデバイス,すでに管理対象外になっているHDLMデバイスの論理デバイスファイル名を指定した場合には無視されます。
このパラメタを指定したdlmcfgmgrユティリティは,Linuxが起動している間に何回でも実行でき,指定したHDLMデバイスが使用中の場合を除いて,実行後,すぐに管理対象外にします。指定したHDLMデバイスが使用中の場合には,エラーとなります。
このパラメタは,HDLMでの管理が不要となったHDLMデバイスを管理対象外にする場合に指定します。管理対象外になったHDLMデバイスは,HDLMコマンドのviewオペレーションを実行しても表示されなくなり,HDLMデバイスファイルも作成されないため,ユーザが使用できないHDLMデバイスになります。

-i { HDLMデバイスの論理デバイスファイル名 ...|all}
管理対象外にしていたHDLMデバイスを管理対象に戻す場合に,指定します。
このパラメタに指定する値には,HDLMデバイスの論理デバイスファイル名(/dev/sddlm[aa-pap])を複数指定できます。HDLMデバイス論理デバイスファイル名については,「2.6 HDLMデバイスの論理デバイスファイル」を参照してください。
すべてのHDLMデバイスを対象とする場合にはallを指定します。allとHDLMデバイスの論理デバイスファイル名を同時に指定した場合にはエラーとなります。
-iパラメタだけを指定してパラメタ値を省略した場合には,エラーとなります。また,存在しないHDLMデバイス,HDLMデバイス以外のデバイス,すでに管理対象になっているHDLMデバイスの論理デバイスファイル名を指定した場合には無視されます。
このパラメタを指定したdlmcfgmgrユティリティは,Linuxが起動している間に何回でも実行でき,実行後,指定したHDLMデバイスはすぐに使用できるようになります。
このパラメタは,HDLMでの管理が必要となったHDLMデバイスを管理対象に戻す場合に指定します。管理対象になったHDLMデバイスは,HDLMコマンドのviewオペレーションなどでも表示され,HDLMデバイスファイルも作成されるようになるため,再びユーザが使用できるHDLMデバイスとなります。

-v [-udev]
HDLMが認識しているすべてのHDLMデバイスの管理状態と構成情報を表示する場合に,指定します。
このパラメタは,HDLMデバイスの現在の管理状態,構成情報などを知りたい場合に指定します。
なお,このパラメタを指定したdlmcfgmgrユティリティの実行時に,-sパラメタの指定を省略しても,実行するかどうかの確認メッセージは表示されません。また,-o-i,または-uパラメタを指定した場合とは異なり,HDLMデバイスへのI/O中であっても動作します。
HDLMデバイスと対応しているSCSIデバイスのudev名もあわせて確認したい場合,-udevパラメタを指定します。

-u { HDLMデバイスの論理デバイスファイル名 ...|all}
-vパラメタを指定して表示されたHDLMデバイスの構成情報で,Device列に「-」(ハイフン)が表示されているパスを削除する場合に,指定します。
-uパラメタに指定する値には,HDLMデバイスの論理デバイスファイル名(/dev/sddlm[aa-pap])を複数指定できます。HDLMデバイス論理デバイスファイル名については,「2.6 HDLMデバイスの論理デバイスファイル」を参照してください。-uパラメタだけを指定してパラメタ値を省略した場合には,エラーとなります。
すべてのHDLMデバイスを対象とする場合には,allを指定します。allとHDLMデバイスの論理デバイスファイル名を同時に指定した場合には,エラーとなります。また,存在しないHDLMデバイス,またはHDLMデバイス以外の論理デバイスファイル名を指定した場合には無視されます。
このパラメタを指定したdlmcfgmgrユティリティは,Linuxが起動している間に何回でも実行でき,実行後,再構成されたHDLMデバイスをすぐに使用できます。
このパラメタは,HDLMデバイスに対応するSCSIデバイスが存在しないパス(-vパラメタを指定して表示されたHDLMデバイスの構成情報で,Device列に「-」(ハイフン)が表示されているパス)の情報を削除して,HDLMへの登録を解除する場合に指定します。
通常,HDLMデバイスへのパスの情報は,起動時に認識されると追加されますが,このパスが断線状態だったり,LUの割り当てが解除されていたりして,認識されたHDLMデバイスが使用できない状態であっても,HDLMによって自動的に削除されることはありません。このため,使用しないHDLMデバイスの情報が残り続ける状態になり,新たに定義したLUや追加したパスが,使用できなくなることがあります。このパラメタは,このような事態を解消する場合に指定します。
なお,allを指定した場合,ホスト起動時に断線状態になっていただけで,本当は使用しているHDLMデバイスも削除対象と見なして削除するおそれがあるため注意が必要です。allを指定して実行する場合は,-vパラメタを指定したdlmcfgmgrユティリティを実行するなどして,削除対象を確認してからにしてください。

-logfs [ dlmcfgmgrユティリティのログファイルのファイルサイズ ]
dlmcfgmgrユティリティログ(dlmcfgmgr[1-2].log)のファイルサイズを変更する場合に指定します。
dlmcfgmgrユティリティのログファイルのファイルサイズには,キロバイト単位で1024~999999の値を指定します。
HDLMの管理対象のLU数が65以上またはパス数が129以上の場合は,10240KB以上の値に設定することを推奨します。
なお,ログファイルサイズを変更した場合,この時点で存在しているdlmcfgmgr[1-2].logのサイズは変更されません。次回に作成されるdlmcfgmgr[1-2].logが,設定したファイルサイズとなります。
dlmcfgmgrユティリティのログファイルのファイルサイズの指定を省略した場合は,現在の設定値が表示されます。

使用例

(例1)実行の確認をして,HDLMがまだ認識していないパスを登録する場合
確認メッセージに対して,ユティリティを実行する場合は「y」を,実行しない場合は「n」を入力してください。
[図]

(例2)実行の確認をしないで,HDLMデバイス「sddlmaa」を管理対象外にする場合
[図]

(例3)実行の確認をして,使用できないすべてのパスの情報を削除し,HDLMへの登録を解除する場合
確認メッセージに対して,ユティリティを実行する場合は「y」を,実行しない場合は「n」を入力してください。
[図]

(例4)HDLMデバイスの管理状態と構成情報を表示する場合
[図]
表示される項目とその説明を次の表に示します。

表7-7 HDLMデバイスの管理状態と構成を示す情報

項目 説明
HDevName HDLMデバイスの論理デバイスファイル名が,フルパスで表示されます。該当するLUの最初のパスにだけ表示されます。
Management HDLMデバイスの現在の管理状態が表示されます。
configured:管理対象であることを示す
unconfigured:管理対象外であることを示す
Device HDLMデバイスに対応するパスが,表示されます。
表示されるのは,SCSIデバイスの論理デバイスファイルです。
LUの割り当てを解除したパスや起動時に断線していたパスは,HDLMに仮登録され「-」(ハイフン)で表示されます。
なお,SUSE LINUX Enterprise Server 11を使用している場合は,システムの運用中に次に示す事象が起きたときにも,「-」(ハイフン)が表示されることがあります。
  • パスが断線した。
  • LUを削除した。
  • ファイバケーブルの接続を変更した。
  • ファイバチャネルスイッチのゾーン設定を変更した。
Host Host ID(ホストポート番号)です。
Channel Channel番号(バス番号)です。
Target Target ID(ターゲットID)です。
Lun Lun(ホストLU番号)です。
Udev udev名です。
udev機能でデバイス名をカスタマイズしていないデバイスは「-」(ハイフン)で表示されます。

(例5)dlmcfgmgrユティリティのログのファイルサイズを設定する場合
dlmcfgmgrユティリティログのファイルサイズを設定する例を次に示します。
#dlmcfgmgr -logfs 10240
 
上記の例では,dlmcfgmgrユティリティログのファイルサイズの設定値は10240KBとなります。

(例6)dlmcfgmgrユティリティのログのファイルサイズの設定値を表示する場合
dlmcfgmgrユティリティのログのファイルサイズの設定値を表示する例を次に示します。
 
#dlmcfgmgr -logfs
KAPL10938-I dlmcfgmgr Log File Size(KB) : 10240
#
 

参考

パラメタを指定しない場合,dlmcfgmgrユティリティの指定形式が表示されます。

 
# /sbin/dlmcfgmgr
KAPL10319-W usage: /sbin/dlmcfgmgr [-s] 
                     { -r 
                     | -o {special-file-name ... | all}
                     | -i {special-file-name ... | all} 
                     | -v [-udev]
                     | -u {special-file-name ... | all}
                     | -logfs [log-file-size]}
#
 

注意事項

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