Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Linux®用)
HDLMで設定できる各機能について次の表にまとめています。各機能の詳細は「(1) ロードバランスの設定」以降を参照してください。
各機能の設定値には,デフォルト値と推奨値があります。HDLMコマンドのsetオペレーションで機能を設定しない場合,機能の設定値にはデフォルト値が適用されます。推奨値は,機能を設定する場合の目安となる値です。
機能 デフォルト値 推奨値 ロードバランス on
アルゴリズムは拡張最少I/O数on
アルゴリズムの推奨値は運用環境によって異なります。パスヘルスチェック on
チェック間隔30(分)on
チェック間隔の推奨値は運用環境によって異なります。自動フェイルバック off off 間欠障害監視 off off ダイナミックI/Oパスコントロール※ off
チェック間隔10(分)off
チェック間隔の推奨値は運用環境によって異なります。障害ログ採取レベル 3:Informationレベル以上の障害情報を採取 3:Informationレベル以上の障害情報を採取 トレースレベル 0:トレースを出力しない 0:トレースを出力しない 障害ログファイルサイズ 9900(KB) 9900(KB) 障害ログファイル数 2 2 トレースファイルサイズ 1000(KB) 1000(KB) トレースファイル数 4 4 監査ログ採取 off 推奨値は運用環境によって異なります。
監査ログを採取したい場合「on」を設定してください。監査ログのFacility user local0~7
- 注※
- ストレージシステムがHitachi AMS2000シリーズ,Hitachi SMSシリーズ,またはHUS100シリーズを使用している場合にだけ適用されます。
- この項の構成
- (1) ロードバランスの設定
- (2) パスヘルスチェックの設定
- (3) 自動フェイルバックの設定
- (4) 間欠障害監視の設定
- (5) ダイナミックI/Oパスコントロールの設定
- (6) 障害ログ採取レベルの設定
- (7) トレースレベルの設定
- (8) 障害ログファイルサイズの設定
- (9) 障害ログファイル数の設定
- (10) トレースファイルサイズの設定
- (11) トレースファイル数の設定
- (12) 監査ログ採取の設定
- (13) 監査ログのFacilityの設定
ロードバランス機能を使用するかどうかを設定します。
ロードバランスを設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -lb on -lbtype exlioロードバランスを使用する場合は,「on」を,使用しない場合は「off」を指定します。「on」を指定した場合,-lbtypeオプションのあとに,次に示すアルゴリズムを指定します。
- ラウンドロビンの場合は「rr」
- 拡張ラウンドロビンの場合は「exrr」
- 最少I/O数の場合は「lio」
- 拡張最少I/O数の場合は「exlio」
- 最少ブロック数の場合は「lbk」
- 拡張最少ブロック数の場合は「exlbk」
-lbtypeで設定したアルゴリズムは,-lb offを指定してロードバランス機能を無効にしても,記憶されています。そのため,再度ロードバランス機能を有効にし,アルゴリズムを指定しなかった場合,記憶されているアルゴリズムでロードバランスが実行されます。
パスヘルスチェック機能を使用するかどうかを設定します。
パスヘルスチェックを設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -pchk on -intvl 10パスヘルスチェックを使用する場合は,「on」を,使用しない場合は「off」を指定します。「on」を指定した場合,-intvlパラメタでチェック間隔を指定できます。チェック間隔を指定しない場合は,前回指定した設定値になります。例えば,チェック間隔を15分に設定して実行したあと,パスヘルスチェックに「off」を設定して実行します。このあと,再度チェック間隔を指定しないでパスヘルスチェックに「on」を設定して実行した場合,前回指定した設定値の15分を再び使用します。
自動フェイルバック機能を使用するかどうかを設定します。
間欠障害監視を使用して「障害発生回数」が「2」以上の場合,次の条件が満たされている必要があります。
間欠障害の障害監視時間 >= 自動フェイルバックのチェック間隔×間欠障害監視で指定する障害発生回数この条件が満たされない場合はエラーとなり,KAPL01080-Wのメッセージが表示されます。
エラーになった場合は,自動フェイルバックのチェック間隔,間欠障害の監視時間,または間欠障害監視で指定する障害発生回数のどれかを変更してください。障害発生回数に「1」を指定した場合,上記の条件を満たす必要はありません。
自動フェイルバックを設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -afb on -intvl 10自動フェイルバックを使用する場合は「on」を,使用しない場合は「off」を指定します。「on」を指定した場合,-intvlパラメタでパスの状態をチェックする間隔を指定できます。チェック間隔を指定しない場合は,前回指定した設定値になります。例えば,チェック間隔を5分に設定して実行したあと,自動フェイルバックに「off」を設定して実行します。このあと,再度チェック間隔を指定しないで自動フェイルバックに「on」を設定して実行した場合,前回指定した設定値の5分を再び使用します。
間欠障害監視は,自動フェイルバック機能を使用しているときだけ設定できます。間欠障害が発生したときのI/O性能の低下を防ぐため,自動フェイルバックを使用する場合は,間欠障害を監視することをお勧めします。
間欠障害監視を使用した場合,「障害監視時間」および「障害発生回数」で,間欠障害と見なす条件を指定できます。障害監視時間のデフォルト値は「30」,障害発生回数のデフォルト値は「3」です。
間欠障害の監視が開始されてから指定した時間(分)が経過するまでの間に,指定した回数の障害が発生した場合に,該当するパスに間欠障害が発生していると見なします。間欠障害が発生していると見なされたパスは,自動フェイルバックの対象外になります。なお,間欠障害の監視は,自動フェイルバックによってパスが障害から回復した時点で開始されます。監視は,パスごとに実施されます。
「障害発生回数」に「2」以上の値を指定した場合,「(3) 自動フェイルバックの設定」に示す条件が満たされている必要があるので,参照してください。
パスが間欠障害と見なされているかどうかは,HDLMコマンドのviewオペレーションの実行結果で確認できます。
間欠障害監視を設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -iem on -intvl 20 -iemnum 2間欠障害を監視する場合は「on」を,監視しない場合は「off」を指定します。「on」を指定した場合,-intvlパラメタおよび-iemnumパラメタで,間欠障害と見なす条件を指定できます。-intvlパラメタでは障害監視時間を,-iemnumパラメタでは障害発生回数を指定します。条件の指定を省略すると,30分以内に3回以上障害が発生した場合に間欠障害と見なします。
I/O性能の低下を防ぐため,ストレージシステム側で行われるコントローラ切り替えに追従して,HDLMの出力先コントローラを動的に切り替えます。
ダイナミックI/Oパスコントロール機能はストレージシステム単位またはLU単位に設定できます。また,ストレージシステム側で行われるコントローラ切り替えを追従するに当たり,切り替え情報を見直しするチェック間隔も設定できます。
ダイナミックI/Oパスコントロール機能を設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -dpc on -pathid 000001 -lu # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -dpcintvl 10ダイナミックI/Oパスコントロール機能を有効にする場合は「on」を,無効にする場合は「off」を指定します。-pathidパラメタではLUまたは,ストレージシステムに接続されているパスIDを指定します。-dpcintvlパラメタでは,ストレージシステム側で行われるコントローラ切り替え情報を見直すチェック間隔を,分単位で指定します。
障害ログ(HDLMマネージャのログ(dlmmgr[1-16].log))を採取するレベルを設定します。
障害ログ採取レベルの設定値とその説明を次の表に示します。
設定値 説明 0 障害ログを採取しません。 1 Errorレベル以上の障害情報を採取します。 2 Warningレベル以上の障害情報を採取します。 3 Informationレベル以上の障害情報を採取します。 4 Informationレベル(保守情報も含む)以上の障害情報を採取します。 障害が発生したときは,障害ログ採取レベルに「1」以上を設定してログを採取します。設定値が大きいほど出力される情報量が多くなります。ログの出力量が多いと,古い障害ログファイルが新しい情報で上書きされるまでの時間が短くなります。
障害ログ採取レベルを設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -ellv 2障害ログを採取するレベルを数字で指定します。
トレースを出力するレベルを設定します。
トレースレベルを設定できるトレースファイルは,hdlmtr[1-64].logです。
トレースレベルの設定値とその説明を次の表に示します。
設定値 説明 0 トレースを出力しません。 1 エラー情報だけ出力します。 2 プログラムの動作概略を出力します。 3 プログラムの動作詳細を出力します。 4 すべての情報を出力します。 障害が発生したときは,トレースレベルに「1」以上を設定してトレース情報を採取します。設定値が大きいほど出力される情報量が多くなります。トレース情報の出力量が多いと,古いトレースファイルが新しい情報で上書きされるまでの時間が短くなります。
通常の運用では,トレースレベルに「0」を設定することを推奨します。必要以上にトレースレベルの設定値を大きくすると,HDLMの処理性能が低下したり,障害の要因分析に必要なトレース情報が上書きされたりするおそれがあります。
トレースレベルを設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -systflv 1トレースの出力レベルを数字で指定します。
障害ログファイル(HDLMマネージャのログ(dlmmgr[1-16].log))のサイズを設定します。
障害ログファイルサイズには,キロバイト単位で100~2000000の値を指定します。HDLMマネージャのログには指定値が反映されます。
障害ログファイルが設定サイズに達すると,最も古い障害ログファイルから順に新しいログ情報が上書きされます。障害ログファイル数の指定と合わせて,採取できる障害ログの合計サイズの最大値は32000000KB(約30GB)です。
障害ログファイルサイズを設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -elfs 1000障害ログファイルのサイズを,キロバイト単位で指定します。
障害ログ(HDLMマネージャのログ(dlmmgr[1-16].log))のファイル数を設定します。
障害ログファイル数(HDLMマネージャのログファイル数)には,2~16の値を指定します。障害ログファイルサイズの指定と合わせて,採取できる障害ログの合計サイズの最大値は32000000KB(約30GB)です。
障害ログファイル数を設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -elfn 5障害ログファイルの数を数字で指定します。
トレースファイルのサイズを設定します。
ファイルサイズを設定できるトレースファイルは,hdlmtr[1-64].logです。トレースファイルは固定長です。したがって,書き込まれるトレース情報が設定したファイルサイズに満たない場合でも,出力されるトレースファイル1つ当たりのファイルサイズは常に固定です。
トレースファイルサイズには,キロバイト単位で100~16000の値を指定します。設定されている値よりも小さい値を指定した場合,実行を確認するKAPL01097-Wのメッセージが表示されてトレースファイルはいったん削除されます。すべてのトレースファイルにトレースが書き込まれると,最も古いトレースファイルに新しいトレースが上書きされます。
トレースファイル数の指定と合わせて,採取できるトレースの合計サイズの最大値は1024000KBです。
トレースファイルサイズを設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -systfs 2000トレースファイルのサイズをキロバイト単位で指定します。
トレースファイルの数を設定します。
ファイル数を設定できるトレースファイルは,hdlmtr[1-64].logです。
トレースファイル数には,2~64の値を指定します。設定されている値よりも小さい値を指定した場合,実行を確認するKAPL01097-Wのメッセージが表示されてトレースファイルはいったん削除されます。
トレースファイルサイズの指定と合わせて,採取できるトレースの合計サイズの最大値は1024000KBです。
トレースファイル数を設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -systfn 10トレースファイルの数を数字で指定します。
監査ログを採取するかどうか設定します。
監査ログを採取する場合には,監査ログ採取レベルおよび監査ログ種別を設定します。
監査ログの採取レベルの設定値とその説明を次の表に示します。監査ログ採取レベルは重要度(Severity)で設定します。デフォルトの設定値は「6」です。
設定値(重要度) 説明 0 監査ログを採取しません。 1 2 Criticalレベルの監査ログを採取します。 3 Critical,およびErrorレベルの監査ログを採取します。 4 Critical,Error,およびWarningレベルの監査ログを採取します。 5 6 Critical,Error,Warning ,およびInformationalレベルの監査ログを採取します。 7 監査ログ種別の設定値とその説明を次の表に示します。デフォルトの設定値は「all」です。
設定値 説明 ss StartStopの監査ログ事象を採取します。 a Authenticationの監査ログ事象を採取します。 ca ConfigurationAccessの監査ログ事象を採取します。 all StartStop,Authentication,およびConfigurationAccessの監査ログ事象を採取します。 監査ログ採取を設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -audlog on -audlv 6 -category all監査ログを採取する場合は「on」を,採取しない場合は「off」を指定します。「on」を指定した場合,-audlvパラメタで監査ログ採取レベルを,-categoryパラメタで監査ログ種別を指定できます。
監査ログのFacilityを設定する場合は,「(13) 監査ログのFacilityの設定」を参照してください。
監査ログの出力先を指定する場合,次の設定を行います。
監査ログのFacilityをdlnkmgr set -audfacで指定し,そのFacilityの出力先をsyslogの設定ファイルで定義することで,監査ログだけを指定のディレクトリに出力できます。監査ログのFacilityの設定値を次の表に示します。デフォルトの設定値は「user」です。
設定値 syslogの設定ファイルでの対応するFacility値 userまたは1 user local0または16 local0 local1または17 local1 local2または18 local2 local3または19 local3 local4または20 local4 local5または21 local5 local6または22 local6 local7または23 local7 監査ログのFacilityを設定する例を,次に示します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr set -audfac local0
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