Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Linux®用)
HDLMデバイスを使ったマルチパス構成のブートディスクの環境に,HDLMをアップグレードインストールして環境を設定する方法について説明します。
設定を誤ると,OSが起動できなくなることがあるので,注意してください。HDLMデバイスからのOSの起動に失敗した場合の対処については,「3.7.5 HDLMデバイスからのOSの起動に失敗した場合の対処」を参照してください。
この手順で使用するブートローダの設定ファイル名は,ブートローダまたはOSによって異なります。ブートローダの設定ファイル名を次の表に示します。
ブートローダ 設定ファイル名 GRUB BIOS Red Hat Enterprise Linuxの場合
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 5の場合
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 6の場合/boot/grub/grub.conf SUSE LINUX Enterprise Server 10の場合
SUSE LINUX Enterprise Server 11の場合/boot/grub/menu.lst UEFI Red Hat Enterprise Linux 6の場合 /boot/efi/EFI/redhat/grub.conf GRUB2 BIOS Red Hat Enterprise Linux 7の場合
SUSE LINUX Enterprise Server 12の場合/boot/grub2/grub.cfg UEFI Red Hat Enterprise Linux 7の場合 /boot/efi/EFI/redhat/grub.cfg ELILO EFI Red Hat Enterprise Linuxの場合 /boot/efi/EFI/redhat/elilo.conf SUSE LINUX Enterprise Server 10の場合
SUSE LINUX Enterprise Server 11の場合/boot/efi/EFI/SuSE/elilo.conf
- Linuxに,root権限を持つユーザでログインします。
- HDLMのブートディスク環境であることを確認します。
次に示すコマンドを実行して,ルート(/)の情報を確認します。# /bin/mount | /bin/grep -w /HDLMデバイスが出力された場合は,HDLMのブートディスク環境です。
HDLMデバイスが出力されなかった場合は,次のコマンドを実行してください。# /sbin/dmsetup deps {出力されたデバイス}コマンドが異常終了した場合は,HDLMのブートディスク環境ではありません。
コマンドが正常終了した場合は,(major,minor)から成るリストが出力されます。
majorを引数に/bin/cat /proc/devices | /bin/grep -w {major} コマンドを実行します。
出力内容にsddlmfdrvが含まれていればHDLMのLVMのブートディスク環境です。
含まれていなければHDLMのブートディスク環境ではありません。- HDLMのLVMのブートディスク環境の場合は,/etc/lvm/lvm.confファイルを確認します。
次の項目の値を確認し,異なる場合は記述を修正してください。
HDLMをアンインストールするときに使用するため,変更前の値は控えてください。ファイルを編集した場合,次に示すコマンドを実行してください。
- SUSE LINUX Enterprise Server 12,Red Hat Enterprise Linux 7およびOracle Linux 7の場合
- global_filter = [ "a|sddlm[a-p][a-p].*|", "r|/dev/sd|" ]
- types = [ "sddlmfdrv", 16 ]
- md_component_detection = 0
- 上記以外のOSの場合
- filter = [ "a|sddlm[a-p][a-p].*|", "r|/dev/sd|" ]
- types = [ "sddlmfdrv", 16 ]
- md_component_detection = 0
# /sbin/vgscan- /etc/fstabファイルの定義にHDLMデバイスまたはHDLMデバイス上に作成された論理ボリュームが指定されていることを確認します。
HDLM管理対象デバイスのマウントポイントが,HDLMデバイスまたはHDLMデバイス上に作成された論理ボリュームをマウントする定義になっていることを確認します。
/etc/fstabファイルの例を次に示します。: : /dev/sddlmaa2 / ext2 defaults 1 1 : : /dev/sddlmaa4 /tmp ext2 defaults 1 2 : :なお,HDLMのブートディスク環境では,OSごとにルートパーティション「/」のマウントポイントに設定できるデバイス名の書式は次の制限があるので,書式が異なる場合は修正してください。表3-86 /etc/fstabファイルでルートパーティション「/」に設定できるデバイスの書式
OS名 HDLMのブートディスク環境 LVMなし LVMあり Red Hat Enterprise Linux 5
Oracle Enterprise Linux 5
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 5/dev/{HDLMデバイス} /dev/{VG名}/{LV名} Red Hat Enterprise Linux 6
Red Hat Enterprise Linux 7
Oracle Linux 6
Oracle Linux 7/dev/mapper/{VG名}-{LV名} SUSE LINUX Enterprise Server 10
SUSE LINUX Enterprise Server 11/dev/{VG名}/{LV名} SUSE LINUX Enterprise Server 12 UUID={UUID 値} または,/dev/{VG名}/{LV名} - ブートローダの設定ファイル(grub.conf)を確認します。
SUSE LINUX Enterprise Server 12,Red Hat Enterprise Linux 7およびOracle Linux 7の場合はこの手順は不要なため,手順6に進んでください。
そのほかの場合は,デフォルト値がHDLMのブートディスク環境になっていることを確認してください。
次のように「default=0」の場合は1番目のtitleの下線部分を確認します。default=0 #default=1 timeout=10 splashimage=(hd0,0)/grub/splash.xpm.gz title RHEL4.5 (2.6.9-55.EL-hdlm) root (hd0,0) kernel /vmlinuz-2.6.9-55.EL ro...root=/dev/sddlmaa2... initrd /initrd-hdlm-2.6.9-55.EL.img title RHEL4.5 (2.6.9-55.EL-sd) root (hd0,0) kernel /vmlinuz-2.6.9-55.EL ro root=LABEL=/... initrd /initrd- 2.6.9-55.EL.img :HDLMのブートディスク環境の場合は,次の書式を確認して,記述が異なる場合は修正してください。
- カーネルパラメータのroot記述を確認する。
表3-87 カーネルパラメタで「root=」に記述できる書式
OS名 HDLMのブートディスク環境 LVMなし LVMあり Red Hat Enterprise Linux 5
Oracle Enterprise Linux 5
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 5root=/dev/{HDLMデバイス} root=/dev/{VG名}/{LV名} Red Hat Enterprise Linux 6
Red Hat Enterprise Linux 7
Oracle Linux 6
Oracle Linux 7root=UUID={UUID値} root=UUID={UUID値}または, root=/dev/mapper/{VG名}-{LV名} SUSE LINUX Enterprise Server 10
SUSE LINUX Enterprise Server 11root=/dev/{HDLMデバイス} root=/dev/{VG名}/{LV名} SUSE LINUX Enterprise Server 12 root=UUID={UUID値} root=UUID={UUID値}または, root=/dev/{VG名}/{LV名} - initrdに記述されたファイル名を確認する。
表3-88 initrd のファイル名(HDLM用の初期RAMディスクイメージファイル名)
注※
OS名 ファイル名 Red Hat Enterprise Linux 5
Oracle Enterprise Linux 5
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 5initrd-hdlm-{kernel-version※}.img Red Hat Enterprise Linux 6
Oracle Linux 6initramfs-hdlm-{kernel-version※}.img SUSE LINUX Enterprise Server 10
SUSE LINUX Enterprise Server 11initrd-hdlm-{kernel-version※}.img Red Hat Enterprise Linux 7
Oracle Linux 7initramfs-{kernel-version※}.img SUSE LINUX Enterprise Server 12 initrd-{kernel-version※}
kernel-versionはuname -rコマンドの出力結果です。- HDLMをアップグレードインストールします。
HDLMのDVD-ROMに格納されているinstallux.shまたはinstallhdlmユティリティを指定して,アップグレードインストールを実行します。 DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のインストール実行例を次に示します。
- installux.shを実行する場合
# /media/cdrom/installux.sh -update- installhdlmユティリティを実行する場合
# /media/cdrom/HDLM_Linux/installhdlm -update- サーバ起動時に使用される初期RAMディスクイメージファイルを確認する。
SUSE LINUX Enterprise Server 12,Red Hat Enterprise Linux 7およびOracle Linux 7の場合はこの手順は不要なため,手順8に進んでください。
手順6が正常終了すると次のメッセージが出力されます。KAPL09300-I An initial RAM disk image was created. (file name = /boot/initramfs-hdlm-2.6.32-71.el6.i686.img)出力されたファイル名と手順5でinitrdに記述されたファイル名が同じであることを確認してください。- ホストを再起動します。
次に示すコマンドを実行して,ホストを再起動してください。# /sbin/shutdown –r now- HDLMのブートディスク環境であることを確認します。
「3.7.3 マルチパス構成のブートディスク環境の設定」の手順19で確認してください。
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