Tuning Manager - Agents

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5.3.5 インスタンス環境の設定

HTM - Agent for NASで監視するNASシステムのインスタンス情報を設定します。インスタンス情報の設定は,PFM - Agentホストで実施します。

設定するインスタンス情報は監視対象ごとに異なります。セットアップの操作を始める前に,次の情報をあらかじめ確認してください。

注意
  • インスタンス環境を設定していない場合,HTM - Agent for NASのサービスを起動できません。
  • jpcconf inst setupjpcinssetup)コマンドを使用してインスタンス環境を構築する際,インスタンス項目に誤りのある値を指定した場合でもコマンドは正常に終了します。しかし,その後レコードの収集を開始すると,エラーとなりパフォーマンスデータが収集されません。
  • 1つの監視対象を複数のPFM - Agentのインスタンスから重複して監視することはできません。
この項の構成
(1) 設定するインスタンス情報を確認する(内部NAS Managerで管理されるNAS Platformを監視する場合)
(2) 設定するインスタンス情報を確認する(外部NAS Managerで管理されるNAS Platformを監視する場合)
(3) 設定するインスタンス情報を確認する(Hitachi Virtual File Platformを監視する場合)
(4) インスタンス環境を構築する

(1) 設定するインスタンス情報を確認する(内部NAS Managerで管理されるNAS Platformを監視する場合)

注意
ストレージシステム内に存在するNAS Platformを,外部NAS Managerで管理する場合は,「(2) 設定するインスタンス情報を確認する(外部NAS Managerで管理されるNAS Platformを監視する場合)」を参照してください。

表5-18 HTM - Agent for NAS(監視対象:内部NAS Managerで管理されるNAS Platform)のインスタンス情報(UNIXの場合)

項目 説明
NAS Monitoring Type 監視対象が,内部NAS Managerで管理されるNAS Platformの場合,「SVP」を示す「1」を指定する。この項目は必須。※1
SVP IP Address NASモジュールを搭載したストレージシステムを管理しているSVPのIPアドレスを指定する。
SVP Port Number NASモジュールを搭載したストレージシステムを管理しているSVPのポート番号を指定する。
Storage System Serial Number NASモジュールを搭載したストレージシステムのシリアル番号を指定する。
Storage System User ID NASモジュールを搭載したストレージシステムのユーザーIDを指定する。※2,※3
Storage System Password NASモジュールを搭載したストレージシステムのユーザーIDに対するパスワードを指定する。※2,※3
Store Version※4 使用するStoreバージョンを指定する。Storeバージョンについては「13.1.2 StoreデータベースからHybrid Storeへ移行する(同一ホストでの移行の場合)」を参照のこと。デフォルト値は2.0。指定できる値は,1.0または2.0

注※1
v8.5より前のバージョンで「1」として示していた「Unified NAS」を,v8.5以降は「SVP」として示します。

注※2
指定するユーザーIDおよびユーザーに対するパスワードは,Administratorのユーザーグループ(ビルトイングループ)が設定されている必要があります。NASモジュールを搭載したVSP G400,G600,G800,またはVSP F400,F600,F800でマイクロコードバージョンが83-04未満の場合,Support Personnelのユーザーグループ(ビルトイングループ)も設定されている必要があります。

注※3
マイクロコードバージョンが83-03-20よりも前のVSP G400,G600,G800,またはVSP F400,F600,F800のStorage Navigatorで作成したアカウントを,83-03-20以降にアップデートしたあとでそのまま使用するときは,パスワードを変更する必要があります。変更していない場合,NAS Platformを監視できないおそれがあります。

注※4
Store Versionは,Storeデータベースで運用している場合で,新規にインスタンス環境を設定するときだけ指定できる項目です。インスタンス環境を更新するときは指定できません。

設定するインスタンス情報を確認したあとで,「(4) インスタンス環境を構築する」を参照してインスタンス環境を構築してください。

(2) 設定するインスタンス情報を確認する(外部NAS Managerで管理されるNAS Platformを監視する場合)

ここでの説明は,ストレージシステム内に存在するNAS Platformを,外部NAS Managerで管理する場合にも該当します。

表5-19 HTM - Agent for NAS(監視対象:外部NAS Managerで管理されるNAS Platform)のインスタンス情報(UNIXの場合)

項目 説明
NAS Monitoring Type 監視対象が外部NAS Managerで管理されるNAS Platformの場合,「External SMU/NAS Manager」を示す「2」を指定する。この項目は必須。
SMU/NAS Manager IP Address 外部NAS ManagerのIPアドレスを指定する。※1
User ID 外部NAS ManagerへログインするユーザーIDを指定する。※1
Password 外部NAS Managerへログインするパスワードを指定する。※1
Store Version※2 使用するStoreバージョンを指定する。Storeバージョンについては「13.1.2 StoreデータベースからHybrid Storeへ移行する(同一ホストでの移行の場合)」を参照のこと。デフォルト値は2.0。指定できる値は,1.0または2.0

注※1
NAS Platformのパフォーマンス情報を収集するためには,外部NAS Managerにアクセスするためのユーザー情報が必要となります。 外部NAS Managerにアクセスするためのユーザ情報の設定は,[SMU User作成]画面の[SMU CLI Access]のAllow CLI Accessのチェックボックスにチェックを入れてください。

注※2
Store Versionは,Storeデータベースで運用している場合で,新規にインスタンス環境を設定するときだけ指定できる項目です。インスタンス環境を更新するときは指定できません。

設定するインスタンス情報を確認したあとで,「(4) インスタンス環境を構築する」を参照してインスタンス環境を構築してください。

(3) 設定するインスタンス情報を確認する(Hitachi Virtual File Platformを監視する場合)

ここでは,次のファイルサーバの監視について,説明します。なお,これらのファイルサーバを総称して,「Hitachi Virtual File Platform」と呼びます。

表5-20 HTM - Agent for NAS(監視対象:Hitachi Virtual File Platform)のインスタンス情報(UNIXの場合)

項目 説明
NAS Monitoring Type 監視対象がHitachi Virtual File Platformの場合,「VFP」を示す「3」を指定する。この項目は必須。
destination_address VLAN使用時 NASシステムの管理ポートの実IPアドレスを指定する※1
VLAN未使用時 NASシステムのNICの固有IPアドレス※2を指定する※1
portnumber NASシステムの情報収集で使用するポート番号を指定する。必ずデフォルト値(20265)を設定すること。
detour_address VLAN使用時 NASシステムに設けられている別の管理ポートの実IPアドレスを迂回路として指定する※1。迂回路を設けない場合は省略する。
VLAN未使用時 NASシステムに設けられている別のNICの固有IPアドレス※2を迂回路として指定する※1。迂回路を設けない場合は省略する。
detour_portnumber NASシステムの情報収集で使用するポート番号を迂回路として指定する。迂回路を設ける場合は,必ず20265を設定すること。迂回路を設けない場合は省略する。
Store Version※3 使用するStoreバージョンを指定する。Storeバージョンについては「13.1.2 StoreデータベースからHybrid Storeへ移行する(同一ホストでの移行の場合)」を参照のこと。デフォルト値は2.0。指定できる値は,1.0または2.0

注※1
HTM - Agent for NAS のインスタンス環境設定時のIPアドレス表記形式および入力例を次の表に示します。

表5-21 IPアドレス表記形式および入力例

指定するIPアドレス 表記形式 入力例
IPv4アドレス 10進数ドット表記 192.168.123.123
IPv6アドレス 16進数コロン表記 2001::225:b3ff:fece:1111

注※2
NASシステムの各NICに付与されている固有IPアドレス,またはNASシステム管理者によって変更されたNASシステムの固有IPアドレスです。サービスIPアドレスではありません。

注※3
Store Versionは,Storeデータベースで運用している場合で,新規にインスタンス環境を設定するときだけ指定できる項目です。インスタンス環境を更新するときは指定できません。

設定するインスタンス情報を確認したあとで,「(4) インスタンス環境を構築する」を参照してインスタンス環境を構築してください。

(4) インスタンス環境を構築する

インスタンス環境を構築するには,jpcconf inst setupjpcinssetup)コマンドを使用します。

次に,jpcconf inst setupjpcinssetup)コマンドの実行手順を,対話形式の場合と非対話形式の場合に分けて説明します。jpcconf inst setupjpcinssetup)コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。

対話形式で実行する場合

  1. サービスキーおよびインスタンス名(32バイト以内の半角英数字で構成されるユニークな値)を指定して,jpcconf inst setupjpcinssetup)コマンドを実行する。
    例えば,HTM - Agent for NASのインスタンス名NS21のインスタンス環境を構築する場合,次のように指定してコマンドを実行します。
    jpcconf inst setup -key NAS -inst NS21(jpcinssetup agtn -inst NS21)
    ネットワーク上のすべてのPFM - Agentのインスタンスで,ユニークなインスタンス名を使用してください。
    jpcconf inst setupjpcinssetup)コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。
  2. NASシステムのインスタンス情報を設定する。
    (1) 設定するインスタンス情報を確認する(内部NAS Managerで管理されるNAS Platformを監視する場合)」,「(2) 設定するインスタンス情報を確認する(外部NAS Managerで管理されるNAS Platformを監視する場合)」または「(3) 設定するインスタンス情報を確認する(Hitachi Virtual File Platformを監視する場合)」で確認した項目を,コマンドの指示に従って入力してください。デフォルトで表示されている値を,項目の入力とする場合はリターンキーだけを押してください。

複数のインスタンスで稼働させる場合は,1および2の手順を繰り返し,各インスタンスについて設定してください。

非対話形式で実行する場合

  1. jpcconf inst setupコマンドで,定義ファイルのテンプレートを作成する。
    次のようにコマンドを実行します。
    jpcconf inst setup -key NAS -noquery -template 定義ファイル名
    インスタンス環境の設定項目に対応するセクションおよびラベルが定義ファイルに出力されます。なお,[Instance Definitions]セクションのラベルに対応する値は,空白のままです。
  2. 手順1で作成した定義ファイルのテンプレートを編集する。
    インスタンス環境に合わせてテンプレートの設定値を編集します。定義ファイルで指定するプロダクト固有のラベルについては,「(1) 設定するインスタンス情報を確認する(内部NAS Managerで管理されるNAS Platformを監視する場合)」,「(2) 設定するインスタンス情報を確認する(外部NAS Managerで管理されるNAS Platformを監視する場合)」または「(3) 設定するインスタンス情報を確認する(Hitachi Virtual File Platformを監視する場合)」で確認した表を参照してください。
  3. jpcconf inst setupコマンドで,NASシステムのインスタンス情報を設定する。
    インスタンス名を「NS21」とするインスタンス環境を設定する場合のコマンド実行例を次に示します。インスタンス名には,32バイト以内の半角英数字で構成されるユニークな値を指定します。-inputオプションには,手順2で編集した定義ファイルを指定します。
    jpcconf inst setup -key NAS -inst NS21 -noquery -input 定義ファイル名
重要
定義ファイルにパスワードなどの秘匿情報が含まれる場合,定義ファイルはセキュリティを確保した安全な場所に保存し,使用後は削除するようにしてください。また,定義ファイルをホスト間で転送したいときには,SFTP(SSHトンネル経由のFTP)など,盗聴のおそれがない安全な方法を使用することをお勧めします。

複数のインスタンスで稼働させる場合は,1から3の手順を繰り返し,各インスタンスについて設定してください。

すべての入力が終了すると,インスタンス環境が構築されます。

構築されるインスタンス環境を次に示します。

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