2.6.7 機器の自動メンテナンス
ここでは、重複機器(IPアドレス、ホスト名、MACアドレスまたはBIOSシリアルナンバーが同一の機器)や不稼働機器(長期間稼働していない機器)の検出条件を設定し、対象と判定された機器の情報を自動的に削除する自動メンテナンスについて説明します。この機器の自動メンテナンスが有効になっていると、設定した条件に従って毎日、重複機器や不稼働機器の有無が検出され、該当する機器がある場合は、削除候補機器(管理が不要と考えられる機器)として一覧表示されて、設定した自動削除基準日時を過ぎると、機器の自動メンテナンスのスケジュールに従って自動的に削除されます。これによって、機器のリプレースやOSの再インストールなどによって新しく機器が追加された場合や機器を破棄する場合に、不要になった機器情報を自動的に削除できます。
機器のリプレースに際して、リプレース前後で同じIPアドレスまたはホスト名を使用する場合を例に、機器のメンテナンスで不要になった機器情報を削除する運用の流れを次に示します。
-
管理者が管理用サーバで重複機器の検出条件を設定します。
重複条件にIPアドレスまたはホスト名を指定し、自動削除設定を有効にします。
- ヒント
-
不要になった機器情報を手動で削除する場合は、自動削除設定を無効にします。
-
コンピュータの利用者はエージェントをアンインストールしないで機器をリプレースします。
リプレース後の設定ではリプレース前に使用していたIPアドレスまたはホスト名を設定し、エージェントをインストールします。
-
エージェントからの通知によって管理用サーバは、リプレース後の機器を新しい機器として登録します。
このとき、ライセンス不足の場合は発見状態になります。
-
重複機器の自動削除によってリプレース前の古い機器が削除されます。
- ヒント
-
自動削除設定を無効にしている場合、管理者はホーム画面の[通知事項]パネルに表示される削除候補機器存在の通知を参照して、重複機器を確認し、不要な古い機器を削除します。または、削除する必要がない機器の場合には、メンテナンス対象外機器(機器メンテナンスを抑止する機器)として登録します。
-
エージェントからの通知があった時、ライセンスに空きがある場合には、発見状態の機器は管理状態に変更になります。
-
自動削除された機器を確認するには管理用サーバに出力されるイベントまたは構成変更の公開ログJDNSTRCx.log(x:1〜9)を参照します。
- メモ
-
オフライン管理の機器は機器のメンテナンスの対象外です。
- メモ
-
複数サーバ構成の統括管理用サーバ配下の管理用中継サーバが管理する機器は、統括管理用サーバでの機器のメンテナンスの対象外ですが、各管理用中継サーバでの機器のメンテナンスの対象にはなります(管理用中継サーバごとに機器のメンテナンスの設定をする必要があります)。管理用中継サーバが管理する機器が機器のメンテナンスによって削除された場合、管理用中継サーバは機器の削除を上位の管理用サーバに通知します。なお、機器のメンテナンスで削除した機器の情報は、各管理用サーバのJDNSTRCx.log(x:1〜9)に出力されます。
- メモ
-
機器の削除時には、機器情報の削除に連動してシステム構成情報も削除されます(このとき、あて先グループとIDからも削除されます)が、先にシステム構成情報から機器を削除した場合は、連動して機器情報が削除されることはありません。この場合は、手動で対象の機器情報を削除する必要があります。
- ヒント
-
削除候補機器が、設定画面の[機器]−[機器メンテナンスの設定と検出結果確認]画面の下部に一覧で表示されます。
- ヒント
-
機器情報の削除に連動してハードウェア資産を滅却することができます。
- ヒント
-
重複機器と不稼働機器の自動削除が両方とも設定されている場合、重複機器の削除が先に実行され、そのあと不稼働機器の削除が実行されます。
- ヒント
-
機器のリプレースまたはOSの再インストールによって新しく追加された機器に対して、ソフトウェアライセンスを割り当てる場合は、ソフトウェアライセンスの移管を利用してください。
機器のメンテナンスによって初めて機器情報削除の運用をする場合の留意事項
次に示す手順で対応してください。
-
管理者が期待していない機器情報が間違って自動的に削除されないように、重複機器設定/不稼働機器設定の自動削除を無効にします。
-
設定画面の[機器]−[機器メンテナンスの設定と検出結果確認]画面で、[検出を開始]ボタンをクリックして手動で削除候補の機器を検出し、メンテナンスの対象外にするか削除するかを判断してください。
重複機器の定義の設定
次に示す項目の重複条件と未接続日数を指定することで、削除候補となる重複機器の定義を設定できます。設定した重複条件に該当する機器のうちで、最終接続確認日時が古い(最新でない)機器であり、指定した未接続日数以上、管理用サーバに接続されていない機器が削除候補の重複機器と判断されます。なお、重複条件を複数指定した場合にはAND条件となります。また、これらの項目が未設定または無効な値の機器は、重複機器として扱われません。
-
IPアドレス
機器にIPアドレスが複数存在する場合には、管理用サーバとの接続に使用したIPアドレス(代表)を対象とします。
-
ホスト名
大文字小文字を区別する/区別しないを選択できます。
-
MACアドレス
機器にMACアドレスが複数存在する場合には、管理用サーバとの接続に使用したMACアドレス(代表)を対象とします。
-
BIOSシリアルナンバー
MACアドレスとBIOSシリアルナンバーを重複条件に指定した場合は、AND条件であるため、BIOSシリアルナンバーが未設定の機器は重複機器に判断されることはありません。
不稼働機器の定義の設定
指定した未接続日数以上、管理用サーバに接続されていない機器が削除候補の不稼働機器と判断されます。
削除候補の検出条件
削除候補の検出条件として選択できるかどうか(対象になるかどうか)を、機器種別、管理形態、管理状態別に以下の表に示します。
機器種別 |
重複機器 |
不稼働機器 |
---|---|---|
Windows/Macエージェント |
○ |
○ |
UNIXエージェント |
○ |
○ |
エージェントレスの機器 |
○ |
○ |
スマートデバイス |
○ |
○ |
ネットワークモニタが有効または有効化中の機器 |
× |
× |
中継システム |
× |
× |
管理用中継サーバ |
× |
× |
API管理機器 |
○ |
○ |
(凡例)○:選択できる(対象になる) ×:選択できない(対象にならない)
管理形態 |
重複機器 |
不稼働機器 |
---|---|---|
オンライン管理 |
○(固定) |
○(固定) |
オフライン管理 |
× |
× |
(凡例)○:選択できる(対象になる) ×:選択できない(対象にならない)
管理状態 |
重複機器 |
不稼働機器 |
---|---|---|
管理対象の機器 |
○(固定) |
○(固定) |
発見状態の機器 |
○(固定) |
○(固定) |
除外対象の機器 |
× |
× |
(凡例)○:選択できる(対象になる) ×:選択できない(対象にならない)
重複機器を検出する運用の想定例を次の表に示します。
メンテナンスの契機 |
重複条件 |
||||
---|---|---|---|---|---|
エージェント導入済み |
エージェントレス |
スマートデバイス |
API |
||
Windows/Mac OS |
UNIX |
||||
機器のリプレース |
IPアドレス |
IPアドレス、ホスト名 |
IPアドレス |
ホスト名※1 |
IPアドレス、ホスト名 |
HDD故障/ホスト識別子再生成/OSの入れ替え |
BIOSシリアルナンバーまたはMACアドレス |
MACアドレス |
IPアドレス |
− |
BIOSシリアルナンバー、MACアドレス、IPアドレス |
スマートデバイス再登録(JP1/ITDM2 - SDM※2) |
− |
− |
− |
ホスト名※3 |
− |
(凡例)−:対象外
注※1 MobileIronの場合です。ただし、Wi-Fi端末の場合には使用できません。
注※2 JP1/ITDM2 - SDM:JP1/IT Desktop Management 2 - Smart Device Manager
注※3 Wi-Fi端末の場合には使用できません。
メンテナンス対象外機器(機器メンテナンスを抑止する機器)の指定
長期出張やクラスタ環境などによって、長期間、管理用サーバへのアクセスのない機器を明示的に指定して機器メンテナンスの対象外にすることができます。メンテナンスの対象外として登録された機器は次に示すように扱われます。
-
設定した検出条件に該当しても、削除候補機器としてカウントされません。
-
削除候補機器の自動削除によって削除されることはありません。
削除候補機器の自動削除の設定
削除候補機器が自動的に削除されるように設定することができます。この際、削除されるまでの期間を決めることができ、この期間内に管理者は機器を確認して、メンテナンス対象外(機器メンテナンスを抑止する機器)に指定することができます。重複機器、不稼働機器の定義それぞれで設定できます。
自動削除の設定をした場合、次のように処理されます。
- 重複機器
-
削除候補の重複機器のうち、重複機器の定義の[自動削除されるまでの期間]に[未接続の期間]を加えた期間以上、管理用サーバに接続されていない機器が自動的に削除されます。
- 不稼働機器
-
削除候補の不稼働機器のうち、不稼働機器の定義の[自動削除されるまでの期間]に[未接続の期間]を加えた期間以上、管理用サーバに接続されていない機器が自動的に削除されます。
機器の自動メンテナンスのスケジュール
機器の自動メンテナンスのスケジュールは、重複機器、不稼働機器ともに、コンフィグレーションファイル(jdn_manager_config.conf)のDeviceAutoMaintenanceTimeプロパティに設定した値に従って実行されます。DeviceAutoMaintenanceTimeプロパティについては、マニュアル「JP1/IT Desktop Management 2 構築ガイド」の、コンフィグレーションファイルで処理の設定を変更する手順の説明を参照してください。
機器のメンテナンスとシステム構成情報のメンテナンスの関係
機器のメンテナンスで機器が削除されると、削除された機器に対応するシステム構成情報も自動的に削除されます。その際、あて先グループとIDからもその機器が削除されます。なお、この場合、削除したコンピュータの情報はログファイルCLTDELn.LOG(n :1〜4)ではなく、JDNSTRCx.log(x:1〜9)に出力されます。
なお、削除された機器に対応するシステム構成情報が自動的に削除されるのは、次に示すような機器を削除するほかの操作の場合も同様です。
-
設定画面の[機器]−[機器メンテナンスの設定と検出結果確認]画面に表示される[削除候補の機器一覧]で、対象の機器を選択して[操作]メニューの[機器情報を削除する]を手動でクリックした場合。
-
設定画面の[機器の探索]−[管理対象機器]画面に表示される[管理対象の機器一覧]で、対象の機器を選択して[操作]メニューの[削除する]をクリックした場合。
機器削除と連動してシステム構成情報から削除される機器は、自サーバで管理するエージェント管理機器が対象となります。中継システムは自動削除されません。 機器一覧から中継システムを削除した場合、リモートインストールマネージャでシステム構成情報からも中継システムを削除してください。
- メモ
-
システム構成情報から削除されたホストがあて先としてジョブ定義に残っていても、そのあて先は削除されません。
- ヒント
-
エージェントを導入したコンピュータのMAIN.LOGファイルに次のメッセージテキストが出力された場合の回復手順について説明します。
- MAIN.LOGのメッセージテキスト
-
System configuration information could not be registered correctly because internal file information was invalid. Maintenance information=[保守情報]
このメッセージテキストは、システム構成に情報の追加、更新および削除が正常に通知できなかったことを示します。次の回復手順を実行して,システム構成情報を登録し直してください。
-
次のファイルを削除します。
-
JP1/IT Desktop Management 2のインストール先ディレクトリ¥CLIENT¥SYSENT¥SYSINFBK
-
エージェントを導入したコンピュータを再起動します。
-
システム構成の属性タブで、更新日時が更新されたことを確認します。
なお、システム構成へ情報の追加、更新および削除が正常に通知できなかった場合に、不要なホスト情報が残存するおそれがあります。その場合は、システム構成から該当のホスト情報を削除してください。