4.1.5 監視処理の検討
クラウドサービスの何をイベントとして監視し,どのようにイベント成立として扱うかの監視処理を監視定義として定義する必要があります。定義するにあたり,次のように監視処理を設計します。なお定義項目の詳細は,「7. 操作」の各監視定義画面を参照してください。
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クラウドサービスの情報を取得するコマンドラインを設定します。なお,情報はJSON形式のデータで標準出力に出力されるように設計します。
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1.のコマンドで得られた情報(監視したい情報)を監視処理で扱うデータに切り出して格納するためのJMESPathクエリ構文を設計します。
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[実行結果の判定]では,1.で実行したコマンドラインが異常終了した場合に監視を継続するか,異常終了するかの設計をします。
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[引き継ぎ情報の設定]では,2.で切り出した監視対象の情報を,JP1/AJS3 - Managerの後続のジョブに引き継ぐ必要があるかどうかの設計をします。
上記の設計をするうえで,JP1/AJS3でのジョブ運用を考慮して,次の検討が必要です。
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動的に変更するパラメーター
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監視情報の設計
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トレース情報の設計
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引き継ぎ情報の設計
これらの詳細を次に説明します。
(1) 動的に変更するパラメーター
サービス連携監視ジョブの運用では,動的に変更するパラメーターをサービス連携監視ジョブに指定する場合があります。例えば,次の項目があります。
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監視対象となるストレージサービスのオブジェクト名
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監視対象となるストレージサービスのバケット名
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監視対象となるストレージサービスのストレージアカウント名やコンテナ名
これらはJP1/AJS3 - Viewのジョブで定義します。ジョブ側で指定するものについては,[パラメーター変数設定]の設定を検討してください。
また,クラウドサービスの接続に使う認証情報はジョブ実行単位で設計してください。JP1/AJS3 - Viewのジョブ定義時に使用する認証定義を指定します。
(2) 監視情報の設定
接続先サービスの何の情報を監視対象とするかを検討します。この監視情報の設定は,[監視処理]で定義します。情報取得コマンドの標準出力(JSON)と,その結果をJMESPathクエリ構文で切り出せるかどうかを検討してください。
このとき,情報取得コマンドで大量の出力を伴うとサービス連携監視ジョブの実行性能の低下やメモリリソースを大量に消費する,また最大標準出力サイズの上限に達してサービス連携監視ジョブが異常終了するおそれがあるため,監視に必要な情報に絞って出力するコマンドラインオプションを検討してください。
(3) トレース情報の設計
サービス連携監視ジョブのトレース情報は2つのケースで考える必要があります。
1つ目は監視間隔ごとに実行する情報取得コマンドのどの情報をログとして残すかを検討します。設定できるのは「実行したコマンドライン」と「標準エラー出力内容」です。監視間隔ごとに毎回出力するのでログサイズと合わせて検討します。こちらの情報は[トレース情報設定]で定義します。
2つ目は情報取得コマンドが異常終了した場合,ジョブを「異常終了する」ときのトレース情報をどうするかを検討します。「監視を継続する」場合は1つ目の設計だけを検討してください。ジョブが異常終了したときに,JP1/AJS3 - ViewまたはJP1/AJS3 - Web Consoleの詳細結果画面で確認したり,ログに保存してトラブルシューティングに備えたりするためのトレース情報を検討し設計します。こちらの情報は[実行結果の判定]で設定する[実行結果詳細出力設定][ログ出力設定]で定義します。
(4) 引き継ぎ情報の設計
サービス連携監視ジョブで監視成立後に取得した情報を後続ジョブで使用するための引き継ぎ情報の設定を検討し設計します。サービス連携監視ジョブは,JP1/AJS3のカスタムイベントジョブとして実行されます。このカスタムイベントジョブの引き継ぎ情報名「OBJECT01〜10」のそれぞれに,監視成立後にどのような値を格納するかを検討してください。引き継ぎ情報の設計内容は[引き継ぎ情報の設定]で定義します。