2.9.1 クラウド環境でのジョブ実行についての補足事項
- 〈この項の構成〉
(1) 構成要素について
フレキシブルジョブを使用するには,マネージャーホスト,中継エージェント,およびロードバランサー配下に配置した宛先エージェントが必要です。
それぞれの構成要素について,次に説明します。
(a) マネージャーホスト
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配置先
オンプレミス環境とクラウドのオートスケールしない環境に配置できます。
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クラスタ構成
クラスタ構成に対応しています。
(b) 中継エージェント
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配置先
オンプレミス環境とクラウドのオートスケールしない環境に配置できます。
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クラスタ構成
クラスタ構成に対応しています。
マネージャーホストのOSがWindowsまたはLinuxの場合は,マネージャーホストでajsatsetup -mコマンドを実行することで,マネージャーホストが中継エージェントを兼ねることもできます。
次の場合は,マネージャーホストや宛先エージェントとは別のホストに中継エージェントが必要です。
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マネージャーホストのOSがWindowsでもLinuxでもない場合
フレキシブルジョブが実行ホストとして指定できるマネージャーホストおよびエージェントホストのOSは,WindowsとLinuxだけです。
このため,マネージャーホストがWindowsおよびLinux以外のOSの場合,中継エージェントが必要です。
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マネージャーホストと宛先エージェントとの間で直接通信できない場合
図2-64のように,マネージャーホストと宛先エージェントの間に中継エージェントを配置して,通信を仲介する必要があります。
(c) ロードバランサー配下に配置した宛先エージェント
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配置先
ロードバランサー配下でオートスケールする環境に配置してください。なお,Amazon Web Serviceのロードバランサー(Elastic Load Balancing)として,Network Load BalancerおよびClassic Load Balancerに対応していますが,Application Load Balancerには対応していません。また,Azure Load BalancerなどのAmazon Web Service以外のロードバランサーには対応していません。
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クラスタ構成
クラスタ構成に対応していません。そのため,クラウドのオートスケール環境に宛先エージェントを配置することで,オートスケールで可用性が確保されます。また,必要に応じて,リモートサイト側にオートスケール環境を用意することも検討してください。
- 注意事項
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クラウドのオートスケール環境でのスケールインおよびスケールアウトの動作はクラウド側で管理しているため,オートスケール環境でのスケールアウトによる宛先エージェントの起動完了前や,スケールインによる宛先エージェントの削除はJP1/AJS3では検知できず,そのタイミングでフレキシブルジョブを実行すると失敗することがあります。そのため,フレキシブルジョブの実行は,再実行すればよいジョブとすることを推奨します。
(2) 通信環境について
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ロードバランサーを使用する場合,TCPパケットを振り分けられることが前提です。
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ファイアウォールの透過については,「2.3.2 ファイアウォールと通信に関する基礎知識」を参照してください。
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オンプレミス環境で定義したジョブをパブリッククラウド環境で実行する場合,中継エージェントとクラウド環境はVPNで接続してください。
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中継エージェントとクラウド環境間の通信には,通信の安全性と通信回線の安定性が確保された通信環境を使用してください。詳細については,「2.3.7 WAN環境で使用する場合の通信」を参照してください。
(3) その他
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フレキシブルジョブの中継機能は,中継エージェント上でジョブとして実行されます。このため,中継エージェントとほかのジョブの実行エージェントを同一にすると,ジョブ実行多重度などについて,フレキシブルジョブの実行がほかのジョブの実行に影響を与えます。フレキシブルジョブの中継エージェントは,ほかのジョブの実行エージェントと別にすることも検討してください。
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フレキシブルジョブの注意事項については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 7.8 フレキシブルジョブ使用時の注意事項」を参照してください。