2.7.1 インテリジェント統合管理データベース
JP1/IM - Managerでは,JP1/IM - Manager独自のデータベースをセットアップすると,インテリジェント統合管理基盤で扱う各種情報を,データベースで一元管理できます。PostgreSQL上に構築する各種情報の管理DBを総称して,「インテリジェント統合管理データベース」と呼びます。
- 〈この項の構成〉
(1) 構成
(a) データベースの構成
JP1/IM - Managerでは,インテリジェント統合管理データベースに次に示す各種情報の管理DBを構築して,各種機能で使用するデータを管理できます。
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トレンドデータ管理DB
監視対象システムのパフォーマンスデータやアラート情報を時系列データ(トレンドデータ)として管理します。ダッシュボードやトレンド情報表示機能で参照します。
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統合エージェントホスト管理DB
JP1/IM - Managerが統合エージェントホストやユーザー独自のOSSといったエージェントと連携するために必要な情報を管理します。
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対処アクション結果管理DB
対処アクションの自動実行機能,対処アクションの手動実行機能,および,定義ファイル操作機能の制御情報と実行結果を管理します。
また,インテリジェント統合管理データベースの構築やメンテナンスを行うための運用コマンドも同梱しています。
トレンドデータの格納先となるトレンドデータ管理DBの前提の定義(データベースクラスタやロールなどのオブジェクト)は,インテリジェント統合管理データベース用のセットアップコマンドを実行すると,自動的に作成されます。また,スキーマやテーブルは,トレンドデータのレコードが書き込まれる際に,自動的に作成されます。
トレンドデータ管理DBに対する,トレンドデータのレコードの書き込み,および読み取りは,必ずインテリジェント統合管理基盤を経由して行います。レコードの書き込みには,JP1/IM - Managerのトレンドデータ書き込みAPIを使用します。レコードの読み取りには,製品プラグインで実装するトレンド情報取得の時系列データ取得メソッド(__timeSeriesDataGetメソッド)を使用します。
トレンドデータを,インテリジェント統合管理データベース(トレンドデータ管理DB)で管理する場合のデータベースの構成を,次に示します。
(b) データベースの認証とアクセス制御
JP1/IM - Managerに組み込まれたPostgreSQLで使用するロールには,次の2つがあります。
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スーパーユーザーロール(postgres)
セットアップ,メンテナンスなど,データベースの運用コマンドで使用するロールです。
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一般ロール(imuser)
データベースに対する書き込み,および読み取りの機能で使用するロールです。
上記のロールのパスワードは,変更できません。また, PostgreSQLに対して,直接アクセスする操作はできません。
(c) 設定ファイル
インテリジェント統合管理データベースを使用するための設定ファイルを,次に示します。
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インテリジェント統合管理データベースセットアップ情報ファイル(jimgndbsetupinfo.conf),およびモデルファイル
インテリジェント統合管理データベースのセットアップ時に必要な定義を記述するファイルです。
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クラスタ環境インテリジェント統合管理データベースセットアップ情報ファイル(jimgndbclustersetupinfo.conf),およびモデルファイル
インテリジェント統合管理データベースのクラスタ環境のセットアップ時に必要な定義を記述するファイルです。
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PostgreSQLの設定ファイル(postgresql.conf)
インテリジェント統合管理データベースに関するパラメーターの定義を記述するファイルです。
各ファイルの詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」(2. 定義ファイル)の該当するファイルの説明を参照してください。
(d) 関連ファイルの格納先
インテリジェント統合管理データベースに関連するファイルの格納先を,次に示します。
■ インテリジェント統合管理データベースの実行ファイルの格納先
インテリジェント統合管理データベースで使用する実行ファイル,コマンド,トレンドデータ管理サービスの実行ファイルなどを,次の場所に格納します。
動作環境 |
格納先 |
---|---|
物理ホスト |
インテリジェント統合管理データベースのセットアップ時に作成されます。 インテリジェント統合管理データベースセットアップ情報ファイル(jimgndbsetupinfo.conf)の項目「IMGNDBENVDIR」に設定したパスの直下に「imgndbbin」というディレクトリ名で作成されます。 <格納先のディレクトリ>
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論理ホスト |
インテリジェント統合管理データベースのセットアップ時に作成されます。 クラスタ環境インテリジェント統合管理データベースセットアップ情報ファイル(jimgndbclustersetupinfo.conf)の項目「IMGNDBENVDIR」に設定したパスの直下に「imgndbbin論理ホスト番号」というディレクトリ名で作成されます。 <格納先のディレクトリ>
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■ インテリジェント統合管理データベースのデータファイルの格納先
インテリジェント統合管理データベースのデータファイル(PostgreSQLのデータベースクラスタに相当します)を,次の場所に格納します。
なお,インテリジェント統合管理データベースのログファイルも,この格納先の「log」ディレクトリ以下に格納します。
動作環境 |
格納先 |
---|---|
物理ホスト |
インテリジェント統合管理データベースのセットアップ時に作成されます。 インテリジェント統合管理データベースセットアップ情報ファイル(jimgndbsetupinfo.conf)の項目「IMGNDBDIR」に設定したパスの直下に「imgndb」というディレクトリ名で作成されます。 <格納先のディレクトリ>
|
論理ホスト |
インテリジェント統合管理データベースのセットアップ時に作成されます。 クラスタ環境インテリジェント統合管理データベースセットアップ情報ファイル(jimgndbclustersetupinfo.conf)の項目「SHAREGNDBDIR」に設定したパスの直下に「imgndb論理ホスト番号」というディレクトリ名で作成されます。 <格納先のディレクトリ> Windowsの場合:共有ディスクの指定パス\imgndb論理ホスト番号 Linuxの場合:共有ディスクの指定パス/imgndb論理ホスト番号 |
■ インテリジェント統合管理データベースの関連ライブラリの格納先(Linuxの場合だけ)
Linux版では,インテリジェント統合管理データベースの運用コマンドで使用されるメッセージカタログ,インテリジェント統合管理データベースで使用されるライブラリを,次の場所に格納します。
動作環境 |
格納先 |
---|---|
物理ホストおよび論理ホスト(共通) |
インストール時に作成されます。 <格納先のディレクトリ> /opt/jp1imm/lib/imgndb |
■ インテリジェント統合管理データベースの設定ファイルの格納先
インテリジェント統合管理データベースの設定ファイルを,次の場所に格納します。
動作環境 |
格納先 |
---|---|
物理ホスト |
インストール時に作成されます。 <格納先のディレクトリ> Windowsの場合:Managerパス\conf\imgndb Linuxの場合:/etc/opt/jp1imm/conf/imgndb |
論理ホスト |
インテリジェント統合管理データベースのセットアップ時に作成されます。 <格納先のディレクトリ> Windowsの場合:共有フォルダ※\jp1imm\conf\imgndb Linuxの場合:共有ディレクトリ※/jp1imm/conf/imgndb
|
■ 運用コマンドの格納先
インテリジェント統合管理データベースの運用コマンドを,次の場所に格納します。
動作環境 |
格納先 |
---|---|
物理ホストおよび論理ホスト(共通) |
インストール時に作成されます。 <格納先のディレクトリ> Windowsの場合:Managerパス\bin\imgndb Linuxの場合:/opt/jp1imm/bin/imgndb |
■ 運用コマンドの個別ログの格納先
インテリジェント統合管理データベースの運用コマンドの個別ログを,次の場所に格納します。論理ホストの場合,コマンドごとに出力されるログの格納先が異なります。
動作環境 |
格納先 |
---|---|
物理ホスト |
インストール時に作成されます。 提供するすべての運用コマンドの個別ログを,次のディレクトリに出力します。 <格納先のディレクトリ> Windowsの場合:Managerパス\log\imgndb Linuxの場合:/var/opt/jp1imm/log/imgndb |
論理ホスト |
インテリジェント統合管理データベースのセットアップ時に作成されます。
|
■ トレンドデータ管理サービスのログの格納先
トレンドデータ管理サービスのログを,次の場所に格納します。
動作環境 |
格納先 |
---|---|
物理ホスト |
インストール時に作成されます。 提供するすべての運用コマンドの個別ログを,次のディレクトリに出力します。 <格納先のディレクトリ> Windowsの場合:Managerパス\log\imgndb Linuxの場合:/var/opt/jp1imm/log/imgndb |
論理ホスト |
インテリジェント統合管理データベースのセットアップ時に作成されます。 <格納先のディレクトリ> Windowsの場合:共有フォルダ※\jp1imm\log\imgndb Linuxの場合:共有ディレクトリ※/jp1imm/log/imgndb
|
■ インテリジェント統合管理データベースのソケットファイルの格納先(Linuxの場合だけ)
OSS(PostgreSQL)の動作で,インテリジェント統合管理データベースのソケットファイル※を,次の場所に格納します。
- 注※
-
ソケットファイルを削除すると,インテリジェント統合管理データベースが正常に動作しなくなります。この場合,インテリジェント統合管理データベースサービスを再起動する必要があります。
動作環境
格納先
物理ホストおよび論理ホスト(共通)
インストール時に作成されます。
<格納先のディレクトリ>
/tmp
(e) クラスタ構成
インテリジェント統合管理データベースは,JP1/IM - Managerの統合マネージャーホストのクラスタ構成に対応しています。クラスタ環境の構築手順については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager 構築ガイド」の「JP1/IM - Manager(インテリジェント統合管理データベース)の設定」を記載している個所を参照してください。
(2) インストールおよびアンインストール
インテリジェント統合管理データベースのインストールおよびアンインストールについては,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager 構築ガイド」の「インテリジェント統合管理データベースの構築」および「アンインストール手順」を記載している個所を参照してください。
(3) 機能
(a) 運用コマンド
インテリジェント統合管理データベースの運用コマンドを,次に示します。
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インテリジェント統合管理データベースのセットアップコマンド(jimgndbsetup)
インテリジェント統合管理データベース(トレンドデータ管理DB,対処アクション結果管理DB,統合エージェントホスト管理DB)とトレンドデータ管理サービスのセットアップ(インストールとトレンドデータ管理DBの構築)を行うコマンドです。
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インテリジェント統合管理データベースのアンセットアップコマンド(jimgndbunsetup)
インテリジェント統合管理データベース(トレンドデータ管理DB,対処アクション結果管理DB,統合エージェントホスト管理DB)とトレンドデータ管理サービスのアンセットアップ(アンインストールとトレンドデータ管理DBの削除)を行うコマンドです。
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インテリジェント統合管理データベース,およびトレンドデータ管理サービスを停止するコマンド(jimgndbstop)
インテリジェント統合管理データベース(トレンドデータ管理DB,対処アクション結果管理DB,統合エージェントホスト管理DB)とトレンドデータ管理サービスを停止するコマンドです。
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インテリジェント統合管理データベース,およびトレンドデータ管理サービスの稼働状態を確認するコマンド(jimgndbstatus)
インテリジェント統合管理データベースサービス(トレンドデータ管理DB,対処アクション結果管理DB,統合エージェントホスト管理DB)とトレンドデータ管理サービスの起動・停止などの稼働状態を確認するコマンドです。
各コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」(1. コマンド)の該当するコマンドの説明を参照してください。
(4) 暗号化通信について
次に示す通信個所はローカル通信のため,暗号化を行っていません。
通信個所 |
説明 |
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インテリジェント統合管理基盤とインテリジェント統合管理データベース間 |
トレンドデータの書き込みと取得 |
インテリジェント統合管理データベースの運用コマンドとインテリジェント統合管理データベース間 |
インテリジェント統合管理データベースの構築とメンテナンス |