Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Extensible SNMP Agent


4.2.2 HP企業固有MIBオブジェクトの内容

グループごとのHP企業固有MIBオブジェクトの内容を説明します。なお,表中では次の凡例を使用しています。

(凡例)

−:該当なし。

MIBオブジェクトの内容は,/var/opt/OV/share/snmp_mibs/eagent/hp-unixでも参照できます。

〈この項の構成〉

(1) computerSystemグループ

computerSystemグループのHP企業固有MIBオブジェクトの内容を次の表に示します。

表4‒12 computerSystemグループ(enterprises.hp.nm.system.general.computerSystem)(1.11.2.3.1.1)

ID

オブジェクト名

内容

単位

1

computerSystemUpTime

システムが起動してからの経過時間。

1/100秒

2

computerSystemUsers

システムにログインしているユーザー数。

3

computerSystemAvgJobs1

過去1分の期間での実行待ち行列の平均ジョブ数 * 100。

実行待ち行列の平均ジョブ数とは,過去の1分間に「実行状態」または「実行可能状態」であったプロセスやスレッドの平均値のことです。

例えば,この実行待ち行列の平均ジョブ数が「1」であった場合,過去1分間で「実行状態」または「実行可能状態」となっていたプロセスやスレッドが平均的に1つ存在していて,常にCPUは処理を実行していた状況であったと推測できます。

4

computerSystemAvgJobs5

過去5分の期間での実行待ち行列の平均ジョブ数 * 100。

5

computerSystemAvgJobs15

過去15分の期間での実行待ち行列の平均ジョブ数 * 100。

6

computerSystemMaxProc

システムで許される最大プロセス数。

7

computerSystemFreeMemory※1

物理メモリーの空き容量。

キロバイト

8

computerSystemPhysMemory

物理メモリー容量。

キロバイト

9

computerSystemMaxUserMem

最大ユーザーメモリー容量。

キロバイト

10

computerSystemSwapConfig※2,※3

デバイススワップ空間のサイズ。

キロバイト※4

11

computerSystemEnabledSwap

使用できるディスクスワップ空間のサイズ。

キロバイト

12

computerSystemFreeSwap※2

実際の空きスワップ領域のサイズ。

キロバイト※4

13

computerSystemUserCPU※5

nice値21以上で,ユーザーモードで実行されたCPU時間。ただし,SolarisおよびAIXではSNMPエージェントが起動してからのユーザーモードで実行されたCPU時間。

1/100秒

14

computerSystemSysCPU※5

カーネルモードで実行されたCPU時間。ただし,SolarisおよびAIXではSNMPエージェントが起動してからのカーネルモードで実行されたCPU時間。

1/100秒

15

computerSystemIdleCPU※5

アイドル状態のCPU時間。ただし,SolarisおよびAIXではSNMPエージェントが起動してからのアイドル状態のCPU時間。

1/100秒

16

computerSystemNiceCPU※5

nice値20以下で,ユーザーモードで実行されたCPU時間。ただし,SolarisおよびAIXではSNMPエージェントが起動してからのユーザーモードで実行されたCPU時間。

1/100秒

注※1

computerSystemFreeMemoryについての注意事項を次に示します。

取得時間

SolarisのcomputerSystemFreeMemoryの値は取得するために6秒以上必要です。取得する場合はマネージャーシステムのSNMP要求のタイムアウト時間を6秒以上に指定してください。

Solaris,AIXおよびLinuxの物理メモリーの空き容量については,「2.13 物理メモリーの空き容量についての注意事項」を参照してください。

注※2

各OSのcomputerSystemSwapConfigおよびcomputerSystemFreeSwapに物理メモリーが含まれているかどうかを,次に示します。

HP-UX (IPF)およびLinuxの場合

物理メモリーは含まれません。

Solarisの場合

物理メモリーは含まれます。

AIXの場合

AIXについては,実際にはページングスペースの使用状況を応答していますので注意してください。物理メモリーは含まれません。

注※3

Solarisの場合のスワップ空間についての注意事項を次に示します。

Solarisのスワップ空間はディスク上のスワップ領域に未使用の実メモリーが含まれ,実メモリーでの仮想記憶領域は動的に確保されます。そのため,computerSystemSwapConfigの値は動的に変化します。

注※4

AIXの場合,単位はバイトです。

注※5

CPU情報については,「2.15 CPU情報についての注意事項」を参照してください。

(2) fileSystemグループ

fileSystemグループのHP企業固有MIBオブジェクトの内容を次の表に示します。

表4‒13 fileSystemグループ(enterprises.hp.nm.system.general.fileSystem)(1.11.2.3.1.2)

ID

オブジェクト名

内容

単位

1

fileSystemMounted

マウントされているファイルシステムの数。

2

fileSystemTable

ファイルシステム情報テーブル。

2.1

fileSystemEntry

各エントリーはfileSystemID1とfileSystemID2の値で識別される。

2.1.1

fileSystemID1

ファイルシステムID。

2.1.2

fileSystemID2

ファイルシステムID(ファイルサーバのタイプなどの情報)。

2.1.3

fileSystemName

マウントされているファイルシステム名。

2.1.4

fileSystemBlock

ファイルシステム中のトータルブロック数。

ブロック

2.1.5

fileSystemBfree

ファイルシステム中のフリーブロック数。

ブロック

2.1.6

fileSystemBavail

スーパーユーザーではない場合,利用できるフリーブロック数。

ブロック

2.1.7

fileSystemBsize

基本ファイルシステムのブロックサイズ。

バイト

2.1.8

fileSystemFiles

ファイルシステム中のiノード総数。

2.1.9

fileSystemFfree

ファイルシステム中の未使用iノード総数。

2.1.10

fileSystemDir

ファイルシステムのpath。

重要

fileSystemグループのHP企業固有MIBオブジェクトの注意事項を次に示します。

  • AIXおよびLinuxでは,fileSystemグループについてもfileSystem64グループと同様に,/etc/SnmpAgent.d/esafilesys.confの設定が有効になります。fileSystem64グループの/etc/SnmpAgent.d/esafilesys.confの設定については,「2.12.2 不正な共有ディスク容量の応答抑止の設定(AIXおよびLinuxの場合)」を参照してください。

    SolarisおよびHP-UX (IPF)では,/etc/SnmpAgent.d/esafilesys.confの設定が有効にならないので注意してください。

  • AIXでファイルシステムがJFS2の場合は,最大4ペタバイトのファイルシステムを構築できます。SNMPエージェントのhp.nm.system.general.fileSystemグループのMIBで表現できるファイルシステムのサイズの最大値を次に示します。iノード数は,最大231-1まで表現できます。

    ファイルシステムのブロックサイズ(単位:バイト)

    ファイルシステムのサイズ(単位:テラバイト)

    512

    1

    1,024

    2

    4,096

    8

  • Linuxの場合で,不要なファイルシステムの情報を応答しないようにする方法については,「2.16 応答不要なファイルシステムの情報を応答しない設定(Linuxの場合)」を参照してください。

  • Linuxでは,hp.nm.system.general.fileSystemグループのファイルシステム情報にある「マウントされているファイルシステム名」が,dfコマンドの表示と異なります。これは,このソフトウェア製品が/etc/fstabの情報を参照しているからです。/etc/fstabの内容とは一致しています。次に例を示します。

(例)

  • MIBの情報

    [図データ]

  • /etc/fstabの情報

    [図データ]

  • dfの情報

    [図データ]

  • Solarisのhp.nm.system.general.fileSystemグループは,tmpfsファイルシステム形式のファイルシステムをMIB値に追加していません。そのため,tmpfsファイルシステム形式のファイルシステムを監視できません。

(3) processesグループ

processesグループのHP企業固有MIBオブジェクトの内容を次の表に示します。

表4‒14 processesグループ(enterprises.hp.nm.system.general.processes)(1.11.2.3.1.4)

ID

オブジェクト名

内容

単位

1

processNum

実行中のプロセス数。

2

processTable

実行中のプロセス情報テーブル。

2.1

processEntry

各エントリーはprocessPIDの値で識別される。

2.1.1

processPID

プロセスID。

2.1.2

processIdx

プロセスのエントリー番号。

2.1.3

processUID

プロセスのユーザーID。

2.1.4

processPPID

親プロセスID。

2.1.5

processDsize

プロセスのデータ領域サイズ。

ぺージ

2.1.6

processTsize

プロセスのテキスト領域サイズ。

ページ

2.1.7

processSsize

プロセスのスタック領域サイズ。

ページ

2.1.8

processNice※1

プロセスのナイス値。

2.1.9

processMajor

プロセスの制御端末のメジャー番号。

2.1.10

processMinor

プロセスの制御端末のマイナー番号。

2.1.11

processPgrp

プロセスグループID。

2.1.12

processPrio

プロセスの優先度。

2.1.13

processAddr

プロセスのユーザー領域アドレス。値は,プロセスがメモリー上にロードされている場合はメモリー中の物理アドレス,スワップアウトされている場合はディスク上のアドレスを示す。

2.1.14

processCPU

スケジューリングのためのプロセッサ利用率。

2.1.15

processUtime

プロセスがユーザーモードで実行した経過時間。

1/100秒

2.1.16

processStime

プロセスがシステム(カーネル)モードで実行した経過時間。

1/100秒

2.1.17

processStart

プロセスが開始してからの経過時間。

2.1.18

processFlags※2

プロセスフラグ。

incore(1),sys(2),locked(4),trace(8),trace2(16)

2.1.19

processStatus

プロセスの実行状態。

sleep(1),run(2),stop(3),zombie(4),other(5),idle(6)

2.1.20

processWchan

プロセスがスリープしているアドレス。

2.1.21

processProcNum

プロセスを最後に実行したプロセサ。

2.1.22

processCmd

プロセスを実行したコマンドライン文字列。

2.1.23

processTime

プロセスのインコアでの経過時間。

2.1.24

processCPUticks

現在のタイムスライス中にプロセスが消費したCPUのティック数。

2.1.25

processCPUticksTotal

プロセス生成以降,プロセスが消費したCPUのティック数。

2.1.26

processFss

プロセスが所属する均等割り当てスケジューラグループのID。

2.1.27

processPctCPU

インコアでの経過時間に占めるCPU使用時間の割合。

2.1.28

processRssize

インコアにロードされているぺージ数。

ぺージ

2.1.29

processSUID

プロセスの実ユーザーID。

2.1.30

processUname

プロセスを起動したユーザー名。

2.1.31

processTTY

プロセスのtty。

注※1

Linuxでは,通常niceの値は−20から19の間の値を取ります。processNiceのMIB値はGaugeで取得される必要があり,負の値に対応していません。したがって,取得したniceの値に20を加え0から39の間の値に変換したものをprocessNiceのMIB値とします。

注※2

Solarisの場合,process.processTable.processEntry.processFlagの値には意味がありません。

(4) clusterグループ

clusterグループのHP企業固有MIBオブジェクトの内容を次の表に示します。

表4‒15 clusterグループ(enterprises.hp.nm.system.general.cluster)(1.11.2.3.1.5)

ID

オブジェクト名

内容

単位

1

isClustered

マシンがクラスタシステムかどうかの識別。

standalone(1),rootserver(2),cnode(3)

2

clusterTable

クラスタノード情報テーブル。

2.1

clusterEntry

各エントリーはclusterIDの値で識別される。

2.1.1

clusterID

cnode ID。

2.1.2

clusterMachineID

cnode マシンID。

2.1.3

clusterType

cnodeタイプ(rまたはc)。

2.1.4

clusterCnodeName

cnode名。

2.1.5

clusterSwapServingCnode

スワップサービングcnode。

2.1.6

clusterKcsp

KCSP。

2.1.7

clusterCnodeAddress

cnode IPアドレス。

3

clusterCnodeID

マシンのcnode ID。

(5) ieee8023Macグループ

ieee8023MacグループのHP企業固有MIBオブジェクトの内容を次の表に示します。

表4‒16 ieee8023Macグループ(enterprises.hp.nm.interface.ieee8023Mac)(1.11.2.4.1)

ID

オブジェクト名

内容

単位

1

ieee8023MacTable

ieee802.3インタフェース情報テーブル。

1.1

ieee8023MacEntry

各エントリーはieee8023MacIndexの値で識別される。

1.1.1

ieee8023MacIndex

ifIndexに対応したインタフェース番号。

1.1.2

ieee8023MacTransmitted

転送に成功したフレーム数。

フレーム

1.1.3

ieee8023MacNotTransmitted

転送されなかったフレーム数。

フレーム

1.1.4

ieee8023MacDeferred

媒体のbusyによって据え置かれたフレーム数。

フレーム

1.1.5

ieee8023MacCollisions

衝突のために再送された転送試行回数の総称。

1.1.6

ieee8023MacSingleCollisions

1つの衝突に妨げられ,そのあと転送に成功した転送試行回数。

1.1.7

ieee8023MacMultipleCollisions

2〜5回の衝突試行で妨げられ,そのあと転送に成功した転送試行回数。

1.1.8

ieee8023MacExcessCollisions

15回以上衝突試行で妨げられ,そのあと転送に成功した転送試行回数。

1.1.9

ieee8023MacLateCollisions

割り当てられたチャネル時間が経過したあと,発生した衝突のために失敗した転送試行回数。

1.1.10

ieee8023MacCarrierLostErrors

転送を試みたとき,carrier senseが失われた回数。

1.1.11

ieee8023MacNoHeartBeatErrors

転送のあと,heart beatが指し示されることのない回数。

1.1.12

ieee8023MacFramesReceived

受信に成功したフレーム数。

フレーム

1.1.13

ieee8023MacUndeliverableFramesReceived

フレームが受信されるより早く送信されたとき,ソフトウェアバッファーがオーバーランのため配送されなかった受信フレーム数。

フレーム

1.1.14

ieee8023MacCRCErrors

CRCエラー発見回数。

1.1.15

ieee8023MacAlignmentErrors

misalignedで,誤ったCRC両方の受信フレーム数。

フレーム

1.1.16

ieee8023MacResourceErrors

リソースが不足したため,失われた受信フレーム数。

フレーム

1.1.17

ieee8023MacControlFieldErrors

コントロールフィールドにエラーがある受信フレーム数。

フレーム

1.1.18

ieee8023MacUnknownProtocolErrors

タイプフィールドまたはサップフィールドが誤ったプロトコルを参照したためドロップしたフレーム数。

フレーム

1.1.19

ieee8023MacMulticastsAccepted

マルチキャストアドレスを受け取った数。

(6) icmpグループ

icmpグループのHP企業固有MIBオブジェクトの内容を次の表に示します。

表4‒17 icmpグループ(enterprises.hp.nm.icmp)(1.11.2.7)

ID

オブジェクト名

内容

単位

1

icmpEchoReq

icmpエコー要求に応答するために掛かる秒数およびエラー情報。

注※

SNMPエージェントをインストールしているホストから指定されたホストへ,icmpエコーリクエストを送信します。その応答に掛かる時間(ミリ秒)をMIB値にします。icmpエコーリクエストでエラーが発生した場合は次の値になります。

-1:内部エラー発生

-2:icmpエコーリクエストがタイムアウト

-3:エコーリプライが正しくない

-4:パケットサイズが大き過ぎる

-5:タイムアウト値が間違っている

このMIB値はSNMP-GET要求でだけ取得できます。SNMP GET-NEXT要求では取得できません。SNMP-GET要求ではSNMPエージェントをインストールしているホストから,icmpエコーリクエストを送信するホストのIPアドレス,そのicmpエコーリクエストのパケットサイズ(バイト),およびicmpエコーリクエストのタイムアウト時間(秒)を指定します。IPアドレスをa1.a2.a3.a4,パケットサイズをs,タイムアウト時間をtとした場合,リクエストの形式はicmpEchoReq.s.t.a1.a2.a3.a4となります。

次に例を示します。

(例)

IPアドレス15.2.112.113に,タイムアウトを8秒,パケットサイズを75バイトで,icmpエコーリクエストを送りたい場合は,次のように指定します。

icmpEchoReq.75.8.15.2.112.113

(7) trapグループ

trapグループのHP企業固有MIBオブジェクトの内容を次の表に示します。

表4‒18 trapグループ(enterprises.hp.nm.snmp.trap)(1.11.2.13.1)

ID

オブジェクト名

内容

単位

1

trapDestinationNum

トラップ宛先の数。

2

trapDestinationTable

エージェントのトラップ宛先アドレステーブル。

2.1

trapDestinationEntry

各エントリーはtrapDestinationの値で識別される。

2.1.1

trapDestination

エージェントのトラップ宛先アドレス。

(8) snmpdConfグループ

snmpdConfグループのHP企業固有MIBオブジェクトの内容を次の表に示します。

表4‒19 snmpdConfグループ(enterprises.hp.nm.snmp.snmpdConf)(1.11.2.13.2)

ID

オブジェクト名

内容

単位

1

snmpdConfRespond

true(1)がセットされていると全オブジェクトに応答する。

true(1),false(2)

2

snmpdReConfigure

reset(1)がセットされるとエージェントが再構成される。

3

snmpdFlag

エージェントの能力。

removetrap(1),netwareproxy(2)

4

snmpdLogMask

エージェントのログマスク値。

5

snmpdVersion

エージェントのバージョン番号。

6

snmpdStatus

デーモンの状態。

up(1),down(2)

7

snmpdSize

エージェントのデータセグメントの大きさ。

バイト

9

snmpdWhatString

エージェントのプロフィール。

製品名,バージョン,日付,コピーライト