2.13 物理メモリーの空き容量についての注意事項
物理メモリーの空き容量についての注意事項を次に示します。
物理メモリーの空き容量については，「4.2.2(1) computerSystemグループ」および「4.3.2(23) computerSystem64グループ」を参照してください。
-
Solarisの物理メモリー
Solarisの物理メモリーは，通常のプログラムの動作などに使用される以外に，ファイルキャッシュ（バッファーキャッシュ）としても使用されています。ファイルキャッシュとして使用されている部分で再利用できる物理メモリーについては，すぐにメモリーが解放されません。再び同一ファイルが参照されるときのキャッシュとして残されています。したがって，システムを一定時間継続して動作させると，computerSystemFreeMemoryおよびcomputerSystem64FreeMemoryの値は，ほぼ一定の値に収束します（具体的な値は，システムごとに異なります）。このため，Solarisでは，システムの空きメモリーやメモリー使用率を監視する場合には，物理メモリーではなく仮想メモリー（スワップ）を監視することを推奨します。仮想メモリー（スワップ）の監視には，computerSystemSwapConfig，computerSystemFreeSwap，computerSystem64SwapConfigおよびcomputerSystem64FreeSwapが使用できます。computerSystemFreeMemoryおよびcomputerSystem64FreeMemoryは，ファイルキャッシュ分も含めた物理メモリーの空き容量を監視する場合に使用してください。
-
AIXの物理メモリーの空き容量
AIXでは使用中の物理メモリーをファイルキャッシュとして利用することで，ファイルアクセスを向上させています。そのため，ファイルキャッシュ値は使用中の物理メモリー容量と見なし，SNMPエージェントでは，物理メモリーの空き容量として純粋な空きメモリー容量の値を取得しています。
運用上，ファイルキャッシュ値を使用中の物理メモリー容量ではなく空きメモリー容量と見なしたい場合，環境変数定義ファイルSnmpHpunixでSNMP_HTC_AIX_EXCEPT_FILECACHE環境変数にYを指定すると，SNMPエージェントが取得する物理メモリーの空き容量は，空きメモリー容量とファイルキャッシュ値の和を取得できます。
なお，環境変数定義ファイルSnmpHpunixで設定したSNMP_HTC_AIX_EXCEPT_FILECACHE環境変数は，computerSystemFreeMemoryおよびcomputerSystem64FreeMemoryの両方で有効となります。
環境変数定義ファイルのパスは，「付録A SNMPエージェントのファイルの一覧」を参照してください。
SNMP_HTC_AIX_EXCEPT_FILECACHE環境変数の指定例を次に示します。
（例）
SNMP_HTC_AIX_EXCEPT_FILECACHE=Y export SNMP_HTC_AIX_EXCEPT_FILECACHE
-
Linuxの物理メモリーの空き容量
Linuxでは空きメモリーを積極的にバッファやキャッシュに割り当て，アプリケーションからメモリー確保要求があった場合は，必要に応じてバッファやキャッシュに割り当てられたメモリーを回収して，アプリケーションに割り当てます。そのため，SNMPエージェントが取得する物理メモリーの空き容量は，デフォルトでは空きメモリー容量とバッファとキャッシュの総容量の和を取得しています。
環境変数定義ファイルSnmpHpunixでSNMP_HTC_LINUX_INACTIVE_MEM環境変数にYを指定すると，SNMPエージェントが取得する物理メモリーの空き容量は，空きメモリー容量と現在空き状態で使用できるバッファとキャッシュのメモリー容量の和を取得できます。
なお，環境変数定義ファイルSnmpHpunixで設定したSNMP_HTC_LINUX_INACTIVE_MEM環境変数は，computerSystemFreeMemoryおよびcomputerSystem64FreeMemoryで有効となります。
環境変数定義ファイルのパスは，「付録A SNMPエージェントのファイルの一覧」を参照してください。
SNMP_HTC_LINUX_INACTIVE_MEM環境変数の指定例を次に示します。
（例）
SNMP_HTC_LINUX_INACTIVE_MEM=Y export SNMP_HTC_LINUX_INACTIVE_MEM