5.4.3 コマンドを実行してシステムログ情報を抽出する場合の環境パラメーター設定ファイル
jr3slgetコマンド実行時に,引数として環境パラメーター設定ファイルを指定すると,ファイルの設定内容を基に,SAPシステムのシステムログ情報が抽出されます。
この環境パラメーター設定ファイルは,テキストファイルとしてユーザーが作成します。
(1) 設定手順
環境パラメーター設定ファイルの設定手順を次に示します。
-
環境パラメーター設定ファイルを編集する前に,jr3slgetコマンドが実行されていないことを確認する。
-
環境パラメーター設定ファイルを新規に作成する場合は,環境パラメーター設定ファイルのサンプルファイルを「jr3slget.ini」の名前でコピーする。
この「jr3slget.ini」が,デフォルトの環境パラメーター設定ファイルとなります。環境パラメーター設定ファイルのサンプルファイルを次に示します。
- Windowsの場合
-
インストール先フォルダ\agtm\evtrap\jr3slget.ini.sample
- Linuxの場合
-
/opt/jp1pc/agtm/evtrap/jr3slget.ini.sample
-
jr3slget.iniを開く。
-
設定内容を編集する。
デフォルトの環境パラメーター設定ファイルの設定内容を次に示します。設定内容については,「(2) 設定内容」を参照してください。
コメント行を表す「;」が行頭にある項目は,デフォルトでは設定が有効になっていません。設定を有効にするには,コメント行を表す「;」を外してください。
-
環境パラメーター設定ファイルを保存する。
jr3slgetコマンド実行時に-cnfオプションを指定することで,環境パラメーター設定ファイルの内容を基にSAPシステムのシステムログ情報が抽出されます。
(2) 設定内容
環境パラメーター設定ファイルは,次の形式で記述します。
[セクション] ラベル=値 ラベル=値 : : [セクション] ラベル=値 ラベル=値
- 注意
-
-
行頭および「=」の前後に,空白文字などの余計な文字を設定しないでください。
-
セクションおよびラベルでは,指定した値の大文字・小文字は区別されません。
-
行の先頭に「;」を指定すると,その行はコメントとして扱われます。
-
次に,環境パラメーター設定ファイルの各セクションで設定する内容を表形式で説明します。表の「引数」列は,jr3slgetコマンドでも指定できる設定値の場合,コマンドで指定する際の引数を示します。「−」は,コマンドでは指定できない項目を示します。
(a) CONNECTセクション
CONNECTセクションでは,コマンド実行時に,SAPシステムとのRFC接続を確立するための情報を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
引数 |
---|---|---|---|---|
ASHOST |
接続先のアプリケーションサーバのホスト名(トランザクションコードSM51で確認できるホスト名)。 |
1〜100バイトの半角英数字。次の形式で指定できる。
|
localhost |
-h |
SYSNR |
接続先のアプリケーションサーバホストで識別するためのシステム番号。 |
0〜99 |
00 |
-s |
CLIENT |
接続に利用するユーザーのクライアント名。 |
0〜999 |
000 |
-c |
USER |
接続に利用するユーザー名。※1 |
1〜12バイトの半角英数字。 |
CPIC |
-u |
PASSWD |
接続に利用するユーザーのパスワード。※2 |
1〜8バイトの半角文字列。※3 |
ADMIN |
-p |
PASSWD2 |
接続に利用するユーザーの拡張パスワード。※2 |
1〜40バイトの半角文字列。※3 |
ADMIN |
-p2 |
LANG |
接続に利用するユーザーの言語。 |
日本語と英語が使用できる。 次に示すSAPシステムで使用されている2バイトのISO IDまたは1バイトの言語キーを指定する。
|
なし |
-l |
CODEPAGE |
接続先のUnicode版SAPシステムで文字コードを変換する時に使用するコードページ。 |
LANGラベルの言語と組み合わせて指定する。※4 |
なし |
-codepage |
- 注※1
-
このラベルで指定するユーザーには,次の権限を付与しておく必要があります。
表5‒8 ユーザーが汎用モジュールにRFC接続するための権限(S_RFC) 権限項目
説明
値
RFC_TYPE
保護されるRFCオブジェクトのタイプ
FUGR(汎用グループ)
RFC_NAME
保護されるRFC名
*
ACTVT
アクティビティ
16(実行)
表5‒9 外部管理インターフェースを使用するための権限(S_XMI_PROD) 権限項目
説明
値
EXTCOMPANY
外部管理ツールの会社名
HITACHI
EXTPRODUCT
外部管理ツールのプログラム名
JP1
INTERFACE
インターフェースID
XAL
また,このラベルで指定するユーザーには,次のタイプのユーザーが使用できます。
-
ダイアログ(Dialog)
-
システム(System)
-
通信(Communication)
-
サービス(Service)
-
- 注※2
-
PASSWDラベルは,SAPシステム側で従来型のパスワードルールが適用されている場合に指定します。PASSWD2ラベルは,SAPシステム側で拡張パスワードルールが適用されている場合に指定します。PASSWDラベルとPASSWD2ラベルは同時に指定できません。
- 注※3
-
接続に利用するユーザーのパスワード,および拡張パスワードは,半角数字(0〜9),半角英字(a〜z, A〜Z),および次の半角記号で定義してください。
! @ $ % & / ( ) = ? ' ` * + ~ # - _ . : { [ ] } < > |
- 注※4
-
LANGラベルとCODEPAGEラベルは,次の組み合わせで設定してください。次の組み合わせ以外の言語とコードページを指定した場合,SAPシステムから取得した情報が文字化けする可能性があります。
表5‒10 言語とコードページの指定内容の組み合わせ 接続先SAPシステム
接続言語
言語(LANG)
コードページ(CODEPAGE)
Unicode版
日本語
JA
8000
英語
EN
指定する必要はありません。指定する場合は,1100を指定してください。
非Unicode版
日本語
JA
指定する必要はありません。指定する場合は,8000を指定してください。
英語
EN
指定する必要はありません。指定する場合は,1100を指定してください。
LANGラベルの指定を省略した場合,接続先システムで定義されているユーザーの言語が仮定されます。
CODEPAGEラベルの指定を省略した場合,接続先システムのデフォルトコードページが仮定されます。
(b) COMMANDセクション
COMMANDセクションでは,jr3slgetコマンドの作業ディレクトリの情報を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
引数 |
---|---|---|---|---|
WORKDIR |
コマンドの作業ディレクトリ。 |
1〜255バイトの半角英数字。相対パスを指定した場合,カレントディレクトリからの相対パスとなる。 |
カレントディレクトリ |
− |
(c) TRACEセクション
TRACEセクションでは,jr3slgetコマンドの実行履歴が保存されるメッセージログおよびデータログの情報を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
引数 |
---|---|---|---|---|
MSGLOG_LEVEL |
アプリケーションのトレース情報を保存するメッセージログの取得レベル。
|
0〜4 |
2 |
− |
MSGLOG_SIZE |
メッセージログを取得するファイル容量。
|
0〜65535 |
512 |
− |
MSGLOG_DIR |
メッセージログファイル(jr3slget.log)の取得先ディレクトリ。 |
1〜255バイトの半角英数字。ファイル名部分のjr3slget.logまでを含めて255バイト以内で指定する必要がある。相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリからの相対パスとなる。 |
コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルで変更していないときは,カレントディレクトリ) |
− |
DATALOG_LEVEL |
アプリケーションの各種データ情報を保存するデータログの取得レベル。
|
0〜4 |
2 |
− |
DATALOG_SIZE |
データログを取得するファイル容量。
|
0〜65535 |
512 |
− |
DATALOG_DIR |
データログファイル(jr3slget.dat)の取得先ディレクトリ。 |
1〜255バイトの半角英数字。ファイル名部分のjr3slget.datまでを含めて255バイト以内で指定する必要がある。相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリからの相対パスとなる。 |
コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルで変更していないときは,カレントディレクトリ) |
− |
(d) TARGETセクション
TARGETセクションでは,抽出対象のシステムログ情報を特定するための情報を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
引数 |
---|---|---|---|---|
SERVER |
SAPインスタンス名(トランザクションコードSM51で確認できる,ダイアログサービスを持つSAPインスタンス名)。 |
1〜20バイトの半角英数字。 |
なし |
-server |
(e) FORMATセクション
FORMATセクションでは,出力されるシステムログ情報の出力形式を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
引数 |
---|---|---|---|---|
COLUMN |
出力されるシステムログ情報の出力形式。 |
フィールドID。フィールドIDについては,「11. コマンド」のjr3slgetコマンドの「出力形式および内容」を参照のこと。 |
列1:<TIME> 列2:<INSTANCE> 列3:<USER> 列4:<PROGRAM> 列5:<MSGNO> 列6:<MSGTEXT> |
− |
(f) EXTRACTFILEセクション
EXTRACTFILEセクションでは,システムログ情報の出力ファイルの情報を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
---|---|---|---|
TYPE |
システムログ情報を格納するファイルの形式。
PFM - Agent for Enterprise Applicationsの環境を新規で構築する場合は,WRAP2を指定することを推奨します。 運用の開始後,格納ファイルの形式を変更する場合は,事前に格納ファイルを監視している製品を停止し,格納ファイルとその管理ファイル※1を削除してください。 |
WRAP1またはWRAP2 |
WRAP1 |
SIZE |
1ファイル当たりの格納ファイル容量。
|
0〜65535 |
10240※2 |
X2PATH |
|
|
− |
NUM |
WRAP2形式で格納するときのファイル数。 TYPEラベルでWRAP2を設定している場合だけ有効です。 |
2〜9 |
5 |
- 注※1
-
WRAP1形式の場合,格納ファイルと同じディレクトリに,格納ファイル名.ofsという名称で管理ファイルが作成されます。
例:
格納ファイル名としてSYSLOGを指定したときSYSLOGファイルとは別にSYSLOG.ofsファイルが管理ファイルとして作成されます。
格納ファイルを削除する場合は,この管理ファイルも合わせて削除してください。
- 注※2
-
09-00以前からバージョンアップした場合に適用されるデフォルト値の詳細については,「付録H 移行手順と移行時の注意事項」を参照してください。
- 注※3
-
デフォルトの格納先から変更した場合,格納ファイルと管理ファイルをjpcrasコマンドで採取することができません。このため,トラブルが発生した場合,手動で格納ファイルと管理ファイルを採取していただく必要があります。
- 注※4
-
この値にNUMラベルに指定した範囲(デフォルトは1〜5)の値が付与されたファイル名が格納されます。
- 注※5
-
相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルに指定したディレクトリ)が相対パスのカレントディレクトリとなります。なお,作業ディレクトリが指定されていない場合,以下のディレクトリからの相対パスのカレントディレクトリとなります。また,環境ディレクトリは,論理ホスト作成時に指定した共有ディスク上のディレクトリです。
Windowsの場合:
物理ホスト環境:インストール先フォルダ\agtm\agent\インスタンス名
論理ホスト環境:環境ディレクトリ\jp1pc\agtm\agent\インスタンス名
Linuxの場合:
物理ホスト環境:/opt/jp1pc/agtm/agent/インスタンス名
論理ホスト環境:環境ディレクトリ/jp1pc/agtm/agent/インスタンス名
(g) Optionセクション
Optionセクションでは,システムログの抽出の基点を決めるための情報を指定します。
Optionセクションの詳細は,「5.3.2(5) Optionセクション」を参照してください。
(3) 注意事項
SAPシステムのタイムゾーンの設定を変更した場合(標準時間と夏時間の切り替えに伴う変更を除く),設定変更前のタイムゾーンに基づくタイムスタンプが記録された,タイムスタンプファイルは削除する必要があります。jr3slgetコマンドの-lasttimeオプションに指定したタイムスタンプファイルが存在する場合には,コマンド実行を再開する前にタイムスタンプファイルを削除してください。