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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Agent Option for Enterprise Applications


5.4.3 コマンドを実行してシステムログ情報を抽出する場合の環境パラメーター設定ファイル

jr3slgetコマンド実行時に,引数として環境パラメーター設定ファイルを指定すると,ファイルの設定内容を基に,SAPシステムのシステムログ情報が抽出されます。

この環境パラメーター設定ファイルは,テキストファイルとしてユーザーが作成します。

〈この項の構成〉

(1) 設定手順

環境パラメーター設定ファイルの設定手順を次に示します。

  1. 環境パラメーター設定ファイルを編集する前に,jr3slgetコマンドが実行されていないことを確認する。

  2. 環境パラメーター設定ファイルを新規に作成する場合は,環境パラメーター設定ファイルのサンプルファイルを「jr3slget.ini」の名前でコピーする。

    この「jr3slget.ini」が,デフォルトの環境パラメーター設定ファイルとなります。環境パラメーター設定ファイルのサンプルファイルを次に示します。

    Windowsの場合

    インストール先フォルダ\agtm\evtrap\jr3slget.ini.sample

    Linuxの場合

    /opt/jp1pc/agtm/evtrap/jr3slget.ini.sample

  3. jr3slget.iniを開く。

  4. 設定内容を編集する。

    デフォルトの環境パラメーター設定ファイルの設定内容を次に示します。設定内容については,「(2) 設定内容」を参照してください。

    [図データ]

    コメント行を表す「;」が行頭にある項目は,デフォルトでは設定が有効になっていません。設定を有効にするには,コメント行を表す「;」を外してください。

  5. 環境パラメーター設定ファイルを保存する。

    jr3slgetコマンド実行時に-cnfオプションを指定することで,環境パラメーター設定ファイルの内容を基にSAPシステムのシステムログ情報が抽出されます。

(2) 設定内容

環境パラメーター設定ファイルは,次の形式で記述します。

[セクション]
ラベル=
ラベル=
:
:
[セクション]
ラベル=
ラベル=
注意
  • 行頭および「=」の前後に,空白文字などの余計な文字を設定しないでください。

  • セクションおよびラベルでは,指定した値の大文字・小文字は区別されません。

  • 行の先頭に「;」を指定すると,その行はコメントとして扱われます。

次に,環境パラメーター設定ファイルの各セクションで設定する内容を表形式で説明します。表の「引数」列は,jr3slgetコマンドでも指定できる設定値の場合,コマンドで指定する際の引数を示します。「−」は,コマンドでは指定できない項目を示します。

(a) CONNECTセクション

CONNECTセクションでは,コマンド実行時に,SAPシステムとのRFC接続を確立するための情報を指定します。

表5‒7 CONNECTセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

引数

ASHOST

接続先のアプリケーションサーバのホスト名(トランザクションコードSM51で確認できるホスト名)。

1〜100バイトの半角英数字。次の形式で指定できる。

  • hostsファイルに指定されたホスト名

  • IPアドレス

  • SAPルーターアドレス

localhost

-h

SYSNR

接続先のアプリケーションサーバホストで識別するためのシステム番号。

0〜99

00

-s

CLIENT

接続に利用するユーザーのクライアント名。

0〜999

000

-c

USER

接続に利用するユーザー名。※1

1〜12バイトの半角英数字。

CPIC

-u

PASSWD

接続に利用するユーザーのパスワード。※2

1〜8バイトの半角文字列。※3

ADMIN

-p

PASSWD2

接続に利用するユーザーの拡張パスワード。※2

1〜40バイトの半角文字列。※3

ADMIN

-p2

LANG

接続に利用するユーザーの言語。

日本語と英語が使用できる。 次に示すSAPシステムで使用されている2バイトのISO IDまたは1バイトの言語キーを指定する。

  • 日本語の場合:JAまたはJ

  • 英語の場合:ENまたはE

なし

-l

CODEPAGE

接続先のUnicode版SAPシステムで文字コードを変換する時に使用するコードページ。

LANGラベルの言語と組み合わせて指定する。※4

なし

-codepage

注※1

このラベルで指定するユーザーには,次の権限を付与しておく必要があります。

表5‒8 ユーザーが汎用モジュールにRFC接続するための権限(S_RFC)

権限項目

説明

RFC_TYPE

保護されるRFCオブジェクトのタイプ

FUGR(汎用グループ)

RFC_NAME

保護されるRFC名

*

ACTVT

アクティビティ

16(実行)

表5‒9 外部管理インターフェースを使用するための権限(S_XMI_PROD)

権限項目

説明

EXTCOMPANY

外部管理ツールの会社名

HITACHI

EXTPRODUCT

外部管理ツールのプログラム名

JP1

INTERFACE

インターフェースID

XAL

また,このラベルで指定するユーザーには,次のタイプのユーザーが使用できます。

  • ダイアログ(Dialog)

  • システム(System)

  • 通信(Communication)

  • サービス(Service)

注※2

PASSWDラベルは,SAPシステム側で従来型のパスワードルールが適用されている場合に指定します。PASSWD2ラベルは,SAPシステム側で拡張パスワードルールが適用されている場合に指定します。PASSWDラベルとPASSWD2ラベルは同時に指定できません。

注※3

接続に利用するユーザーのパスワード,および拡張パスワードは,半角数字(0〜9),半角英字(a〜z, A〜Z),および次の半角記号で定義してください。

 ! @ $ % & / ( ) = ? ' ` * + ~ # - _ . : { [ ] } < > |

注※4

LANGラベルとCODEPAGEラベルは,次の組み合わせで設定してください。次の組み合わせ以外の言語とコードページを指定した場合,SAPシステムから取得した情報が文字化けする可能性があります。

表5‒10 言語とコードページの指定内容の組み合わせ

接続先SAPシステム

接続言語

言語(LANG)

コードページ(CODEPAGE)

Unicode版

日本語

JA

8000

英語

EN

指定する必要はありません。指定する場合は,1100を指定してください。

非Unicode版

日本語

JA

指定する必要はありません。指定する場合は,8000を指定してください。

英語

EN

指定する必要はありません。指定する場合は,1100を指定してください。

LANGラベルの指定を省略した場合,接続先システムで定義されているユーザーの言語が仮定されます。

CODEPAGEラベルの指定を省略した場合,接続先システムのデフォルトコードページが仮定されます。

(b) COMMANDセクション

COMMANDセクションでは,jr3slgetコマンドの作業ディレクトリの情報を指定します。

表5‒11 COMMANDセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

引数

WORKDIR

コマンドの作業ディレクトリ。

1〜255バイトの半角英数字。相対パスを指定した場合,カレントディレクトリからの相対パスとなる。

カレントディレクトリ

(c) TRACEセクション

TRACEセクションでは,jr3slgetコマンドの実行履歴が保存されるメッセージログおよびデータログの情報を指定します。

表5‒12 TRACEセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

引数

MSGLOG_LEVEL

アプリケーションのトレース情報を保存するメッセージログの取得レベル。

  • 0:採取しない

  • 1:エラーだけ採取

  • 2:標準

  • 3:詳細

  • 4:デバッグ

0〜4

2

MSGLOG_SIZE

メッセージログを取得するファイル容量。

  • 0:2GB(32ビットの符号付き整数で示せる最大値(0x7FFFFFFF))

  • 1〜65535:指定サイズ(単位:キロバイト)内でラップアラウンド

0〜65535

512

MSGLOG_DIR

メッセージログファイル(jr3slget.log)の取得先ディレクトリ。

1〜255バイトの半角英数字。ファイル名部分のjr3slget.logまでを含めて255バイト以内で指定する必要がある。相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリからの相対パスとなる。

コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルで変更していないときは,カレントディレクトリ)

DATALOG_LEVEL

アプリケーションの各種データ情報を保存するデータログの取得レベル。

  • 0:採取しない

  • 1:エラーだけ採取

  • 2:標準

  • 3:詳細

  • 4:デバッグ

0〜4

2

DATALOG_SIZE

データログを取得するファイル容量。

  • 0:2GB(32ビットの符号付き整数で示せる最大値(0x7FFFFFFF))

  • 1〜65535:指定サイズ(単位:キロバイト)内でラップアラウンド

0〜65535

512

DATALOG_DIR

データログファイル(jr3slget.dat)の取得先ディレクトリ。

1〜255バイトの半角英数字。ファイル名部分のjr3slget.datまでを含めて255バイト以内で指定する必要がある。相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリからの相対パスとなる。

コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルで変更していないときは,カレントディレクトリ)

(d) TARGETセクション

TARGETセクションでは,抽出対象のシステムログ情報を特定するための情報を指定します。

表5‒13 TARGETセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

引数

SERVER

SAPインスタンス名(トランザクションコードSM51で確認できる,ダイアログサービスを持つSAPインスタンス名)。

1〜20バイトの半角英数字。

なし

-server

(e) FORMATセクション

FORMATセクションでは,出力されるシステムログ情報の出力形式を指定します。

表5‒14 FORMATセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

引数

COLUMN

出力されるシステムログ情報の出力形式。

フィールドID。フィールドIDについては,「11. コマンド」のjr3slgetコマンドの「出力形式および内容」を参照のこと。

列1:<TIME>

列2:<INSTANCE>

列3:<USER>

列4:<PROGRAM>

列5:<MSGNO>

列6:<MSGTEXT>

(f) EXTRACTFILEセクション

EXTRACTFILEセクションでは,システムログ情報の出力ファイルの情報を指定します。

表5‒15 EXTRACTFILEセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

TYPE

システムログ情報を格納するファイルの形式。

  • WRAP1

    システムログ情報が一定の容量に達すると,ラップアラウンドして再び先頭からデータを上書きする形式のファイルです。

  • WRAP2

    NUMラベルで設定した複数のファイルを持つ形式です。1つ目のファイルが一定の容量に達すると,ラップアラウンドして2つ目のファイルに書き込みます。このとき,2つ目のファイルのデータを削除し,先頭からデータを書き込みます。

    複数のファイルすべてで一定の容量に達すると,1つ目のファイルに戻ってデータを削除し,先頭からデータを書き込みます。

PFM - Agent for Enterprise Applicationsの環境を新規で構築する場合は,WRAP2を指定することを推奨します。

運用の開始後,格納ファイルの形式を変更する場合は,事前に格納ファイルを監視している製品を停止し,格納ファイルとその管理ファイル※1を削除してください。

WRAP1またはWRAP2

WRAP1

SIZE

1ファイル当たりの格納ファイル容量。

  • 0:

    2GB(32ビットの符号付き整数で示せる最大値(0x7FFFFFFF))

  • 1〜65535:

    指定サイズ内でラップアラウンド(キロバイト)。

0〜65535

10240※2

X2PATH

  • TYPEラベルでWRAP1を設定している場合

    -x2オプションで,格納ファイル出力を指定したときに適用される格納ファイルのパスを指定する。※1※3

  • TYPEラベルでWRAP2を設定している場合

    -x2オプションで,格納ファイル出力を指定したときに適用される格納ファイルを指定する。※3※4

  • TYPEラベルでWRAP1を設定している場合

    1〜251バイトの半角英数字。※5

  • TYPEラベルでWRAP2を設定している場合

    1〜254バイトの半角英数字。※5

NUM

WRAP2形式で格納するときのファイル数。

TYPEラベルでWRAP2を設定している場合だけ有効です。

2〜9

5

注※1

WRAP1形式の場合,格納ファイルと同じディレクトリに,格納ファイル名.ofsという名称で管理ファイルが作成されます。

例:

格納ファイル名としてSYSLOGを指定したときSYSLOGファイルとは別にSYSLOG.ofsファイルが管理ファイルとして作成されます。

格納ファイルを削除する場合は,この管理ファイルも合わせて削除してください。

注※2

09-00以前からバージョンアップした場合に適用されるデフォルト値の詳細については,「付録H 移行手順と移行時の注意事項」を参照してください。

注※3

デフォルトの格納先から変更した場合,格納ファイルと管理ファイルをjpcrasコマンドで採取することができません。このため,トラブルが発生した場合,手動で格納ファイルと管理ファイルを採取していただく必要があります。

注※4

この値にNUMラベルに指定した範囲(デフォルトは1〜5)の値が付与されたファイル名が格納されます。

注※5

相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルに指定したディレクトリ)が相対パスのカレントディレクトリとなります。なお,作業ディレクトリが指定されていない場合,以下のディレクトリからの相対パスのカレントディレクトリとなります。また,環境ディレクトリは,論理ホスト作成時に指定した共有ディスク上のディレクトリです。

Windowsの場合:

物理ホスト環境:インストール先フォルダ\agtm\agent\インスタンス名

論理ホスト環境:環境ディレクトリ\jp1pc\agtm\agent\インスタンス名

Linuxの場合:

物理ホスト環境:/opt/jp1pc/agtm/agent/インスタンス名

論理ホスト環境:環境ディレクトリ/jp1pc/agtm/agent/インスタンス名

(g) Optionセクション

Optionセクションでは,システムログの抽出の基点を決めるための情報を指定します。

Optionセクションの詳細は,「5.3.2(5) Optionセクション」を参照してください。

(3) 注意事項

SAPシステムのタイムゾーンの設定を変更した場合(標準時間と夏時間の切り替えに伴う変更を除く),設定変更前のタイムゾーンに基づくタイムスタンプが記録された,タイムスタンプファイルは削除する必要があります。jr3slgetコマンドの-lasttimeオプションに指定したタイムスタンプファイルが存在する場合には,コマンド実行を再開する前にタイムスタンプファイルを削除してください。