2.3.15 Zoneを使用した仮想化システムで収集できるデータ
(1) Zoneの機能
Solarisに実装されているZone機能は,ほかのOSで実現されている論理的なリソース分割機能(例:AIXのLPAR,VMwareなど)とは異なり,アプリケーション用のワークスペースを提供する機能です。このため,ほかのOS上の仮想化システムとは多少異なる位置づけとなります。複数のOSを1つのシステムで実現できる点など,利用方法は類似しています。
(2) Zone機能の構造
Zone機能は2種類存在し,システム全体とほぼ同義なものと,システムから与えられたアプリケーション用のワークスペースを表すものが存在します。前者をGlobal Zone,後者をNon-Global Zoneと呼びます。
通常の仮想化システムでは,ユーザー側から見るとリソースが完全に分離されますが,Zone機能による仮想化システムではディスク以外のリソースは,基本的にGlobal Zoneの所有物となります。
PFM - Agent for PlatformではGlobal ZoneおよびNon-Global Zoneの情報を収集できます。なお,Non-Global Zoneについては,レコードによって収集できない情報があるため,詳細は「2.3.22(1)(a) Zone環境」の「表2-10」を参照してください。
Non-Global Zoneでは,Global Zoneから見た1ファイルシステムを使用してZone機能が動作します。
Non-Global Zoneでは,ファイルシステムの一部をGlobal Zoneのものを共有します。
次の図の例では,「zone a」,「zone b」および「zone c」以下にある「sbin」「usr」の実体は,「/」以下にある「sbin」と「usr」となります。
(3) Global Zone上でのプロセス監視
PFM - Agent for PlatformがGlobal Zone上で動作する場合,ALL Zone Collection for Processプロパティの設定によって,プロセス情報を収集するZoneが選択できます。ALL Zone Collection for Processプロパティの設定値を次に示します。
- Yes
-
Global ZoneおよびNon-Global Zoneのプロセス情報を収集する。
- No
-
Global Zoneのプロセス情報を収集する。
ALL Zone Collection for Processプロパティのデフォルト値は「Yes」です。
Global Zone上でPFM - Agent for Platformが動作する場合に収集するプロセス情報を次の図に示します。
(4) Non-Global Zone上でのプロセス監視
PFM - Agent for PlatformがNon-Global Zone上で動作する場合,ALL Zone Collection for Processプロパティの設定に関係なくPFM - Agent for Platformが動作しているNon-Global Zoneのプロセス情報だけが収集されます。Non-Global Zone上でPFM - Agent for Platformが動作する場合に収集するプロセス情報を次の図に示します。