2.2.1 インストールとセットアップの前に(UNIXの場合)
PFM - RM for Oracleをインストールおよびセットアップする前に確認しておくことを説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 前提OS
PFM - RM for Oracleが動作するOSを次に示します。
-
Linux 6 (x64)
-
Linux 7
-
Oracle Linux 6 (x64)
-
Oracle Linux 7
(2) ネットワークの環境設定
Performance Managementが動作するためのネットワーク環境について説明します。
(a) IPアドレスの設定
PFM - RMのホストは,ホスト名でIPアドレスが解決できる環境を設定してください。IPアドレスが解決できない環境では,PFM - RM for Oracleは起動できません。
PFM - RM for Oracleでは,IPv4に加え,IPv6およびデュアルスタック環境で動作させることができます。IPv6環境で動作させる場合,監視対象のOracleデータベースがIPv6環境をサポートしている必要があります。
監視ホスト名(Performance Managementシステムのホスト名として使用する名前)には,実ホスト名を使用できます。
Windowsシステムではhostnameコマンド,UNIXシステムではuname -nコマンドを実行して確認したホスト名で,IPアドレスを解決できるように環境を設定してください。
監視ホスト名の設定については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。なお,監視対象とのIPアドレス解決には,jpchostsファイルに設定したIPアドレスは使用されません。
ホスト名とIPアドレスは,次のどれかの方法で設定してください。
-
Performance Managementのホスト情報設定ファイル(jpchostsファイル)
-
hostsファイル
-
DNS(Domain Name System)
監視ホスト名には,実ホスト名またはエイリアス名を使用します。
-
実ホスト名を使用する場合
UNIX環境では,uname -nコマンドの実行結果で確認できるホスト名で,IPアドレスを解決できるように設定してください。また,hostnameコマンドで取得するホスト名を使用することもできます。
なお,Performance Managementは,DNS環境でも運用できますが,FQDN(Fully Qualified Domain Name)形式のホスト名には対応していません。このため,監視ホスト名は,ドメイン名を除いて指定してください。
-
エイリアス名を使用する場合
設定しているエイリアス名でIPアドレスを解決できるように環境設定をしてください。
監視ホスト名の設定の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,システム構築の変更について説明している章を参照してください。
- IPアドレス設定時の注意
-
-
複数のLAN環境で使用する場合は,jpchostsファイルでIPアドレスを設定してください。詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
-
Performance Managementは,DHCPによる動的なIPアドレスが割り振られているホスト上では運用できません。このため,すべての監視ホストには,固定のIPアドレスを設定してください。
-
Performance Managementでは,ネットワーク構成がIPv4環境だけでなくIPv6環境にも対応しています。そのため,IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワーク構成でも,Performance Managementを運用できます。
PFM - RM for Oracleでは,PFM - ManagerとIPv6で通信できます。ただし,PFM - RM for OracleおよびPFM - Managerが導入されているホストのOSが,Windows,またはLinuxの場合に限ります。
IPv4環境とIPv6環境での通信の適用範囲については,「付録M IPv4環境とIPv6環境での通信について」を参照してください。
IPv6で通信する場合,PFM - ManagerホストとPFM - RMホストのそれぞれでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。また,PFM - RM for Oracleをインストールする前に,PFM - RMホストでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。
この設定はjpcconf ipv6 enableコマンドで実行しますが,すでに有効になっている場合,この設定は必要ありません。IPv6の利用設定を確認するためには,jpcconf ipv6 displayコマンドを実行します。
jpcconf ipv6 enableコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。また,jpcconf ipv6 enableコマンドを実行する条件やタイミングについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のIPv6環境が含まれる場合のネットワーク構成例について説明している章を参照してください。
なお,PFM - RM for OracleとPFM - ManagerをIPv6で通信する場合,名前解決できるホスト名を指定してください。
PFM - RM for OracleとPFM - Managerとの通信は,解決できるIPアドレスで通信します。また,PFM - RM for OracleとPFM - Managerとの通信では,IPv4とIPv6が共存した環境の場合,解決できるIPアドレスで通信に失敗したとき,別のIPアドレスで通信することはありません。
例えば,IPv4で接続に失敗した場合,IPv6でリトライすることはありません。また,IPv6で接続に失敗した場合に,IPv4でリトライすることもありません。事前に接続できることを確認してください。
(b) ポート番号の設定
Performance Managementプログラムのサービスは,デフォルトで次の表に示すポート番号が割り当てられています。これ以外のサービスまたはプログラムに対しては,サービスを起動するたびに,そのときシステムで使用されていないポート番号が自動的に割り当てられます。また,ファイアウォール環境で,Performance Managementを使用するときは,ポート番号を固定してください。ポート番号の固定の手順は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
機能 |
サービス名 |
パラメーター |
ポート番号 |
備考 |
---|---|---|---|---|
サービス構成情報管理機能 |
Name Server |
jp1pcnsvr |
22285 |
PFM - ManagerのName Serverサービスで使用されるポート番号。Performance Managementのすべてのホストで設定される。 |
サービス状態管理機能 |
Status Server |
jp1pcstatsvr |
22350 |
PFM - ManagerおよびPFM - BaseのStatus Serverサービスで使用されるポート番号。 PFM - ManagerおよびPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。 |
監視コンソール通信機能 |
View Server |
jp1pcvsvr |
22286 |
PFM - ManagerのView Serverサービスで使用されているポート番号です。 PFM - Managerがインストールされているホストで設定されています。 |
Webサービス機能 |
Web Service |
− |
20358 |
PFM - Web ConsoleのWeb Serviceサービスで使用されているポート番号です。 |
Webコンテナ機能 |
Web Console |
− |
20359 20360 |
PFM - Web ConsoleのWeb Consoleサービスで使用されているポート番号です。 |
JP1/SLM連携機能 |
JP1/ITSLM |
− |
20905 |
JP1/SLMでデフォルトとして設定されるポート番号です。 |
(4) 前提プログラム
ここでは,PFM - RM for Oracleをインストールする場合に必要な前提プログラムについて説明します。
なお,PFM - RM for OracleをインストールしたホストをPFM - RMホストと呼びます。
プログラム構成には,大きく分けて次の2つの場合があります。システム環境に応じて,プログラム構成を検討してください。
- PFM - ManagerホストにPFM - RM for Oracleをインストールする場合
-
PFM - Managerと同一ホストにPFM - RM for Oracleをインストールする場合のプログラム構成です。このプログラム構成の場合,PFM - RM for Oracleと同じホストにOracle Clientをインストールする必要があります。
この場合のプログラム構成を次の図に示します。
図2‒6 プログラムの構成(PFM - Managerと同一ホストにPFM - RM for Oracleをインストールする場合(UNIXの場合)) - PFM - Managerホストとは異なるホストにPFM - RM for Oracleをインストールする場合
-
PFM - Managerとは異なるホストにPFM - RM for Oracleをインストールする場合のプログラム構成です。
このプログラム構成の場合,PFM - RM for Oracleと同じホストにPFM - Base,およびOracle Clientをインストールする必要があります。PFM - Base,およびOracle Clientと同じホストにPFM - RM for Oracleをインストールする場合のプログラム構成を次の図に示します。
図2‒7 プログラムの構成(PFM - Base,およびOracle Clientと同一ホストにPFM - RM for Oracleをインストールする場合(UNIXの場合))
(a) 監視対象プログラム
PFM - RM for Oracleの監視対象プログラムを次に示します。
-
Oracle Database Standard Edition
-
Oracle Database Standard Edition One
-
Oracle Database Standard Edition 2
-
Oracle Database Enterprise Edition
仮想化OS上で監視対象プログラムを監視する場合,監視対象プログラムが仮想化OS上で保障している機能だけが監視対象となります。
(b) Performance Managementプログラム
PFM - RMホストには,PFM - RM for OracleとPFM - Baseをインストールします。PFM - BaseはPFM - RM for Oracleの前提プログラムです。同一ホストに複数のPFM - RMをインストールする場合でも,PFM - Baseは1つだけでかまいません。
ただし,PFM - ManagerとPFM - RM for Oracleを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseは不要です。
また,PFM - RM for Oracleを使ってOracleの稼働監視を行うためには,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleが必要です。
(5) クラスタシステムでのインストールとセットアップについて
クラスタシステムでのインストールとセットアップは,前提となるネットワーク環境やプログラム構成が,通常の構成のセットアップとは異なります。また,実行系ノードと待機系ノードでの作業が必要になります。詳細については,「3. クラスタシステムでの運用」を参照してください。
(6) 障害発生時の資料採取の準備
トラブルが発生した場合に調査資料として,コアダンプファイルが必要になることがあります。コアダンプファイルの出力はユーザーの環境設定に依存するため,次に示す設定を確認しておいてください。
- コアダンプファイルのサイズ設定
-
コアダンプファイルの最大サイズは,rootユーザーのコアダンプファイルのサイズ設定(ulimit -c)によって制限されます。次のようにスクリプトを設定してください。
ulimit -c unlimited
この設定が,ご使用のマシンのセキュリティポリシーに反する場合は,これらのスクリプトの設定を次のようにコメント行にしてください。
# ulimit -c unlimited
- 重要
-
コメント行にした場合,プロセスで発生したセグメンテーション障害やバス障害などのコアダンプファイルの出力契機に,コアダンプが出力されないため,調査できないおそれがあります。
コアダンプに関連するカーネルパラメーターの設定(Linux限定)
Linuxのカーネルパラメーター(kernel.core_pattern)で,コアダンプファイルの出力先,およびファイル名をデフォルトの設定から変更している場合,コアダンプファイルを採取できないときがあります。このため,Linuxのカーネルパラメーター(kernel.core_pattern)の設定は変更しないことをお勧めします。
(7) 注意事項
ここでは,Performance Managementをインストールおよびセットアップするときの注意事項を説明します。
(a) 環境変数に関する注意事項
Performance ManagementではJPC_HOSTNAMEを環境変数として使用しているため,ユーザー独自に環境変数として設定しないでください。設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。
(b) 同一ホストにPerformance Managementプログラムを複数インストール,セットアップするときの注意事項
Performance Managementは,同一ホストにPFM - Manager,PFM - Web Console,PFM - Agent,およびPFM - RM for Oracleをインストールすることもできます。その場合の注意事項を次に示します。
-
PFM - ManagerとPFM - RM for Oracleを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseは不要です。この場合,PFM - RM for Oracleの前提プログラムはPFM - Managerになるため,PFM - Managerをインストールしてから PFM - RM for Oracleをインストールしてください。
-
PFM - BaseとPFM - Managerは同一ホストにインストールできません。PFM - BaseとPFM - RM for OracleがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールする場合は,すべてのPerformance ManagementプログラムをアンインストールしたあとにPFM - Manager,PFM - RM for Oracleの順でインストールしてください。また,PFM - Manager とPFM - RM for OracleがインストールされているホストにPFM - Baseをインストールする場合も同様に,すべてのPerformance ManagementプログラムをアンインストールしたあとにPFM - Base,PFM - RM for Oracleの順でインストールしてください。
-
PFM - ManagerがインストールされているホストにPFM - RM for Oracleをインストールすると,接続先PFM - ManagerはローカルホストのPFM - Managerとなります。この場合,PFM - RM for Oracleの接続先PFM - ManagerをリモートホストのPFM - Managerに変更できません。リモートホストのPFM - Managerに接続したい場合は,インストールするホストにPFM - Managerがインストールされていないことを確認してください。
-
PFM - RM for OracleがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールすると,PFM - RM for Oracleの接続先PFM - Managerは自ホスト名に設定し直されます。共通メッセージログに設定結果が出力されています。結果を確認してください。
-
PFM - Web Consoleがインストールされているホストに,PFM - RM for Oracleをインストールする場合は,ブラウザの画面をすべて閉じてからインストールを実施してください。
-
Performance Managementプログラムを新規にインストールした場合は,ステータス管理機能がデフォルトで有効になります。ステータス管理機能の設定を変更する場合は,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のPerformance Managementの障害検知について説明している章を参照してください。
- ヒント
-
システムの性能や信頼性を向上させるため,PFM - Manager,PFM - Web Console,PFM - Agent,およびPFM - RM for Oracleはそれぞれ別のホストで運用することをお勧めします。
(c) バージョンアップの注意事項
バージョンアップインストールを行う前に,「2.4.2 (1)(c)Oracle Databaseへ登録したオブジェクトを削除する」を実行し,バージョンアップインストールが完了した後,「2.2.4 (4)(c)Oracle Databaseへオブジェクトを登録する」を実行する必要があります。
Performance Managementプログラムをバージョンアップする場合の注意事項については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップの章にある,バージョンアップの注意事項について説明している個所を参照してください。
PFM - RM for Oracleをバージョンアップする場合の注意事項については,「付録H 移行手順と移行時の注意事項」を参照してください。
なお,バージョンアップの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録を参照してください。
(d) その他の注意事項
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PFM - RM for OracleでOracle Databaseを監視するには,Oracle Client 64-bitのインストールと,Oracle Databaseに接続するための設定が必要です。
なお,Oracle Client 64-bitのインストールタイプは,管理者またはランタイムで実行してください。Instant Clientはサポート対象外です。
誤ってInstant Clientをインストールした場合,同一のORACLE_HOMEに管理者,またはランタイムでインストールしないでください。別のORACLE_HOMEにインストールするか,Instant Clientを削除してからインストールしてください。
-
Oracle Database 12c Release 1を監視する場合,CDB環境を監視することはできません。従来の非CDB環境だけ監視できます。
-
Oracle Database 12c Release 2以降を監視する場合,従来の非CDB環境に加え,CDB環境のPDB,およびルート・コンテナ(CDB$ROOT)を監視することができます。アプリケーション・コンテナ(アプリケーション・ルート,およびアプリケーションPDB)の監視をすることはできません。
-
Performance Managementのプログラムが1つもインストールされていない環境に新規インストールする場合は,インストール先ディレクトリにファイルやディレクトリがないことを確認してください。
-
インストール時のステータスバーに「Installation failed.」と表示されてインストールが失敗した場合,インストールログを採取してください。なお,このログファイルは,次にインストールすると上書きされるため,必要に応じてバックアップを採取してください。インストールログのデフォルトのファイル名については,「7.4.2(2) Performance Managementの情報」を参照してください。
-
インストール先ディレクトリにリンクを張りPerformance Managementのプログラムをインストールした場合,全Performance Managementのプログラムをアンインストールしても,リンク先のディレクトリに一部のファイルやディレクトリが残る場合があります。削除する場合は,手動で行ってください。また,リンク先にインストールする場合,リンク先に同名のファイルやディレクトリがあるときは,Performance Managementのプログラムのインストール時に上書きされるので,注意してください。
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/opt/jp1pc/setupディレクトリにPFM - RM for Oracleのセットアップファイルがある場合,新規PFM - RM for Oracleの追加セットアップが実行されます。PFM - RM for Oracleの追加セットアップが成功した場合の実行結果は共通メッセージログに「KAVE05908-I エージェント追加セットアップは正常に終了しました」と出力されます。確認してください。
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Performance Managementのプログラムをインストールする場合,次に示すセキュリティ関連プログラムがインストールされていないかどうか確認してください。インストールされている場合,次の説明に従って対処してください。
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セキュリティ監視プログラム
セキュリティ監視プログラムを停止するか,または設定を変更して,Performance Managementのプログラムのインストールを妨げないようにしてください。
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ウィルス検出プログラム
ウィルス検出プログラムを停止してからPerformance Managementのプログラムをインストールしてください。
Performance Managementのプログラムのインストール中にウィルス検出プログラムが稼働している場合,インストールの速度が低下する,インストールが実行できない,正しくインストールできないなどの問題が発生することがあります。
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プロセス監視プログラム
プロセス監視プログラムを停止するかまたは設定を変更して,Performance Managementのサービスまたはプロセス,および共通コンポーネントのサービスまたはプロセスを監視しないようにしてください。
Performance Managementのプログラムのインストール中に,プロセス監視プログラムによって,これらのサービスまたはプロセスが起動されたり停止されたりすると,インストールに失敗することがあります。
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PFM - RM for Oracleは,JP1/ServerConductor/Deployment Managerのディスク複製インストール,および仮想化プラットフォームが提供するイメージファイル化による複製機能に対応した日立プログラムプロダクトです。
ディスク複製インストールについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のディスク複製インストール時の注意事項について説明している章を確認してください。