1.6.4 メモリーリソースの監視
ここでは,KVMシステムのメモリーリソースを監視する方法について説明します。
(1) 概要
KVMシステムでは,物理サーバのメモリーリソースを複数の仮想マシンに割り当てます。仮想マシン上で稼働するOSは,割り当てられたメモリーリソースを通常の物理メモリーとして認識します。
各仮想マシンのメモリーリソース使用量の合計が物理サーバ上のメモリーリソースを逼迫させる場合,仮想マシンの性能が低下します。メモリーのパフォーマンスデータを監視することで,こうした仮想マシンの性能低下を把握できます。
メモリーリソースを監視するレコードには,次の2つがあります。レコードの詳細については「5. レコード」を参照してください。
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PI_HMIレコード
仮想マシンモニターや各仮想マシンによる物理メモリーの使用状況などを監視できます。
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PI_VMIレコード
仮想マシンに割り当てられたメモリーリソースサイズを監視できます。
次の図に,PI_HMIレコードおよびPI_VMIレコードのパフォーマンスデータ収集範囲を示します。
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(2) 監視例
ここでは,仮想環境が稼働している物理サーバの監視を例に,メモリーリソースが不足する要因と問題への対処方法を説明します。次の図に,ここで取り上げる監視項目と対処の流れを示します。
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(a) 物理サーバの合計メモリー使用率を監視する例
物理サーバの合計メモリー使用率は,PI_HMIレコードのTotal Used %フィールドで監視できます。この値が大きい場合,物理サーバのメモリーリソースが不足していると考えられます。なお,この監視項目は,監視テンプレートに用意されているアラームで監視できます。監視例を次の図に示します。
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- 確認する監視テンプレートレポート
- 確認する監視テンプレートアラーム
この例では,Used %,VM Swap Used %,およびHost Swap Used %の合計で示されるTotal Used %の値が100%を上回っているため,物理サーバのメモリーリソースが不足していると考えられます。
この場合,仮想環境の構成情報を見直してください。構成情報を見直したあとも合計メモリー使用率の値が改善しない場合,物理サーバにメモリーリソースを追加したり,物理サーバを追加したりすることを検討してください。