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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Remote Monitor for Virtual Machine


1.6.3 CPUリソースの監視

ここでは,KVMのCPUリソースを監視する方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 概要

KVMシステムでは,複数の仮想マシンで物理サーバ上のCPUを共有します。各仮想マシンに割り当てられるCPUリソースのことを仮想CPUと呼びます。仮想マシン上で稼働するOSは,仮想CPUを通常の物理CPUとして認識します。

物理サーバ上のCPUリソースは,各仮想マシンのCPUリソース要求量に応じて配分されます。ただし,各仮想マシンのCPUリソース要求量の合計が物理サーバ上のCPUリソースを超過する場合,要求量を満たすCPUリソースが配分できないため,仮想CPUリソースが不足します。この場合,仮想マシンの性能が低下します。

仮想CPUリソースが不足している状態の概念図を,次に示します。

図1‒54 仮想CPUリソース不足の概念図

[図データ]

CPUのパフォーマンスデータを監視することで,こうした仮想マシンの性能低下を把握できるため,対策を講じることができます。

また,仮想環境では,メモリー,ディスク,ネットワークインターフェースなど,すべての物理デバイスが仮想化されます。この物理デバイスの仮想化は,CPUによって処理されます。そのため,CPUリソースは,ほかの仮想デバイスのパフォーマンスにも影響する重要なリソースです。

CPUリソースを監視するレコードには,次の4つがあります。レコードの詳細については,「5. レコード」を参照してください。

  1. PIレコード

    物理サーバのCPUのパフォーマンスデータを監視できます。

  2. PI_HCIレコード

    物理CPUの各コアのパフォーマンスデータを監視できます。

  3. PI_VIレコード

    各仮想マシンが利用しているCPUのパフォーマンスデータを監視できます。

  4. PI_VCIレコード

    各仮想CPUのパフォーマンスデータを監視できます。

次の図に,それぞれのレコードのパフォーマンスデータ収集範囲を示します。

図1‒55 各レコードのパフォーマンスデータ収集範囲

[図データ]

(2) 監視例

ここでは,仮想マシンvhost1〜3のCPUリソースの監視を例に,CPUリソースが不足する要因と問題への対処方法を説明します。次の図に,ここで取り上げる監視項目と対処の流れを示します。

図1‒56 監視項目と対処の流れ

[図データ]

(a) 仮想マシンのCPU使用率を監視する例

仮想マシンのCPU使用率は,PI_VIレコードのUsed %フィールドで確認できます。

監視例を次に示します。なお,ここでは監視テンプレートのVM CPU Used Statusレポートの表示例を示しています。このレポートのグラフには,仮想マシンのCPU使用量を示すUsedフィールドが表示されます。Used %フィールドを監視する場合は,グラフの下に表示される表の内容を確認してください。

図1‒57 仮想マシンのCPU使用量の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

VM CPU Used Status

この例では,vhost2のCPU使用率が大きくなっています。CPU使用率が大きく,仮想マシンの性能が低下している場合は,CPU割り当て数などの仮想環境の構成情報を見直してください。また,問題が解決しない場合は物理CPUの追加や物理サーバの追加を検討してください。