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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Remote Monitor for Virtual Machine


1.4.4 メモリーリソースの監視

ここでは,VMwareシステムのメモリーリソースを監視する方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 概要

VMwareシステムでは,複数の仮想マシンで物理サーバ上のメモリーを共有します。各仮想マシンに割り当てられるメモリーリソースのことを仮想メモリーと呼びます。仮想マシン上で稼働するOSは,仮想メモリーを通常の物理メモリーとして認識します。

物理サーバ上のメモリーリソースは,各仮想マシンのメモリーリソース要求量に応じて配分されます。ただし,各仮想マシンのメモリーリソース要求量の合計が物理サーバ上のメモリーリソースを超過する場合,要求量を満たすメモリーリソースが配分できないため,仮想メモリーリソースが不足します。この場合,仮想マシンの性能が低下します。メモリーのパフォーマンスデータを監視することで,こうした仮想マシンの性能低下を把握できます。

また,仮想環境ではスワッピングが用いられます。スワッピングとは,ディスクの一部の領域をメモリーとして利用することです。スワッピングで利用するディスク領域のことをスワップと呼びます。スワッピングによって,物理サーバに実装されている搭載メモリー量よりも大きいメモリーリソースを使用できます。

ディスクのアクセス速度は,物理メモリーと比較して低速なため,スワップを利用すると仮想マシンの性能が低下します。メモリーリソースを監視するときには,スワッピング状況も同時に把握することをお勧めします。

メモリーリソースを監視するレコードには,次の2つがあります。レコードの詳細については「5. レコード」を参照してください。

  1. PI_VMIレコード

    仮想マシンごとのメモリー使用量,外部・内部スワップの使用量などを監視できます。

  2. PI_HMIレコード

    仮想マシンモニターや各仮想マシンによる物理メモリーの使用状況および物理サーバ全体の内部・外部スワップの使用状況などを監視できます。

次の図に,それぞれのレコードのパフォーマンスデータ収集範囲を示します。

図1‒17 レコードとデータ収集範囲の対応

[図データ]

(2) 監視例

ここでは,仮想環境が稼働している物理サーバの監視を例に,メモリーリソースが不足する要因と問題への対処方法を説明します。次の図に,ここで取り上げる監視項目と対処の流れを示します。

図1‒18 監視項目と対処の流れ

[図データ]

(a) 物理サーバの合計メモリー使用率を監視する例

物理サーバの合計メモリー使用率は,PI_HMIレコードのTotal Used %フィールドで監視できます。合計メモリー使用率は,物理サーバ上で提供されているすべてのメモリーリソース(物理メモリーリソース,内部スワップリソース,外部スワップリソース)の使用率を示します。この値が大きい場合,物理サーバのメモリーリソースが不足していると考えられます。

物理サーバの合計メモリー使用率の監視例を次の図に示します。

図1‒19 合計メモリー使用率の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

Host Memory Used

確認する監視テンプレートアラーム

Host Memory Usage

この例では,Used %,VM Swap Used %およびHost Swap Used %の合計で示されるTotal Used %の値が100%を上回っているため,物理サーバのメモリーリソースが不足していると考えられます。

この場合,仮想環境の構成情報を見直してください。構成情報を見直したあとも合計メモリー使用率の値が改善しない場合,物理サーバにメモリーリソースを追加したり,物理サーバを追加したりすることを検討してください。

(3) その他の監視例

(a) 物理サーバのメモリー使用状態を調べるレポート

図1‒20 物理サーバのメモリー使用状態の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

Host Memory Used Status

(b) 仮想マシンのメモリー使用状態を調べるレポート

図1‒21 仮想マシンのメモリー使用状態の監視例

[図データ]

確認する複合レポート(1.10参照)

仮想マシン−メモリー割り当て上限設定値の監視