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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Remote Monitor for Virtual Machine


1.4.3 CPUリソースの監視

ここでは,VMwareシステムのCPUリソースを監視する方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 概要

VMwareシステムでは,複数の仮想マシンで物理サーバ上のCPUを共有します。各仮想マシンに割り当てられるCPUリソースのことを仮想CPUと呼びます。仮想マシン上で稼働するOSは,仮想CPUを通常の物理CPUとして認識します。

物理サーバ上のCPUリソースは,各仮想マシンのCPUリソース要求量に応じて配分されます。ただし,各仮想マシンのCPUリソース要求量の合計が物理サーバ上のCPUリソースを超過する場合,要求量を満たすCPUリソースが配分できないため,仮想CPUリソースが不足します。この場合,仮想マシンの性能が低下します。

仮想CPUリソースが不足している状態の概念図を,次に示します。

図1‒11 仮想CPUリソース不足の概念図

[図データ]

CPUのパフォーマンスデータを監視することで,こうした仮想マシンの性能低下を把握できるため,対策を講じることができます。

また,仮想環境では,メモリー,ディスク,ネットワークインターフェースなど,すべての物理デバイスが仮想化されます。この物理デバイスの仮想化は,CPUによって処理されます。そのため,CPUリソースは,ほかの仮想デバイスのパフォーマンスにも影響する重要なリソースです。

CPUリソースを監視するレコードには,次の4つがあります。レコードの詳細については,「5. レコード」を参照してください。

  1. PIレコード

    物理サーバのCPUのパフォーマンスデータを監視できます。

  2. PI_HCIレコード

    物理CPUの各コアのパフォーマンスデータを監視できます。

  3. PI_VIレコード

    各仮想マシンが利用しているCPUのパフォーマンスデータを監視できます。

  4. PI_VCIレコード

    各仮想CPUのパフォーマンスデータを監視できます。

次の図に,それぞれのレコードのパフォーマンスデータ収集範囲を示します。

図1‒12 各レコードのパフォーマンスデータ収集範囲

[図データ]

(2) 監視例

ここでは,仮想マシンvhost1〜2のCPUリソースの監視を例に,CPUリソースが不足する要因と問題への対処方法を説明します。次の図に,ここで取り上げる監視項目と対処の流れを示します。

図1‒13 監視項目と対処の流れ

[図データ]

(a) 仮想マシンのCPU不足率を監視する例

仮想マシンのCPU不足率は,PI_VIレコードのInsufficient %フィールドで確認できます。仮想マシンに対して十分なCPUリソースが割り当てられている場合,CPU不足率は0%に近づきます。なお,この監視項目は,監視テンプレートに用意されているアラームで監視できます。

仮想マシンのCPU不足率の監視例を次の図に示します。

図1‒14 CPU不足率の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

VM CPU Insufficient

確認する監視テンプレートアラーム

VM CPU Insufficient

この例では,vhost2のCPUリソースがかなり不足していると考えられます。

この場合,仮想マシンの構成情報を見直してください。構成情報を見直したあともCPU不足率が高い場合,物理サーバにCPUを追加したり,物理サーバを追加したりすることを検討してください。

(3) その他の監視例

(2) 監視例」で説明した監視テンプレート以外の監視テンプレートでの監視例を次に示します。

(a) 物理サーバのCPU使用状態を調べる

■ 物理サーバのCPU使用状態を表示するレポート

図1‒15 物理サーバのCPU使用状態の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

Host CPU Used Status

このレポートのうち,Troubleshooting/Recent Pastフォルダに格納されているレポートにはドリルダウンが設定されています。グラフ上の仮想マシン使用量の面をクリックすると,次に示すレポートが表示されます。

■ 仮想マシンによる物理サーバのCPU使用状態を表示するレポート

図1‒16 仮想マシンによる物理サーバのCPU使用状態の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

VM CPU Used Status