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JP1 Version 12 JP1/Performance Management リファレンス


jpctool db backup

〈このページの構成〉

形式

jpctool db backup     -id サービスID
                      [-host ホスト名]
                      [-lhost 論理ホスト名]
                      [-d <directory>]
                      [-partial <startday>,<endday>[,[<dbid>]
                         [,[<recname>][,[<drawer>]]]]]
                      [-direct]
                      [-alone]

機能

jpctool db backupコマンドは,Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスのデータベースに格納されているデータのバックアップファイルを作成するコマンドです。

このコマンドを実行すると,デフォルトでは,次のようにバックアップファイルが作成されます。

フルバックアップの場合

注※1

世代番号は,「01」から順に割り振られます。世代番号の最大値は,jpcsto.iniファイルのBackup Saveで指定した値です。世代番号のデフォルトの最大値は,「05」です。ただし,バックアップディレクトリを直接指定した場合は,世代番号のディレクトリは作成されません。指定したディレクトリ配下にバックアップデータが書き出されます。

注※2

データベースIDを次に示します。

  • PI:Agent StoreおよびRemote Monitor StoreサービスのPIレコードタイプのデータベース

  • PD:Agent StoreおよびRemote Monitor StoreサービスのPDレコードタイプのデータベース

  • PL:Agent StoreおよびRemote Monitor StoreサービスのPLレコードタイプのデータベース

  • PA:Master Storeサービスのデータベース

注※3

xxxx」は,各PFM - AgentまたはPFM - RMのサービスキーを示します。サービスキーについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録の,命名規則について説明している個所を参照してください。

注※4

1つのホスト上で複数のサービスのセットを起動できるアプリケーションプログラムを監視するPFM - AgentまたはPFM - RMの場合,インスタンス名のディレクトリがあります。

注※5

[001]または[002]が割り振られます。

注※6

レコード名は,PI_LOGD,PD_PDI,PL_MESSなどの各Agentのレコード名を示します。

部分バックアップの場合(Storeバージョン2.0だけ)

注※1

xxxx」は,各PFM - AgentまたはPFM - RMのサービスキーを示します。サービスキーについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録の,命名規則について説明している個所を参照してください。

注※2

1つのホスト上で複数のサービスのセットを起動できるアプリケーションプログラムを監視するPFM - AgentまたはPFM - RMの場合,インスタンス名のディレクトリがあります。

注※3

[001]または[002]が割り振られます。

注※4

レコード名は,PI_LOGD,PD_PDI,PL_MESSなどの各Agentのレコード名を示します。

コマンドを実行できるホスト

注※

-aloneオプションまたは-directオプションを指定した場合だけ実行できます。

実行権限

Windowsの場合
  • Administrators権限を持つユーザー

  • Backup Operators権限を持つユーザー

UNIXの場合

rootユーザー権限を持つユーザー

格納先ディレクトリ

Windowsの場合

インストール先フォルダ\tools\

UNIXの場合

/opt/jp1pc/tools/

引数

-id サービスID

Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor StoreサービスのサービスID(2文字目が「S」)を指定します。1〜258バイトで指定します。

ワイルドカード文字を使用して,複数のサービスIDを指定することもできます。ただし,-dオプションを指定するときは,ワイルドカード文字は使用できません。複数のサービスIDを指定している場合は,あるサービスがエラーとなっても,残りのサービスに対して処理が続行されます。また,複数のサービスに対してエラーが発生した場合,最後に発生したエラーに対する戻り値が返されます。

-host ホスト名

特定のホストのデータをバックアップする場合にこの引数を使用します。1〜32バイトの半角英数字で指定します。空白文字は指定できません。このオプションの指定を省略した場合,ローカルホストが仮定されます。

ワイルドカード文字を使用して,複数のホスト名を指定することもできます。複数のホスト名を指定する場合,ワイルドカード文字「*」は,1文字以上の任意の文字列を,「?」は任意の1文字を示します。ただし,-dオプションを指定するときは,ワイルドカード文字は使用できません。

-aloneオプションと同時に指定できません。

-lhost 論理ホスト名

このコマンドを実行するホストを,物理ホスト環境ではなく論理ホスト環境とする場合にその論理ホスト名を指定します。1〜32バイトの半角英数字で指定します。空白文字は,指定できません。指定を省略した場合,物理ホストが仮定されます。ワイルドカード文字は使用できません。

-d <directory>

バックアップ先のディレクトリを指定します。次の権限でアクセスできるディレクトリを指定してください。

  • Windowsの場合:システムアカウント

  • UNIXの場合:rootユーザー権限

ディレクトリは,Storeバージョンが1.0の場合は127バイト以内で,Storeバージョンが2.0の場合は214バイト以内の絶対パスまたは相対パスで指定します。ただし,Storeバージョンが2.0の場合は,相対パス,絶対パスのどちらのときも,214バイト以内で指定してください。相対パスで指定している場合は,絶対パスに変換しても214バイト以内である必要があります。相対パスで指定した場合の基点となるディレクトリは,指定したStoreサービスの環境ディレクトリとなります。

このオプションを使用する場合は,指定するサービスがローカルホストの単一のStoreサービスである必要があります。そのため,「サービスID」と「ホスト名」にワイルドカード文字は指定できません。jpcsto.iniファイルのBackupDirラベルでバックアップディレクトリを指定した場合と異なり,世代番号のディレクトリは作成されません。指定したディレクトリ配下にバックアップデータが書き出されます。

なお,指定したディレクトリにファイルがある場合は上書きされます。

-partial <startday>,<endday>[,[<dbid>][,[<recname>][,[<drawer>]]]]

部分バックアップを実行します。ただし,指定したStoreサービスのStoreバージョンが2.0のときだけ実行されます。

<startday>:バックアップデータの開始日を,ローカルタイムで現在の日付から何日前かで指定します。

<endday>:バックアップデータの終了日を,ローカルタイムで現在の日付から何日前かで指定します。

<dbid>:データベースIDを指定します。省略時は全データベースが対象になります。

<recname>:レコードタイプを指定します。省略時は全レコードタイプが対象になります。

<drawer>:要約区分を指定します。<dbid>に「PI」を指定した場合だけ指定でき,指定できる値を次の表に示します。省略時は全要約区分が対象になります。省略時はSTPIディレクトリの配下に1から6のディレクトリが作成されます。また,<dbid>を省略して<drawer>を指定した場合,<drawer>の設定は無効となります。

指定できる値

説明

格納ディレクトリ

Minute

分レコードを指定

バックアップディレクトリ/STPI/1

Hour

時レコードを指定

バックアップディレクトリ/STPI/2

Day

日レコードを指定

バックアップディレクトリ/STPI/3

Week

週レコードを指定

バックアップディレクトリ/STPI/4

Month

月レコードを指定

バックアップディレクトリ/STPI/5

Year

年レコードを指定

バックアップディレクトリ/STPI/6

注※

バックアップディレクトリは,次のどちらかです。

-d <directory>オプションで指定したディレクトリ

jpcconf db define -key agtXコマンドで表示されるPartial Backup Dir

-partialオプションの指定例については,マニュアル「JP1/Performance Management運用ガイド」のパフォーマンスデータの部分バックアップについて説明している個所を参照してください。

-direct

Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスのデータベースに対してバックアップ処理を実行します。このオプションを指定した場合,PFM - AgentまたはPFM - RMホスト(PFM - Managerホスト以外)で実行できますが,Name ServerサービスおよびMaster Managerサービスが起動している必要があります。また,コマンドを実行するホストと対象となるStoreサービスとの間で直接通信できる必要があります。

-aloneオプションと同時に指定できません。

-alone

ローカルホスト上のMaster Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスのデータベースに対してバックアップ処理を実行します。別ホスト上のMaster Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスのデータベースに対してはバックアップ処理を実行できません。このオプションを指定した場合,PFM - Managerが動作していなくてもバックアップ処理が実行できます。また,PFM - AgentまたはPFM - RMホスト(PFM - Managerホスト以外)で実行できます。

-hostオプションまたは-directオプションと同時に指定できません。

コマンド実行時に必要なディスク占有量

このコマンドは,実行時に一時ファイルを作成します。コマンド実行に必要なディスク占有量については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録を参照してください。

不要になったバックアップデータの削除について

バックアップしたデータが不要になった場合に,削除できるディレクトリおよびファイルを次に示します。

なお,ここで説明するのはシステムが管理するStoreデータベースのバックアップディレクトリにバックアップした(-dオプションを指定しないでバックアップした)データの場合です。任意のディレクトリにバックアップした(-dオプションを指定してバックアップした)データの場合は,任意のディレクトリを含めたすべてのデータを削除できます。

フルバックアップの場合

部分バックアップの場合(Storeバージョン2.0だけ)

注意事項

戻り値

0

正常終了した。

1

引数の指定に誤りがある。

2

コマンドの実行権限がない。

3

指定されたサービスのうち,1つ以上が起動していない。

5

PFM - Managerがインストールされていない。

7

指定されたサービスIDがAgent Storeサービス,Remote Monitor Storeサービス,またはMaster Storeサービスのものではない。

12

指定されたサービスのうち,1つ以上のサービスが機能をサポートしていない(-partialオプションまたは-dオプション指定時)。

100

Performance Managementの環境が不正である。

101

Name Serverサービス,Master Managerサービス,Master Storeサービス,または操作対象サービスのどれかが起動していない。

102

指定された論理ホスト名はセットアップされていない。

104

指定されたMaster Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスは,バックアップ中またはエクスポート中である。

200

メモリーが不足している。

210

ディスク容量が不足している。

211

バックアップファイルまたはディレクトリにアクセスできない。

220

サービス構成情報ファイルに指定しているホスト名が不正である。

222

通信処理でエラーが発生した。

223

通信処理でタイムアウトが発生した。

255

予期しないエラーが発生した。

使用例1

ホストhost02にあるすべてのデータをバックアップする場合のコマンド実行例を次に示します。

jpctool db backup -id ?S* -host host02

使用例2

論理ホスト(ホスト名:jp1-ha1)環境で,ホストagt01にあるすべてのデータをバックアップする場合のコマンド実行例を次に示します。

jpctool db backup -id ?S* -host agt01 -lhost jp1-ha1

使用例3

論理環境を構築しているPFM - Agent for Oracle(Windows)のホストlhost02上で-aloneおよび-directコマンド実行例を次に示します。

jpctool db backup -id OS* -lhost lhost02  -alone
 
jpctool db backup -id OS* -lhost lhost02  -direct

使用例4

PFM - AgentまたはPFM - RMが論理ホスト(ホスト名:jp1-ha1)環境で,PFM - Managerが物理ホストにある場合に論理ホストjp1-ha1上のすべてのAgent StoreおよびRemote Monitor Storeサービスのデータをバックアップする場合のコマンド実行例を次に示します。

jpctool db backup -id "?S*" -host jp1-ha1

使用例5

PFM - AgentまたはPFM - RMが論理ホスト(ホスト名:jp1-ha1),PFM - Managerが論理ホスト(ホスト名:jp1-ha2)にある場合に論理ホストjp1-ha1上のすべてのAgent StoreおよびRemote Monitor Storeサービスのデータをバックアップする場合のコマンド実行例を次に示します。

jpctool db backup -id "?S*" -host jp1-ha1 -lhost jp1-ha2