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JP1 Version 12 JP1/Performance Management 運用ガイド


5.10.2 レポート表示時の注意事項

〈この項の構成〉

(1) 積み上げ面グラフについて

積み上げ面グラフで,複数の系列のレコードを積み上げる場合,完全に一致する時刻のレコード同士だけが積み上がります。

そのため,履歴レポート(複数エージェント)で複数のエージェントのレコードを積み上げ表示する場合,両者の収集間隔とオフセット値が一致するように設定してください。

上記の運用をした場合でも,収集負荷による処理遅延によって,実際の収集時刻にずれが生じて期待した積み上げ面グラフが表示されない場合があります。このような問題を回避するために,PFM - Web Consoleのオプション機能で,レコードの収集時刻を補正してグラフを表示できます。

詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録の,初期設定ファイル(config.xml)の<graph-time-correction>タグについて説明している個所を参照してください。

(2) 円グラフについて

レポートに表示する円グラフの個数が多い場合,円グラフの下部にあるデータラベルが改行されます。これによって,円グラフのサイズが小さくなることがあります。この場合,次のどれかの対処をしてください。

データラベルに表示される文字数を減らす方法を次に示します。設定はレポート定義を編集する画面で実施します。

[編集 > グラフのプロパティ]画面で[系列]に「行」を指定している場合

[編集 > グラフのプロパティ]画面で,[データラベル]に指定するフィールドを,インスタンスが識別できて,文字数が少ないフィールドにしてください。

[編集 > グラフのプロパティ]画面で[系列]に「列」を指定している場合

[編集 > 表示形式]画面で,[表示名]に指定する文字列を短くしてください。

例えば,グラフ倍率が100%で円グラフが9個の場合,データラベルの改行を回避するには,文字数を半角19文字または全角18文字以下に設定してください。

(3) PFM - Web Consoleに表示できる最大レポート画面数について

(4) レポートに表示できる最大データ数について

リアルタイムレポートでは,データを30回分まで表示します。31回以上のデータを表示する場合は,古いものから順に削除します。変更する場合はconfig.xmlのmaxRealtimeCacheを変更してください。

履歴レポートでは,最大レコード数のレコードまたは初期設定ファイル(config.xml)に設定した最大件数までのデータグループのデータが表示されます。変更する場合はmaxFetchCount(<vsa>タグ配下)を変更してください。

ただし,表示レコード数が多いレポートはWebブラウザで変更できません。jpcrptコマンドのCSV出力を利用してください。

(5) データの取得性能について

複数のリアルタイムレポートを同時に表示した場合,データの取得性能が低下することがあります。

複数のエージェントを選択し,複数のレポートを同時に表示した場合,データの取得性能が低下することがあります。

(6) リアルタイムレポート表示の制限について

PFM - AgentまたはPFM - RMで複数インスタンスレコードを収集する場合,1回の収集で扱うことができるインスタンス数は32,767個までです。そのため,Webブラウザで複数インスタンスレコードのリアルタイムレポートを表示する際,32,767個までのインスタンスが表示できます。32,768個目以降のインスタンスは表示できません。

(7) 表示レコード数が多いレポートを表示する場合について

表示レコード数が多いレポートをWebブラウザで表示すると,PFM - ManagerのView Serverサービス,またはPFM - Web Consoleのサービスで使用するメモリーが不足して表示できない場合があります。表示レコード数が多いレポートの場合は,次の運用を検討してください。

(a) レポートキャッシュファイル化機能を有効にする

PFM - Web Consoleには,レポートのデータを,一時的にディスク上のファイルに格納して,メモリー使用量を抑える機能があります。これをレポートキャッシュファイル化機能といい,作成されるファイルをレポートキャッシュファイルといいます。

レポートキャッシュファイル化機能を有効にすると,PFM - Web Consoleはレポートキャッシュファイルを参照して,レポートのデータを表示するため,メモリーに保持するデータが減少し,メモリー不足が発生しにくくなります。

なお,レポートを表示する場合,グラフの有無によってメモリー不足が発生するサービスが異なります。それぞれの場合のメモリー不足の回避方法を次に示します。

  • グラフが含まれないレポートに大量のデータが含まれている場合

    PFM - ManagerのView Serverサービスでメモリー不足が発生します。この場合,レポートキャッシュファイル化機能を有効にすることでメモリー不足を回避できます。

  • グラフが含まれるレポートに大量のデータが含まれている場合

    PFM - ManagerのView Serverサービス,またはPFM - Web Consoleのサービスでメモリー不足が発生します。PFM - ManagerのView Serverサービスについては,レポートキャッシュファイル化機能を有効にすることでメモリー不足を回避できます。PFM - Web Consoleのサービスについては,「5.10.2(8) グラフを含むレポート表示に必要なメモリー量を考慮したレポート定義内容の検討方法について」を参照してレポート定義内容を検討してください。

注意

複合レポートの表示時に使用されるベースラインデータでは,レポートキャッシュファイル化機能は利用できません。メモリーが不足するおそれがあるため,大量のデータを含むレポートは,ベースラインとして登録しないでください。

レポートキャッシュファイル化機能は,次の表に示すPFM - Web Consoleで表示するレポートに対応しています。また,jpcrptコマンドでレポートを出力するときにも有効に機能します。

表5‒10 レポートキャッシュファイル化機能を利用できるレポート

呼び出し元

レポート

PFM - Web Consoleの画面

履歴レポート

イベント履歴

複合レポート

[レポート印刷]画面(HTML出力)

CSV出力

タイリング表示

リアルタイムレポート

(自動更新が無効な場合または停止している場合)

jpcrptコマンド

履歴レポート(HTML出力)

複合レポート

なお,jpcrptコマンドで履歴レポートをCSV出力する場合は,レポートキャッシュファイル化機能は利用できません。ただしこの場合,レポートのデータを読み込みながら出力するため,レコード数が多いレポートを出力するときのメモリー不足は回避できます。

レポートキャッシュファイルは,デフォルトでは次のディレクトリに格納されます。

レポート出力種別

OS

ディレクトリ

PFM - Web Consoleでのレポート表示

Windows

PFM - Web Consoleのインストール先フォルダ\reportcache\serv\

UNIX

/opt/jp1pcwebcon/reportcache/serv/

jpcrptコマンドでのHTML出力

Windows

PFM - Web Consoleのインストール先フォルダ\reportcache\cmd\

UNIX

/opt/jp1pcwebcon/reportcache/cmd/

なお,格納されたレポートキャッシュファイルは,通常はレポート出力操作が完了した時点で削除されますが,何らかの要因でファイルが削除されなかった場合,次に示すタイミングで再度削除が試みられます。

ディレクトリ

削除されるタイミング

  • PFM - Web Consoleのインストール先フォルダ\reportcache\serv\

  • /opt/jp1pcwebcon/reportcache/serv/

PFM - Web Consoleサービスの次回起動時※1

  • PFM - Web Consoleのインストール先フォルダ\reportcache\cmd\

  • /opt/jp1pcwebcon/reportcache/cmd/

削除されない※2

注※1

すべてのファイルおよびディレクトリが削除されるため,ディレクトリ配下には任意のファイルを格納しないでください。

注※2

自動的に削除されないため,jpcrptコマンドが実行中でないことを確認してから手動で削除してください。

メモ

レポートキャッシュファイルのディスク占有量の見積もり方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録の,レポートキャッシュファイルを使用する場合のディスク占有量について説明している個所を参照してください。

レポートキャッシュファイル化機能を有効にしたい場合,初期設定ファイル(config.xml)のuseReportCacheFileにtrueを指定します。また,レポートキャッシュファイルの格納先ディレクトリは,初期設定ファイル(config.xml)のreportCacheFileDirで指定します。

注意

レポートキャッシュファイルの格納先ディレクトリには,ローカルディスク上のディレクトリを指定してください。ネットワーク上のディレクトリを指定した場合,ローカルディスクと比較してWebブラウザおよびjpcrptコマンドの動作に時間が掛かります。

初期設定ファイル(config.xml)の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Performance Managementのインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

(b) jpcrptコマンドでCSV出力する

表示レコード数が多いレポートのデータは,PFM - Web Consoleの画面に表示するのではなく,CSVファイルに出力して参照することを検討してください。

レポートをCSVファイルに出力するには,jpcrptコマンドを利用します。jpcrptコマンドについては,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。

(8) グラフを含むレポート表示に必要なメモリー量を考慮したレポート定義内容の検討方法について

グラフを含むレポートを表示する場合に,レポート表示に必要なメモリー量がPFM - Web Consoleで使用できる制限値を超えると,メモリーが不足して表示できないことがあります。レポート表示に必要なメモリー量は,レポート表示対象データの最大レコード数(データ行数)およびフィールド数によって変化します。

メモリー不足を回避できる値を次に示します。グラフの種類に関わらず,レポート表示対象データがこの値以下に収まる場合,メモリーが不足することはありません。同時に複数のレポートを表示する場合は,すべてのレポートの合計値がこの値以下に収まるようにしてください。

上に示す値は,積算値として考慮します。つまり,最大レコード数×フィールド数が50,000×5=250,000以下の場合,メモリー不足は発生しません。レポート表示対象データ数が異なる場合の検討例を次に示します。

この場合,100,000×2=200,000となるため,メモリー不足は発生しません。

この値を実際のレポートに当てはめた場合の定義内容例を次の表に示します。

表5‒11 レポート定義内容例1

定義項目

定義内容

レポート種別

履歴(1つのエージェント)

エージェント

PFM - Agent for Platform(Windows)

レコード

PI(単数インスタンスレコード)

選択フィールド

Available Mbytes

Cache Faults/sec

Cache Mbytes

Page Faults/sec

Pages/sec

グラフ表示フィールド

グラフ種別

レポート表示期間

過去1ヶ月以内

レポート間隔

表5‒12 レポート定義内容例2

定義項目

定義内容

レポート種別

履歴(1つのエージェント)

エージェント

PFM - Agent for Platform(Windows)

レコード

PD_PDI(複数インスタンスレコード)

選択フィールド

CPU %

Page File Kbytes

グラフ表示フィールド

CPU %

グラフ種別

レポート表示期間

過去1日以内

監視対象プロセス数

30

注※

レポート表示の対象となるプロセス数(レコードのインスタンス数)です。レポート定義で設定する項目ではありません。

表5‒13 レポート定義内容例3

定義項目

定義内容

レポート種別

履歴(複数のエージェント)

エージェント

PFM - Agent for Platform(Windows)

レコード

PI(単数インスタンスレコード)

選択フィールド

Available Mbytes

Cache Mbytes

グラフ表示フィールド

Available Mbytes

グラフ種別

折れ線

レポート表示期間

過去1ヶ月以内

レポート間隔

注※

2つのエージェントを選択してレポートを表示する場合を例とします。

(9) グラフの凡例が表示しきれない場合について

レポート内のフィールド数は制限していませんが,フィールド数が多い場合,グラフや凡例が一部またはすべて見えなくなることがあります。

PFM - Web Console 09-10以降の場合,グラフのフィールドを複数のページに分割して表示できます。これをレポート系列ページング機能といい,これによってすべての凡例を参照できます。この機能を有効にしたい場合,初期設定ファイル(config.xml)のusingSeriesPagingOnTheGraphにtrueを指定してください。初期設定ファイル(config.xml)の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Performance Managementのインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

また,PFM - Web Console 09-00以前の場合,またはPFM - Web Console 09-10以降でレポート系列ページング機能が無効の場合に,グラフの凡例が表示しきれない場合は,グラフ倍率を変更して確認してください。グラフ倍率を変更しても表示しきれない場合は,レポートの表へグラフの凡例に該当するフィールドを追加して確認してください。なお,グラフに表示するフィールドは20個程度を推奨します。

(10) フィールド数が多いリアルタイムレポートを表示する場合について

レポート系列ページング機能によってリアルタイムレポートが複数のページに分割されている場合,レポートを更新するときにフィールド数が増減することがあります。これによって,ページに表示されるフィールドが変化することがあるため注意してください。

(11) 大量の表データを含むレポートをHTML出力する場合について

HTML出力したレポートに大量の表データが含まれる場合,表示に高い負荷が掛かるために,Webブラウザがハングアップすることがあります。この場合,HTML形式レポートに含める表データの行数を制限することで回避してください。

09-10以降のPFM - Web Consoleでは,HTML形式レポートに含める表データの行数は,次の表に示す初期設定ファイル(config.xml)の項目を設定することで変更できます。

表5‒14 表データ行数を制限するためのconfig.xmlの設定項目

レポート種別

config.xmlの設定項目

[レポート印刷]画面への出力

printTableMaxRowSize

jpcrptコマンドによるHTML出力

cmdHtmlTableOutputMaxRowSize

初期設定ファイル(config.xml)の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Performance Managementのインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

なお,この設定によって表データの行数を制限した場合でも,レポートに含まれるフィールドの数が多い場合は,出力されるデータの量がWebブラウザの許容範囲を超え,Webブラウザの動作が不安定になることがあります。これを回避するには,レポートに含めるフィールドの数を見直してください。初期設定ファイル(config.xml)に設定した表データ行数の制限値が初期値で,Internet Explorerを使用してレポートを表示する場合,フィールド数は10以下です。

(12) ドリルダウンが設定されたデータ数の多いレポートを表示する場合について

フィールドレベルのドリルダウンを設定したレポートを表示する場合,フィールドのプロット数によっては,メモリーが不足してPFM - Web Consoleサービスが停止することがあります。この場合,グラフのドリルダウンデータ数制限機能を有効にすることで回避してください。

グラフのドリルダウンデータ数制限機能は,フィールドレベルのドリルダウンが設定されたフィールドのプロット数(ドリルダウンデータ数)を制限する機能です。ドリルダウンデータ数が制限値を超えた場合,グラフ上のフィールドレベルのドリルダウンは無効になり,グラフ上のフィールドをクリックしてもドリルダウンレポートは表示されなくなります。なお,表および一覧の項目に対するドリルダウンは無効になりません。

グラフのドリルダウンデータ数制限機能は,09-10以降のPFM - Web Consoleで利用できます。制限値は,初期設定ファイル(config.xml)のmaxDrilldownPointsに指定します。初期設定ファイル(config.xml)の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Performance Managementのインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

(13) レポートの表示に時間が掛かる場合について

レコードのインスタンス数が大量な場合,表示に時間が掛かる場合があります。この場合,次に示す対処をすべて実施することで,一度にグラフに表示するデータ数を制限してください。

初期設定ファイル(config.xml)の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Performance Managementのインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

(14) グラフ画像を表示または出力する場合に作成される一時ファイルについて

09-50以降のPFM - Web Consoleでは,次に示す契機でグラフ画像を表示または出力する場合に,10〜100キロバイト程度の一時ファイルが作成されます。

一時ファイルは,次に示すディレクトリに格納されます。

Windowsの場合
  • Webブラウザでのレポート表示のとき

    システム環境変数TMPに設定されているフォルダ。

  • jpcrptコマンドでのレポート出力のとき

    コマンド実行ユーザーのユーザー環境変数TMPに設定されているフォルダ。

UNIXの場合

環境変数TMPDIRに設定されているディレクトリ。

環境変数TMPDIRが設定されていない場合は,ディレクトリ/var/tmpまたは/tmp

作成された一時ファイルは,グラフ画像の生成が完了したあと削除されます。