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JP1 Version 12 JP1/Performance Management 設計・構築ガイド


2.3.4 ネットワーク構成の検討

システム管理者は,稼働監視システムをどのようなネットワーク構成で構築するかを検討します。

ヒント

Performance Managementでは,監視エージェントで収集されたパフォーマンスデータは監視エージェント自身に蓄積されます。そのため,ネットワーク上に,大量のパフォーマンスデータが定期的に送信されることはありません。

〈この項の構成〉

(1) Performance ManagementをLAN環境で使用する

(a) Performance Managementの通信の仕組み

Performance Managementでは,サービス間で通信接続するためにPFM - AgentまたはPFM - RMの起動時にサービスで使用しているホスト名(IPアドレス)とポート番号をPFM - Managerに登録しています。Performance Managementでは,ここで登録されるホスト名(IPアドレス)とポート番号をノード情報と呼びます。ノード情報は,PFM - Managerで管理し,Performance Managementのサービス間で通信する場合,このノード情報を使用して通信を行います。

このノード情報を使用した接続に失敗する場合,ホスト名の名前解決に失敗しているおそれがあります。次の設定を見直し,再び接続を実施してください。

  • jpchostsファイル

  • hostsファイル

  • DNSサーバ

(b) jpchostsファイルの用途について

Performance Managementでは,複数のLANボードを持つホストにPFM - Manager,PFM - Agent,またはPFM - RMをインストールし,そのホストから複数のLANに接続してPerformance Managementを運用するシステム構成に対応しています。

例えば,PFM - Managerと,PFM - AgentまたはPFM - RMのそれぞれで複数のLANボードを持ち,複数のIP経路がある場合で,一部の経路でネットワークに接続できないときは,PFMのノード情報で使用するIPアドレスを設定する必要があります。

図2‒5 PFM - Manager,PFM - Agent間の通信をIP_C,IP_Aの経路にする場合のシステム構成例

[図データ]

それぞれのサーバのjpchostsファイルを次のように設定すると,IP_C - IP-Aの経路での通信となります。

  • PFM - Managerサーバのjpchosts

    hostA IP_C

    hostB IP_A

  • PFM - Agentサーバのjpchosts

    hostA IP_C

    hostB IP_A

jpchostsファイルの設定については,「4.3.1 ネットワーク構成の設定および変更手順」または「5.3.1(1)(b) IPアドレスを設定する」を参照してください。

(2) Performance ManagementをWAN環境で使用する

Performance Managementでは,ファイアウォールを挟んでPFM - Manager,PFM - Web Console,PFM - AgentまたはPFM - RMを配置できます。

Performance Managementは,1対1のアドレス変換を実行する静的NAT(Basic NAT)に対応しています。また,Performance Managementが使用するポート番号は,環境に合わせて任意な番号に変更できます。

図2‒6 Performance ManagementをWAN環境で使用する例

[図データ]

ポート番号の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録に記載されている,ポート番号一覧を参照してください。

(3) Performance Managementを同名のホストが複数ある環境で使用する

Performance Managementでは,複数のドメインにまたがる場合など,同じホスト名を持つホストが複数ある環境でも使用できます。このような環境では,各ホストにエイリアス名を与えて,ホスト名が重複しないようにします。

Performance Managementでは,ホスト名として,実ホスト名を使用するか,エイリアス名を使用するかを選択できます。ホスト名としてどちらを使用するかの設定については,Windowsの場合は「4.3.3 Performance Managementシステムでの監視ホスト名の設定および変更」を,UNIXの場合は「5.3.3 Performance Managementシステムでの監視ホスト名の設定および変更」を参照してください。

メモ

論理ホスト環境のホスト名として,エイリアス名は使用できません。

(4) IPv6環境が含まれる場合のネットワーク構成例

Performance Managementでは,WindowsとLinuxの場合,ネットワーク構成がIPv4環境だけでなくIPv6環境にも対応しています。そのため,IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワーク構成でも,Performance Managementを運用できます。

ただし,PFM - ManagerとPFM - Web Console間はIPv6通信に対応していません。

ネットワークの構成例を次に示します。

図2‒7  IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワークの構成例

[図データ]

IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワーク構成の場合,PFM - ManagerホストはIPv4通信とIPv6通信ができる必要があります。

また,同一ホスト上でIPv6通信を利用するにはPFM - ManagerまたはPFM - BaseとPFM - AgentまたはPFM - RM,すべてのバージョンが10-00以降の必要があります。

IPv6を導入しているサーバのIPアドレスには,ユニークローカルアドレス,サイトローカルアドレス,グローバルアドレスのうちどれかを指定します。ループバックアドレス,リンクローカルアドレスは指定できません。

なお,IPv6通信を利用する場合は,IPv6通信を利用するPFM - Agent,PFM - RM,およびPFM - Managerでjpcconf ipv6 enableコマンドを実行する必要があります。クラスタシステムの場合は,実行系および待機系のそれぞれで設定する必要があります。コマンドを実行するタイミングについて,Windowsの場合は「4.3.1 ネットワーク構成の設定および変更手順」を,UNIXの場合は「5.3.1 ネットワーク構成の設定および変更手順」を参照してください。

注意
  • IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワーク構成の場合,IPv4だけが設定されているサーバと,IPv6だけが設定されているサーバ間での接続はできません。そのため,次のコマンドは,一部のオプションが指定できなかったり,一部機能が制限されたりすることがあります。

    jpctool service listコマンド

    jpctool db backupコマンド

    jpctool db dumpコマンド

    詳細は,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。

  • IPv6環境で動作するPFM - AgentまたはPFM - RMを監視するためには,動作環境として,IPv4/IPv6デュアルスタック環境が必要です。

  • IPv6のループバックインターフェースが存在する環境では,Performance Managementの通信をIPv4で行う場合であっても,IPv4およびIPv6のループバックインターフェースを共に起動してください。

  • JP1/IT Service Level Management - Managerとの通信は,IPv4での通信だけの対応となるため,動作環境としてIPv4/IPv6 デュアルスタック環境が必要です。

  • PFM - Baseを新規にインストールする場合,Performance Managementで利用可能なIPv6アドレスが設定されていないときは,共通メッセージログに次のメッセージが出力されます。

KAVE00232-W 利用可能なIPv6アドレスがないため通信にはIPv4が使用されます

このメッセージは,インストール時に内部的にIPv6アドレスの解決を試みるために出力しているため,PFM - Baseの動作に影響はありません。

(5) 暗号化通信を使用して,Webブラウザから監視コンソールサーバに接続する

Performance Managementでは,Webブラウザと監視コンソールサーバ間の通信をhttpsで暗号化できます。通信を暗号化すると,転送するデータを安全に送受信できます。

統合管理製品(JP1/IM)と連携した稼働監視をする場合,暗号化通信でJP1/IMからPFM - Web Consoleの画面を表示させるには11-00以降のJP1/IMが必要です。

暗号化通信するための設定については,「4.3.15 Webブラウザと監視コンソールサーバ間の暗号化通信の設定および変更の流れ」を参照してください。

暗号化通信(https通信機能)を使用できるOSおよび言語環境については,リリースノートを参照してください。