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JP1 Version 12 JP1/Service Support 操作ガイド


1.1 JP1/Service Supportとは

JP1/Service Supportとは,インシデントの発生から解決までのプロセスの円滑な流れを支援する製品です。JP1/Service Supportでは,ユーザーからの問い合わせやシステムで発生した障害,そこから派生する問題,検討課題などを,解決が必要な案件として一元管理できます。

JP1/Service Supportで主に使用する2種類のメイン画面について,図1-1および図1-2に示します。

図1‒1 メイン画面(案件一覧)

[図データ]

案件の作成,編集,検索など,案件に関する操作を主に行う画面です。

左のフレームはプロセスワークボード一覧と呼び,プロセスワークボードが一覧で表示されます。右上のフレームは案件一覧と呼び,案件が一覧で表示されます。右下のフレームは案件プレビューと呼び,案件一覧で選択した案件のプレビューが表示されます。

メイン画面(案件一覧)の詳細については,「4.2 メイン画面(案件一覧)の見方」を参照してください。

図中の用語について次に説明します。

対象システム

対象システムとは,JP1/Service Supportの管理対象となるシステムの単位です。

プロセスワークボード

プロセスワークボードとは,プロセスごとの作業を記録する場所の単位です。プロセスワークボードはプロセスにつき一つだけ作成できます。案件の操作に関する設定は,主にプロセスワークボードごとに設定します。

プロセス

プロセスとは,JP1/Service Supportでカテゴリー分けした作業の単位です。インシデント管理,問題管理,変更管理,リリース管理の4種類があります。プロセスの名称はITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)で定義されているプロセスを基にしています。なお,JP1/Service Supportでは,プロセスの表示名を運用に合わせてカスタマイズできます。

ITILとは,近年,欧州を中心に普及してきたITシステムの構築・運用業務を体系化したガイドラインのことです。ITILでの各プロセスの定義について次に示します。

インシデント管理

ユーザーからの問い合わせやシステムの正常な運用を妨げる事象をインシデントとして管理します。問い合わせに対しては適切な回答を,また,事象に対しては回避策を早急に提示します。

インシデント管理プロセスで対応困難なものについては問題管理プロセスに対応を依頼します。別のプロセスに対応を依頼することを,エスカレーションと呼びます。

問題管理

問い合わせやシステム障害などを機に,原因追求が必要と判断したものを問題点として管理します。問題点の根本原因を調査し,恒久的な解決策を導き出します。

このとき,インシデント管理プロセスへのフィードバックが必要であればインシデント管理プロセスに対応を依頼します。また,ユーザーに提供しているドキュメントやシステム自体に変更が必要であれば,変更要求(RFC)を発行し,変更管理プロセスに対応を依頼します。

変更管理

変更要求の発行を受け,変更による障害発生リスクや業務への影響度を考慮に入れた上で,変更内容の審議と変更計画の立案をします。この審議,変更計画の立案には,システム構築,運用に携わる有識者やシステムの利用ユーザーなどが加わります。これをITILでは変更諮問委員会(CAB)メンバーと呼び,審議,変更計画の立案をする会議を変更諮問委員会(CAB)会議と呼びます。

会議の結果,変更計画が決まれば,リリース管理プロセスに連絡,対応を依頼します。また,問題管理プロセスに,変更要求の結果を連絡します。

リリース管理

変更計画に基づき,対象システムに対する実装計画を立てます。また,実装計画に基づき,構築,テスト,実装を実施します。

そのあと,実装したことを変更管理プロセスに連絡します。

図1‒2 システム視点のメイン画面(案件状況)

[図データ]

解決していない案件の件数の表示や,解決状況のレポートの出力など,案件の作業状況の確認を主に行う画面です。

左のフレームはメニューと呼び,メイン画面(案件状況)で実行できるメニューが表示されます。右上のフレームは状況確認と呼び,JP1/Service Supportに登録されている案件の状況が確認できます。右下のフレームは対象案件一覧と呼び,状況確認に表示されている案件の件数のアンカーをクリックすると,該当する案件が一覧で表示されます。

メイン画面(案件状況)の詳細については,「5.1 メイン画面(案件状況)の見方」を参照してください。

図中の用語について次に説明します。

状況確認の視点

メニューでは,状況確認で使用する視点を選択できます。選択できる視点は,システム視点とプロセス視点の2種類です。メニューでそれぞれの視点をクリックすると,状況確認の画面が切り替わります。

システム視点では,JP1/Service Supportで管理しているシステム全体の案件の状況を確認できます。プロセス視点では,特定のシステム内にあるプロセスの状況をシステム視点よりも詳細に確認できます。

なお,JP1/Service Supportでは,システムの規模やニーズに合わせて,次に示す製品を提供しています。