はじめにお読みください
- 〈はじめにの構成〉
■ JP1/Service Supportでできること
JP1/Service Supportは,ITシステムで日々発生するシステム利用者からの問い合わせや障害などに,ITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)のサービスサポートの考えに基づいて,効率良く対処するための製品です。
ITILのサービスサポートでは,日々発生するシステム利用者からの問い合わせや障害などをインシデントと呼びます。また,インシデントに効率良く対処するために,プロセスという単位で作業をカテゴリー分けしています。
JP1/Service Supportは,インシデントや次に示すプロセスの作業をプロセスワークボードという場所に案件として登録することで,作業状況を記録したり,別のプロセスに作業を依頼(エスカレーション)したりします。
- 「インシデント管理」プロセス
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システムに対する問い合わせやシステムの正常な運用を妨げる事象などを,案件として扱います。
- 「問題管理」プロセス
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根本原因を追究する必要がある案件を扱います。
- 「変更管理」プロセス
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案件の根本原因を追究した結果,システム構成の変更が必要となった場合,その変更内容の審議や変更計画などを案件として扱います。
- 「リリース管理」プロセス
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変更内容や変更計画などが承認された場合,対象システムの実装計画の立案,実行,確認などを案件として扱います。
各プロセスの詳細については,マニュアル「JP1/Service Support 構築・運用ガイド」の「ITサービス管理でのサービスサポートの役割」についての説明を参照してください。プロセスワークボードの詳細については,マニュアル「JP1/Service Support 構築・運用ガイド」の「プロセスワークボードによる案件の管理」についての説明を参照してください。
JP1/Service Supportを導入すれば,案件の一覧表示や自動配信されるメール通知,データベースに蓄積された過去の案件の対処履歴の利用などによって,効率良くインシデントに対処できます。また,登録された案件の件数,案件が登録されてからクローズするまでの平均所要時間などをレポートに出力して,分析結果を案件管理の運用や体制の改善に生かせます。
■ このマニュアルで説明すること
このマニュアルでは,ITILのサービスサポートの「インシデント管理」プロセスおよび「問題管理」プロセスで,次の運用ができるようになることを目指します。
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「インシデント管理」プロセスおよび「問題管理」プロセスの担当者が,JP1/Service Supportに案件として登録されたインシデントを調査・解決する。
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「インシデント管理」プロセスおよび「問題管理」プロセスの管理者が,案件が登録されてからクローズするまでの平均所要時間を出力したレポートを分析し,案件管理の運用を改善する。
「インシデント管理」プロセスおよび「問題管理」プロセス以外のプロセスを含めた運用については,マニュアル「JP1/Service Support 構築・運用ガイド」の「企業内システムの運用管理」の説明を参照してください。
このマニュアルでは,次に示すITシステムおよび組織の構成に基づいて運用手順を説明します。
- サービスデスク
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オペレーターが業務システムで発生したインシデントをJP1/Service Supportに案件として登録したり,インシデントの問い合わせ元に対処結果を連絡したりします。
- 「インシデント管理」プロセス
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サービスデスクのオペレーターによって登録された案件が,過去に登録された案件の類似案件であるか調査します。類似案件である場合は,インシデントに対処します。類似案件ではない場合は,「問題管理」プロセスに案件をエスカレーションします。
- 「問題管理」プロセス
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「インシデント管理」プロセスによってエスカレーションされた案件の根本原因を調査し,その結果に基づいて案件に対処します。
- 案件管理サーバ
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JP1/Service Supportがインストールされたサーバです。インストール,セットアップ,各機能の設定などは,JP1/Service Supportの管理者によって実施されます。
- 業務システム
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このマニュアルで説明する,JP1/Service Supportの管理対象のシステムです。50台のサーバで構成されています。
■ マニュアルの読み方
JP1/Service Supportのマニュアル体系と,知りたい内容に応じた読み方を次に示します。
他マニュアルへの参照先は,「〜については,マニュアル「△△」の「○○」の説明を参照してください。」の形式で記載しています。「○○」をキーワードとしてマニュアル「△△」内を検索して,該当する説明をお読みください。
各画面での操作は,次に示す環境を前提としています。
- 案件管理サーバでの操作
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Windows Server 2012を使用している環境
- JP1/Service Supportでの操作
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Windows 7,Internet Explorer 8.0,Excelを使用している環境
製品の改良などによって,このマニュアルに掲載されている画面はご使用の製品画面と一部異なることがあります。あらかじめご了承ください。