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JP1 Version 12 JP1/Integrated Management 2 - Manager 導入・設計ガイド


8.4.2 JP1/BaseによるJP1イベントの管理

JP1イベントは,JP1/Baseのイベントサービス機能で制御され,JP1/Base独自のデータベースであるイベントDBに保管されます。

図8‒8 JP1イベントの管理概要

[図データ]

JP1イベントは,次のような属性に分けて,事象を記録します。

基本属性の属性名にはB.IDのように先頭に「B.」を,拡張属性の属性名にはE.SEVERITYのように「E.」を付けて区別する場合があります。

これらの属性に分かれて,次のような情報が記録されています。

(例)自動アクション実行要求時のJP1イベント(一部の情報だけ)

基本属性

  • イベントID(B.ID):000020E0

  • メッセージ(B.MESSAGE):

    「KAVB4430-I イベント...に対するアクションの実行を要求しました」

     :

拡張属性の共通情報

  • 重大度(E.SEVERITY):Information

  • プロダクト名(E.PRODUCT_NAME):/HITACHI/JP1/IM/JCAMAIN

     :

拡張属性の固有情報

  • アクション実行ホスト(E.EXECHOST):jp1-manager

     :

このようにシステムで発生した事象を,JP1イベントとして記録します。

JP1イベントについては,マニュアル「JP1/Integrated Management 2 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」の「3. JP1イベント」,およびマニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のJP1イベントの説明を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) JP1イベントによる事象の一元管理

JP1/Baseは,JP1イベントとして表現された事象を管理します。

また,ログファイル上のメッセージやSNMPトラップなどで表現された事象を,JP1イベントへの変換機能によってJP1/Baseに取り込んで管理できます。

このようにJP1/Baseは,JP1イベントによって,JP1シリーズだけではなく幅広い製品によって扱われている事象を管理できます。

JP1イベントとして発行される事象

イベント変換機能によってJP1イベントに変換する事象

(2) JP1イベントの転送によるマネージャーでの集中管理

JP1/IMは,マネージャーのイベントDBに登録されたJP1イベントをJP1/Baseから取得することでシステムを監視します。

システムの各ホストでは,発生したJP1イベントのうち,JP1/IMのマネージャーで管理する必要がある重要なイベントを,JP1/Baseのイベント転送機能によって転送します。このようにして,JP1/IMは,システムで発生した事象(管理が必要な重要な事象)を集中的に管理します。

(a) JP1イベントの転送

JP1/Baseのイベント転送機能によって,JP1イベントをあるホストからほかのホストへ転送できます。この機能によって,JP1/IMはマネージャーへJP1イベントを転送し,JP1イベントを集中管理しています。

転送するJP1イベントはJP1/Baseイベントサービスの転送設定ファイル(forward)で定義します。JP1/IMではこれを,転送フィルターと呼んでいます。

各ホストからマネージャーへ転送するJP1イベントは,管理が必要な重要なイベントだけにします。すべてマネージャーに転送する運用は避けてください。デフォルトの転送設定では,JP1イベントの重大度が,緊急(Emergency),警戒(Alert),致命的(Critical),エラー(Error),警告(Warning)のものを,構成管理機能で定義したマネージャー・エージェント階層に従って上位ホストに転送されるように設定されています。

JP1イベントが上位の管理ホストに転送されていく様子を次の図に示します。

図8‒9 JP1イベントの転送

[図データ]

なお,転送設定の内容を変更する方法には,各ホストの転送設定ファイルを直接編集する方法と,JP1/Baseの定義収集・配布機能を使って上位ホストから一括配布する方法があります。

(b) JP1イベントの転送のリトライ

JP1イベントの転送がネットワークの障害や転送先イベントサービスの停止などのために失敗した場合,イベントサービスが自動的にリトライできるように設定できます。転送のリトライの設定は,JP1/Baseのイベントサーバ設定ファイル(conf)で設定します。

参照先:マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のイベントサービス環境の設定に関する章

(c) 構成管理に沿ったイベント転送

JP1/Baseの構成管理の機能で,マネージャーおよびエージェントの構成を定義すると,構成定義に従って上位のマネージャーへとJP1イベントが転送されるよう自動的に設定されます。構成定義ファイルの定義を変更すると,それに伴って各ホストのJP1イベント転送設定を自動的に更新します。

参照先:「8.4.3 システムの階層構成の管理

(d) 定義収集・配布機能の利用

JP1イベントの転送設定情報は,JP1/Baseの定義収集・配布機能を利用してシステムの階層構成で定義された上位ホストから下位ホストに配布できます(システム階層構成の概要については,「8.4.3 システムの階層構成の管理」を参照)。メンテナンスによるホストの一時停止や障害発生多発ホストからのイベント転送を抑止したいなど,一時的に他ホストからのイベント転送を抑止したい場合に,JP1/Baseの定義収集・配布機能が利用できます。マネージャーから転送設定情報を,JP1/Baseのコマンドを使って各ホストに配布することで転送設定ファイル(forward)を更新できます。また,配布に成功した時点で各ホストの転送設定がリロードされ,更新された情報を基にイベント転送を行うようになります。

参照先:「8.4.5 定義情報の収集と配布

(3) CSVファイル出力による履歴や統計としての利用

JP1イベントが蓄積されるイベントDBの内容は,JP1/Baseのjevexportコマンドを使ってCSVファイルに出力して確認できます。

JP1/IMは,緊急度の高い重要なJP1イベントをマネージャーに集め,JP1/IM - Viewによって集中的に監視することによって,システムの運用管理を実現しています。逆に言えば,緊急度の低いJP1イベントについては,各ホストのイベントDBに記録されますが,マネージャーへ転送してJP1/IM - Viewで参照することはしません。

しかし,例えばジョブ正常終了,といった緊急ではないJP1イベントを,運用の履歴や統計情報として利用する場合があります。このような場合,JP1/Baseのjevexportコマンドを使って,CSVファイルに出力して利用してください。

jevexportコマンドについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のコマンドに関する章を参照してください。

また,統合監視DBを使用している場合,JP1/IMのjcoevtreportコマンドを使って,統合監視DBに保存されたJP1イベントをCSVファイルに出力します。

jcoevtreportコマンドについては,マニュアル「JP1/Integrated Management 2 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」の「jcoevtreport」(1. コマンド)を参照してください。