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JP1 Version 12 JP1/Integrated Management 2 - Manager 導入・設計ガイド


8.4.5 定義情報の収集と配布

JP1/Baseが提供する定義情報の収集・配布機能を使用して,ホストのJP1/Baseで定義した情報を収集または配布します。この機能を利用すると次のことが行えます。

定義収集・配布機能は,JP1/Baseが提供するJP1/IM - Manager専用の機能です。JP1/Baseのバージョンによって,この機能が提供されていない場合があります。詳細は,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。

なお,定義収集・配布機能はプラグイン機能という場合があります。JP1/Baseのjbs_spmd_statusコマンドを実行してサービスの状態を確認すると,jbspluginという名称で表示されます。

〈この項の構成〉

(1) イベントサービスの定義情報の収集と配布

JP1/IMでシステムの運用監視をする場合,各ホストのJP1/Baseでどの事象をJP1イベントとして管理するか,どのJP1イベントを上位ホストに転送するか検討し,定義する必要があります。各ホストのJP1/Baseで定義した情報を一つ一つ確認し,変更する方法もありますが,効率が悪く,定義を誤るおそれがあります。

JP1/Baseの定義収集・配布機能を利用することで,各ホストのJP1/Baseで定義した情報をマネージャーに一括収集して確認できます。また,マネージャーで定義情報を編集し,各ホストのJP1/Baseに配布し,定義情報を更新することもできます。これによって効率良く,イベントサービスに関する定義情報を一元管理できます。

定義収集・配布機能で収集・配布できるのは,次に示すファイル内で定義した情報です。

イベントサービスの定義情報の一括収集・一括配布の流れを次の図に示します。

図8‒18 イベントサービスの定義情報の一括収集・一括配布

[図データ]

定義収集・配布機能は,構成管理機能と連動しており,構成定義で定義されたホストに対して定義情報の一括収集・一括配布を行います(構成定義については,「8.4.3 システムの階層構成の管理」を参照)。なお,定義情報の一括収集・一括配布は,構成定義で定義した階層構造と関係なく,収集・配布元ホストと収集・配布先ホストとの直接通信で行われます。ファイアウォール環境などでこの機能を利用する場合は注意が必要です。

イベントサービスの定義情報を一括収集したり,一括配布したりする場合,JP1/Baseのコマンドを利用します。収集・配布コマンドおよびイベントサービスの定義情報の一括収集・一括配布の方法については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のイベントサービスの定義情報の収集と配布(JP1/IM限定)の章を参照してください。

(2) 監視ツリーの自動生成(セントラルスコープの利用)

JP1/IMでは,システム管理者の目的に合わせた目的指向型ビューとして,[監視ツリー]画面や[ビジュアル監視]画面を提供しています。[監視ツリー]画面を作成するときは,自動生成機能を使って,監視ツリーを自動的に作成してから運用に合わせてカスタマイズできます。

この自動生成機能は,各サーバから特定の連携製品の定義情報を収集し,テンプレートに合わせて監視ツリーを自動作成しています。定義情報の収集は,JP1/IM - Manager専用の機能としてJP1/Baseが提供する定義収集・配布機能によって実行しています。

JP1/Baseは,JP1/IM - Managerから連携製品の定義情報の収集指示を受けることで,同ホスト内の連携製品から定義情報を収集し,JP1/IMにその情報を渡します。なお,JP1/Baseのこの機能はJP1/Base 07-00からサポートしています。また,この機能を利用するには,JP1/IM - Managerのセントラルスコープサービスを有効(ON)にする必要があります。

定義収集・配布で収集できる定義情報の例を次に示します。

システムの階層構成に定義されたホストからこれらの情報を収集し,監視ツリーを自動的に作成します。

連携製品の定義情報の収集は,JP1/IMの機能やJP1/Baseの構成管理と定義収集・配布機能が連動することで成立します。JP1/IMの機能やJP1/Baseの構成管理とどのように連動しているかについては,「5.11.4 監視ツリーの自動生成の仕組み」で説明します。

ここでは,定義情報の収集指示をJP1/IMから受けたときの各ホストでのJP1/Baseの動作について説明します。

各ホスト内での定義情報収集の流れを次の図に示します。

図8‒19 各ホスト内での定義情報の収集

[図データ]

図中の番号に従って説明します。

  1. マネージャーから定義情報収集指示を受けます。

  2. 収集指示を受けたJP1/Baseは,JP1/IMの定義収集・配布機能に対応した連携製品が同ホスト上にあった場合,定義情報の提供を要求します。

  3. 要求を受けた連携製品は,JP1/IM連携用プログラムを起動し,該当する定義情報をJP1/Baseに渡します。

    JP1/IM連携用プログラムを起動するには,連携製品の方で,あらかじめJP1/IM連携用セットアップコマンドを実行しておく必要があります。JP1/IM連携用セットアップコマンドについては,各製品のマニュアルを参照してください。

  4. 連携製品の定義情報を受け取ったJP1/Baseは,収集指示を出してきたマネージャーに収集した定義情報を渡します。