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JP1 Version 12 JP1/Integrated Management 2 - Manager 導入・設計ガイド


6.2 自動アクションの状態管理

自動アクションを実行すると,その自動アクションはJP1/IM - Manager,JP1/Baseを経由して処理が進んでいきます。JP1/IMでは,この自動アクションの処理状況を状態として管理しています。

自動アクションの状態遷移を図で表すと次のようになります。

図6‒2 自動アクションの状態遷移

[図データ]

通常は,JP1/IM - Managerからマネージャー上のJP1/Base,マネージャー上のJP1/Baseからコマンド実行先のJP1/Baseへと処理が進んでいき,処理が完了します(正常時には,状態は「送信中」「キューイング」「実行中」「終了」の順に遷移し,JP1/Baseへの送信バッファーがいっぱいになったときには「送信待機」「送信中」「キューイング」「実行中」「終了」の順に遷移します)。なお,このときにエラーが発生すると状態が「実行不可」または「実行失敗」となり,処理が終了します。

なお,下記条件に合致した場合には自動アクションの状態が「抑止」や「なし」となり,JP1/IM - Manager内で処理が終了します。

また,自動アクションの状態遷移が完了していない状態(「送信待機」「キューイング」「実行中」)のときには,自動アクションを途中でキャンセルできます。ただし,状態が「送信中」のときは,自動アクションを途中でキャンセルできません。そのときの状態遷移を図で表すと次のようになります。

図6‒3 キャンセル処理をした場合の自動アクションの状態遷移

[図データ]

状態が「送信待機」「キューイング」「実行中」のアクションに対してキャンセルを行い,キャンセル処理が失敗した場合には,状態は「キャンセル」および「強制終了」には遷移せず,その時々の実行状態となります。

状態が「送信中」のアクションに対してキャンセルを行った場合,状態は「送信中(キャンセル失敗)」となります。

「送信中」状態のアクションに対して,キャンセル要求を行った場合,コマンド実行先のJP1/Baseにアクションの実行要求がキューイングされるまで,削除処理を行いません。キャンセル要求がコマンド実行先のJP1/Baseに到達し,その時々のアクション状態によっては,キャンセル処理が失敗する場合があります。「終了」または「実行失敗」状態に遷移した場合,キャンセル処理は失敗となります。

各状態の詳細については,次表を参照してください。

表6‒1 自動アクションの状態一覧

状態

説明

送信待機

送信バッファー※1が満杯になったため,JP1/IM - Managerからの実行要求をJP1/Baseがいったん拒否し,JP1/IM - Managerがリトライ待ちになった状態(送信バッファーに空きが出た時点でこの状態は解除されます)。

送信中

マネージャー上のJP1/Baseからコマンド実行先のJP1/BaseにJP1/IM - Managerからの実行要求を送信している状態。

キューイング

コマンド実行先のJP1/BaseでJP1/IM - Managerからの実行要求をキューイングしている状態。

この状態が長時間続く場合,JP1/Base側で次のようなトラブルが発生しているおそれがあります。

  • 自動アクションがシステム設計時の想定以上に発生し,不要な自動アクションが大量に蓄積(キューイング)された状態になった。

このような場合にはJP1/IMのキャンセル機能を使って不要な自動アクションをキャンセルできます(詳細については,「6.7 自動アクションのキャンセル」参照)。

実行中

コマンド実行先のJP1/BaseでJP1/IM - Managerからの実行要求を実行している状態。

この状態が長時間続く場合,JP1/Base側で次のようなトラブルが発生しているおそれがあります。

  • 自動アクションで実行したコマンドがハングアップまたは想定以上に時間が掛かるコマンドであったため,後続の自動アクションが実行されない状態になった。

このような場合にはJP1/IMのキャンセル機能を使ってトラブルの要因となっている自動アクションをキャンセルできます(詳細については,「6.7 自動アクションのキャンセル」参照)。

終了

JP1/Base側でコマンド実行が終了し,JP1/IM - Managerにアクション結果が通知された状態。または,アクション実行サービスの起動時にアクション再実行用ファイルに出力済みの状態。この状態は終了コード(E.RESULT_CODE)に影響されない。

実行不可

JP1/Baseに実行要求を渡す前にエラーが発生した状態。

次の場合に発生します。

  • アクション実行サービスの内部エラー。

  • 処理を行うJP1/Base(コマンド実行管理)が起動していない。

  • 実行ホスト名に指定された業務グループまたは監視グループにホストが一つも登録されていない。

実行失敗

JP1/Base側の処理でエラーが発生し,コマンドの実行に失敗した状態。

この場合,JP1/Baseが出力する「KAVBXXXX-E」のメッセージ情報がアクション結果としてJP1/IM - Managerに通知されます。JP1/Baseが出力するメッセージ情報については,マニュアル「JP1/Integrated Management 2 - Manager メッセージ」の「2.3 コマンド実行に関するメッセージ(KAVB2001〜KAVB2999)」を参照してください。

抑止

自動アクションの実行条件に合致したが,設定した抑止時間内だったため,アクションを抑止した状態(詳細については,「6.4.4 同一アクションの抑止」参照)。

なし

自動アクションの実行条件は設定済み,実行内容(実行するコマンド)は未設定,の状態で自動アクションが実行されるとこの状態になる。

送信待機(キャンセル中)

「送信待機」の状態の自動アクションに対し,キャンセル処理を実行している状態(キャンセル処理は完了していない)。

送信中(キャンセル中)

「送信中」の状態の自動アクションに対し,キャンセル処理を実行している状態(キャンセル処理は完了していない)。

キューイング(キャンセル中)

「キューイング」の状態の自動アクションに対し,キャンセル処理を実行している状態(キャンセル処理は完了していない)。

実行中(キャンセル中)

「実行中」の状態の自動アクションに対し,キャンセル処理を実行している状態(キャンセル処理は完了していない)。

キャンセル

「実行中」の状態になる前に自動アクションをキャンセルした状態。

強制終了

「実行中」の状態の自動アクションをキャンセル(強制終了)した状態。

送信待機(キャンセル失敗)

「送信待機」の状態の自動アクションに対し,キャンセル処理を実行したが,その処理に失敗した状態。

送信中(キャンセル失敗)

「送信中」の状態の自動アクションに対し,キャンセル処理を実行したが,その処理に失敗した状態。

または,以前の状態(「送信待機」)のときにキャンセル処理に失敗し,その自動アクションの状態が「送信中」に遷移した状態。

キューイング(キャンセル失敗)

「キューイング」の状態の自動アクションに対し,キャンセル処理を実行したが,その処理に失敗した状態。

または,以前の状態(「送信待機」または「送信中」)のときにキャンセル処理に失敗し,その自動アクションの状態が「キューイング」に遷移した状態。

実行中(キャンセル失敗)

「実行中」の状態の自動アクションに対し,キャンセル処理を実行したが,その処理に失敗した状態。

または,以前の状態(「送信待機」「送信中」または「キューイング」)のときにキャンセル処理に失敗し,その自動アクションの状態が「実行中」に遷移した状態。

終了(キャンセル失敗)

キャンセル処理に失敗したアクションが「終了」になった状態。

実行失敗(キャンセル失敗)

キャンセル処理に失敗したアクションが「実行失敗」になった状態。

状態不明※2

何らかのトラブルによって実行結果を保存したファイル(アクション情報ファイル,アクションホスト名格納ファイル,コマンド実行履歴ファイル)に不整合が発生し,自動アクションの実行結果が確認できない状態。

この場合,これらのファイルを削除する必要があります。なお,ファイルを削除すると,過去の自動アクションの実行結果は参照できなくなります。

削除方法については,マニュアル「JP1/Integrated Management 2 - Manager 運用ガイド」の「11.5.1(10) 自動アクションの実行状態が「状態不明」と表示される場合の対処方法」を参照してください。

注※1 JP1/IM - Managerからマネージャー上のJP1/Baseへ自動アクションの実行要求を送信するために使用する通信バッファーのことです。

注※2 アクションの状態でなく,JP1/IM - Managerが自動アクションの状態取得に失敗したことを表します。

自動アクション定義を無効にしたときはアクションを実行しないため,状態は遷移せず,アクション情報ファイルにもアクション状態は格納されません。

自動アクションの実行状態は,JP1/IM - Viewやコマンドで確認できます。詳細については,「6.6 自動アクションの実行状態および実行結果の確認」を参照してください。