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JP1 Version 12 JP1/Integrated Management 2 - Manager 導入・設計ガイド


4.5.4 大量発生イベントの監視抑止を開始する契機

大量発生イベントの監視抑止では,JP1/IM - Managerが起動したあとにイベントサービスから取得した大量発生イベントを,繰り返しイベントの監視抑止機能で抑止します。次の条件にすべて一致した場合,イベントが大量発生したと見なし,繰り返しイベントの監視抑止機能による大量発生イベントの監視抑止を開始します。

JP1/IM - Managerは,イベントサービスからある繰り返しイベント条件のイベント条件に一致するイベントを取得した時点で大量発生イベントの監視抑止を開始するかどうかを判断します。

大量発生イベントの監視抑止を開始するかどうかは,繰り返しイベント条件ごとに判定されます。

イベントが大量発生したと見なすしきい値は,発生監視期間および発生件数を指定することで設定できます。しきい値(発生件数および発生監視期間)は,[繰り返しイベント条件設定]画面の[オプション]ページで指定します。

ここでは発生監視期間を2秒間,発生件数を5件とした繰り返しイベント条件αのイベント条件に一致するイベントが,監視抑止対象となる契機について説明します。

最初に,次のように繰り返しイベント条件αに一致する大量発生イベントが発生したとします。

図4‒57 繰り返しイベントの発生1

[図データ]

ある繰り返しイベント条件のイベント条件に一致するイベントが,発生監視期間内のイベントかどうかは,イベントの到着時刻(B.ARRIVEDTIME)で判断します。ある繰り返しイベント条件のイベント条件に一致するイベント同士で,次の式が成立する場合,発生監視期間内のイベントであると判断します。

図4-57に示すイベントが発生した場合に,繰り返しイベント条件αのイベント条件に一致する最新のイベントはイベントDです。イベントDの到着時刻は3秒です。繰り返しイベント条件αの発生監視期間は2秒であるため,繰り返しイベント条件αのイベント条件に一致して,かつ到着時刻が次に示す範囲に収まるイベントが発生監視期間内に発生した繰り返しイベントとして扱われます。

このようにして求めた発生監視期間当たりの件数をグラフに示すと,次のようになります。

図4‒58 発生監視期間当たりの件数のグラフ1

[図データ]

図4-58に示す発生監視期間(1秒から3秒まで)にあるイベントBからイベントDが,イベントDの発生監視期間中に発生した繰り返しイベントとして扱われます。そのため,イベントDの時点での発生監視期間当たりの件数は3件です。

この時点では,発生監視期間当たりの件数がしきい値以上となっていないため,「イベントが大量に発生した」という状態ではありません。

図4-57に示すイベントが発生したあと,次のように繰り返しイベント条件αのイベント条件に一致するイベントが発生したとします。

図4‒59 繰り返しイベントの発生2

[図データ]

このとき繰り返しイベント条件αのイベント条件に一致する最新のイベントはイベントQです。ここでも同様に考えることができ,図4-60に示した発生監視期間(6.1秒から8.1秒まで)にあるイベントKからイベントQの7件のイベントが,イベントQの発生監視期間中に発生した繰り返しイベントとして扱われます。

すべてのイベントに対して同様に,発生監視期間当たりの繰り返しイベントの件数を割り出すと,次に示すグラフとなります。

図4‒60 発生監視期間当たりの件数のグラフ2

[図データ]

図4-60のイベントHに着目します。3秒から5秒の2秒間(発生監視期間)でイベントDからイベントHの5件のイベントが発生したことで,イベントHの時点で,発生監視期間当たりの件数がしきい値以上となっています。したがって,「イベントが大量に発生した」という状態になり,大量発生イベントが監視抑止対象となるタイミングはイベントHからとなります。

図4‒61 繰り返しイベントが監視抑止対象となる契機

[図データ]

図中の抑止される期間(5秒以降)が,「イベントが大量に発生した」と判断され,大量発生イベントが抑止される期間です。イベントH以降は,大量発生イベントの発生件数が一定期間(終了監視期間)しきい値を下回らない限り抑止されます。

しきい値を指定する際,発生件数を大きくすると[イベントコンソール]画面のイベント一覧にJP1イベントが多く表示されます。例えば,発生件数を200件と指定した場合,[イベントコンソール]画面のイベント一覧に200件の繰り返しイベントが表示されたあと,抑止を開始します。

大量発生イベントの監視抑止を開始した際のJP1/IM - Viewでの表示については,「4.4.6 繰り返しイベントが表示抑止中のイベント一覧の表示」を参照してください。