付録G 使用上の注意事項
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JP1/FTPのコマンド,GUI,ツールを起動時,管理者で実行してください。
なお,管理者とは,次の条件を満たしていることが前提になります。
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ユーザアカウント制御(UAC)が有効の場合
Administratorまたは管理者特権へ昇格したユーザー
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ユーザアカウント制御(UAC)が無効の場合
Administrators権限を持つユーザー
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ほかの連携製品からJP1/FTPを起動する場合,連携製品が管理者で実行されていないと,JP1/FTPの起動が失敗する場合があります。
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ファイル伝送中には,該当ファイルに対して排他処理をしています。送信の場合には,該当ファイルに対して読み出しはできますが,書き込みはできません。受信の場合には,該当ファイルに対して読み出しも書き込みもできません。
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ファイル受信中の強制終了や伝送エラーなどで伝送が中断した場合,不完全なファイルが作成される場合があります。上書きで受信中に中断しても,ファイルは元に戻りません。
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JP1/FTPでは,ネットワークドライブのファイルも単なるWindowsの1ファイルとして扱いますので,Windowsのファイルとして正常に扱える環境または操作の範囲内で使用してください。
なお,伝送処理が正常に終了しても,ネットワークドライブ固有の問題,また,その設定や環境構築上の問題によって,伝送ファイルの内容が正常に書き込まれない場合があります。
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IPアドレスの変換(NAT変換やIPマスカレードなど)を行うネットワーク中継機器(ルータやファイアウォールなど)を使用している場合は,FTPプロトコル上,それらを経由したファイル伝送ができないときがあります。使用している機器がFTPプロトコルに対応しているか確認してください。
- 注
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09-00でPORTコマンド,10-00でPASVコマンドのチェック仕様が改善されました。このためIPアドレスの変換が正しく行われてない場合,問題が顕在化する事があります。その場合,IPアドレスの変換を正しく見直すか,表3-2を参照してPORTコマンドまたはPASVコマンドのチェック仕様を変更して下さい。
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JP1/FTPで使用するIPアドレスは次のとおりになります。
表G‒1 使用するIPアドレス 項番
用途
使用するIPアドレス
1
クライアント
制御コネクションのIPアドレス
OSが自動的に割り当てるIPアドレス
2
データコネクションのIPアドレス
制御コネクションのIPアドレス
3
サーバ
制御コネクションのIPアドレス
接続を受け付けたIPアドレス
4
データコネクションのIPアドレス
制御コネクションのIPアドレス
5
運用管理エージェントのIPアドレス
物理IPアドレス(OSのコマンドhostnameなどで返されるホスト名に対応するIPアドレス)
6
運用管理コンソールのIPアドレス
OSが自動的に割り当てるIPアドレス
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JP1/FTPをクラスタシステム(HA構成の系切り替え)構成で使用する場合の注意事項を次に示します。論理アドレスを使用する環境でのJP1/FTPの定義については,「3.11 複数IPアドレス環境での使用」を参照してください。なお,クラスタシステムとは,これまでJP1のマニュアルで「系切り替えシステム」と呼ばれていたものと同じです。
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フェールオーバには対応していません。
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物理IPアドレス(OSのコマンドhostnameなどで返されるホスト名に対応するIPアドレス)は有効にしてください。
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クラスタソフトから,JP1/FTPのサービスを起動および停止することは可能です。
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JP1/FTPがFTPサーバ(着信)として動作する場合,FTPクライアント(発信)が接続先に論理IPアドレスを指定しても,物理IPアドレスを指定してもファイル伝送は可能です。
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JP1/FTPがFTPクライアント(発信側)として動作する場合,障害時にはファイル伝送の自動リトライなどによる再伝送は行いません。
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FTPカスタムジョブによるファイル伝送は可能です。
また,複数IPアドレス用環境定義を使用しないときの注意事項を次に示します。
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JP1/FTPがFTPクライアント(発信)として動作する場合,コネクションのIPアドレスはOSが自動的に割り当てるため,通常は物理IPアドレスとなります。
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JP1イベントは,物理IPアドレス(OSのコマンドhostnameなどで返されるホスト名に対応するIPアドレス)に送ります。
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JP1/FTPがFTPサーバ(着信)として動作する場合,制御コネクションの接続時に返す220メッセージ内のホスト名は物理ホスト名(OSのコマンドhostnameなどで返されるホスト名)となります。
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第三水準文字および第四水準文字には対応していません。
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システム時刻を変更する場合は,JP1/FTPのサービス,GUIなどをすべて停止してから変更してください。また,システム時刻を戻す場合は,伝送履歴を初期化する必要があります。
システム時刻を戻す方法を次に示します。
1. JP1/FTPのサービス,GUIなどをすべて停止する。
2. 履歴情報ファイルを任意のディレクトリにバックアップする。
3. システムの時刻を変更する。
4. 伝送結果を初期化する。初期化の方法については,「付録F.1 FTSTRANINIT.BAT, FTSMGRINIT.BAT −初期化−」を参照してください。
5. JP1/FTPのサービス,GUIなどを起動する。
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各種定義などでルートディレクトリを指定する場合,ドライブ名だけでは,正しく動作しない場合があります。
- (例)Cドライブのルートディレクトリを指定する場合
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(誤)C:
(正)C:\
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受信伝送(get)を行なうとき,FTPサーバがファイルを正常に伝送したあとに,FTPクライアントで異常があった場合,FTPサーバとFTPクライアントで伝送結果の相違が発生します。
これは,サイズ確認オプションで行なった場合も同様です。
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最大同時伝送数は60です。それを超える接続は拒否されます。
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伝送ファイルのサイズ制限はありません。ただし,実際に伝送可能なファイルサイズはシステムに依存します。
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JP1/FTPクライアントで,ワイルドカード指定でファイル受信する場合,ローカルファイル名は,NLSTコマンドで応答されるファイルパス名リストから生成します。
このため,相手FTPサーバから受信するファイルパス名リストの形式によっては,正常に伝送できない場合があります。
JP1/FTPがサポートしているファイルパス名リストは,RFC959(FILE TRANSFER PROTOCOL)に準拠したものです。
ファイルパス名リスト内で,JP1/FTPがサポートしているファイルパス名は,次の条件がすべて重なっているファイルパス名です。
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ファイルパス名の先頭からの部分が,リモートファイル名に指定したファイルパス名と同じ形式となっている。
リモートファイル名に相対パスで"./"または".\"から指定した場合は,先頭の"./"または".\"を除いた部分と同じ形式となっている。
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ファイルパス名リスト内に空行がある場合は,ファイルパス名は,最初の空行の前までにある。
次に例を示します。
FTPサーバ側で,ディレクトリの構成が次のようになっているものとします。
(例1)
JP1/FTPクライアント側で,リモートファイル名に指定したファイルパス名が「/dir1/*」であり,ファイルパス名リストが次となっているものとします。
/dir1/file11 file12 /dir1/dir11/file111 /dir1/dir12: file121 /dir1/dir13: file131
この場合,サポートしているのは,「/dir1/file11」と「/dir1/dir11/file111」だけになります。
(例2)
JP1/FTPクライアント側で,リモートファイル名に指定したファイルパス名が「./dir1/*」または「.\dir1\*」である場合,ファイルパス名リスト内のファイルパス名として次のどちらもサポートしています。
./dir1/file11 .\dir1\file11 dir1/file11 dir1\file11 ./dir1/dir11/file111 .\dir1\dir11\file111
- 注意事項
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FTPサーバによっては,ファイルパス名リスト内にディレクトリのパス名を含めることがあります。
その場合,JP1/FTPクライアントでは,上記の条件に合っていれば,そのパス名を引数としてRETRコマンドを送信します。
そのため,通常,FTPサーバはエラー応答しますので,ファイル伝送は異常終了となります。
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ファイル伝送中またはファイル伝送終了直後に,サーバまたはクライアントサービスを停止した場合は,ログサービスの停止も合わせて行ってください。
次の伝送以降の履歴情報を採取できなくなる場合があります。
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IPv6アドレスでファイル伝送する場合,IPv4射影アドレスには対応していません。
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JP1/FTPでは,環境構築時に伝送情報を作成し,業務の運用中に伝送を実行する,というのが一般的な運用です。
そのため,ftsregcコマンドは,一般的には,環境構築時に実行し,業務の運用中には実行しません。
従って,次の事項に注意してください。
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ファイル伝送と,伝送情報の変更・削除を同時に実行しないでください。(GUIでの操作も含みます。)
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ftsregcコマンドは,性能上の配慮がなされておりません。
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業務の運用時に伝送情報が決定するような場合は,業務の運用時にftsregcコマンドを実行するのではなく,ftstranコマンドの引数にて,決定した伝送情報を指定する方法を推奨します。
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リモートデスクトップを利用して操作/運用を行う場合は,リモートデスクトップはコンソールセッション接続と同様に,1つのセッションだけにする必要があります。
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イベントログに出力されるメッセージにおいて,「システムコールエラーが発生しました。」などの冒頭部分は,言語設定に関わらず,OS言語が日本語の場合は日本語で,それ以外の場合は英語で表示されます。
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JP1/FTPでは,扱えるパス名称の最大サイズは259バイトとなります。